近年、自家消費型の太陽光発電システムの導入が主流となっています。システムによって発電した電力は自宅で消費できるため、電気代の削減が可能です。さらに余った電力は電力会社に売電すれば収入も得られます。
一方で、設置スペースの確保や初期費用の高さ、天候に左右されやすいといったデメリットもあります。自家消費率をどれだけ上げられるかを把握し、導入すべきかどうかを検討しましょう。
この記事では、自家消費型の太陽光発電システムとは何か、種類やメリット・デメリット、自家消費率を上げるポイントをわかりやすく解説します。
自家消費型の太陽光発電システムについて知りたい方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
自家消費型の太陽光発電システムとは?
自家消費型の太陽光発電システムとは、発電した電力を設置したオーナー自身の家庭で消費します。さらに余った電力は電力会社に売電すれば収入を得られます。
発電量の3割ほどを自宅で使用し、残りを売電に回すのが一般的な運用方法です。
従来は固定価格買取制度(FIT制度)によって、太陽光発電システムで発電した電力を高単価で売電できました。しかし、近年はFIT制度の売電単価が下落傾向にあるため、売電よりも自家消費を優先したほうが経済的にお得だと考えられるようになっています。
自家消費型の太陽光発電システムの種類
ここでは、自家消費型の太陽光発電システムの種類について解説します。
余った電力を売電する余剰売電型
余剰売電型の太陽光発電システムは発電した電力を自家消費しつつ、余った電力を売電する運用方法です。一般的な運用方式といっても過言ではなく、多くの家庭で採用されています。
余剰売電型のメリットは、自家消費と売電の両立によって発電した電力を無駄なく活用できる点です。日中は発電した電力を自家消費に充て、使い切れなかった電力を売電すれば、効率的な電力活用が可能になります。
ただし、住宅用のシステムは10kW未満の容量が主流ですが、FIT制度の対象となるためには余剰売電型で運用する必要があります。
また、売電単価はFIT制度の動向に影響を受けます。売電収入は必ずしも安定するわけではないことを理解しておきましょう。
電力をすべて家庭内で使う全量自家消費型
全量自家消費型の太陽光発電システムは、発電した電力のすべてを家庭内で消費する運用方法です。余剰売電型とは異なり、発電した電力を売電せずに家庭内の電化製品の動力として活用します。
メリットはより多くの電力を自家消費に回せる点です。ただし、発電容量が50kW以上の場合はFIT制度の対象外となってしまうため、売電による収入を得られないデメリットがあります。
とはいえ、電力をすべて自家消費できるため、昼間の電力需要が多い家庭や、オフグリッド志向の家庭には全量自家消費型のシステムが適しています。
全量自家消費型の太陽光発電システムは、電力の自給自足を目指す家庭にとって非常に魅力的な選択肢です。
自家消費型の太陽光発電システムを導入するメリット
ここでは、自家消費型の太陽光発電システムを導入するメリットについて解説します。
電気代の削減につながる
自家消費型の太陽光発電システムを導入するメリットは、電気代の削減につながる点です。発電した電力を自家消費に充てれば、電力会社から購入する電力量を減らせます。
とくにオール電化住宅や電気自動車を所有している家庭は、電力消費量が多くなるため、自家消費による電気代削減効果はより大きくなると期待できます。
昨今の電気料金の高騰を考えると、自家消費型の太陽光発電システムの導入は、長期的に見ると光熱費の削減に効果的といえるでしょう。蓄電池を組み合わせれば、さらなる電気代の削減を期待できます。
余った電力を売電できる
自家消費型の太陽光発電システムは、発電した電力のうち家庭内で使い切れなかった分を電力会社に売電できるメリットがあります。とくに余剰売電型の運用方式を採用している場合、発電した電力を自家消費したうえで余剰分を売電に回すと、効率的な電力の活用が可能です。
また、FIT制度の適用によって一定期間は固定価格での買取が保証されます。ただし、買取単価は年々下落傾向にあるため、売電による収入は必ずしも安定しているとはいえません。
売電収入は課税対象となりますが、一定の条件を満たせば、税制優遇を受けられる場合もあります。自家消費と売電のバランスを考慮すれば、経済的なメリットを最大限に得られるでしょう。
災害による停電時にバックアップ電源として使える
自家消費型の太陽光発電システムは、災害時の停電に備えたバックアップ電源としても活用できます。
昨今は地震や台風、豪雨などの自然災害が頻発しており、長期間の停電が発生するリスクが高まっています。こうした非常時でも、太陽光発電システムと蓄電池があれば、一定期間は電力の確保が可能です。
