オール電化住宅は便利で経済的なメリットがある一方、停電時には生活に大きな影響を及ぼす可能性があります。電気に依存しているからこそ、停電への備えはきわめて重要です。
日ごろから適切な準備をしておけば、万が一の停電時でも慌てずに対応できます。家族の安全と快適な生活を守るためにも、停電に関する知識を広げましょう。
この記事では、オール電化住宅で停電発生時に起こる影響、用意しておきたい防災グッズ、知っておくべき対応についてわかりやすく解説します。
オール電化住宅の停電対策について知りたい方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
停電発生時にオール電化住宅で起こる影響
オール電化住宅で停電が発生した際に懸念される影響は以下の通りです。
- 照明機器が使えない
- 冷蔵庫の電源が落ちる
- 冷暖房が使えない
- IHコンロを使用できず調理ができない
- 蛇口からお湯が出なくなる
- トイレの水を流せない
- スマホの充電ができなくなる
- ルーターやモデムの電源が落ちてインターネットを使えなくなる
ここでは、停電発生時にオール電化の家庭で起こる影響について解説します。
照明機器を使えない
停電が発生すると真っ先に影響を受けるのが照明機器です。昼間であれば自然光で対応できる場合もありますが、夜間や曇りの日には部屋の中が真っ暗になってしまいます。
暗い環境下は単に不便というだけでなく、怪我や事故のリスクも高まります。とくに階段や障害物のある場所では危険性が増すため注意が必要です。
また、長時間の停電の場合、心理的な不安感も大きくなります。このような状況に備えて、懐中電灯やランタンなどの代替照明を用意しておきましょう。
電池式の照明器具を適切な場所に配置しておけば、いざという時に安全に行動できます。
冷蔵庫の電源が落ちる
停電時に冷蔵庫の電源が落ちると、食品の安全性が損なわれます。とくに夏場は食品の腐敗が早まるため注意が必要です。
冷蔵庫内の温度は停電してから数時間ほどで上昇し始め、食品の品質劣化や細菌の繁殖を招く可能性があります。長時間の停電の場合、冷凍食品の解凍や乳製品の変質など、食品ロスにつながる可能性もあるでしょう。
このリスクを軽減するためにはクーラーボックスや保冷剤を用意し、食品を移動させる準備をしておく必要があります。また、普段から冷蔵庫内の食品を整理し、停電時に素早く対応できるようにしておくのも有効な対策です。
冷暖房が使えない
停電時には冷暖房設備が使用できません。季節によっては深刻な問題になるため、対策の徹底はきわめて重要です。
とくに夏場は室温が上昇し、熱中症のリスクが高まります。高齢者や乳幼児は体温調節機能が弱いため、細心の注意が必要です。逆に冬場は室温が低下し、低体温症の危険性があります。
また、湿度管理ができないと、カビの発生や結露の問題も起こり得ます。
夏は扇子やうちわ、保冷剤などを、冬は厚手の衣類や毛布、湯たんぽなどを用意して季節ごとの対策を行いましょう。さらに室温管理のための換気や遮光も考慮してください。
IHコンロを使用できず調理ができない
オール電化住宅で停電が発生すると、IHコンロを使用できず調理ができなくなります。食事の準備ができないだけでなく、お湯を沸かすこともできないため、衛生面でも問題が生じてしまうでしょう。
とくに長期の停電の場合、栄養バランスの崩れや温かい食事が取れないために体調不良のリスクも考えられます。
このような事態に備えて、カセットコンロとガスボンベを用意しておきましょう。また、調理器具や食器類も電気を使わないものを準備しておいてください。非常食の備蓄も忘れずに行い、停電時でも最低限の食事を確保できるよう対策する意識が大切です。
蛇口からお湯が出なくなる
オール電化住宅ではエコキュートなどの電気給湯器を使用しているため、停電時にはお湯が出なくなる可能性があります。
入浴や洗面、食器洗いなど、日常生活の多くの場面に影響を及ぼすでしょう。とくに冬季は温水が使えないために体調を崩すリスクが高まります。
ただし、エコキュートのタンク内に残っているお湯は、停電直後でもしばらくの間は使用できる場合があります。このお湯を有効活用するためには、停電発生時の対応手順を事前に確認しておきましょう。
また、ポットややかんにお湯を貯めておくなど、普段からの備えも大切です。加えて、長期の停電に備え、カセットコンロでお湯を沸かす方法も検討しておくとよいでしょう。
トイレの水を流せない
オール電化住宅の多くでは、停電時にトイレの水を流せなくなる可能性があります。衛生面では深刻な問題となるほか、不快感だけでなく健康リスクも高まるため注意が必要です。
とくに長期にわたって停電した場合、トイレ使用の制限によって、生活に大きな支障をきたす可能性があります。また、種類によって対応が異なるため、自宅のトイレがどのタイプに該当するのか事前に確認しておきましょう。
