リチウムイオン電池はエネルギー密度が高く、長寿命なので、スマートフォンや電気自動車など、幅広い分野で活用されています。しかし、リチウムイオン電池の充電方法を誤ると、発火や爆発などの大事故につながる恐れがあるのも事実です。
そこで本記事では、リチウムイオン電池の正しい充電方法について、解説します。リチウムイオン電池が充電できなくなったり、充電時間が延びたりする原因も掲載しているので、普段の充電方法を見直したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
リチウムイオン電池の正しい充電方法4選

最近、リチウムイオン電池の減りが早くなったと感じる方は、充電方法を誤っている可能性があります。誤った充電方法を続けていると、発火や爆発、漏液などの事故につながりかねません。リチウムイオン電池の正しい充電方法は、以下のとおりです。
- 方法1|充電が80%を超えないようにする
- 方法2|充電がなくなる前に充電する
- 方法3|充電温度範囲を守る
- 方法4|本体が高温にならないようにする
それぞれの充電方法について、詳しく見ていきましょう。
方法1|充電が80%を超えないようにする
リチウムイオン電池の充電は80%で止めておいた方が、バッテリーの寿命は長持ちします。満充電の状態は、プラス電極に負荷がかかっている状態です。リチウムイオン電池は、他の電池よりも自然放電が少ないため、長時間プラス電極に負荷がかかってしまいます。
製品によっては、独自のバッテリー設定アプリが搭載されており、充電が80%を超えないように設定しておくのがおすすめです。例えば、VAIOの場合は「いたわり充電モード」をOnにすると、バッテリーの充電量を80%や50%に抑えられます(※1)。
※1参考:VAIO(株) サポート「「いたわり充電モード」でバッテリー寿命長持ち」
方法2|充電がなくなる前に充電する
充電が100%の状態は避けたいですが、反対に0%の状態も問題です。充電がなくなる前に充電する習慣をつけましょう。リチウムイオン電池の残量が0%になると、マイナス電極に負荷がかかります。長時間使わなかったとしても、20%を目処に充電するのがおすすめです。
方法3|充電温度範囲を守る
リチウムイオン電池の充電温度範囲である0℃〜45℃程度を守りましょう。40℃を上回る環境で充電した場合、容量劣化が早くなるだけでなく、バッテリーの膨れが大きくなります。
また、0℃に近い低温環境で充電すると、充電量が減少します。効率と寿命を最大限に高めるには、20°C〜25°Cの範囲で充電するのが最適です。
方法4|本体が高温にならないようにする
リチウムイオン電池は熱に弱い性質を持っているため、充電中に本体が高温にならないよう注意してください。本体が高温になり過ぎると、バッテリーの性能に影響を及ぼします。
リチウムイオン電池を搭載するスマホが高温になる主な原因は、以下のとおりです。
- スマホを充電しながら通話やネット通信を行う
- 適合していない充電ケーブルを使っている
- バッテリーが劣化している
- バックグラウンドで動作しているアプリの負荷が高い
- スマホを長時間使用している
- 高温の場所にスマホを置いている
上記のいずれかに該当する場合は、早急に改善しましょう。
リチウムイオン電池が充電できない3つの原因

リチウムイオン電池は、突如としてケーブルを差しても充電できない症状に見舞われるケースがあります。リチウムイオン電池が充電できない原因は、以下のとおりです。
- 原因1|充電器の電圧が不足している
- 原因2|過放電の状態が長く続いている
- 原因3|電池や充電ケーブルが故障している
それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。
原因1|充電器の電圧が不足している
まず最初に考えられる原因が、充電器の電圧不足です。充電器の規格が古かったり、充電器がリチウムイオン電池に対応していなかったりする場合は、電圧出力が低すぎてリチウムイオン電池は正しく充電されません。
低速充電できたとしても、満充電までの時間は長くなります。普段使っている充電器やケーブルがリチウムイオン電池に対応しているかを確認しましょう。
原因2|過放電の状態が長く続いている
リチウムイオン電池の過放電が長く続くと、それ以上の放電を防ぐために保護回路が働き、充電できないようにする仕様があります。もし、保護回路が搭載されていなければ、反応性の高いリチウムは高温を発して爆発する事態にまで発展しかねません。
保護回路が働いているリチウムイオン電池を充電しようとすると、充電を始めてわずか数分で充電回路は強制的に停止します。無理やり充電を試みると、発火や爆発につながる恐れもあるので、注意してください。
原因3|電池や充電ケーブルが故障している
リチウムイオン電池や充電ケーブルが故障していると、正しく充電できない可能性があります。損傷や摩耗が見られる場合は、早めに交換しましょう。
内部が損傷している場合は見た目で判断がつかないので、メーカーに問い合わせる必要があります。故障しているリチウムイオン電池を無理やり充電しようとすると、発火や爆発などの事故を引き起こすリスクが高まります。
リチウムイオン電池の充電時間が長い3つの原因

