激甚災害に指定されると、被災自治体や住民が自力での復旧が困難な場合に、国からの財政支援や復旧支援が手厚く行われます。
この記事では、激甚災害の法的な位置づけや指定基準、過去の具体的な事例、被害の影響、そして個人でできる備えまで幅広く解説します。
激甚災害とは

地震や台風などの自然災害が発生した際、被害の規模や影響の大きさによっては、国が「激甚災害」として特別に指定する場合があります。
ここでは、激甚災害の法的な位置づけや指定の基準について詳しく解説します。
法的定義と認定プロセス
激甚災害は、「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」(通称:激甚災害法)に基づき、国が特に甚大な被害をもたらした災害を指定する制度です。
被災自治体や住民が自力で復旧することが困難な場合に、国が通常より手厚い財政支援を行うために指定されます。
認定プロセスは、まず災害発生後に市町村や都道府県が被害状況を調査し、その結果が基準を満たす場合に中央防災会議の答申を経て、内閣総理大臣が激甚災害として指定します。
指定は「本激」(全国規模)と「局激」(市町村単位)の2種類があり、それぞれ被害規模に応じた基準が設けられています。
経済的被害額の基準
激甚災害の経済的被害額の基準は、災害の種類や被害分野ごとに異なり、一律の金額で判断されるわけではありません。評価は主に以下の3つの分野に分けて行われます。
分野 | 評価基準のポイント |
農林水産 | 農地や農業用施設の復旧費用が農業所得推定額に対して一定割合を超えるかどうか |
インフラ | 道路・河川・公立学校など公共土木施設の復旧費用が自治体の税収に対する割合で評価される |
民生 | 中小企業の被害額が地域の中小企業所得推定額に対して一定割合を超えるかどうか |
このように、被害の性質や影響範囲に応じて多角的に評価されるため、激甚災害の指定基準は柔軟かつ詳細に定められています。
単に被害総額の大小だけでなく、各分野の復旧負担の重さや地域経済への影響度合いを踏まえて判断されることが特徴です。
激甚災害と大規模災害の違い
激甚災害と大規模災害は混同されがちですが、両者には明確な違いがあります。以下のポイントで区別されます。
項目 | 激甚災害 | 大規模災害 |
定義 | 災害対策基本法第97条に基づき、国が経済的被害の大きさなどを基準に指定する災害 | 広範囲にわたり地域の生活機能や社会維持機能が著しく障害される災害 |
指定を行う機関・権限 | 内閣総理大臣(中央防災会議の答申を経て政令で指定) | 法的な指定制度はなく、災害の規模や影響度合いで社会通念的に用いられる |
被害の評価基準 | 主に経済的被害額(公共施設、農林水産、民生分野などの復旧費用) | 被害の範囲や生活機能の破壊度、復興に要する時間など多角的に評価 |
支援・措置 | 国の特別な財政支援や補助率引き上げなど具体的な支援措置がある | 被災地の復興支援はあるが、激甚災害のような法的な補助制度はない |
指定の範囲 | 全国規模(本激)または市町村単位(局激)で指定される | 被害地域が広範囲にわたることが多いが、法的な区分はない |
激甚災害は、国が法律に基づき被害の経済的規模を詳細に調査・審議したうえで指定する制度であり、指定されると復旧事業に対する国の財政支援が強化されます。
一方、大規模災害は、自然災害や事故などによって広範囲かつ深刻な被害が発生し、地域の社会機能が大きく損なわれる事象を指しますが、法律上の指定や特別な支援制度は存在しません。
激甚災害は大規模災害の中でも特に経済的被害が大きく、国の支援が必要と認められたものを指す法的な区分であることが特徴です。
指定される災害の具体例

