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太陽光発電への投資は儲からない?メリットやデメリット、自家消費のほうが得をする理由を解説

太陽光発電は売電収入を得るための投資としても注目されていますが、近年は買取価格が低下傾向にあるため、自家消費をしたほうがお得になります。

投資としての太陽光発電は、FIT制度の活用によって長期的に安定した収入を得られるメリットがある一方で、発電効率の低下や天候に左右されやすい点がデメリットです。

また、近年のFIT制度の買取単価の低下傾向や卒FIT後の買取単価の低さなどから、投資としての太陽光発電の魅力が薄れつつあります。

この記事では、投資としての太陽光発電のメリット・デメリット、投資に不向きな理由、自家消費のほうが得をする理由についてわかりやすく解説します。

投資としての太陽光発電について知りたい方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。

投資としての太陽光発電とは?

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投資としての太陽光発電は、発電したすべての電力を電力会社に売り、売電収入を目的としています。太陽光発電システムを設置し、発電した電力を固定価格買取制度(FIT制度)を利用して電力会社に売電する流れです。

一般的な住宅用太陽光発電は電気代削減のために自家消費を行いつつ、余剰電力の売電が目的ですが、投資用の太陽光発電は売電収入のみを目的とした事業になります。

設置方法に関しては住宅用太陽光発電システムと同様にパネルや周辺機器を揃えますが、投資用の場合は大規模な設備になるケースがほとんどです。

投資としての太陽光発電のメリット

太陽光発電 投資

ここでは、投資としての太陽光発電のメリットを解説します。

長期的に売電による収入を得られる

太陽光発電はFIT制度の認定を得られれば、10年から20年の長期にわたって発電した電力を固定買取単価で売電可能です。

そのため、長期的な収入を見込めます。

太陽光発電の設備は一度設置すれば燃料費がかからず、日照さえあれば発電できるため、長期的に見れば安定した収入源のひとつです。また、景気の変動に左右されにくいのも太陽光発電投資の魅力といえるでしょう。

不動産投資は景気の悪化で家賃収入が減少するリスクがありますが、太陽光発電はFIT制度の期間中は買取単価が固定されているため、景気の影響を受けにくいのが特徴です。

ただし、FIT制度の買取期間が終了した後の売電収入については不確定要素が大きいため、注意が必要です。

設備導入後の管理が楽

投資としての太陽光発電は、不動産投資などと比較しても設備導入後の管理が楽という特徴があります。

不動産投資の場合は入居者募集や家賃回収、建物の修繕など、管理すべき項目が多岐にわたります。トラブル対応や入居者の入れ替えなど、管理に手間がかかるのが一般的です。

一方、太陽光発電投資の場合は、基本的に設備のメンテナンスだけで済みます。パネルの清掃やパワーコンディショナーなどの点検を定期的に行う必要がありますが、管理の手間は少ないといえるでしょう。

ただし、自然災害などで設備が破損した場合の修繕費用はオーナーの負担となります。また、草刈りなど敷地の管理も必要です。

FIT認定を受けた中古物件であれば買取単価が高いまま投資を始められる

太陽光発電投資は中古物件でも始められます。FIT制度の認定を受けた中古物件であれば、当時の買取単価で売電が可能です。

たとえば、2012年にFIT制度の認定を受けた物件であれば、当時の買取単価である1kWhあたり40円で売電できます。

年々、FIT制度の買取単価が下がっていますが、認定を受けた中古物件を購入して、高い買取単価で投資を始めるのもひとつの方法です。

ただし、購入する物件がFIT制度の認定を受けてからどのくらい経過しているかを確認し、残りの買取期間を考慮しなければなりません。また、設備の劣化や不具合のリスクもあるため、事前の調査が重要です。

投資としての太陽光発電のデメリット

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ここでは、投資としての太陽光発電のデメリットを解説します。

経年劣化によって年々発電効率が下がる

太陽光発電投資の最大のデメリットといっても過言ではないのが、経年劣化による発電効率の低下です。太陽光パネルやパワーコンディショナーなどの設備は、時を重ねていくたびに発電効率が下がっていきます。

