電気代の削減や停電対策で活躍する太陽光発電。初期費用や維持費に見合う価値があるのかを判断するためには、発電量の計算が欠かせません。また、太陽光発電の発電量は、日照時間や天候、方位などの要素によっても変動します。
そこで本記事では、太陽光発電による1日あたりの発電量について解説します。発電量を低下させる原因や、自家消費率を上げられるおすすめの製品も掲載しているので、太陽光発電の導入コストをいつ回収できるのか判断したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
太陽光発電の発電量は?1日あたりの目安

太陽光発電システム1kWあたりの年間発電量を1,000kWhと仮定した場合、1日あたりの発電量は、1,000kWh ÷ 365日 = 約2.7kWhです(※1)。発電した約2.7kWhの電気で給電できる電化製品の例を紹介します。
電化製品 | 消費電力 | 稼働時間 | 消費電力量 |
電子レンジ | 1000W | 1時間 | 1,000Wh |
エアコン | 500W | 2時間 | 1,000Wh |
テレビ | 60W | 3時間 | 180Wh |
冷蔵庫 | 20W | 24時間 | 480Wh |
合計 | 約2.7kWh |
住宅の屋根に4kWの発電設備を設置すると、1日あたり約11kWhの発電量を確保できます。一般家庭の平均年間電力消費量を4,602kWhとした場合には、4kWの発電設備で全体の約87%をまかなえる計算です(※2)。
※1参考:JPEA 太陽光発電協会「家庭で使用する電気を全部まかなえますか?」
※2参考:JPEA 太陽光発電協会「太陽光発電協会 表示ガイドライン(2024 年度)」
1kwあたりの年間発電量を計算するには
太陽光発電の年間発電量を正確に計算するためには、日射量や機器による損失を考慮しなけれなりません。正確な年間発電量の計算式は、以下のとおりです。
年間発電量(kWh)= ① × ② × ③ × 365
①太陽光発電システムの出力(kW)
②設置場所における日射量(kWh/㎡・日)
③総合設計係数(通常は0.7)
総合設計係数とは、回路損失や機器による損失などを考慮した係数を指します。例えば、出力1kwの太陽光発電システムを東京で南向き(方位角0度)・傾斜角30度に設置した場合、年間発電量は、1kW × 3.92kWh/㎡・日 × 0.7 × 365 = 約1,002kWhです。
太陽光発電の発電量に影響する6つの要素

太陽光発電の発電量は様々な要因によって変動するため、必ずしも計算通りに発電できるとは限りません。発電量の低下は、節電できる電気代や売電収入に関わってきます。太陽光発電の発電量に影響する要素は、以下のとおりです。
- 要素1|日照時間
- 要素2|天候
- 要素3|屋根の方位・角度
- 要素4|設置場所
- 要素5|システム容量
- 要素6|太陽光パネルの状態
それぞれの要素について、詳しく見ていきましょう。
要素1|日照時間
日照時間が長くなるほど太陽光を浴びる時間が増え、発電量も多くなります。日照時間とは、直射日光が地表を照射し、直達日射量が一定の値を超えている時間です。
夏は日照時間が長く、冬は日照時間が短くなるため、季節によっても発電量は異なります。さらに、自転軸の傾きが原因で地域ごとでも発電量は異なるのが特徴です。気象庁が地域別の日照時間を公表しているので、お住まいの地域について確認してみてください(※3)。
※3参考:気象庁「期間合計日照時間一覧表」
要素2|天候
日照時間であれば、天候によらず発電は可能です。しかし、晴天の日は太陽光を十分に受けられるため発電量が増加しますが、曇りや雨の日は光量が減少し、発電量も低下します。
曇り・雨天時の発電量は、晴天時の5〜30%ほどです(※4)。降雪量が多い地域では、太陽光モジュールが雪で覆われると太陽光が十分に当たらない恐れもあるでしょう。
※4参考:京葉ガス「太陽光発電は、曇りや雨の日は発電するのか?」
要素3|屋根の方位・角度

太陽光モジュールを設置する屋根の方位と角度も、発電量を左右する要素の一つです。太陽は東から南に上って西に沈むため、南向きの発電量が最も多くなります。また、設置角度と発電量の相関関係を表した表は、以下のとおりです(※5)。
方位が真南で傾斜角度が約30度のときに、最も発電量は多くなります。
※5参考:JPEA 太陽光発電協会「設置方位や設置角度の影響はありますか?」
要素4|設置場所
太陽光モジュールの設置場所によっても、発電量は異なります。設置場所といえば屋根が思い浮かびますが、形状や構造、耐震性などによっては必ずしも設置できるとは限りません。
太陽光発電の発電量を最大化できる最適な設置場所の条件は、以下のとおりです。
- 傾斜が少なく平らな場所
- 自然災害のリスクが少ない場所
- 太陽光を遮るものが少ない場所
屋根以外にも、カーポートや外壁、倉庫などが太陽光発電の設置に向いています。
要素5|システム容量
太陽光発電モジュール自体のシステム容量(出力容量)も、発電量に直結します。システム容量(kW)とは、太陽光モジュールが1時間に発電できる電力です。
例えば、システム容量1kWの太陽光モジュールが1年間で生み出せる発電量は、約1,000kWhと言われています(※1)。システム容量が増えれば、発電量も比例して多くなるのが特徴です。
要素6|太陽光パネルの状態
太陽光パネルの状態が、経年劣化や破損、汚れによって悪化していると、発電量は低下します。太陽光パネルの寿命は、約20〜30年です。太陽光パネルは屋外に設置するため、砂埃や黄砂、その他の飛来物に晒されることは避けられません。
太陽光パネルの表面が汚れていると、太陽光が効率的にモジュールに当たらないだけでなく、故障や劣化のリスクが高まります。
太陽光発電を導入する?シミュレーションの方法