激甚災害として指定される災害は、被害の規模や影響の大きさに応じて国が判断しています。
ここでは、具体的な指定事例や気象災害と地震災害の違い、そして近年の激甚災害の増加傾向について詳しく解説します。
過去の指定事例
激甚災害の代表的な指定事例として、2011年の東日本大震災と2018年の西日本豪雨があります。
東日本大震災はマグニチュード9.0の巨大地震と津波により、東北地方を中心に甚大な人的・物的被害をもたらし、国は迅速に激甚災害に指定して大規模な復旧支援を行いました。
一方、西日本豪雨は広範囲で豪雨による洪水や土砂災害が発生し、多数の死傷者と大規模なインフラ被害を出したため、激甚災害指定により特別な財政支援が実施されました。
さらに、令和6年(2024年)に発生した能登半島地震も激甚災害に指定されています。主な経緯は以下の通りです。
- マグニチュード7.6の地震で、石川県輪島市や志賀町で震度7を観測
- 甚大な被害が発生し、国が早期に激甚災害指定を決定
- 過疎化や高齢化が進む地域での災害であったため、国と自治体が連携し生活再建と創造的復興に注力
激甚災害の指定は被害の規模や地域の状況を踏まえた迅速な支援を可能にし、被災地の復旧と復興を強力に後押ししています。
→南海トラフ地震はいつ来る?発生する確率や災害への備えを解説
気象災害と地震災害の違い
気象災害は浸水や土砂災害などの被害が局所的に起こりやすく、被害の頻度や規模が大きくなっているのが特徴です。
一方で、地震災害は揺れによる被害だけでなく、津波や火災、原発事故など複数の災害が重なることが多く、経済への影響も広範囲で複雑です。
例えば、東日本大震災では被災地の産業が大きく打撃を受けただけでなく、関東地方の工場が停止したり、サプライチェーンが混乱したり、観光業も大きな影響を受けたりしました。
地震災害は全国的に経済活動に波及し、復旧や復興に長い時間がかかるケースが多いです。
このように、気象災害は頻度が増え局所的に激甚化する傾向がありますが、地震災害は複合的で広範囲にわたる経済的影響が特徴です。
それぞれの特性を踏まえた対策や支援が必要とされています。
近年増加する激甚災害の傾向
近年、台風や豪雨といった気象災害が増えてきており、これは地球温暖化による気候変動の影響だと考えられています。
実際に、短時間に激しい雨が降ることが多くなり、1日の降水量が200ミリを超える大雨の日も増えています。
例えば、2018年の平成30年7月豪雨や令和元年東日本台風などは、過去に例を見ない規模の降水量や強風を伴いました。
また、地震災害も南海トラフ地震の切迫性が指摘されており、今後の大規模地震発生リスクが高まっています。
こうした背景から、国は激甚災害制度を活用し、被災地の迅速な復旧と防災体制の強化を図っています。
自治体の申請から指定まで

激甚災害の指定は、自治体が被害状況を正確に把握し、国に申請を行うことから始まります。
ここでは、自治体がどのように被害調査を進め、申請から政令公布までの流れや期間、そして指定後の対応についてわかりやすく解説します。
被害調査の実施方法
激甚災害の指定に向けて、自治体はまず被害状況の正確な把握が求められます。災害発生後、応急復旧費用の早期算定を行うことで、迅速な支援判断が可能になります。
近年では、ドローンを活用した空撮や被害範囲の詳細な評価が進み、従来よりも短時間で広範囲の被害状況を把握できるようになりました。
ドローンの活用により、被害調査の精度とスピードが向上し、激甚災害指定のための資料整備の円滑な進行が期待されています。
政令公布までの期間
激甚災害の指定は、申請から政令公布まで最短で約1ヶ月、場合によっては最大6ヶ月程度かかります。
政令公布までの期間は被害状況の調査や資料の整備状況によって変動します。
特に農業被害など早期の支援が必要な場合は、「局地激甚災害」として先行指定されることがあります。
局地激甚災害の基準は、平年産出額の2倍を超える被害が目安とされ、被災自治体の早急な復旧支援が可能です。
指定後の自治体対応
激甚災害に指定された後、自治体は復旧計画の策定と住民への周知を速やかに進める必要があります。
計画には被害の状況や復旧の優先順位を明確にし、住民の理解と協力が重要です。
また、国との連携体制を確立し、財政支援や技術的助言を受けながら復旧事業を円滑に進めることが求められます。
こうした対応により、被災地の早期復興と地域の安全確保が実現されます。
→地方自治体の防災事例10選!災害時の役割、取り組み、備蓄品も紹介
激甚災害の影響と復旧活動

