買電とは電力会社から電気を購入することです。買電量を減らすためには日常生活での節電が挙げられますが、もっとも効果的なのは太陽光発電システムの導入といっても過言ではありません。
太陽光発電システムを設置すれば、買電量の削減や売電収入が得られるほか、環境保護への貢献など、たくさんのメリットを得られます。ただし、初期費用やメンテナンスコスト、設置場所の制限など、考慮すべき点がひとつではありません。
この記事では、買電とはなにか、買電量を減らす節約方法、太陽光発電システムの設置によって買電量を減らせる理由や注意点、メリットをわかりやすく解説します。
買電の基礎知識を知りたい方、太陽光発電システムの導入を検討している方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
買電とは?
買電とは電力会社から電気を購入することです。一般家庭では電力会社と契約を結び、使用した電力量に応じて料金を支払います。
一方で売電は太陽光発電システムなどで発電した余剰電力を電力会社に販売することです。買電と売電は電力の流れが逆になる関係にあります。
太陽光発電システムを導入すると、自家発電した電力を使用して買電量を減らしたり、余った電力を売電したりできます。電気代を節約したい場合は、買電と売電の上手な活用が大切です。
太陽光発電システムの設置によって買電量を減らせる
太陽光発電システムを設置すると、自家発電した電力を直接利用できます。そのため、電力会社からの買電量を大幅に削減可能です。
一般的な住宅用太陽光発電システムの場合、年間発電量は約6,075kWhです。そのうち約31.2%を自家消費に回せます。これは約1,895kWhの電力量に相当し、年間で約58,745円の電気代の節約につながる計算です。
ただし、実際の節約額は電気料金プランや使用状況、設置する太陽光発電システムの性能などによって変動します。太陽光発電システムの導入を検討する際は、専門業者に相談してじっくりとシミュレーションを行いましょう。
買電量を減らすために家庭でできる電気代の節約方法
買電量を減らすために家庭でできる電気代の節約方法として、節電対策、電力会社や契約プランの見直し、太陽光発電システムと蓄電池の導入などが挙げられます。
ここでは、3つの節約方法について詳しく解説します。
節電対策を実施して無駄な消費電力を減らす
買電量を削減するためには、家庭内の電力消費量を抑えるのが効果的です。
たとえば、エアコンの温度設定を夏は28度、冬は20度に調整したり、使用していない部屋の照明をこまめに消したりするだけでも節電効果が得られます。
また、冷蔵庫の設定温度を強から中に変更したり、テレビの画面の明るさを調整したりするのも効果的です。
加えて、待機電力の削減も忘れずに行いましょう。使用していない電化製品はコンセントから抜くか、スイッチ付きのテーブルタップを使用するなどして、無駄な電力消費を防ぎましょう。
日常生活の中での小さな取り組みを積み重ねることで、家庭の電気代は節約できます。普段から節電を意識すると、無駄な電力消費をさらに抑えられるはずです。
一般家庭でできる節電方法について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
電力会社や契約プランの見直し
近年は電力の自由化により、消費者は自由に電力会社を選択できるようになりました。大手の電力会社以外にも新電力会社と呼ばれる事業者が参入し、競争が激化しています。
なかには基本料金や電気の単価が大手電力会社よりも安いプランを提供している会社もあるほか、スマートフォンやガスなどとのセット契約で、電気料金がさらに割引になるプランも登場するなど種類が豊富です。
電力消費を減らしたい場合は、電力使用状況や生活スタイルに合わせて、最適な電力会社や契約プランを選ぶ必要があります。大きな節約効果を期待するなら、定期的に電力の使用状況を確認し、必要に応じて契約プランの見直しを行いましょう。
太陽光発電システムと蓄電池の導入によって自家消費を増やす
自家消費を増やしたい場合は、太陽光発電システムと蓄電池を組み合わせて使用しましょう。日中に太陽光で発電した電力を蓄電池に貯め、夜間や曇りの日に使用すれば、電力会社からの買電量を最小限に抑えられます。
たとえば4人家族の場合、年間の電力消費量は約4,000kWhですが、3kWの太陽光発電システムと蓄電池を導入すると、大半を自家消費でまかなえる可能性が高いです。
