大規模な停電が起きた時、気になるのが冷蔵庫の中身はいつまでもつのかです。買いだめした食材や作り置きの食品ロスが増えると、栄養不足や衛生面の悪化を引き起こしかねません。庫内の温度をできるだけ保ち、食品を安全に保存するためにはコツがあります。
そこで本記事では、停電後に冷蔵庫内の食材を守るための対処法や事前の対策について解説します。停電後に冷蔵庫の中身を保冷できる時間も掲載しているので、大規模な停電が起きても健康的な生活を維持したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
停電したら冷蔵庫の中身は何時間もつ?

冷蔵庫内が十分に冷えている状態で停電が発生した場合、ドアを開閉しなければ、中身は2〜3時間もちます(※1)。3時間を超えた後でも、庫内の温度が安全域と言われる1.7〜3.3℃の範囲内であれば、食品を食べても問題ないでしょう。
ただし、冷えを保てる時間は、設置場所や季節、天候、食品の保存状態などによっても左右されるので注意してください。
※1参考:Panasonic「冷蔵庫の停電前の準備と停電時・停電復旧後の対処方法」
保冷時間が過ぎた食材のリスク
停電後の保冷時間が過ぎた食材を口にすると、食中毒のリスクが高まります。庫内の食品温度が上昇すると、食品に付着している細菌が増殖していくのです。
食中毒の原因となる食品は、腐敗した食品と違って見た目の変化や不快な臭いがありません。そのため、危険だと気付かずに食べてしまう恐れがあるので注意しましょう。災害による停電時は、万が一食中毒になってしまっても、医療が受けにくい状態です。
停電後に冷蔵庫庫内の食材を守るための対策3選

災害による停電は、復旧するまでに3日以上を要するケースもあります。停電後も普段と同じ冷蔵庫の使い方をしていると、食品の温度は急速に上昇していくでしょう。停電後に食品をできるだけ長く安全な状態で保存しておくためには、以下の対策が重要です。
- 対策1|保冷剤や冷凍食品を冷蔵室に移す
- 対策2|ドアの開閉を最小限に抑える
- 対策3|新たな食品を追加しない
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。
対策1|保冷剤や冷凍食品を冷蔵室に移す
冷凍庫に入っていた保冷剤や冷凍食品を冷蔵室に移せば、庫内の冷たさがより長持ちします。冷気は上から下に流れていく性質があるので、冷凍庫から出したものは冷蔵室の上段に入れるのがおすすめです。
あらかじめ溶けた後にすぐ使える食材を冷凍庫に入れておけば、冷蔵室に移してから保冷効果を発揮し終えたとしても調理にすぐ使えます。例えば、ペットボトルの飲料を凍らせておけば、保冷剤としての役目を終えた後も水分補給源として役立ちます。
対策2|ドアの開閉を最小限に抑える
停電中は、冷蔵庫のドアをむやみやたらに開閉しないようにしましょう。一般的に、冷蔵庫内の温度は、ドアを10秒ほど開けたままにすると約3〜5℃上昇すると言われています。
停電時にドアの開閉回数を抑えるためには、日常的な庫内の整理が必要です。頻繁に使う食材は、すぐに取り出せるようにドアポケットや手前に置くようにしましょう。
対策3|新たな食品を追加しない
停電中に、常温の食材や凍っていない保冷剤を新たに追加するのは控えてください。庫内温度を上昇させる大きな要因となり、既に入っている食材を早く傷めてしまいます。
また、不要なドアの開閉によっても庫内温度は上昇するでしょう。災害時は新たな食材を冷やすことよりも、既に冷えている食材を守る方が大切です。
【停電発生後】冷蔵庫内にある食材の対処法3選