激甚災害は、広範囲にわたる被害をもたらし、被災地のインフラや住民生活、さらには地域の将来にまで大きな影響を及ぼします。
ここでは、インフラ復旧の現状や住民生活への影響、そして長期的な地域再生の課題について詳しく解説し、激甚災害がもたらす影響の全体像と復旧の取り組みを紹介します。
インフラ復旧の課題
激甚災害では、道路や橋梁、電力網などのインフラが大きな被害を受けるケースが多く、復旧には多大な時間と費用がかかります。
例えば、橋脚の損傷が発生した場合は緊急通行止め措置が取られ、専門家の技術支援を受けながら修復工事が進められます。
電力網の復旧においては、停電の早期解消を最優先に仮復旧を行い、自衛隊や他電力会社との連携を強化しながら進められています。
こうした復旧作業は数ヶ月から数年にわたり、国や自治体が補助制度を活用しつつ、効率的かつ計画的な進行が必要です。
住民生活への影響
激甚災害が発生すると、多くの住民は長期間にわたり避難生活を強いられます。
避難所や仮設住宅での生活は精神的なストレスや健康問題を引き起こしやすく、さらに仕事の喪失や収入減少といった経済的な負担も大きいです。
こうした状況は被災者の生活再建を難しくし、心身の健康悪化や災害関連死のリスクを高めるため、自治体や支援団体は生活環境の改善や心理的ケアに注力しています。
住民の早期自立支援が復興の重要な鍵となるでしょう。
長期的な地域再生の課題
激甚災害後の地域再生には、人口流出や産業復興の遅れといった長期的な課題が存在します。
被災地では若年層の流出が進み、地域経済の基盤が弱まる場合が多く、産業の再建には時間と継続的な支援が必要です。
また、被災者同士のつながりや地域コミュニティの再建も重要な課題であり、孤立を防ぎ地域の活力を取り戻すための取り組みが求められています。
持続可能な復興を実現するには、生活基盤の整備とともに地域の絆を強化することが欠かせません。
→災害支援とは?種類・被災地のためにできること・ボランティアが抱える問題点を解説
ポータブル電源の活用の重要性

激甚災害時には長期間の停電が発生し、電力確保が大きな課題となります。そんな非常時に頼りになるのがポータブル電源です。
ここでは、災害時に役立つポータブル電源の選び方のポイントと、激甚災害に備えるうえでおすすめの『EcoFlow DELTA 3 Plus』の特徴について詳しく解説します。
災害時に役立つポータブル電源の選び方
災害時に備えるポータブル電源は、容量や出力、携帯性をしっかり見極めることが重要です。
特に激甚災害のような長期停電に対応するには、以下のポイントを押さえて選びましょう。
- 容量:1,000Wh以上の大容量が望ましく、スマホ充電から冷蔵庫、電気毛布など幅広く対応可能
- 出力性能:起動電力の高い機器も使える高出力モデルがおすすめ
- 携帯性:持ち運びやすさや重量も重要な選択基準
- 充電方法:AC充電だけでなく、ソーラーや車載充電に対応しているか
これらを総合的に判断し、自身の生活スタイルや災害リスクに合った製品を選ぶことが、緊急時の安心につながります。
激甚災害に備えるなら『EcoFlow DELTA 3 Plus』

激甚災害に備えるポータブル電源として特におすすめなのが、EcoFlowの『DELTA 3 Plus』です。
1,024Whの大容量バッテリーに加え、最大1,500Wの高出力を実現し、冷蔵庫や医療機器、電子レンジ、エアコンなど消費電力の高い家電も問題なく動かせます。
さらに、業界最速の56分でフル充電可能な点や、防水・防塵性能を備えたタフな設計も魅力です。
スマホアプリで電力管理ができるため、停電時の電力状況も簡単に把握でき、安心して使いこなせます。災害時の強力なバックアップ電源として信頼できるモデルです。

