EcoFlow DELTA Maxは、RIVERシリーズで採用されたEcoFlowの独自技術を盛り込んだ新世代ポータブル電源で、充電容量は「2000」と「1600」の2つがラインナップされています。
1,612Whの大容量と、2,000Wの高出力の基本性能に加え、「X-Boost」や「スマホ遠隔操作」など、RIVERで採用された新技術を搭載した高コスパのポータブル電源です。
まずは、DELTA Maxの中でも汎用性が高いと言われる理由をスペック面からみていきます。
DELTA Max の基本スペック


DELTA Maxの基本スペックは以下の通りです。
DELTA Maxの概要
名称 | EcoFlow DELTA Max 2000 | EcoFlow DELTA Max 1600 |
---|---|---|
セル種類 | 三元素リチウムイオン | 三元素リチウムイオン |
保証期間 | 2年間 | 2年間 |
充電サイクル | 約800回(容量80%想定) | 約500回(容量80%想定) |
サイズ | 49.7x24.2x30.5 cm | 49.7x24.2x30.5 cm |
重量 | 約22kg | 約22kg |
容量 | 2,016Wh(50.4V) | 1,612Wh(50.4V) |
エクストラバッテリー | 最大2台接続可能+1台4,032Wh、 +2台6,048Wh | 最大2台接続可能+1台3,628Wh、 +2台5,644Wh |
2000/1600いずれもエクストラバッテリーを2台接続可能で、1台につき2,016Wh、2台で4,032Whの容量を増やすことができます。
充電量が80%まで減少するまでにかかる充電サイクル(※1)は約800回(2000)/500回(1600)です。
購入から2年間のメーカーによる製品保証が付帯します。
サイズや重量的には小型キャンピングカーに乗せて利用可能です。
※1:充電サイクルとは
リチウムイオン電池は、充電放電(充電して使う)を繰り返すことにより徐々に劣化し、充電可能な容量が次第に減少してゆきます。
充放電を繰り返す中で、1日目:30%、2日目:45%、3日目の25%が放電された時点で、放電量(電気の使用量)の合計が100%になり、その時点で「充電サイクル1回」をカウントします。
「充電サイクル500回で容量80%想定」とは、上記「充電サイクル」が500回カウントされた(言い換えると50,000%)時点で、充電容量が新品時の80%にまで減少(劣化)する…という意味になります。
詳しく知りたい方は以下が参考になります。
代表的な家電製品の消費電力を検証