スマホの充電ができなくなる
停電になるとスマホの充電ができなくなる可能性があります。スマホが使えなくなるのは、現代社会において深刻な問題といっても過言ではありません。
スマホは単なる通信機器ではなく、情報収集や緊急連絡、さらには懐中電灯代わりにも使用できます。とくに災害時には安否確認や避難情報の入手に不可欠です。
そのため、停電に備えてモバイルバッテリーを用意しておきましょう。複数のモバイルバッテリーを常に満タンの状態で保管しておけば、万が一の事態にいつでも備えられます。
また、スマホの省電力設定を理解し、緊急時にはこまめに画面の明るさを調整したり不要なアプリを終了したりするなど、バッテリーを長持ちさせる方法を把握しておく意識も必要です。
ルーターやモデムの電源が落ちてインターネットを使えなくなる
停電時にルーターやモデムの電源が落ちると、インターネットへの接続が遮断されます。
とくに災害時にはオンラインでの情報収集や安否確認が困難になり、状況の把握や適切な行動の選択に支障をきたす可能性があります。
また、在宅勤務やオンライン授業など、日常生活に大きな影響を与える可能性もあるでしょう。
このような事態に備えて、モバイルWi-Fiルーターやスマホのテザリング機能の使用方法を事前に確認しておく必要があります。さらにバッテリー内蔵型のルーターを導入したり、ポータブル電源でルーターを稼働させたりする方法も検討しておきましょう。
オール電化住宅で用意しておきたい防災グッズ
ここでは、オール電化住宅で用意しておきたい防災グッズを紹介します。
カセットコンロとガスボンベ
カセットコンロとガスボンベは、オール電化住宅の停電時に欠かせない防災グッズです。IHクッキングヒーターが使用できなくなった際の代替調理器具として重要な役割を果たします。
カセットコンロとガスボンベがあれば、温かい食事の準備やお湯を沸かせるため、停電時でも生活の質を維持できます。とくに長期の停電時には、栄養バランスの取れた食事を作れるほか、健康維持に役立つでしょう。
また、消毒のためにお湯を沸かすなどもできるため、衛生面でも重要です。
カセットコンロを選ぶ際は安全装置付きのものを選び、使用方法を確認しておきましょう。
懐中電灯
懐中電灯は停電時の安全確保に不可欠な防災グッズです。突然の停電で真っ暗になった室内での移動や、必要な物を探す際に重要な役割を果たします。
とくに夜間の停電時には怪我や事故を防ぐために欠かせません。
また、懐中電灯を選ぶ際はLEDタイプを基準にしましょう。LEDは電池の消費が少なく、長時間の使用が可能です。さらに防水機能付きのものを選べば、雨天時の屋外での使用も可能になります。
電池
電池は停電時にさまざまな用途で使用できる防災グッズです。懐中電灯やラジオなどの防災用品を動かすだけでなく、乾電池式のモバイルバッテリーを使用すればスマホの充電も可能になります。
電池を準備する際は、使用する機器に合わせてサイズと種類を選びましょう。単1から単4までの乾電池を各サイズ複数本ずつ用意しておくと安心です。
クーラーボックス
クーラーボックスは停電時に冷蔵庫の代替として活用できる重要な防災グッズです。とくに夏場や長期の停電時には、食品の安全性を維持するために不可欠といえるでしょう。
クーラーボックスを選ぶ際は、家族の人数や必要な食品の量を考慮してサイズを決めましょう。また、保冷効果の高い断熱性能のよいものを選ぶのが重要です。
使用時はあらかじめ冷凍しておいた保冷剤や氷を一緒に入れ、長時間の保冷が可能な状態にしておきましょう。
飲料水や非常食
飲料水や非常食は長期の停電を想定して必ず用意しておきましょう。飲料水は人数×9L、非常食は人数×3日分が目安です。
水は生命維持に不可欠であり、調理や衛生管理にも使用します。そのため、多めに用意しておくとよいでしょう。非常食は調理不要で長期保存が可能なものを選んでください。
レトルト食品やフリーズドライ食品、缶詰などが最適です。また、乳幼児や高齢者、アレルギーを持つ家族がいる場合は、それぞれに適した食品の用意も忘れないよう注意しましょう。
湯たんぽ
湯たんぽは冬の停電時に暖を取るための効果的な防災グッズです。エコキュートを使用しているオール電化住宅では、停電時でもタンクに貯まったお湯を利用できる場合があるため、とくに効果的といえます。
湯たんぽは電気を使わずに体を温められるほか、就寝時や長時間同じ場所にいる際に重宝します。選ぶ際は耐久性のある素材で作られたものを選び、漏れや破損がないか定期的にチェックしましょう。
石油ストーブ
石油ストーブは停電時でも使用可能な暖房器具です。