太陽光発電を導入するか判断するには、電気の使用量と発電量をもとに、どれだけの節電効果が期待できるかのシミュレーションが重要です。事前にシミュレーションを行えば、導入後の収支計画を立てやすくなり、計画との差異が生じた場合にも柔軟に調整できます。
京セラが提供する「住宅用発電シミュレーション」に以下の条件を入力してみましょう。
- 設置場所:東京都練馬区
- 太陽光発電システム容量:4kW
- 設置方角:南
- 電気料金プラン:東京電力 従量電灯B
- 最近1ヶ月の電気料金:2万円
シミュレーションの結果として、年間予想節約電気料金は136,191円と算出できました。
導入費用の回収年数を計算する
太陽光発電のシミュレーションで忘れてはいけないのが、導入費用です。経済産業省の調査によると、太陽光発電システムの設置費用は1kWあたり26.7万円かかります(※6)。
仮に4kWの太陽光発電を設置した場合の導入費用は、約107万円です。前述したシミュレーションの条件で運用した場合、導入費用を回収するためには約8年を要します。
※6参考:経済産業省「令和5年度以降の調達価格等に関する意見(案)」
太陽光発電の発電量を最適化するポイント3選

事前のシミュレーション通りに太陽光発電を運用するためには、以下のポイントに注意しなければなりません。期待値よりも発電量が低下し、導入費用の回収年数が後ろ倒しになると、導入の目的である節電の恩恵をいつまでも受けられず、本末転倒になります。
- 影ができない場所に太陽光パネルを設置する
- 太陽光パネルの方位・角度を調節する
- 定期的なメンテナンスを行う
それぞれのポイントについて、詳しく見ていきましょう。
影ができない場所に太陽光パネルを設置する
太陽光パネルの設置場所には、できるだけ日射量の多い場所を選ぶ必要があります。そのため、建物や樹木による影ができている場所は、避けた方が良いでしょう。
太陽光パネルの一部回路に影がかかってしまうと、全ての回路に影響を及ぼす恐れがあります。通常の半分程度まで発電量が下がる可能性もあるので、注意してください。
太陽光パネルの方位・角度を調節する
太陽光パネルを設置する際には、入念な方位・角度の調整が必要です。日照時間に最も日射量を得られる方位・角度は「南向き・傾斜角度30度」と言われています。
ただし、最適設置角は地域によっても異なるのが特徴です。独立行政法人NEDOが提供する「日射量データベース」から、地域・季節における最適設置角を確認してみてください。
定期的なメンテナンスを行う
太陽光パネルの汚れや劣化も、発電量を下げる大きな原因です。太陽光パネルを設置した後も、定期にメンテナンスを行い、パネルの表面を清潔な状態に保ちましょう。
屋根の上に太陽光パネルを設置している場合は、個人で清掃作業を行うと転落や感電の危険が伴うので、必ず専門業者に点検作業を依頼してください。
発電量を最大化!ソーラーパネルの魅力とは
家庭用の太陽光発電システムには、据置型のソーラーパネルと、持ち運び型のポータブルソーラーパネルの2種類があります。据置型とは、屋根材の上に架台を設置し、その上にソーラーパネルを設置するタイプです。
持ち運び型とは、持ち運びして自由な場所にソーラーパネルを設置するタイプを指します。一般的に、据置型ソーラーパネルは、ポータブルソーラーパネルよりも多くの数を設置できるため、発電量が多くなるのが特徴です。
一方で、ポータブルソーラーパネルには、以下のような魅力があります。
- 安価な製品で3万円から購入できる
- パワーコンディショナーや架台を設置する必要がない
- 設置工事が不要で、届いたらすぐに太陽光発電できる
- ソーラーパネルの方位や角度を自由に調節できる
- 定期的なメンテナンスを受ける必要がない
- 外出先に持ち運んで、太陽光発電できる
据置型ソーラーパネルは、100万円近くの導入費用がかかる場合もあり、設置工事に要する時間やメンテナンスの手間もかかります。もっと気軽に太陽光発電を自宅に導入したい方にとっては、ポータブルソーラーパネルが最善の選択肢と言えるでしょう。
自家消費率を上げる!ポータブル電源の活用