日々の誤った充電方法によってリチウムイオン電池が劣化していると、充電時間が長くなります。また、100%近くまで充電できたとしても、短時間で消耗するのが特徴です。リチウムイオン電池の充電時間が長くなる原因を紹介します。
- 原因1|極端な高温・低温環境下で使用する
- 原因2|過放電・過充電している
- 原因3|満充電の状態で保管する
それぞれの原因について、詳しく見ていきましょう。
原因1|極端な高温・低温環境下で使用する
リチウムイオン電池を極端な高温・低温環境下にさらしていると、バッテリーの劣化が加速します。特に日差しの強い車のダッシュボードに放置していると、内部で化学反応が活発になり、劣化しやすくなるのです。
また、低温環境下ではリチウムイオンの移動が遅くなり、電極の電圧が高くなるため、充放電容量が低下します。低温環境下で充電を続けた場合は、リチウム金属がバッテリーの保護層を突き破り、火災にまで発展する恐れがあります。
原因2|過放電・過充電している
過放電や過充電も、リチウムイオン電池が劣化する大きな原因です。過充電すると正極のリチウムイオンが許容量を超えるほど放出してしまい、電池内の状態が不安定になって劣化が進みます。
また、リチウムイオン電池を長らく充電せずに放置していて過放電している場合も、負極の銅箔が溶けて劣化を促します。最終的に保護回路が働くと、充電時間が長引くどころか、全く充電できなくなるので注意してください。
原因3|満充電の状態で保管する
満充電の状態で保管した場合も、リチウムイオン電池の内部で高電圧が維持されて化学変化が促されるため、劣化につながります。電池を満充電で放置したときの劣化度は、充電量50%で放置したときの約2倍です(※2)。
※2参考:日本経済新聞「満タンと空っぽはNG バッテリー長持ちの基礎知識」
【種類別】リチウムイオン電池の充電回数

リチウムイオン電池が寿命を迎えるまでに充電できる回数は、サイクル数によって表されます。サイクル数とは、0%から100%に充電し、再度0%に放電するまでを1サイクルとしたときの、サイクルを繰り返せる回数です。サイクル数は、以下の種類によって異なります。
- ニッケル系リチウムイオン電池
- 三元系リチウムイオン電池
- リン酸鉄系リチウムイオン電池
それぞれの充電回数について、詳しく見ていきましょう。
ニッケル系リチウムイオン電池
ニッケル系リチウムイオン電池は、正極材料にニッケル酸リチウムを使用しています。ニッケル系リチウムイオン電池のサイクル数は、約500回です。
他のリチウムイオン電池よりも容量は大きいですが、過充電時の発火リスクが高い点が大きなデメリットです。近年はアルミニウムを原子レベルで添加することで、電気自動車に求められる安全性を確保しています。
三元系リチウムイオン電池
三元系リチウムイオン電池は、正極材料にニッケル・マンガン・コバルトを使用しています。三元系リチウムイオン電池のサイクル数は、約2000回です。
エネルギー密度が高いので、 軽量コンパクトなバッテリーを実現しています。材料のコストが比較的安価なため、ハイブリッド自動車や医療機器に使われているのが特徴です。
リン酸鉄系リチウムイオン電池
リン酸鉄系リチウムイオン電池は、正極材料にリチウム・鉄・リンを使用しています。リン酸鉄系リチウムイオン電池のサイクル数は、他の電池と比べて最大の2000〜4000回です。
毎日充電したとしても10年以上使い続けられるので、コストパフォーマンスに優れたリチウムイオン電池と言えるでしょう。三元系よりも耐熱性に優れており、安全に使用できる点も魅力です。長寿命のため、モバイルバッテリーやポータブル電源に使用されています。
リチウムイオン電池搭載!ポータブル電源とは