個人でできる備えの具体策

日常生活の中でできる防災対策は、いざという時の安全確保や迅速な対応につながります。
ここでは、デジタル防災グッズの活用や備蓄品・非常食の管理など、個人が具体的に取り組める備えについてわかりやすく解説します。
デジタル防災グッズ
災害時に役立つデジタル防災グッズは、情報収集や連絡手段の確保に欠かせません。特に準備しておきたいアイテムは以下の通りです。
- スマートフォンと携帯充電器:常に充電を満タンにし、予備の充電器やケーブルも用意
- 端末保護用品:落下防止のケースや液晶保護フィルムで故障リスクを軽減
- 緊急連絡先の登録:ロック画面に持ち主情報や緊急連絡先を表示しておくと紛失時に役立つ
デジタル防災グッズの準備を整えておくことで、災害時でも迅速に情報を得たり連絡を取ったりでき、安心して行動できる環境を作れます。
備蓄品・非常食の管理
激甚災害に備えた備蓄品や非常食の管理は、長期的な避難生活を支える重要なポイントです。特に長期の避難生活を想定し、以下のポイントを押さえて準備しましょう。
- 水の備蓄:1人1日あたり3リットルを目安に、最低3日分以上を確保
- 食料の選定:レトルト食品、缶詰、乾パンなど長期間保存できるものを中心に揃える
- ローリングストック法の活用:非常食を普段の食事に取り入れ、消費しながら新しいものと入れ替えて賞味期限切れを防止
- 嗜好品の準備:チョコレートや飴など、避難生活のストレス緩和に役立つ甘味も用意
備蓄品・非常食を計画的に管理すると、いざという時に慌てず安心して生活を維持できます。
激甚災害に関するよくある質問

激甚災害については、指定される条件や支援内容など、多くの疑問が寄せられます。
ここでは、よくある質問をピックアップし、指定されない災害の特徴や激甚災害と保険の関係についてわかりやすく解説します。
指定されない災害は?
激甚災害に指定されない災害には、被害規模が基準に満たないものや、特定の事業に限定された応急工事などがあります。
例えば、農林水産業の湛水排除事業は特別な事情が認められない限り激甚災害の対象外です。
また、激甚災害の指定は国全体や市町村単位で被害が大きい場合に行われるため、小規模で局所的な災害は指定されにくい傾向があります。
こうした災害は、激甚災害法に基づく特別な財政援助の対象外となることが多いです。
激甚災害と保険の関係は?
激甚災害に指定されると、中小企業信用保険法に基づく特例措置が適用され、被災した中小企業は通常の保険限度額とは別枠で保証を受けられます。
具体的には、保険限度額の引き上げや保険料率の引き下げが行われ、経営再建を支援します。
また、災害による事業休止や廃止に伴う休業者には雇用保険の特例措置も適用されるため、激甚災害の指定は保険面でも被災者の負担軽減に大きく寄与しています。
まとめ
激甚災害は、国が被害の甚大さを基準に指定し、被災自治体や住民に対して特別な財政支援を行う制度です。指定されると復旧支援が強化され、地域の早期復興を後押しします。
過去には東日本大震災や西日本豪雨などが代表例で、被害の性質や経済的影響を多角的に評価して指定が決定されます。
災害時の電力確保には、EcoFlow DELTA 3 Plusが最適です。1,024Whの大容量と最大1,500Wの高出力で、冷蔵庫や医療機器も安心して使えます。
業界最速の充電速度や防水・防塵性能も備え、スマホアプリによる管理で停電時も安心の強力なバックアップ電源です。
防災グッズとしてポータブル電源の購入をご検討中の方は、ぜひこの機会にEcoFlowの商品をチェックしてみてください。