一般的な容量/消費電力 | 必要な想定電力 | 起動電力(目安) | |
---|---|---|---|
スマホ | 4,000mAh (3.7V) | 14.8Wh | – |
懐中電灯 | 5,000mAh (3.7V) | 18.5Wh | – |
LEDランタン (長時間タイプ) | 15,000mAh (3.7V) | 55.5Wh | – |
ノートパソコン (Macbook) | 5,100mAh (9.8V) | 50Wh | – |
ホットプレート IHヒーター | 1,200~1,400W | 460W 20分間使用 | – |
電気毛布 | 50W | 300W 6時間使用 | – |
液晶テレビ (4K・40インチ以下) | 120~400W | 300W | – |
炊飯器 (5.5合炊き) | 1,000~1,400W | 1,400W 60分間使用 | – |
炊飯器 (2合炊き) | 200~300W | 150W 30分間使用 | – |
ポータブル冷蔵庫 | 45~60W | 60W | – |
冷蔵庫 (小型) | 50~130W | 120W | 400W |
冷蔵庫 (大型) | 200~350W | 300W | 1,000W |
電気ケトル | 1,200~1,400W | 110W 5分間使用 | – |
扇風機 (リビング) | 20~60W | 50W | 100W |
エアコン (8畳用以下) | 460~580W | 500W | 2,000W |
エアコン (12畳用以下) | 850~960W | 900W | 3,600W |
電子レンジ | 1,000~1,300W | 65W 3分間使用 | 2,000W |
オーブントースター | 1,100~1,400W | 110W 5分間使用 | – |
電気ストーブ ファンヒーター | 500~1,000W | 800W | 1,600W |
ドライヤー | 1,000~1,400W | 350W 15分使用 | 1,600W |
※使用時間が1時間未満の家電は、消費電力÷60分×使用時間で実質の消費電力を計算しています。
※「起動電力」とは家電の使い初めに過大な電流が流れる状況をいいます。
※複数のウェブサイトや製品の仕様書などから入手した値やその平均値なので、参考としてご理解下さい。
DELTA Maxの出力関連のスペック
出力 | |
---|---|
ACポート(x6) | 純正弦波 2000W 瞬間最大出力 4200W X-Boost時 2400W |
USBポート(x6) | USB-A x2 USB-A急速 x2 USB-C x2 |
シガーソケット/アクセサリーソケット | x1 |
DC5521出力 | x2 |
DELTA MaxのAC100Vの定格出力は2000W、瞬間最大(サージ)出力は4200W、EcoFlow独自技術の「X-Boost」(後述)時は2400Wを出力可能で、いずれも波形は「純正弦波(※2)」です。
USBは、Type-A、Type-A急速、Type-Cをそれぞれ2ポートずつ、シガーソケット1ポート、DC5521プラグ出力を2ポート備えています。
※2:純正弦波とは
家電の多くはAC(交流)で動作しますが、このACの電流には波状の形(波形)があって、家庭用コンセントに供給される交流波形は滑らかな凹凸のない曲線です。
この綺麗な波形のAC電流を「正弦波」あるいは「純正弦波」と呼び、電気機器の多くは純正弦波で正常に動作するように作られています。
一方、ポータブル電源を製造する際に、正弦波よりも安価に作りやすい「疑似正弦波」「修正正弦波」「矩形波(くけいは)」を採用する製品もありますが、特に精密機器などは矩形波で動作しない場合や、動作しても不具合を生じる場合があり注意が必要です。
ポータブル電源を選ぶ際には、どのような家電でも正常に動作させ、不具合が起こらない「純正弦波」を採用する製品を選ぶべきです。
DELTA Maxの入力・保護機能のスペック
入力 | |
---|---|
AC入力 | X-Stream 最大1500W(15A) |
ソーラー入力 | 800W(11-100V 10A) |
シガー/アクセサリーソケット走行充電 | 12V/24V(8A) |
スマート発電機 | 対応可 |
その他 | |
保護機能 バッテリー管理システム(BMS) | 過電圧保護、過負荷保護、過熱保護、 短絡保護、低温保護、低電圧保護、過電流保護 |
AC100Vからの入力(充電)は、EcoFlowの革新技術「X-Stream」(後述)によって最大1500Wで充電可能です。
シガーソケットからの入力を使うことで走行中の車両からの走行充電が可能です。また、スマート発電機からの充電も可能です。(後述)。
また、DELTA Maxはバッテリー管理システム(BMS)を採用しています。このシステムにより、何重もの保護機能が発動、使用者の誤った使いかたでも正常に動作し、危険が生じる前に機能を停止するといった対策が施されています。
停電時も安心!EcoFlow独自の革新的技術