せっかく太陽光発電を導入できたとしても、発電した電気を全て活用できなければもったいないです。太陽光発電は日照時間にしか発電できないので、ソーラーパネル単体だけあっても、日中帯に在宅していなければ意味がありません。
自家消費率を最大化するためには、ポータブル電源の活用が欠かせません。ポータブル電源とは、内部に大量の電気を溜め込み、好きなタイミングで電化製品に給電できる機器を指します。ソーラーパネルとポータブル電源を併用するメリットは、以下のとおりです。
- 日中帯に発電した電気を、日が沈んだ夜間帯に使用できる
- 災害による停電時の非常用電源として活躍する
- 自家消費しきれなかった電気を溜めておける
ソーラーパネルとポータブル電源を組み合わせて、自家消費率を最大化しましょう。
家庭用に必要な性能|おすすめの製品
家庭に導入するポータブル電源は、高出力かつ大容量のタイプがおすすめです。例えば、1日に以下の家電を使用する場合に必要な出力と容量を計算してみましょう。
- 電子レンジ(1,000W):1時間
- エアコン(500W):4時間
- テレビ(60W):5時間
- ドライヤー(800W):30分
全ての家電を同時に動かす場合は、最低でも出力2,360Wと容量3,700Whのポータブル電源が必要です。消費電力量は、使用する家電の消費電力と時間に比例するため、家族が多くなるほど必要な出力・容量も多くなります。
EcoFlowは、定格出力3,600W・容量4,096Whのポータブル電源と出力400Wのソーラーパネルのセットを販売しています。「DELTA Pro 3+400Wソーラーパネルセット」の主な特徴は、以下のとおりです。
■DELTA Pro 3
- エクストラバッテリーで最大24kWhまで容量を拡張できる
- UPS機能により、停電時に10ms以内でバッテリー電源に切り替える
- LFPバッテリーを採用し、一日一回の使用で約11年間の長寿命を保つ
- 握りやすいハンドル付きのコンパクトなデザインを誇る
- デュアルPV充電により、最速2時間10分で満充電できる
- 動作音はわずか30dbなので、就寝中も使用できる
■400Wソーラーパネル
- デュアルPVポートを介して2,600Wのソーラー入力を誇る
- 業界トップクラスの発電効率22.6%を誇る
- 塵埃や水に強いIP68防塵・防水規格に準拠している
- 折り畳み式でコンパクトに収納できる
- 角度を40~80°に調整できる
- 99%のMPPT効率で、太陽光発電の発電量を最適化する
製品を導入すれば、自宅の電力システムをスマホアプリ一つで簡単に管理できるようになります。エクストラバッテリーと組み合わせて得られる節電効果は最大90%です。電気工事なしで手軽に節電生活を始めたい方は、ぜひ製品情報をチェックしてください。

太陽光発電の発電量に関するよくある質問

最後に、太陽光発電の発電量に関するよくある質問を紹介します。
- 太陽光発電の発電量が低下する原因は?
- 太陽光発電の導入費用は補助金で抑えられる?
- 年間で太陽光発電の発電量はどのように推移する?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
太陽光発電の発電量が低下する原因は?
太陽光発電システムの発電量が低下する主な原因は、以下のとおりです。
- 建物や樹木の影にかかっている
- 雨や雪、曇りなどの悪天候が続いている
- 太陽光パネルの表面に塵や埃が付着している
- 太陽光パネルの表面が損傷している
- 太陽光パネルの方位や角度が悪い
発電量が低下する原因を突き止められない場合は、専門業者に点検を依頼しましょう。
太陽光発電の導入費用は補助金で抑えられる?
2025年1月時点において、国からの太陽光発電に対する補助金は終了しています。しかし、都道府県や地方自治体によっては、独自の補助金を設けている場合があります。補助金の申請は先着順なので、お住まいの自治体で受付を行っているか確認してみてください。
年間で太陽光発電の発電量はどのように推移する?
太陽光発電の発電量に影響する日照時間や天候、日射量は、季節によって異なります。NEDOの日射量データベースに基づく発電量の月別推移は、以下のとおりです(※)。
月 | 1日の発電量(kWh/日) | 月 | 1日の発電量(kWh/日) |
1月 | 2.86 | 7月 | 3.48 |
2月 | 3.28 | 8月 | 3.76 |
3月 | 3.50 | 9月 | 3.40 |
4月 | 3.90 | 10月 | 3.20 |
5月 | 3.90 | 11月 | 2.70 |
6月 | 3.29 | 12月 | 2.65 |
※各都道府県の県庁所在地別に1kWの発電設備で得られる発電量を平均化
まとめ

本記事では、太陽光発電の発電量について解説してきました。
太陽光発電システム1kWあたりの年間発電量が1,000kWhの場合、1日あたりの発電量は約2.7kWhです。発電量を正確に計算する際には、日射量や機器による損失を考慮します。
太陽光発電を導入するか悩まれている方は、電気使用量と発電量をもとに節約できる電気料金をシミュレーションしましょう。太陽光発電システムを購入する前に、導入費用を回収するまでに何年かかるかを把握しておくと安心です。
EcoFlowでは、最大90%の節電効果を発揮するポータブル電源とソーラーパネルのセットを販売しています。導入費用を最小限に抑えて、手軽に太陽光発電を導入したい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。