リチウムイオン電池が搭載されている製品の中でも、日常生活で大活躍するアイテムがポータブル電源です。ポータブル電源とは、内部のバッテリーに大量の電気を蓄え、コンセントがない場所でも電化製品に給電できる機器を指します。
ポータブル電源が活躍する主な場面は、以下のとおりです。
- アウトドアや旅行などのお出かけ先で、電化製品をフル稼働させられる
- 車のサブバッテリーとして使用し、バッテリー上がりを防げる
- ノマドワークや出張などの仕事先で、パソコンやスマホを常に満充電にしておける
- 災害による大規模な停電時に、電化製品を動かして健康的な生活が送れる
- 屋外でのDIY作業や現場作業で、電動工具をフル稼働させられる
- 電気料金の安い時間帯に蓄電した電気で生活し、節電対策が行える
ポータブル電源が1台あれば、日常生活やアウトドア、停電、仕事など、あらゆる場面で重宝するでしょう。ソーラーパネルと併用すれば、充電切れの心配もありません。
家庭に必要な性能|おすすめの製品
家庭用のポータブル電源には、リン酸鉄リチウムイオン電池が搭載されたタイプを選びましょう。数あるリチウムイオン電池の中でも、寿命が来るまでに充電できる回数が最も多く、破裂や発火のリスクが低い電池がリン酸鉄リチウムイオン電池です。
本サイトを運営するEcoFlowは、リン酸鉄リチウムイオン電池を搭載したポータブル電源として、用途に応じた以下の2機種を販売しています。
- RIVER 3 Plus
- DELTA 3 Plus
それぞれの機種について、詳しく見ていきましょう。
RIVER 3 Plus
定格出力600W、容量286Whのポータブル電源。約4.7kgの軽量コンパクト設計なので、屋外で使用する機会が多い方におすすめです。ワイヤレス接続で最大858Whに容量を拡張でき、家族の人数や使用時間に応じて自由に調節できます。
X-Boostで最大900Wの電化製品に給電でき、家電のカバー率は90%です。LEDライトやソフトウェアアラートを搭載しており、停電時にはユーザーに警告します。IP54準拠の設計で、防塵・防水・耐火性に優れているため、屋外での使用も安心です。

DELTA 3 Plus
定格出力1500W、容量1024Whのポータブル電源。最大2000Wの出力を発揮し、最大5kWhまで容量を拡張できるので、自宅の停電対策や節電対策におすすめです。最短56分でフル充電できる急速充電を実現しており、使いたい時にすぐ使えます。
最大4000回の充電サイクルを誇り、サイクル数を使い果たしても初期容量の80%を維持できます。ACやDC、USB-C、USB-A、シガーソケットなど、計13個の出力ポートを搭載しているので、複数台の電化製品への同時給電が可能です。

リチウムイオン電池の充電に関するよくある質問

最後に、リチウムイオン電池の充電に関するよくある質問を紹介します。
- 充電できないリチウムイオン電池を復活させる方法は?
- リチウムイオン電池は継ぎ足し充電してもよい?
- リチウムイオン電池を充電しっぱなしにするリスクは?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
充電できないリチウムイオン電池を復活させる方法は?
充電できないリチウムイオン電池を復活させる方法として、別の充電済みバッテリーを使用する方法があります。電圧・充電容量がほぼ等しいリチウムイオン電池を用意し、十分な充電量を確保しておきましょう。
2つのリチウムイオン電池をケーブルで接続して、5〜10分間放置したらケーブルを外します。充電できなかったリチウムイオン電池が最小電圧を超えていた場合は充電可能です。ただし、発火・爆発のリスクもあるので、自己責任で行ってください。
リチウムイオン電池は継ぎ足し充電してもよい?
リチウムイオン電池は、継ぎ足し充電しても問題ありません。継ぎ足し充電とは、容量0%まで使い切らずにバッテリー残量があるうちに充電する方法です。
むしろ容量0%まで完全に使い切ってしまうと過放電の状態になり、バッテリーが劣化するリスクが高まります。20%程度まで使ったら、80%まで継ぎ足し充電を行いましょう。
リチウムイオン電池を充電しっぱなしにするリスクは?
リチウムイオン電池を充電しっぱなしにすると、電池の正極が許容量を超えるほどのリチウムイオンを放出して、電池内の状態が不安定になります。結果として、バッテリー寿命を縮めるリスクが高くなるのです。過充電を回避するために、充電は80%で留めましょう。
まとめ

本記事では、リチウムイオン電池の正しい充電方法について、解説してきました。
リチウムイオン電池の過充電や過放電は、バッテリーの劣化を招きます。満充電せずに80%で充電を止め、完全に放電する前に充電しましょう。長時間使わずに放置する際にも、定期的に充電しておけば、全く充電できなくなる事態を防げます。
また、充電温度範囲である0℃〜45℃程度を守り、できれば20℃〜25℃の範囲を維持するのがおすすめです。本体の発熱もバッテリーの劣化や火災につながるので、注意しましょう。
本サイトを運営するEcoFlowは、10年以上の長寿命が魅力のリン酸鉄リチウムイオン電池を搭載したポータブル電源を販売しています。アウトドアや停電対策、節電対策などにポータブル電源をフル活用したい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。