EcoFlowは、ポータブル電源をより便利に使用するための革新的かつ斬新な新機能の搭載に積極的です。
ここでは、DELTA Maxに搭載されているテクノロジーについて解説します。
X-Stream
X-Stream(エックスストリーム)は、EcoFlowが開発した急速充電の仕組みです。
AC100Vからの充電の場合、充電開始から1時間で全容量の80%まで充電できる急速充電に加え、大きく重く邪魔な「ACアダプター」(※)が不要で電源コードをコンセントに直結して充電可能です。
「スマートインバーター技術」を採用することで、AC⇔DCをスムーズに変換できるため、「ACアダプター」を経由しなくても充電が可能で、充電時間を大幅に短縮することが可能となります。
ちなみに、X-Streamが採用されているDELTA Max 2000はフル充電まで約2時間、DELTA Max 1600は約1.7時間でフル充電となります。
「X-Stream」はEcoFlow独自の技術であり、EcoFlowの製品にしか搭載されていません。
※ACアダプターとは
AC100V(交流)の電流をDC(直流)に変換する装置で、通常のポータブル電源や家電製品は交流のままでは蓄電・動作できないため、入力端子の手前でAC→DCに変換する必要があるのです。
X-Boost
X-Boostとは定格出力以上の消費電力をもつ家電を利用可能にする革新的技術です。
電源と家電の関係とは本来、電源側の出力が家電の消費電力を上回らなくてはなりません。つまり「定格出力>消費電力」が鉄則というわけです。
ポータブル電源の利用シーンでは、家電の消費電力に対して電源側の定格出力が僅か数10~100W足りずに動かすことができない…ということがよく起こります。
ところが「X-Boost」は、家電の消費電力を小さくして本来は足りない定格出力でも利用可能にしてしまう仕組みです。
「X-Boost」は家電を少ない消費電力で動かす技術ですので、電子レンジや電気ケトルを使用した際に、食品やお湯が温まる時間は本来の消費電力時よりも時間がかかってしまいますが、本来使えないはずの家電が曲がりなりにも使えることもメリットは小さくありません。
「X-Boost」はEcoFlow独自の技術であり、EcoFlowの製品にしか搭載されていません。
※ただし、家電製品の中には消費電力を抑えると動作しない製品もあるので、必ずしも「X-Boost」がすべての家電に有効ではない場合もあるのでご注意ください。
スマホ遠隔操作
「スマホ遠隔操作」は、ポータブル電源をスマホアプリから操作する仕組みです。
例えば寒い真冬の車中泊で、せっかく温まった寝袋を出てポータブル電源を操作するのは、できれば避けたいところですが、動作音やファンの風などを遠ざけるため大抵の場合、ポータブル電源は手の届かないところに置いているケースがほとんどです。
そんな場合でも、「スマホ遠隔操作」が可能であれば寝袋から出ることなく、電源のON/OFFはもちろん、残量確認や様々な操作を専用のスマホアプリから行うことが可能です。
遠隔操作の利便性は実際に使ってみないとなかなか実感はできませんが、逆に一度体験してしまうと、遠隔操作なしの電源を使えなくなってしまう…という逸話もあるほどです。
エクストラバッテリー


エクストラバッテリーは、容量アップのための追加電源です。
EcoFlowのポータブル電源にはバッテリーを追加して蓄電量を増量できるモデルがあり、1台のエクストラバッテリーを接続すると、電源本体のおおよそ2倍の容量に増量可能です。
一部モデルでは最大2台までのエクストラバッテリーを接続し、本体の3倍の充電容量を確保できるものもあります。
DELTA Max専用のエクストラバッテリーは、容量2,016Whで最大2台まで接続可能です。
DELTA Max 2000では、本体2,016Wh+エクストラバッテリー2,016Wh×2で、最大6,048Wh、DELTA Max 1600では、本体1,612Wh+エクストラバッテリー2,016Wh×2で、最大5,644Whの容量に増量可能です。
詳しく知りたい方は以下が参考になります。
失敗しないポータブル電源の選び方(後編)
スマート発電機
「スマート発電機」は、4リットルのガソリンで5,400Whの電力を生み出す発電機です。
単体で利用した場合の定格出力は1,800W、他のEcoFlowポータブル電源に接続して利用した場合には、ポータブル電源の容量が設定量まで減少した際に、指定の容量分を発電して供給、ポータブル電源の容量を回復します。
「スマート発電機」は他の一般的なガソリン発電機に比べ、動作音が大幅に抑えられており、非常に静かに利用できる点が特徴です。
DELTA Max 2000に接続した場合には、本体2,016Wh+エクストラバッテリー2,016Wh×2+スマート発電機5,400Whで、最大11,448Whの電力を確保できます。
DELTA Max 1600に接続した場合には、本体1,612Wh+エクストラバッテリー2,016Wh×2+スマート発電機5,400Whで、最大11,044Whの電力を確保できます。
DELTA Maxを持って1泊キャンプシミュレーション


