日本で使用される電気の大半は、火力発電によって生み出されています。石炭や天然ガスなどを燃料とし、大量の電力を安定的に供給できるのが大きなメリットです。一方で、地球温暖化を加速させる二酸化炭素の排出がデメリットとして挙げられます。
そこで今回は、火力発電のメリット・デメリットについて解説します。火力発電のデメリットを補える発電方法も掲載しているので、家庭に最適な発電方法を見つけて、月々にかかる電気代を削減したい方はぜひ最後までご覧ください。
火力発電の仕組みとは
火力発電は、燃料を燃やした熱で水から蒸気を作り、その蒸気を発電機に繋がったタービンにぶつけて回すことで、電気を生み出す仕組みです。タービンを回転させた後の蒸気は、復水器で冷やされて水に戻ります。
水はボイラー内に送られて再び蒸気へと変わり、再利用されるのです。復水器で蒸気を冷やすためには大量の水が必要になるため、火力発電所は海に近い場所に設置されています。
火力発電の5つのメリット
資源エネルギー庁の調査によると、日本における電気事業者の発電電力量は、火力発電が全体の約7割を占めている結果となりました(※1)。日本が火力発電に大きく依存している理由には、以下の5つのメリットが関係しています。
- メリット1|安定した電力を供給できる
- メリット2|発電のコストが安い
- メリット3|出力を調整しやすい
- メリット4|エネルギーの変換効率が高い
- メリット5|広大な土地を必要としない
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
※1参考:資源エネルギー庁「電力調査統計 2024年6月分」
メリット1|安定した電力を供給できる
火力発電は他の発電方法と比較して、電力を安定して供給できるのが最大のメリットです。外的な要因に左右されず、燃料さえあれば安定して発電できます。仮に一部の燃料の供給量が減ってきたとしても他の燃料で代用できるので、発電量に影響を与えません。
メリット2|発電のコストが安い
石炭や天然ガスを燃料とした火力発電は、発電のコストが安いのもメリットです。経済産業省が発表した資料によると、新たな発電設備を更地に建設・運転する場合、1kWhの電気を生み出すのにかかる費用は、以下のとおりでした(※2)。
発電方法 | 火力(石炭) | 火力(LNG) | 太陽光(住宅) | 風力(陸上) | 地熱 |
1kWhあたりの発電コスト | 12.5円 | 10.7円 | 17.7円 | 19.8円 | 16.7円 |
火力発電は、建設費や工事費が他の発電方法と比べて低いため、発電コストも抑えられています。一方で、火力発電特有の費用としてCO2対策費が発生するのが特徴です。
※2参考:経済産業省「基本政策分科会に対する発電コスト検証に関する報告」
メリット3|出力を調整しやすい
火力発電には、需要に応じて発電量の出力調整がしやすいというメリットがあります。電力の需要は、季節や時間帯によって異なるのが特徴です。需要に対する発電量が少なければ、電力不足で困る国民が増えてしまいます。
反対に、需要に対する発電量が多いと、環境負荷が増大したり、大規模停電のリスクが高まったりする恐れがあるのです。火力発電は燃料の増減によって出力調整がしやすく、電力の需要が高い時は補い、需要が低い時は出力制御が行えます。
メリット4|エネルギーの変換効率が高い
火力発電のエネルギー変換効率は、水力発電に次いで第二位です(※3)。エネルギー変換効率とは、光や熱などのエネルギーからどれだけの電気エネルギーに変換できたかの割合を指します。
エネルギー変換効率が高ければ、消費する燃料に対して得られる発電量が多くなります。火力発電は、わずかな資源で十分な発電量が得られるため、効率的な発電設備と言えるでしょう。
※3参考:関西電力「関西電力の水力発電の概要」
メリット5|広大な土地を必要としない
火力発電所を建設するのに、広大な土地は必要ありません。水力発電や原子力発電などは広大な土地を必要とするため、住民の理解を得るのにも時間を要してしまいます。
火力発電所は小規模な土地でも建設できるので、電力の供給量が多い都市部の近くに建設できます。遠方から電力を供給する際に生じる送電ロスを抑えられるのも、大きなメリットです。工期が短く、建設費用を抑えられるので、発電コストも下がります。
火力発電の4つのデメリット
世界は脱炭素社会へと向かい、再生可能エネルギーを促進しています。日本では長らく電力供給の大部分を担ってきた火力発電ですが、以下のようなデメリットが存在するのです。
- デメリット1|温室効果ガスを排出する
- デメリット2|価格変動が激しい
- デメリット3|燃料を国内で自給できない
- デメリット4|化石燃料は枯渇する恐れがある
それぞれのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
デメリット1|温室効果ガスを排出する
火力発電の原料となる化石燃料は、燃やされる際に大量の温室効果ガスを排出します。電力中央研究所の調査によると、火力発電は他の発電方式に比べて、圧倒的に二酸化炭素の排出量が多くなっています(※4)。
日本はパリ協定にて、2030年までに2013年より26%の二酸化炭素削減を掲げているため、火力発電の発電量を減らさなければ、目標から遠ざかっていく一方です。
※4参考:電力中央研究所「日本における発電技術の ライフサイクルCO2排出量総合評価」
デメリット2|価格変動が激しい
化石燃料は国外からの輸入に依存しているため、燃料の価格は国際情勢によって大きく変動します。2022年に起きたロシアのウクライナ侵攻によっても、日本の電気代は大幅に高騰しました。国際情勢は日本でコントロールできるものではないため、国民が安心して暮らすためには再生可能エネルギーの普及拡大が急務です。
デメリット3|燃料を国内で自給できない
日本のエネルギー自給率は12.6%と世界的に見ても低く、火力発電の原料となる化石燃料も例外ではありません(※5)。火力発電に頼っている日本において、国際情勢が悪化して燃料を輸入できなくなれば、私たちの生活は大打撃を受けるでしょう。
デメリット4|化石燃料は枯渇する恐れがある
火力発電の原料であるLNG・石油・石炭といった化石燃料は、有限な資源です。このまま使い続ければ、枯渇する日が必ずやってきます。
2024年時点の予想では、天然ガス・石油は今後50年程度、石炭は今後140年程度しか使えません。化石燃料が底を尽きる前に、対策を講じる必要があります。
【火力発電の燃料別】メリット・デメリット
火力発電で使われている以下の燃料には、それぞれメリット・デメリットがあります。燃料のメリットを最大限生かせるように、各燃料は組み合わせて使われるのが一般的です。
- 液化天然ガス(LNG)
- 石炭
- 石油
火力発電の燃料別に、メリット・デメリットを見ていきましょう。
液化天然ガス(LNG)
液化天然ガス(LNG)とは、気体の天然ガスをマイナス160℃まで冷却・凝縮し、容積を600分の1にしたものです。
LNGのメリットとしては、二酸化炭素や窒素酸化物の排出量が比較的少ない点が挙げられます。一方で、超低温であるために貯蔵の手間がかかり、長期契約が基本であるため、柔軟性が低くなる点がデメリットです。
石炭
石炭とは、植物を起源として炭素が濃集した固体を指します。LNGや石油と比べて、採掘できる年数が約3倍もあるのがメリットです。
燃料価格も他の2つと比べて安くなりますが、設備にかかるコストは大きくなるというデメリットがあります。石炭には硫黄分・窒素分が多く含まれるため、燃焼時の環境負荷も大きくなります。
石油
石油とは、炭素と水素の化合物を主成分とする液状の油です。貯蔵や運搬が容易な上に、短期契約が多いため、柔軟性に優れているというメリットがあります。
一方、石油のデメリットは、燃料価格がLNGや石炭と比べて高い点です。資源の8割以上を政情が不安定な中東から調達している点も危惧されています。
火力発電のデメリットを補う発電方法3選
火力発電に代わる発電方法として注目されているのが、以下の再生可能エネルギーです。再生可能エネルギーは永続的に利用でき、環境負荷も少なく、国内で自給できるという、火力発電にはないメリットが存在します。
- 太陽光発電
- 風力発電
- バイオマス発電
それぞれの発電方法について、詳しく見ていきましょう。
太陽光発電
太陽光発電とは、光エネルギーから電気を作る方法です。パネルのシリコン半導体に光が当たると、電気が発生します。火力発電と異なり、燃料の燃焼を一切必要としません。
太陽光発電は家庭に最も導入しやすい再生可能エネルギーであり、電気代の大幅な節約が期待できます。太陽が沈んだ夜間帯や雨天・曇りの時は発電できないため、蓄電池の準備が欠かせません。
風力発電
風力発電とは、風の力を利用して大きな風車を回し、電気を作る方法です。発電機は、電磁誘導を利用して回転エネルギーを電力に変換しています。
太陽光発電とは異なり、夜でも一定の風速を確保できれば発電が可能です。一方で、風向きや風速によっては発電量を確保しづらく、安定した電力供給は困難を極めます。
バイオマス発電
火力発電が持つ「二酸化炭素を排出する」というデメリットを解決できる発電方法が、バイオマス発電です。バイオマス発電は、生ゴミや建築廃材などの燃焼で発生する熱を利用して電気を作ります。
植物も燃えると二酸化炭素を出しますが、元々は光合成で外から吸収した二酸化炭素を再び外に排出しているだけなので、地球に存在する二酸化炭素の総量は変わりません。
太陽光発電を家庭に導入!ポータブル電源とは
