近年、国内外問わず35℃を超える猛暑日になると、夜間でも25℃を下回らない熱帯夜が急増しています。熱帯夜に何も対策を行わなければ、睡眠の質が低下したり、死亡リスクが上昇したり、取り返しのつかない事態にまで発展しかねません。
そこで本記事では、熱帯夜とは何かについて詳しく解説します。熱帯夜でも快眠を促す対策や、エアコンの節電方法も掲載しているので、健康面と経済面の不安を同時に解決できるでしょう。熱帯夜による影響を最小限に抑えたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
熱帯夜とは何度以上ですか?

気象庁が定める定義によると、熱帯夜とは最低気温が25℃以上になる夜を指します(※1)。熱帯夜は寝苦しさを助長するだけでなく、健康被害やエネルギー消費量の増加を促すのが特徴です。熱帯夜を乗り切るには、エアコンの活用や睡眠環境の工夫が欠かせません。
また、日本気象協会は、最低気温が30℃を超える夜間を「超熱帯夜」と命名しました(※2)。日中の最高気温が40℃を超える酷暑日になると、超熱帯夜になるリスクも高まります。
※1参考:気象庁「気温について」
※2参考:日本気象協会「暑さに関する名称について」
【気象庁】熱帯夜の日数が増加傾向
気象庁の統計によると、最近100年間で熱帯夜を記録した年間日数は、年々増加傾向にあります(※3)。2024年における熱帯夜の年間日数は、1929年の約4倍となる45.5日です。特に都市部では、熱帯夜の日数増加が顕著に表れています。
アメリカの気候研究機関は、地球温暖化による熱帯夜の年間増加日数が大阪市で35.8日、浜松市で33.1日、東京で26.7日と発表しました(※4)。このまま増加傾向が続くと、心身に不調を訴える人の数も拡大していくでしょう。
※3参考:気象庁「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」
熱帯夜を引き起こす3つの原因

熱帯夜は世界中で増加していますが、自然が少なく、家やビル群が密集しているエリアにお住まいの方は、特に注意が必要です。熱帯夜を引き起こす3つの原因を紹介します。
- 原因1|ヒートアイランド現象
- 原因2|フェーン現象
- 原因3|地球温暖化
それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。
原因1|ヒートアイランド現象
都市の中心部の気温が郊外よりも高くなる「ヒートアイランド現象」も、熱帯夜の一因です。日本の大都市における平均気温は、ここ100年で2.2℃〜3.0℃も上昇しています(※5)。ヒートアイランド現象が起きる原因は、以下のとおりです。
ヒートアイランド現象の原因 | 内容 |
人工排熱の増加 | ・空調機器、自動車からの熱・ 工場、火力発電所、ごみ焼却場からの排熱 |
人工的な被覆面の増加 | ・アスファルトやコンクリートの増加 ・表面で蒸散を行う緑地の減少 |
都市中心部の高密度化 | ・中高層建物の増加による地上を流れる風の減少 ・熱の拡散や換気力が低下 |
※5参考:環境省「ヒートアイランド現象とは」
原因2|フェーン現象
フェーン現象とは、湿った空気が山を越える時に水分を失い、高温の乾いた空気になって吹き降りる現象です。空気が山を登る際には100mごとに温度が0.5℃下がり、山を下る際には100m下るごとに温度が約1℃上昇します(※5)。
25℃の湿った空気が標高1,000mの山を越えると、フェーン現象によって30℃まで高温化し、熱帯夜を引き起こすのです。フェーン現象は、北陸地方でよく見られます。
原因3|地球温暖化
ヒートアイランド現象、フェーン現象に続いて、地球温暖化も熱帯夜を引き起こす大きな原因です。人間の活動によって温室効果ガスが大気中に増加すると、太陽からの熱が宇宙へと逃げてくれません。その結果、地球の表面に熱が蓄積し、気温は上昇していくのです。
地球温暖化による影響は、昼間よりも夜間の方が激しくなります。地球温暖化で最低気温が底上げされている限り、熱帯夜も増え続けるでしょう。
熱帯夜が人に及ぼす3つの健康リスク