今日はかねてより楽しみにしていた1泊キャンプに出かける日です。気持ちよく晴れて心地よい微風がそよぐ絶好のキャンプ日和です。
車内に二人分のベッドスペースを確保したバンコンタイプのキャンピングカーで、予約した高原のキャンプ場を目指します。
椅子やテーブル、タープに焚き火台、食料がいっぱいに詰まったクーラーボックス等を積み込んでいて、ふと、ポータブル電源への充電を忘れたことに気づきました。
初っ端から大失態ですが心配いりません。こんな時でも「X-Stream」を搭載したDELTA Max1600ならAC100Vからの充電なら1時間で80%容量まで充電できるので、充分リカバリーが可能です。
DELTA Maxは最後に積み込むことにして、他の支度をしている間、AC100Vでの急速充電しておけば出発する頃には80%程度の電力は溜まっているはずです。
走行充電でさらに容量を稼ぎつつ現地へ向かう
現地へ向かう途中、待ち合わせ場所で彼女をピックアップ。
彼女が作ってきてくれたサンドイッチとコーヒーで軽い朝食を取りながらキャンプ場のある高原へと車を走らせます。
ハンドル脇のシガーソケットから専用コードで簡単に走行充電ができるので、自宅でX-Streamによる急速充電で溜めた80%よりさらに容量を増やすことができます。
途中、調べておいたスーパーで、今夜のメインディッシュとなるステーキ肉を購入、明日朝のパンや玉子なども仕入れます。
駐車場で確認するとDELTA Maxの容量は90%を超えていたので、走行充電を終了してDELTA MaxのACコンセントから車載冷蔵庫へ給電して、乾杯用のビールや缶酎ハイなどを冷やします。
屋外でも電子レンジ調理で食事の支度を時短
キャンプ場へ到着後、買ったばかりのタープ設営に手を焼いて、変な形に張られたタープを見て笑い転げる彼女が楽しそうで何よりだと思いながら、近所を流れる沢を散策。
夕方まで、そんな楽しい時間を過ごす間、ポータブル電源に繋いだ冷蔵庫はビールをキンキンに冷やしてくれていました。
「じゃあそろそろディナーの支度にとりかかりますか」
1,612Whの容量と2,000Wの定格出力を持つDELTA Max 1600なら、電子レンジや炊飯器などの家電利用も余裕でこなしてくれるので、炭火で肉を焼きながら炊飯器でご飯を炊き、土鍋のシチューをIHヒーターでコトコト煮込む…なんて時短技もOK。
自分は「待ってました」のビール、彼女はノンアルのカクテルで乾杯。炭火で焼いたステーキは柔らかくてジューシーで大正解。炊き立てご飯も土鍋シチューも美味しくて、料理上手の彼女でよかったと思いました。
山間部の夜は冷えるので電気毛布で暖かく就寝


日中は動くと汗ばむような陽気でも、山間部の夜は冷えるので、寝袋に電気毛布をプラスして防寒は完璧。朝までぬくぬくでぐっすり眠ることができました。
もちろん、就寝時には二人のスマホも充電して朝にはばっちりフル充電になっていました。
彼女が朝食用のパンケーキを焼いてくれている間に、電気ケトルでお湯を沸かし二人分のコーヒーをドリップ。自分はブラック、彼女用には電子レンジで温めた牛乳を加えたカフェオレを淹れました。
DELTA Maxがいくら大容量といっても、さすがに昨日から使いまくりでだいぶ容量が減ってきたので、出発までの時間はソーラーパネルを繋いで太陽光発電で充電、帰途は、また走行充電をしながら帰途につきました。
こんなありがちなキャンプ風景のシミュレーションですが、うっかり充電を忘れても僅か1時間で80%まで充電可能な「X-Stream」や、走行充電、ソーラー充電と状況に応じて使い分けられる多彩な充電方法を活かしていました。
さらに、電子レンジでもIHヒーター、電気ケトルでも、ほとんどの家電製品を動かせる定格出力で2000W、X-Boostなら2400Wの高出力も大いに役立っていました。
さらに夜にはスマホ充電や電気毛布で暖を取るなど、スタミナのあるDELTA Maxならではの利用シミュレーションでした。
DELTA Maxはキャンプや停電時に活躍すること間違いなし


キャンプ、アウトドアユースはもちろん、家庭での災害用・緊急用の蓄電装置としても充分な充電容量や機能・性能を持つDELTA Maxをご紹介しました。
家電製品を使ったキャンプや車中泊のお供はもちろん、必ず起こると言われる大規模災害への備えとして検討されてはいかがでしょうか。