太陽光パネルの発電効率は、一般的に1年間で約0.5%ずつ低下するといわれており、20年間使用した場合は約10%低下してしまいます。

定期的なメンテナンスを行ったとしても、経年劣化は避けられません。発電効率が下がると売電収入も減少するため、長期的な収益に影響を与えます。

また、売電収入が減少した分、投資回収期間が長くなるリスクもあるでしょう。

発電効率の低下を防ぐためには定期的なメンテナンスに加えて、古い設備の入れ替えが必要です。しかし、設備の入れ替えにはコストがかかるため、収益性とのバランスを考えて検討しましょう。

発電量の計算方法や発電効率を上げる方法を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

太陽光発電の発電量はどのくらい?発電効率に関わる重要ポイントを解説

天候に左右されやすいため安定性に欠ける

太陽光発電は、天候に大きく左右されるというデメリットがあります。

太陽光発電は太陽の光が当たると発電するため、雨の日や曇りの日、冬場の日照時間の短い時期は発電量が大幅に低下するのが特徴です。さらに夜間は発電できないため、日中しか発電できません。

天候は予測が難しいため、シミュレーションどおりの売電収入が得られるとは限りません。たとえば、梅雨の時期が長引いた年は、年間の発電量が大幅に下がり売電収入も減少します。

太陽光発電投資の収益性を予測する際は、過去の気象データを参考にすることが重要ですが、気象は年によって変動するため完全な予測は不可能です。

発電効率の高い季節や場所を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

太陽光発電の発電量は季節によって変化する?発電効率が高い季節や場所を解説

運用中に設備破損の可能性がある

投資に限りませんが、太陽光発電システムは運用中に設備が破損するリスクがあります。

とくに太陽光パネルは屋外に設置されるため、台風や大雪、雹などの自然災害によって破損する可能性が高いです。また、落雷や火災によって、パワーコンディショナーなどの設備が故障するケースもあります。

設備が破損した場合、修繕費用がかかるだけでなく、売電ができない期間が発生するため収益が減少します。さらに自然災害によって設備が全損した場合、撤去費用や廃棄費用も発生するため注意が必要です。

太陽光発電投資では設備の破損リスクを軽減するために、耐風圧性や耐久性の高い設備を選ばねばなりません。また、火災保険や地震保険などの保険に加入することも重要です。

万が一の損失を最小限に抑えつつ、収益性とのバランスを考えて運用しましょう。

太陽光発電が投資に不向きな理由

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ここでは、太陽光発電が投資に不向きな3つの理由を解説します。

FIT制度の買取単価が低下傾向にある

太陽光発電の収益性を大きく左右するのが、FIT制度の買取単価です。しかし、近年は下落傾向にあるため、投資には不向きといっても過言ではありません。

FIT制度は再生可能エネルギーの普及を目的として2012年に始まりましたが、制度開始当初の買取単価と比べると、現在は大幅に下がっています。

たとえば、制度開始当初の10kW以上の設備の買取単価は1kWhあたり40円でしたが、2022年度は1kWhあたり17円まで下がっています。

また、10kW未満の住宅用太陽光発電システムの場合、2024年度は1kWhあたり16円、2025年度は15円と、今後も下がる見通しです。

FIT制度の買取単価は設備を導入した時点の単価が適用されるため、新規に投資をしても、かつてほどの高い収益を得られません。買取単価の低下は投資回収期間の長期化につながるため、投資リスクが高まるといっていいでしょう。

卒FIT後の買取単価が低い

太陽光発電投資の不安要素として、FIT制度終了後の買取単価の低さが挙げられます。

FIT制度は10kW未満の住宅用太陽光発電システムの場合、10年間の買取期間が設定されています。したがって、10年間はFIT制度の買取単価で売電できますが、期間終了後は電力会社との個別契約になるため注意が必要です。

卒FIT後の買取単価は電力会社や契約内容によって異なりますが、多くの場合は1kWhあたり8円から9円程度と見込まれています。FIT制度の買取単価と比べると、非常に低い水準です。

卒FIT後の買取単価の低さは、20年間の投資回収を見込んでいた事業者の収益性を大きく損なうことになります。買取単価の低さを見越して、投資回収期間を長めに設定し、自家消費に切り替えることなどを検討する必要があるでしょう。

小さい規模の太陽光発電は全量売電ができない

太陽光発電投資が不向きな理由は、小規模の設備では全量売電ができないことです。

太陽光発電投資では発電した電力をすべて売電することで、最大限の収益を得ることができます。しかし、現在の制度では50kW未満の設備では全量売電が認められておらず、余剰電力の売電のみが可能です。