ただし、導入にはある程度の初期費用がかかるため、長期的な視点で費用対効果を考えなければなりません。自家消費量を増やす意義をよく考え、最適な答えを出しましょう。
なお、太陽光発電システムと蓄電池の導入は、電気代の節約だけでなく災害時の非常用電源としても活用できるメリットがあります。さまざまなシーンを想定しながら、導入がプラスになるかを検討してみてください。
買電量を減らすために太陽光発電システムを導入する際の注意点
太陽光発電システムの導入は、買電量の削減に貢献します。しかし、太陽光発電システムの設置には初期費用やランニングコストの発生、天候や季節の影響の受けやすさが懸念されます。
また、住宅環境によっては太陽光発電システムを導入できなかったり、売電よりも自家消費メインの運用のほうがお得になったりするケースもあるでしょう。
ここでは、太陽光発電システムを導入する際の5つの注意点について詳しく解説します。
太陽光発電システムの設置には初期費用がかかる
太陽光発電システムの導入には一定の初期投資が必要です。2022年の経済産業省のデータによると、新築住宅に設置する場合の平均費用は1kWあたり26.1万円となっています。
一般的な家庭用システムの容量は3〜5kWになるため、設置費用は約78万〜131万円程度が必要です。この金額にはソーラーパネルだけでなく、パワーコンディショナーや配線工事などの費用も含まれます。
初期費用の回収には通常10年前後かかるとされていますが、電気代の節約や売電収入によって徐々に回収していけます。また、自治体によっては補助金制度を設けているところもあるため、条件を満たしているかを確認し、活用を検討するとよいでしょう。
太陽光発電システムの初期費用について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
→太陽光発電の初期費用は?無料設置する方法とメリット・デメリットを徹底解説!
導入後にメンテナンスなどのランニングコストが発生する
太陽光発電システムを長きにわたって効率よく運用するためには、定期的なメンテナンスが欠かせません。主なメンテナンス内容にはパネルの清掃、配線や接続部の点検、パワーコンディショナーの動作確認などがあります。
これらの作業には年間1kWあたり3,690円程度のコストがかかります。つまり、4kWのシステムなら年間で約15,000円のメンテナンス費用が必要です。
また、パワーコンディショナーは15年程度で交換が必要になるため、その際には別途費用がかかります。これらのランニングコストを考慮しつつ、長期的な視点で導入を検討しましょう。
適切なメンテナンスを行えば、システムの寿命を延ばせるほか、発電効率を維持できます。
太陽光発電システムは天候や季節の影響を受けやすい
太陽光発電システムはその名の通り、太陽光を利用して発電します。そのため、天候や季節の影響を大きく受けるのが特徴です。
晴れた日は十分な発電量が期待できますが、曇りや雨の日は発電量が大幅に低下します。夜間は当然ながら発電ができず、季節による影響も考慮する必要があるでしょう。
また、日照時間が長く気温が高い夏季は発電量が増加しますが、日照時間が短く気温が低い冬季は発電量が減少するのが一般的です。たとえば東京の場合、夏と冬では約1.15倍の年間日照時間の差があります。
このような変動を考慮し、年間を通じた発電量の変化を理解したうえで、システムの導入を検討しなければなりません。天候や季節による発電量の変動に備え、蓄電池の併用や適切な容量設計が重要です。
住宅環境によっては太陽光発電システムを導入できない
太陽光発電システムの発電量は、住宅環境に大きく左右されてしまいます。とくに屋根の形状や向き、日照条件は重要な要素となります。
理想的としては南向きで傾斜角度が約30度の屋根が最適とされていますが、実際にはこの条件を満たす住宅はわずかです。ほかにも、周辺の建物や樹木による日陰の影響も考慮しなければなりません。
また、マンションなどの集合住宅では屋上や専有部分への設置が制限される場合が多く、導入が難しいケースがあります。このような場合の代替案としては、ポータブル電源と折りたたみ式のソーラーパネルを組み合わせたシステムの導入です。
これらのコンパクトな設備ならベランダなどの限られたスペースでも利用可能です。住宅環境に合わせて、最適な太陽光発電の方法を選択しましょう。
売電よりも自家消費メインの運用のほうがお得
近年は太陽光発電システムの運用方法として、自家消費を重視する傾向が強まっています。理由は売電価格の低下です。