停電によって庫内の温度が失われた場合、食中毒のリスクは食材の種類によっても異なります。食べられる食材と食べられない食材を的確に仕分けて、食品ロスを最小限に抑えましょう。停電発生後に行うべき冷蔵庫内にある食材の対処法は、以下のとおりです。
- 生鮮食品・牛乳・卵|停電後すぐに食べた方がよい
- ハードチーズ・果物・野菜|停電後しばらくはもつ
- 冷凍庫内の食材|冷蔵食品よりも長持ちする
それぞれの対処法について、詳しく見ていきましょう。
生鮮食品・牛乳・卵|停電後すぐに食べた方がよい
生鮮食品や牛乳、卵などは、温度の上昇に伴って傷みやすくなるため、停電後はすぐに食べた方がよいでしょう。停電後に食べるか捨てるかを選択すべき食材は、以下のとおりです。
分類 | 食材 |
生鮮食品 | 肉、魚介類 |
乳製品 | ヨーグルト、生クリーム、クリームチーズ、チーズケーキ |
卵 | 生卵、調理済みの卵、カスタード |
果物・野菜 | 既にカットされたもの、調理されたもの、洗った生野菜 |
調味料 | マヨネーズ、トマトソース、オイスターソース |
ハードチーズ・果物・野菜|停電後しばらくはもつ
ハードチーズや果物、野菜などは、停電によって庫内温度が上昇してもしばらくは保存しておけます。ただし、捨てるか残すかで判断に迷った場合は、自分で味を確かめるのではなく捨てるのが最適です。停電後もしばらくはもつ食材を紹介します。
分類 | 食材 |
乳製品 | バター、マーガリン |
チーズ | ブロックチーズ、スライスチーズ、スイスチーズ |
果物・野菜 | 生、丸ごと、缶詰、ドライフルーツ |
焼き菓子 | 食パン、ロールパン、マフィン、ベーグル |
調味料 | ケチャップ、マスタード、ジャム、ゼリー、オリーブ |
冷凍庫内の食材|冷蔵食品よりも長持ちする
停電中、冷凍庫内に入っている食材は冷蔵食品よりも長持ちします。冷凍庫の扉を閉めて保存しておける時間は、満杯の状態で48時間、半分入った状態で24時間です。
冷凍食品を隙間なく詰めた状態では、約-18℃の理想的な温度を維持できます。普段から冷凍庫に大量の食材を入れておけば、停電時も数日間は食料に困らないでしょう。
【停電復旧後】冷蔵庫の対処法3選

停電が復旧したとしても庫内温度は上昇しているため、しばらくの間は停電前と同じ使い方ができません。停電復旧後に行うべき冷蔵庫の対処法は、以下のとおりです。
- 対処法1|冷蔵庫の動作確認を行う
- 対処法2|冷蔵庫を再設定する
- 対処法3|復旧後しばらくは開閉を控える
それぞれの対処法について、詳しく見ていきましょう。
対処法1|冷蔵庫の動作確認を行う
停電が復旧したら、まずは冷蔵庫が正常に動作しているかを確認してください。確認観点は、冷蔵庫のドアを開けた際に庫内灯が動作するかや、冷蔵庫の運転音がするかなどです。
通常はコンセントが差し込まれていれば、停電の復旧と同時に自動で運転を再開します。万が一、復旧後に冷蔵庫の電源が入らない場合は、コンプレッサーに負荷がかかっていたり、冷蔵庫の保護装置が作動していたりする恐れがあります。
電圧やコンプレッサーの状態が安定する約1時間後に、再度コンセントをつなぎましょう。
対処法2|冷蔵庫を再設定する
冷蔵庫は停電によって電源が切れると、各種設定がリセットされています。停電が復旧したら、冷蔵庫を停電前の状態に戻すために再設定してください。停電復旧後の再設定方法は機種ごとで異なるので、使用している機種の取扱説明書を確認しましょう。
対処法3|復旧後しばらくは開閉を控える
停電が復旧したとしても、ドアの開閉はしばらく控えてください。停電によって庫内温度が上昇しているので、停電前の温度まで下がるのには時間がかかります。
ドアを開閉してしまうと庫内の温度は上昇するので、冷えるまでにさらに多くの時間を要してしまうでしょう。しばらくは開閉を控えて、強運転で冷却するのがおすすめです。
家庭でできる!冷蔵庫の停電対策3選