つまり、50kW未満の設備では発電した電力の一部を自家消費に回さなければなりません。

全量売電ができなければ、売電収入が減少するだけでなく、投資回収が難しくなります。とくに10kW以上50kW未満の小規模な事業用太陽光発電では、自家消費分の電力を確保するために電力を消費する施設を併設しなければなりません。

施設の設置には建設費用や維持費用がかかるため、投資コストが増加してしまうでしょう。

このように全量売電を行うためには50kW以上の大規模な設備が必要です。50kW未満の設備では発電した電力をすべて売電できないため、自家消費と合わせる必要があります。

なお、ソーラーシェアリングの場合は10〜50kW未満の太陽光発電システムでも全量売電が可能ですが、投資コストを十分に考慮する必要があるでしょう。

これからの時代は自家消費のほうが得をする理由

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これからの時代は自家消費のほうが得をする可能性が高いです。ここでは、その理由を詳しく解説します。

買取単価よりも購入する電気代のほうが高い

太陽光発電は投資として考えるよりも、自家消費に回したほうが経済的なメリットが大きいと考えられます。

全国家庭電気製品公正取引協議会が公表している新電力料金目安単価によると、1kWhあたりの平均的な電気代は31円です。一方でFIT価格での売電価格は2024年で14円、大手電力会社は9円前後になっています。

つまり、買取単価よりも購入する電気代のほうが高いため、売電せずに自家消費に回したほうがお得です。

昨今は電気料金の値上げが家庭の生活を圧迫していますが、太陽光発電によって自家消費を増やすことで、電気料金の負担を抑えられます。

さらには停電時でも電力確保が可能になるほか、太陽光さえ出ていれば発電が可能になるため、送電網が停止していても家庭内の電化製品の利用が可能です。

今後電気代が値上げしても経済的な負担を抑えられる

今後も電気料金の値上げが予想されますが、太陽光発電を導入して自家消費することは、電気料金の負担を抑えるためにきわめて有効です。

国際的な脱炭素化の流れを受けて、日本では再生可能エネルギーの導入が加速しています。しかし、再生可能エネルギーの導入コストは従来の化石燃料に比べて高いため、電気料金の上昇につながることが予想されます。

実際に2022年度は多くの電力会社が電気料金の値上げを行いました。値上げ幅は家庭用で平均13.71%、産業用で平均21.37%となっています。

電気料金の値上げは家計や企業の負担を増加させるため、省エネルギー対策を実施しなければなりません。そこで太陽光発電を導入して自家消費すれば、電力会社からの購入電力量を減らせます。

今後さらに電気代が値上げしたとしても、自宅で発電した電力に電気代は関係ないため、経済的な負担を抑えられるでしょう。

カーボンニュートラル実現に貢献できる

太陽光発電は再生可能エネルギーのひとつです。発電時にCO2を排出しないクリーンなエネルギーとして知られています。

太陽光発電を自家消費すると、化石燃料由来の電力の使用を減らせるため、CO2排出量の削減に大きく貢献可能です。

日本政府は2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指しており、再生可能エネルギーの導入拡大が求められています。とくに太陽光発電は再生可能エネルギーのなかでも導入が進んでおり、今後も普及拡大が期待されているのです。

太陽光発電を自家消費に活用すれば、個人や企業レベルでもカーボンニュートラルの実現に貢献できます。また、太陽光発電は化石燃料とは異なり、枯渇のリスクがないため、持続可能なエネルギー源として期待できるでしょう。

まとめ

投資としての太陽光発電のメリット・デメリット、投資に不向きな理由、自家消費のほうが得をする理由について解説しました。

太陽光発電投資はFIT制度の活用によって、安定した売電収入が長期的に得られるメリットがあります。しかし、発電設備の経年劣化や天候リスク、設備の破損リスクなどのデメリットもあるため、導入には十分な検討が必要です。

また、近年のFIT制度の買取単価の低下傾向や卒FIT後の買取単価の低さ、小規模設備では全量売電ができないことなどから、投資としての魅力が薄れつつあることも考慮しなければなりません。

むしろ、これからは太陽光発電を自家消費し、電気料金の負担を抑えつつ、停電時の電力確保や脱炭素社会への貢献を目指したほうがメリットを得られます。経済的にもエコロジー的にもメリットが大きいといえるでしょう。

そのため、太陽光発電の導入を検討する際は投資として考えるのではなく、自家消費を中心に据えて長期的な視点で導入をおすすめします。

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