寝苦しい熱帯夜は、睡眠の質を下げるだけでなく、様々な健康被害を引き起こします。電気代を気にして暑さ対策を疎かにしていると、深夜に救急搬送される事態にもなりかねません。熱帯夜が人に及ぼす健康リスクは、以下のとおりです。
- 影響1|睡眠障害
- 影響2|熱中症
- 影響3|心臓病・脳卒中等
それぞれのリスクについて、詳しく見ていきましょう。
影響1|睡眠障害
最低気温が25℃を上回る熱帯夜では、熱中症の死亡に匹敵するほどの睡眠障害に見舞われます(※6)。名古屋市では常時3割強の人が睡眠障害を患っていますが、熱帯夜になると睡眠障害を患う人の割合は4割に達しました。
寝苦しい夜は不眠症を助長し、日中の疲労や集中力の低下、気分不調などを引き起こします。仕事の効率や生活の質も低下していくので、従来通りの生活を続けるのは困難です。
※6参考:東京大学大学院「熱帯夜による睡眠障害の被害は熱中症に匹敵することが判明」
影響2|熱中症
太陽が照っている日中帯に発症するイメージが強い熱中症ですが、その4割は熱帯夜に発症しています(※7)。睡眠中は水分補給ができずに排泄のみが行われるため、脱水状態になりやすいのが特徴です。
熱中症の初期症状といえば、筋肉のけいれんやめまい、顔のほてりなどが挙げられます。しかし、睡眠中はなかなか初期症状に気付けません。気付いた時には重症化しているリスクが高いので、熱帯夜の熱中症には十分注意が必要です。
影響3|心臓病・脳卒中等
筑波大学の研究グループは、熱帯夜で死亡リスクが増加すると発表しました(※8)。本研究では、日本の47都道府県における1973〜2015年の気象データと厚生労働省のデータを活用し、熱帯夜と死亡リスクの関係性を調査しています。
その結果、全ての地域で以下の疾患による死亡リスクが増加していました。
- 心臓病(心筋梗塞、心不全など)
- 脳卒中
- 肺炎
- 慢性閉塞性肺疾患(COPD)
- ぜんそく
- 腎臓病
熱帯夜では、老衰による死亡率も上昇します。
寝苦しい熱帯夜でも快眠を促す対策3選

寝苦しい夜が続くと、心身ともにぐったりして日常生活に支障をきたします。電気代を気にして何も対策を行わなければ、命を落とす事態にまで発展しかねません。寝苦しい熱帯夜でも快眠を促す対策は、以下のとおりです。
- 対策1|エアコンは夜通しつけっぱなしにする
- 対策2|背中の蒸れを解消する
- 対策3|湯船で深部体温を上げる
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。
対策1|エアコンは夜通しつけっぱなしにする
就寝中にエアコンの風で体が冷え過ぎないよう、タイマーを設定している方も多いのではないでしょうか。しかし、熱帯夜はエアコンが切れてから短時間で室温が上昇します。
温度は27〜28℃、風量は弱、風向きは上向きに設定すれば、夜通しつけっぱなしでも問題ありません。就寝の30分前からスイッチを入れておくと良いでしょう。
対策2|背中の蒸れを解消する
夏の熱帯夜にかく汗の量は通常時の2倍以上になり、背中の相対湿度は80〜90%に達すると言われています。背中の蒸れによって寝返りの回数が増えるので、なかなか深い睡眠に入れません。背中の蒸れを防ぐには、吸湿放湿性・熱伝導に優れた麻のシーツがおすすめです。
対策3|湯船で深部体温を上げる
熱帯夜で暑いからといって、シャワーで済ませている方も多いのではないでしょうか。湯船で深部体温を上げれば、下がるときに自然と眠気が来てくれます。
ただし、熱すぎるお湯に浸かると交感神経が優位になり、逆に寝付きづらくなってしまうので注意してください。40℃程度のぬるま湯に10〜15分浸かるのがおすすめです。
熱帯夜に必須のエアコン|節電対策3選

熱帯夜にエアコンを夜通しつけっぱなしにする上で、最も気になるのが電気代です。室温が25℃以上になる熱帯夜には、外気温と設定温度の差が激しくなり、消費電力量も多くなります。熱帯夜に必須のエアコンをお得に使うための節電対策は、以下のとおりです。
- 対策1|サーキュレーターを併用する
- 対策2|風量を自動に設定する
- 対策3|フィルターをこまめに掃除する
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。
対策1|サーキュレーターを併用する
エアコンとサーキュレーターを併用すれば、室内の空気が循環して効率的に体感温度が下がるので、設定温度を上げられます。エアコンの冷房時に設定温度を1℃上げた場合、削減される消費電力量は約13%です(※9)。
DCモーターが搭載されたサーキュレーターを選べば、ACモーター搭載機種に比べてランニングコストは安くなるでしょう。熱帯夜は夜通しエアコンをつけっぱなしにした方がよいので、サーキュレーターも直接風が体に当たらないよう天井に向けるのがおすすめです。
対策2|風量を自動に設定する
エアコンの風量は「自動」が最も電気代を節約できます。一見、風量「弱」の方が電気代の節約になると思いがちですが、温度が下がるまでに時間を要する分、電気代も高くなるのです。一方の「自動」は、設定温度になるまでは「強風」、その後は「微風」で運転します。
最も電力を消費する設定温度に達するまでの時間が、最小限で済むのです。ダイキン工業の検証によると、風量「弱」より「自動」の方が消費電力量は約3割少なくなります(※10)。
※10参考:ダイキン工業「エアコン冷房で誤解の多い4つの節電術を検証せよ!」
対策3|フィルターをこまめに掃除する
エアコンのフィルターをこまめに掃除すると、冷房時に消費電力を約4%削減できると言われています。熱帯夜に夜通しエアコンを稼働した場合、わずか4%でも大きな節約につながるでしょう。フィルターを掃除する方法は、以下のとおりです。
- エアコンのコンセントを抜く
- フロントパネルを開き、フィルターを取り外す
- フィルターの表面に付いたゴミやホコリを掃除機で吸い取る
- フィルターの裏側から水をかけて、汚れを洗い流す
- 歯ブラシでフィルターの汚れを表面に掻き出す
- タオルや雑巾でフィルターの水気を拭きとる
- フィルターを陰干しして完全に乾かす
- 元通りに装着してコンセントを差し込む
- 30分~1時間程度送風で運転する
熱帯夜の健康リスク軽減!ポータブルエアコンとは

