非常事態はいつどのようなタイミングで起こるかわかりません。どこで被災しても大丈夫なように心がけておきたいのが避難経路の確保です。避難経路は、少しでも多く把握しておくことで明暗が分かれます。この記事では、2方向避難を意識することの重要性をはじめ、災害などの非常事態から身を守るために備えておきたいことや知っておきたいことなどを解説していきます。
2方向避難とは何か?
2方向避難とは、火災などの災害が起こったとき、1つの避難経路が塞がれるようなことがあっても他に避難できる経路を確保しておくことです。つまり、避難可能な経路を2カ所以上確保するということで、経路としては階段やベランダなどがあげられます。
例えば、マンションやホテル、商業施設など大きな建物で避難経路が1つしかない場合、火災が起こってその経路に火や煙が回ってしまうと逃げることができなくなります。
もしくは、1カ所に大勢の人が集中することで非難がスムーズにできないこともあるでしょう。高層の建物や面積の広い建物になると、それだけ避難に時間が取られます。
利用する人も多くなりがちなため、その分余裕を持って避難経路を用意しておく必要があります。避難経路が多ければ分散することができ、多くの人が速やかに避難することが可能です。
2方向避難は、ただ避難経路が2方向あればいいということではありません。せっかく2方向確保できていても、近い場所であれば両方の経路が同時に使えなくなることもあります。
避難したものの、出られる場所が危険をともなうような場所でも意味をなさないことは同じです。
2方向避難は、できるだけ離れた場所であるこことが原則で、同じ方向の場合は2方向避難ではないとされています。
まず重要なのは避難経路の確認
火災や津波など、いつどこで災害に巻き込まれるかはわかりません。自然災害や事故に限らず、テロなどによって予想もしない危険にさらされることもあり得ます。どのような危険に見舞われたときでも、重要なのは避難経路の確認です。
では、建物やケース別に避難経路の確認方法や普段から心がけておきたいことを解説していきます。
賃貸マンションなど集合住宅
賃貸や分譲に限らず、マンションなどの集合住宅に住むときは入居前に避難経路を確認しておくことが理想的です。
マンションの場合、通常はベランダも避難経路になっています。ベランダには、緊急時に使えるよう「避難用のはしご」が設置されています。普段は、人が乗っても大丈夫な頑丈な蓋がされていますが、避難が必要なときは蓋を開けて使いましょう。
「避難用のはしご」は、すべてのベランダに設置されているとは限りません。自分の部屋にはなくても隣室にある場合もあります。
どの部屋に「避難用のはしご」が設置されているか確認しておくといいでしょう。
病院や商業施設
病院や商業施設の場合、エレベーターの他に階段が複数設置されていることが多いものです。災害が起こったとき、エレベーターで避難することはできるだけ避けましょう。
万が一停電や電気系統に故障が起こったとき、中に閉じ込められてしまう危険も考えられるからです。また、病院の場合は体が弱っている人や入院患者を優先的に避難させなければなりません。
そのためにも、健康な人は階段から避難するようにしましょう。普段からよく使う病院や商業施設なら、はじめに避難経路を把握しておく必要があります。
そして、実際に使ってみて、それぞれの階段がどこに通じているか調べておくと災害が起こったときに慌てずに済みます。
ホテルやイベント会場
ホテルやイベント会場など、普段はあまり利用しない場所でも避難経路の確認は重要です。ホテルの場合は、チェックインして自分の部屋に入ったらまず避難経路を探しておきましょう。
簡単でもいいので、部屋から実際に歩いて屋外へ出るルートを確認することです。部屋にホテル内の案内図があれば、それをもとに確認するとスムーズに把握できます。
一方、イベント会場は、コンサートや展示会などさまざまな目的で利用されます。会場に着いたら、まずフロア案内で確認しておくといいかもしれません。自分の席やブースなど目的の場所を探すついでに避難経路を把握しておくのです。
可能であれば、フロア案内をスマートフォンなどで撮影しておくと万が一のときに画面で確認できます。
駅や地下街
避難経路の確認が必要なのは、高層の建物だけではありません。駅の構内や地下街も、災害が起こると閉じ込められてしまう可能性が高い場所です。
大きな駅になると、改札口は複数あるのが一般的です。普段使う改札口以外に、どの方向にいくつあるのか確認しておくと安心できます。もしも、自分がいつも使っている改札口が塞がってしまったときは、速やかに他の改札口から出られるようにしておきましょう。
地下街は、ビルや駅舎と直結していることが多く、通勤などのついでに利用しやすい場所です。中には、地下街の店舗やオフィスで働いている人もいるかもしれませんね。
地下街はできるだけ全体を把握しておき、いつどこにいるときに災害が起こってもすぐ避難経路に迎えることが重要になってきます。
オフィスビルなど
オフィスも住宅同様、1日の中で過ごすことが多い場所です。自分が配属されている部署から避難するにはどのルートが適切なのか、普段から把握しておきましょう。
しかし、毎日同じ場所にいるとは限りません。ですから、どこにいるときに災害が起こっても大丈夫なよう、ビル全体の避難経路を把握しておくことが理想的です。
オフィスビルに限らず、工場などで勤務している人も避難経路の確認は重要といえます。通常、勤務先では定期的に避難訓練が行われるのが一般的です。
しかし、勤務形態や出勤時間によっては避難訓練に参加できない人もいるかもしれません。
そのようなときでもそのままにせず、必ず避難経路の場所を確認しておくことは必要です。また、火災で防火扉が閉まった場合の通用口についても場所と開け方を把握しておく必要があります。
避難経路は、部署の誰かが知っていればいいという問題ではありません。自分のことは自分で守るという一人ひとりの意識づけが大切です。
避難用階段の規定を押さえておくことも重要
災害に備えてビルや集合住宅などに設置されているのが避難用の階段です。ただし、避難用の階段には建築基準法によって一定の基準が設けられており、階段であれば避難用の条件を満たしているわけではありません。
簡単にいえば、避難用階段とは「防火性能に特化した直通階段」のことをいいます。直通階段とは、その階段を通ることで避難場所まで容易に出られる階段のことです。この場合の避難場所とは、地上のことを指します。
つまり、1階降りるごとにフロアの端まで移動しなければ下の階に降りられないような階段は、直通階段とはいえません。
上階から地上の避難口まで連続して降りられる階段が直通階段であり、避難用階段の規定です。安全でスムーズな避難を考えても、避難用階段のある場所を押さえておくことが重要といえるでしょう。
避難用階段は、5階以上の建物や地下2階以下の建物に必要とされています。また、3階以上のフロアを物品販売店舗としている建築物にも避難用階段は必要です。
壁が耐火構造になっていることも、避難用階段の条件にあげられます。避難用階段には「屋内避難階段」「屋外避難階段」「特別避難階段」の3種類があります。
「屋外避難階段」は、建物の外側に設けられている避難用階段のことで「特別避難階段」とは、屋内避難階段の出入り口にバルコニーなどがあり、そこを経由することで煙などの流入を避けて避難できる階段のことです。
「屋内避難階段」は建築基準法施行令第123条第1項に、「屋外避難階段」は建築基準法施行令第123条第2項に、そして「特別避難階段」は建築基準法施行令第123号第3項に規定されています。
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