蓄電池に蓄えられた電力を使って、冷蔵庫や照明、通信機器などの電源を確保できるため、停電時の生活をより快適に過ごせるでしょう。また、電気自動車を所有している場合は、車載の蓄電池を家庭用電源として活用できます。
さらにポータブル電源を併用すれば、屋外での電力確保も可能です。避難所などでも使用できるため、スマートフォンの充電やラジオの使用など情報収集に役立ちます。
自然災害が増加傾向にある昨今は、停電に備えた電源確保の重要性が高まっています。自家消費型の太陽光発電システムは非常時に重宝するため、検討する価値は大いにあるでしょう。
太陽光パネルには屋根の遮熱・断熱効果がある
太陽光パネルには屋根の遮熱と断熱効果があります。屋根に設置すると、日光が直接当たらなくなるため、屋根表面の温度上昇を抑制可能です。
とくに夏場の日中は屋根が高温になりますが、太陽光パネルの設置によって直射日光を防ぎ、屋根の温度上昇を抑えられます。温度上昇が抑えられると、屋根裏や天井裏、室内の温度上昇を防ぐ効果を期待できるでしょう。
つまり、太陽光パネルは断熱材としての役割を果たします。屋根や室内の温度上昇が抑えられるため、エアコンなどの冷房設備への負荷を軽減でき、電力消費量の削減にもつながります。
CO2削減によってカーボンニュートラル実現へ貢献できる
自家消費型の太陽光発電システムはCO2削減によって、カーボンニュートラルの実現に貢献できるメリットがあります。
太陽光発電システムは発電の際にCO2を排出しません。化石燃料を使用する火力発電などと比べて、クリーンな再生可能エネルギーといえるでしょう。
また、発電した電力を家庭内で消費すれば、電力会社から購入する電力量を減らせます。電力会社の電力は火力発電などの化石燃料を使用した発電方式で賄われている割合が高いため、自家消費による電力購入量の削減はCO2排出量の削減にきわめて効果的です。
政府は2050年までに温室効果ガスの排出をゼロにする、カーボンニュートラルの実現を目指しています。目標の達成に向けて、再生可能エネルギーの普及拡大は不可欠です。
自家消費型の太陽光発電システムの導入は、カーボンニュートラルの実現に向けた取り組みの一環だといえるでしょう。
自家消費型の太陽光発電システムを導入するデメリット
ここでは、自家消費型の太陽光発電システムを導入するデメリットについて解説します。
設置スペースの確保が必要
自家消費型の太陽光発電システムを導入する際は、設置スペースの確保が必要です。
太陽光パネルは住宅の屋根に設置するケースがほとんどですが、発電量を増やすためには、できるだけ広い屋根面積を割り当てる必要があります。
屋根以外にも駐車場の屋根や敷地内の空きスペースに設置もできますが、日当たりの良い場所を選ぶ必要があるため、建物の配置や周辺環境によっては適した設置場所が限られる場合があるでしょう。
とくにマンションなどの集合住宅の場合は屋根のスペースが限られているため、システムの導入自体が難しいケースがほとんどです。こうしたケースでは、ベランダに小型の太陽光パネルを設置したり、ポータブル電源と組み合わせたりするなど代替案を検討する必要があります。
太陽光発電システムの導入を検討する際は、設置スペースの確保が重要なポイントです。導入を決める前に設置可能なスペースを確認し、必要な発電量を得られるかどうかを見極めましょう。
初期費用やメンテナンス費用が発生する
自家消費型の太陽光発電システムを導入する際は、初期費用やメンテナンス費用が発生します。
太陽光パネルやパワーコンディショナー、分電盤、架台など、さまざまな機器の購入が必要です。
くわえて、これらの機器の設置工事に関わる費用も発生します。初期費用の総額はシステムの規模や、使用する機器のグレードなどによって異なりますが、一定の費用負担は避けられません。
また、長期的に安定して運用するためには、定期的なメンテナンスが必要です。太陽光パネルの清掃をはじめ、機器の点検、部品の交換などを実施しなければなりません。
メンテナンス費用はシステムの規模やメンテナンスの頻度によって異なりますが、年間数万円から数十万円ほどが発生します。さらに機器の故障や不具合が発生した場合は、修理や部品交換の費用も発生するため注意が必要です。
これらの費用は保証期間内であれば無償で対応してもらえる場合もありますが、期間が終了した後は自己負担になるケースも少なくありません。太陽光発電システムの導入を検討する際は初期費用だけでなく、長期的なランニングコストについても考慮しておきましょう。
太陽光発電やソーラーパネルの補助金を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
→【2024年】太陽光発電・ソーラーパネルの補助金一覧|地域ごとの制度内容も解説
発電量が天候に左右されやすい
自家消費型の太陽光発電システムのデメリットは、発電量が天候に大きく左右されやすい点です。