火力発電のデメリットを知り、二酸化炭素排出を抑止し、国際情勢に依存しない自家発電に興味を持たれた方は多いのではないでしょうか。ポータブル電源とソーラーパネルがあれば、誰でも簡単にソーラー発電機を構築できます。
ポータブル電源とは、内部のバッテリーに大量の電気を蓄え、コンセントを使わず電化製品に給電できる機器です。昼間にソーラーパネルで発電した電気をポータブル電源に溜めておけば、発電が行えない夜の時間帯にも電気を使用できます。
太陽光からの光エネルギーは枯渇しない上に、電気代がかからないため、半永久的に電気代は無料になります。電気代を抑えたい方は、ポータブル電源があるだけでも大幅な節電が可能です。電気料金が安い時間帯に蓄電しておけば、高い料金を払う必要がありません。
ソーラー発電機に必要な性能|おすすめの製品
ソーラーパネルを使って節電対策を行うには、日常生活で使用する家電に長時間給電できるだけの定格出力と容量が必要です。定格出力(W)とは、装置が安定して出力できる最大の電力量を指します。容量(Wh)とは、1時間あたりに使用できる電力の総量です。
例えば、1日にエアコン(800W)を3時間、炊飯器(350W)を1時間、洗濯機(500W)を2時間使用する場合を想定します。1日中ポータブル電源に蓄電した電力だけで生活すると仮定すると、定格出力1,650W・容量3,750Whが必要です。
本サイトを運営するEcoFlowが販売するポータブル電源「DELTA Pro 3」は、定格出力3,600Wと容量4,096Whを備えています。
「DELTA Pro 3」の主な特徴は、以下のとおりです。
- エクストラバッテリーで最大24kWhまで容量を拡張できる
- LFPバッテリーを採用により、10年以上も節電対策が行える
- 握りやすいハンドルを備えており、使いたい場所まで自由に持ち運べる
- コンセントを使えば、わずか65分で80%まで充電できる
- ソーラーパネルを接続すれば、最速2時間10分で満充電できる
- 動作音はわずか30dBにより、就寝中も家電に給電できる
- スマホ一つで自宅のエネルギーを管理できる
「DELTA Pro 3」があれば、電気工事なしで手軽に節電生活を始められます。1台で毎月約30%の電気代削減が可能です。ポータブル電源を導入して、火力発電に頼らないソーラー発電機を構築したい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。
火力発電のメリット・デメリットに関するよくある質問
最後に、火力発電のメリット・デメリットに関するよくある質問を紹介します。
- 火力発電のデメリットに対する解決策は?
- 火力発電の主な種類と仕組みは?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
火力発電のデメリットに対する解決策は?
火力発電は、安定した電力を供給できたり、エネルギー変換効率が高かったりと、長らく日本の主な発電方法を担ってきただけのメリットを備えています。一方で、二酸化炭素の排出によって地球温暖化を加速させるという大きなデメリットも存在します。
デメリットを解決する主な方法は、以下のとおりです。
- 二酸化炭素を分離・回収し、地中深くに貯留する(CCS)
- 二酸化炭素を分離・回収し、資源として利用する(CCUS)
- 再生可能エネルギーに切り替える
火力発電の主な種類と仕組みは?
火力発電は、電気を生み出す仕組みの違いによって、以下の3種類に分かれます。
火力発電の種類 | 発電の仕組み |
汽力発電 | 石炭やLMG、石油などを燃やした際に発生する蒸気でタービンを回し、発電する |
ガスタービン発電 | 化石燃料を燃やした際に発生する燃焼ガスでタービンを回し、発電する |
コンバインドサイクル発電 | ガスタービンと同じく燃焼ガスで発電し、燃焼ガスの余熱で水を蒸発させて蒸気タービンを回す |
まとめ
本記事では、火力発電のメリット・デメリットについて解説してきました。
火力発電は、日本の発電電力量において約7割を担っている発電方法です。エネルギーの変換効率が高く、出力を調整しやすいために、安定して電力を供給できるというメリットがあります。火力発電所を建設するのに、広大な土地は必要ありません。
一方で、温室効果ガスの排出や自給率の低さ、枯渇のリスクなどのデメリットも存在します。デメリットを解決するには、太陽光発電や風力発電などの地球に優しく、永続的に使用できる再生可能エネルギーの普及が重要です。
本サイトを運営するEcoFlowでは、誰もが手軽に太陽光発電を導入できるようになるポータブル電源を販売しています。自宅の節電対策を万全にしたい方は、ぜひ製品情報をチェックしてください。
→エクストラバッテリーと組み合わせて最大90%の節電効果が期待できる「DELTA Pro 3」