災害による停電は、いつ起きるか分かりません。地震や台風、大雨などの災害大国「日本」に住んでいる以上、大規模な停電による被害は誰しもが経験する可能性があります。家庭でできる冷蔵庫の停電対策は、以下のとおりです。
- 対策1|冷蔵室に食品を詰め過ぎない
- 対策2|冷凍室に食品を隙間なく詰める
- 対策3|非常食になるものを冷凍しておく
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。
対策1|冷蔵室に食品を詰め過ぎない
冷蔵室に、食品をできるだけ詰め込み過ぎないようにしましょう。冷蔵室に食材を詰め込みすぎると、吹き出し口から出てくる冷気が庫内を上手く循環せず、庫内温度を上昇させてしまいます。
冷蔵室に入れる食品の量は、容量の7割程度に留めるのが理想的です。冷蔵室に食品を入れる際は、冷気の吹出口や吸込口を塞がないようにして、食品間の隙間を確保してください。
対策2|冷凍室に食品を隙間なく詰める
冷蔵室と異なり、冷凍室には食品を隙間なく詰めても問題ありません。凍った食品は保冷剤の働きをしてお互いに冷やし合うため、冷凍効率が向上するのです。
ブックエンドや四角い保存容器を活用すれば、隙間なくきっちり埋められます。ただし、食品を隙間なく埋めると取り出しづらくなる恐れがあり、庫内温度の上昇を助長させてしまいます。食品が一目で分かって素早く取り出すには、立てて保存するのがおすすめです。
対策3|非常食になるものを冷凍しておく
冷凍庫に非常食になるものを冷凍しておけば、停電時に保冷剤としての役割と食料としての役割を同時に果たしてくれるので、一石二鳥です。下味冷凍やフルーツ、作り置きの料理、飲料が入ったペットボトルなどを冷凍しておけば、停電時に栄養不足の心配もありません。
冷蔵庫の停電対策に欠かせないポータブル電源とは

3日以上にのぼる大規模な停電が発生したとしても、ポータブル電源があれば庫内の食品を守れます。ポータブル電源とは、内部に大量の電気を蓄電し、停電時に電化製品に給電できる機器です。停電時にポータブル電源は、以下の場面で大活躍します。
- 冷蔵庫に給電し続けて、庫内の温度が低下するのを防ぐ
- 冷暖房機器を稼働し、常に快適な室温に保てる
- 電子レンジや電気ケトルを稼働し、簡単に非常食を温められる
- LEDランタンを点灯させて、夜の暗闇を照らせる
- 家族との連絡手段になるスマホを、常に満充電にしておける
- 携帯ラジオを稼働して、迅速に災害情報を収集できる
ポータブル電源は携帯性に優れているため、自宅のあらゆる場所に持ち運んで、電化製品を稼働できます。停電中も冷蔵庫に電力を供給し続けられれば、食中毒の心配はありません。ソーラーパネルと併用すれば、停電中もポータブル電源を充電できます。
停電対策に必要な性能|おすすめの製品
停電時も冷蔵庫を含む幅広い電化製品に給電するためには、高出力かつ大容量のポータブル電源が必要です。例えば、1日に以下の家電を使用すると仮定します。
- 冷蔵庫(40W):24時間
- エアコン(550W):1時間
- ドライヤー(1000):10分
- 炊飯器(300W):1時間
全ての家電を同時に動かす場合は、最低でも2,000Wの出力が必要です。停電が復旧するまでに2日間を要する場合、約4,000kWhの容量を確保する必要があります。
本サイトを運営するEcoFlowは、高出力・大容量を備えた以下の2機種を販売しています。
- DELTA 3 Plus
- DELTA Pro 3
それぞれの機種について、詳しく見ていきましょう。
DELTA 3 Plus
最大2000Wの出力と1024Whの大容量を持つポータブル電源。停電時も冷蔵庫(120W)を7〜14時間稼働できます。大容量を備えながら重量12.5kgの軽量コンパクト設計なので、気軽に移動させて快適な生活が実現するでしょう。
容量は最大5kWhまで拡張できるため、数日間に及ぶ停電を想定した対策にもおすすめです。ACコンセントからわずか56分で満充電できるので、荒天警報機能で大雨の通知が来てから充電を始めても十分な電力を確保できます。