太陽光発電は太陽の光エネルギーを利用して発電を行うため、日照時間や日射量によって発電量が変動します。晴天の日は十分な発電量が得られる一方で、曇りや雨の日は発電量が大幅に低下するのが特徴です。
とくに太陽光がまったく当たらない夜間は発電ができないため、日中に発電した電力を蓄電池に蓄えておくか、電力会社からの電力購入に頼らざるを得なくなるでしょう。
さらに季節によっても発電量は変動します。梅雨と冬季は長雨によって日照時間が短くなるため、発電量が大幅に低下する可能性が高いでしょう。
安定的に電力を確保するためには、発電量の変動を補うための対策が必要になるでしょう。もっとも効果的な方法は蓄電池の導入です。蓄電池があれば、万が一の時でも蓄えておいた電力を使用できます。
天候による発電量の変動は太陽光発電システムの宿命です。しかし、適切な対策を講じれば、安定的な電力供給を実現できます。
太陽光発電システムの自家消費率を上げるポイント
ここでは、太陽光発電システムの自家消費率を上げるためのポイントについて解説します。
蓄電池の導入を検討する
自家消費型の太陽光発電システムの自家消費率を高めるためには、蓄電池の導入が有効です。発電した電力を蓄電池に蓄えておけば、発電ができない夜間や天候の悪い日でも利用できます。
余剰電力を蓄電池に蓄え、夜間などの電力需要に応じて放電すれば、電力会社からの電力購入量を大幅に削減できるでしょう。
蓄電池を導入する際は費用対効果を十分に検討し、長期的に得られるメリットを見極めることが重要です。初期費用や設置スペースなどの課題はありますが、光熱費の削減や防災・減災の観点では大きなメリットを期待できるでしょう。
蓄電池の費用相場を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
V2Hを導入して電気自動車に電力を貯める
自家消費型の太陽光発電システムの自家消費率を高める方法として、V2H(Vehicle to Home)システムの導入が注目されています。
V2Hシステムとは、電気自動車に搭載された大容量バッテリーを家庭用の蓄電池として活用するシステムです。発電した電力を電気自動車のバッテリーに充電すれば、効率的に電力を貯められます。
V2Hシステムの導入によって、電気自動車を動く蓄電池として活用が可能です。日中には太陽光発電システムで発電した余剰電力を電気自動車に充電、夜間には電力需要に応じて家庭に電力を供給するといった運用が可能になります。
また、電気自動車のバッテリー容量は家庭用の蓄電池と比べて非常に大きいため、長時間の停電にも対応できます。
ただし、V2Hシステムを導入するためには、電気自動車対応の充電設備やV2H対応の機器が必要です。また、電気自動車のバッテリーを頻繁に充放電する行為は、寿命が短くなる可能性があります。
蓄電池の代わりにもなる電気自動車のメリット・デメリットを知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
→電気自動車は蓄電池の代わりになる?種類・必要なもの・メリット・デメリットを解説
家庭内の電気使用量を増やす
自家消費率を高めるためには、家庭内の電気使用量を増やすことが重要です。太陽光発電システムで発電した電力を家庭内でできるだけ多く消費することを意識しましょう。
たとえば、オール電化住宅への切り替えを検討すれば、ガスや灯油などの化石燃料の使用を減らし、電化製品の使用を増やせます。
また、電気自動車への充電、エコキュートの導入なども電力使用量の増加につながります。
ほかにも在宅ワークを始めれば、日中の家庭内の電力消費は必然的に増えるでしょう。パソコンやプリンター、照明などの電化製品の使用量を増やせば、自家消費率はさらに高まります。
ただし、電気使用量を増やすことは光熱費の増加にもつながります。太陽光発電システムの発電量を考慮しながら、適切な電力消費を心がけましょう。
まとめ
自家消費型の太陽光発電システムとは何か、種類やメリット・デメリット、自家消費率を上げるポイントを解説しました。
自家消費型の太陽光発電システムは、発電した電力を家庭内で使用することを目的にした運用方法です。光熱費の節約や環境負荷の低減につながります。さらに災害時のバックアップ電源としても利用可能です。
ただし、初期費用の負担や設置スペースの確保、天候による発電量の変動などのデメリットも把握しておく必要があります。
自家消費型の太陽光発電システムを導入する際は、メリットとデメリットを十分に検討し、自家消費率を高めるための工夫が重要です。蓄電池の導入やV2Hシステムの活用、家庭内の電気使用量の増加など、さまざまな方法を実施して効率のよい運用を目指しましょう。
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