2023年度の住宅用太陽光発電の売電価格は1kWhあたり16円ですが、これは一般的な電気料金よりも低い水準です。
つまり、発電した電力を自家消費したほうが経済的なメリットが大きいといえます。
たとえば4人家族の場合、年間の電力消費量は約4,000kWhですが、3kWの太陽光発電システムを導入すれば、大半を自家消費でまかなえる可能性が高いでしょう。
さらに蓄電池を併用すれば、夜間や悪天候時も自家発電した電力を利用でき、より効率的な運用が可能になります。自家消費を中心とした運用戦略を立てれば、太陽光発電システムの経済性を最大化できるでしょう。
買電量を減らすだけではない太陽光発電システムと蓄電池のメリット
太陽光発電システムの導入によって、買電量の削減が可能となります。しかし、太陽光発電システムのメリットは買電量を減らすだけではありません。
ここでは、太陽光発電システムと蓄電池のメリットについて詳しく解説します。
使わない電力は電力会社へ売電が可能
太陽光発電システムのメリットは、使用しない余剰電力を電力会社に売電できる点です。固定価格買取制度(FIT)に基づき、設置から10年間は固定価格で電力を買い取ってもらえます。
2023年度の住宅用太陽光発電の売電価格は1kWhあたり16円です。たとえば、5kWの太陽光発電システムを設置した場合の年間発電量は約6,075kWhとなり、そのうち自家消費しきれない余剰電力を売電すれば、年間で数万円の収入を得られます。
ただし、売電価格は年々低下傾向にあるため、将来的には自家消費を中心とした運用が有利になるでしょう。売電収入を最大化するためには日中の電力消費を抑え、発電量を増やす努力が必要です。
蓄電池を併設しておけば停電時や夜間でも電力の自家消費が可能
蓄電池を太陽光発電システムと併せて導入すれば、電力を自給自足できる能力が大幅に向上します。日中は太陽光で発電した電力を蓄電池に貯め、夜間や曇りの日は自家発電した電力を使用する使い方が可能です。
これにより、電力会社からの買電量をさらに削減できるだけでなく、停電時の非常用電源としても活用できます。たとえば、台風や地震などの災害で長時間の停電が発生した場合でも、蓄電池があれば冷蔵庫やスマートフォンの充電など、最低限の電力需要をまかなえます。
一般的な家庭用蓄電池の容量は5〜10kWh程度で、1日分の電力使用量に相当します。災害時の安心感や日常的な電力の自給自足を重視する場合は、蓄電池の導入は大きなメリットになるでしょう。
カーボンニュートラルの実現に貢献できる
太陽光発電システムの導入は、個人レベルでもカーボンニュートラルの実現に貢献できる方法です。
そもそも太陽光発電は発電時にCO2を排出しないクリーンエネルギーです。一般的な家庭用太陽光発電システム(容量4kW)を導入した場合、年間約2トンのCO2排出量を削減できるといわれています。
これは一般家庭の年間CO2排出量の約40%に相当します。
さらに電気自動車(EV)と組み合わせれば、移動に伴うCO2排出も大幅に削減可能です。太陽光で発電した電力でEVを充電すると、走行時のCO2排出はゼロになります。
このように太陽光発電システムの導入は、日々の生活を通じて持続可能な社会の実現に貢献できます。さらに個人でできる重要な取り組みのひとつといっても過言ではありません。
まとめ
買電とはなにか、買電量を減らす節約方法、太陽光発電システムの設置によって買電量を減らせる理由や注意点、メリットを解説しました。
太陽光発電システムの導入は買電量の削減や売電収入の獲得、さらには環境保護への貢献など、数多くのメリットをもたらします。しかし、初期費用やメンテナンスコスト、設置場所の制限など、検討しなければならない点が多いのも事実です。
導入を検討する際はこれらを総合的に判断し、自身の生活スタイルや価値観に合わせてシミュレーションしましょう。とくに初期費用を抑えつつ太陽光発電のメリットを得たい方には、EcoFlow DELTA Pro 3とソーラーパネルのセットがおすすめです。
ポータブル電源のEcoFlow DELTA Pro 3は最大2,600Wのソーラー入力に対応し、99%のMPPT効率を実現しています。家庭用電源としてもアウトドアや災害時の非常用電源としても活用できる柔軟性が魅力です。
そこにソーラーパネルが加われば、どこでも利用できる太陽光発電システムを構築できます。自身の状況に最適なシステムを選択し、環境にも経済的にもやさしい持続可能な暮らしを始めましょう。
DELTA Pro 3の詳しい製品情報については、以下のページをご覧ください。