DELTA Pro 3
最大3600Wの出力と4096Whの超大容量を持つポータブル電源。停電時も冷蔵庫(120W)を約27時間稼働できます。エクストラバッテリーを追加すれば、最大12kWhまで容量の拡張が可能です。拡張作業は、本体とケーブルで接続するだけで完了します。
200Vに対応しているので、大型エアコンやIHクッキングヒーターなどの高出力家電も動かせます。最大2600Wのソーラー充電では、最速2時間10分で満充電できるので、停電生活が長引いても充電切れの心配はありません。

停電後の冷蔵庫に関するよくある質問

最後に、停電後の冷蔵庫に関するよくある質問を紹介します。
- 停電後に冷蔵庫のコンセントは抜いた方がよい?
- 停電によって冷蔵庫が壊れる可能性がある?
- 停電が夏に起きると冷蔵庫の中身は何時間もつ?
- 停電が長期化した場合の冷蔵庫の水漏れ対策は?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
停電後に冷蔵庫のコンセントは抜いた方がよい?
停電が7分以上続く場合は、電源プラグの抜き差しは必要ありません(※2)。一方で、停電が7分以内で復旧した場合は、電源プラグを抜いて7分ほど経過してからコンセントに差し込みましょう。コンプレッサーへの負担を軽減できるので、故障の予防につながります。
※2参考:Panasonic「冷蔵庫の電源を入れ直すときに注意することは」
停電によって冷蔵庫が壊れる可能性がある?
停電が復旧すると冷蔵庫の基盤に一気に電圧がかかるため、故障する可能性があります。コンセントをつないでから1時間が経過しても冷蔵庫が稼働しない場合は、故障を疑いましょう。ただし、復旧から1時間以内であれば、以下の原因で稼働しない可能性もあります。
- 一斉に電化製品の電源が復旧したため、圧縮機に負荷がかかった
- 電力超過で冷蔵庫の保護装置が作動した
停電が夏に起きると冷蔵庫の中身は何時間もつ?
一般的に停電が発生しても、冷蔵庫の中身は2〜3時間もちます。ただし、夏は室温の上昇や熱放出効率の低下、開閉頻度の増加などによって、さらに保冷時間は短くなるでしょう。
また、停電が起きると冷房機器を稼働できなくなるため、室温も上昇します。室温の上昇に伴って冷蔵庫も長持ちしなくなるという負の連鎖が始まるのです。
停電が長期化した場合の冷蔵庫の水漏れ対策は?
停電の時間が長くなるにつれて、冷蔵庫内の霜や食材の解凍が原因で水漏れしてきます。冷蔵庫内周りの床は水浸しになりますので、停電の直後にタオルや新聞紙を敷いておきましょう。また、食材を保冷するためにドライアイスを使用すると、水漏れの心配はありません。
まとめ

本記事では、停電時に冷蔵庫の中身を守るための対策について解説してきました。
停電が発生すると、冷蔵庫の中身は2〜3時間程度しかもちません。保冷時間を過ぎた食品を口にすると、食中毒のリスクが高まります。災害による停電時には、たとえ体調を崩しても、すぐに医療を受けられない可能性があるので注意が必要です。
停電が起きたら、まず最初に保冷剤や冷凍食品を冷蔵室に移してください。冷気は上から下に流れていくので、庫内の上段に配置するのが最適です。ドアの開閉回数は最小限に抑えて、庫内温度をできるだけ上昇させないよう工夫しましょう。
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