電気を使わずに灯油を燃料とするため、オール電化住宅の停電時には有効です。室内全体を暖められるため、寒冷地や冬季の長期停電時には生命を守る重要な役割を果たします。
選ぶ際は安全装置付きのものを選び、適切な換気方法を確認しておきましょう。また、使用前には必ず点検を行い、灯油の備蓄も忘れずに行ってください。
うちわ・扇子
うちわや扇子は夏の暑い時期に停電した場合に役立つ防災グッズです。電気を使用しないため、いつでも手軽に使えるのが最大のメリットといえます。とくに高温多湿の環境下では、体温調節や空気の循環に効果的です。
うちわは大きな面積で風を送れるため効率的ですが、扇子はコンパクトで携帯性に優れています。それぞれを用意しておくと状況に応じて使い分けられるため便利です。
真夏に役立つ防災グッズについては、以下の記事をご覧ください。
→真夏の停電時を乗り切る暑さ対策6選と防災グッズ10選を紹介
モバイルバッテリー
モバイルバッテリーは停電時にスマホを充電するために欠かせないアイテムです。選ぶ際は大容量で複数回の充電が可能なものを選びましょう。
また、複数のデバイスを同時に充電できる機能や、急速充電に対応しているものがあると便利です。さらにソーラーパネル付きのモバイルバッテリーを選べば、長期の停電時にも継続して使用できます。
モバイルバッテリーの使い方や注意点を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
→モバイルバッテリーの使い方を徹底解説!正しい充電方法・充電時の注意点
ポータブル電源
ポータブル電源は家庭内のさまざまな電化製品に電力供給が可能な多機能な防災グッズです。
とくにEcoFlow DELTA 3 Plusは、高性能で安全性の高いポータブル電源として注目されています。1,024Whの大容量バッテリーを搭載し、1,900Wの高出力が可能なため、冷蔵庫やテレビなどの大型家電も稼働可能です。
また、急速充電機能により、わずか56分で100%充電ができるほか、ソーラーパネルとの併用で自給自足の電力供給も実現できます。ほかにも静音設計や長寿命バッテリーなど、使いやすさも配慮されています。
EcoFlow DELTA 3 Plusは、オール電化住宅の停電対策に強力な味方となってくれるでしょう。DELTA 3 Plusの詳しい製品情報については、以下のページをご覧ください。
停電発生時に知っておくべきオール電化住宅の対応
ここでは、停電発生時に知っておくべきオール電化家庭の対応について解説します。
安全面を考慮して電化製品のプラグをコンセントから抜いておく
停電が発生したときに注意したいのは、復旧したときの過電流です。最悪の場合、火災や感電に発展する可能性があります。
そのため、停電が発生したら安全面を考慮して、電化製品のプラグをコンセントから抜いておきましょう。
エコキュートは停電時でもお湯を使用できる場合がある
エコキュートは停電時でもお湯を使用できる可能性があります。タンク内に貯まったお湯があれば使用が可能です。
ただし、貯まったお湯は衛生面を考慮してお風呂や食器を洗う用途で使用しましょう。
トイレの流し方はタイプによって異なる
停電時に注意したいのはトイレの流し方です。やり方はタイプによって異なるため、事前に確認しておく必要があります。
主な種類としては、手動レバーがあるタイプと洗浄つまみがあるタイプの2種類があります。停電した時にスムーズに流せるよう、使用方法について理解しておきましょう。
断水に備えて浴槽やペットボトルに水を貯めておくと安心
停電時には断水のリスクが高まるため、事前に浴槽やペットボトルに水を貯めておきましょう。飲料水だけでなく、トイレの流水や手洗い、食器洗いなどの生活用水も確保できます。
浴槽に水を貯める際はできるだけ満水に近い状態にし、蓋をして水の蒸発や汚染を防ぎましょう。ペットボトルに水を貯める場合は清潔な容器を使用し、直射日光の当たらない涼しい場所で保管してください。
貯めた水は定期的に入れ替え、常に新鮮な状態を保つ意識が大切です。
また、水の用途別に分けて保管すれば、効率的に使用できます。例えば、飲料水用、調理用、トイレ用など、用途に応じて容器を分けておくとよいでしょう。
まとめ
オール電化住宅で停電発生時に起こる影響、用意しておきたい防災グッズ、知っておくべき対応について解説しました。
オール電化住宅での停電対策は、日常生活の安全と快適さを守るために非常に重要です。適切な防災グッズの準備や停電時の対応方法の理解が、いざという時の強い味方となります。
とくにポータブル電源やカセットコンロ、懐中電灯などの準備は欠かせません。また、エコキュートのお湯の活用方法やトイレの使用方法など、オール電化住宅特有の対策も忘れずに行いましょう。
これらの準備や知識は停電時だけでなく、大規模災害時にも役立ちます。