「熱帯夜に備えてエアコンを買いたいけど、高額な工事費用が気になる」
「エアコンを設置できない場所に就寝スペースがある」
「熱帯夜へのハードルが高く、夏にアウトドアが楽しめない」
上記の悩みをお持ちの方におすすめのアイテムが、ポータブルエアコンです。エアコンよりコンパクトで持ち運び自由なので、稼働する場所を選びません。エアコンや室外機を設置するための工事も不要で、家に届いたらすぐに使用できます。
熱帯夜を乗り切るためのお供に、ぜひポータブルエアコンを導入してみてください。
熱帯夜に必要な性能|おすすめの製品
熱帯夜への対策として用意するポータブルエアコンは、冷房性能の高いタイプを選びましょう。熱帯夜の気温は年々上昇傾向にあるため、高出力なポータブルエアコンが必要です。
また、コンセントがないアウトドアでの使用を想定している場合、バッテリーで8時間程度の連続使用ができれば、熱帯夜でも快適な空間を維持できるでしょう。
EcoFlowは、1.8kWの強力な冷房性能を備え、最大8時間の連続稼働が可能な「WAVE 3 ポータブルエアコン」を販売しています。製品の特徴は、以下のとおりです。
- 6畳以下の空間を15分で約8℃下げる
- 高品質のLFPバッテリーで、10年間も熱帯夜への対策として活躍する
- 最短75分で専用バッテリーパックをフル充電できる
- 使用状況のモニタリングやモード切替がスマホで行える
- 除湿機能で、蒸し暑い熱帯夜も快適に眠れる
- 約44dBの超静音で動作し、睡眠を妨げない
事前に設定した温度を上回った時に自動で冷房機能をオンにするため、知らぬ間に睡眠の質が低下している心配もありません。場所を選ばず、どこでも快適な睡眠を実現したい方は、ぜひ製品情報をチェックしてください。

熱帯夜とは何かに関するよくある質問

最後に、熱帯夜とは何かに関するよくある質問を紹介します。
- 超熱帯夜とは何度からですか?
- 観測史上最も高温となる熱帯夜を記録したのは?
- 熱帯夜に使用するエアコンの適切な設定温度は?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
超熱帯夜とは何度からですか?
熱帯夜とは夜間の最低気温が25℃以上を指すのに対し、超熱帯夜とは30℃以上を指します。熱帯夜は気象庁が定める正式な予報用語ですが、超熱帯夜は定義されていません。2022年に日本気象協会が独自に超熱帯夜と命名しました。
観測史上最も高温となる熱帯夜を記録したのは?
熱帯夜は気象庁の統計種目にないため、観測史上最も高温となった日は分かりません(※11)。ただし、近年は夜間から翌朝までの間に30℃を超える日が増えてきています。特に東京や新潟、沖縄などの主要都市は夜間も気温が下がりにくいため、注意してください。
※11参考:気象庁「天気予報等で用いる用語 気温、湿度」
熱帯夜に使用するエアコンの適切な設定温度は?
熱帯夜に使用するエアコンの設定温度は、26〜28℃が推奨されています。ただし、夜通しエアコンをつけっぱなしにする場合、26℃だと体が冷えすぎて風邪を引く恐れがあるため、27〜28℃に設定するのがおすすめです。
28℃で暑い場合は、サーキュレーターと併用して冷風を循環させてみてください。体感温度を下げるために、フィルターの掃除も効果的です。
まとめ

本記事では、熱帯夜とは何かについて解説してきました。
熱帯夜とは、夕方から翌日の朝までの最低気温が25℃を超える夜です。地球温暖化やヒートアイランド現象、フェーン現象によって、熱帯夜の日数は年々増加しています。
寝苦しい熱帯夜は、睡眠障害や熱中症を引き起こすだけでなく、各疾患による死亡リスクを上昇させます。日中帯と違い、就寝中は疾患の初期症状に気付きづらいので、気づいた時には重症化しているのが特徴です。熱帯夜の対策として、エアコンは夜通し稼働しましょう。
EcoFlowは、熱帯夜を乗り切るために欠かせないポータブルエアコンを販売しています。屋内外問わず、熱帯夜でも快眠したい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。
→1.8kWの冷房性能により15分で約8℃涼しく「WAVE 3 ポータブルエアコン」