「無停電電源装置(UPS)とは何のこと?仕組みや利用シーンを知りたい」という疑問がある方もいるはずです。無停電電源装置とは、停電時に一定時間電気を供給する装置のことです。
この装置を利用することで、停電の対策になる、過電流を防げるなど、複数のメリットが見込めます。しかし、製品の種類は多岐にわたり、選ぶ際に注意すべきポイントも存在します。
そこで今回は、無停電電源装置の仕組みや基礎概要、利用するメリット、選び方を詳しく解説します。無停電電源装置の詳細が知りたい方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
無停電電源装置(UPS)とは?
無停電電源装置(UPS)とは、「Uninterruptible Power System」の略称であり、停電時に一定時間電気を供給する装置のことです。電源から無停電電源装置に電気が送られ、さらにその先にあるパソコンや冷蔵庫などに電気を流します。
同時に、無停電電源装置内の蓄電池にも電気を蓄えることで、停電時に蓄電池から各電気機器に給電できる仕組みです。停電時には自動で蓄電池から供給されるため、途切れることなく電気機器を使用できます。
無停電電源装置(UPS)の仕組み
無停電電源装置は大きく、「常時商用給電方式」「ラインインタラクティブ給電方式」「常時インバーター給電方式」の3つに分類できます。それぞれの特徴は以下の通りです。
UPSの分類 | 特徴 |
常時商用給電方式 | 電源から給電が途絶えるとバッテリーからの給電に切り替わるタイプ |
ラインインタラクティブ給電方式 | 内臓している電圧調整器により、停電すると商用電源から自動で切り替わるタイプ |
常時インバーター給電方式 | 常にバッテリーを充電し、安定した電力をインバーターによって供給するタイプ |
それぞれの方式に応じてメリット・デメリットがあり、特徴が大きく異なります。状況に合った方式を選択することが大切です。
無停電電源装置(UPS)の主な利用シーン
無停電電源装置は、主に大切なデータやシステムを扱う場面で使用されることが多いです。停電やトラブルによって電力供給が途絶えたとしても、無停電電源装置を用いることで、大切なデータやシステムを安全に保護できます。
例えば、パソコンにデータを保存すると、停電によって保存したデータが消失する可能性があります。さらに、システムが壊れてデータの復元が困難になるリスクも考えられます。
その点、無停電電源装置を使用すれば、このようなリスクを避けることができるのです。そのほか、以下のようなシーンで利用されることがあります。
- 医療現場:手術室や集中治療室など
- サーバー室:大切なデータが保管されているサーバー
- 金融現場:運営サイトや金融システム
これら以外にも、日常生活で使用する家電製品にも無停電電源装置が活用されることがあります。無停電電源装置の活用により、停電後における家電製品のトラブルを軽減することが可能です。
無停電電源装置(UPS)を利用するメリット
無停電電源装置を利用することで、主に以下のようなメリットが見込めます。
- 停電の対策になる
- 非常電源装置として活用できる
- 過電流を防げる
各メリットを1つずつ解説します。
メリット1.停電の対策になる
停電のとき、電力会社からの電力供給が途絶えると、パソコンや家電の電源が落ち、中断した作業やデータの損失が心配になります。しかし、無停電電源装置を利用すれば、そのようなリスクを軽減することができます。
なぜなら、無停電電源装置は急な停電が起きても、内蔵のバッテリーにより一時的に電力を供給できるからです。これにより、突然パソコンの電源が落ちるリスクや、作業が途中で中断される可能性を軽減し、安心して作業を続けられます。
メリット2.非常電源装置として活用できる
2つ目のメリットは、非常電源装置として活用できることです。突然停電が起きたとしても、無停電電源装置の電力供給により、しばらくの間は電気機器の利用を継続できます。
【非常電源装置としての主な利用用途】
- 冷蔵庫の電源が切れる前に食材を移動させる
- 照明器具が切れないうちに避難経路を確保する
- 電源が切れる前にパソコンのバックアップを取る
例えば、大事な資料の保存途中やメールの送信中に停電が起きたとしても、無停電電源装置の電力供給により、シャットダウン前に必要な操作を終わらせることができます。
メリット3.過電流を防げる
無停電電源装置は過電流の対策としても有効です。無停電電源装置のなかには、過電流を防げる機能が搭載されているものもあります。
落雷などの影響で過電流が起こり、データの喪失や機器の破損を引き起こす可能性がありますが、この過電流の防止機能により、これらのリスクを防ぐことが可能です。
突然の過電流が起こると、無停電電源装置はこれを検知し、安全な電流を電気機器に供給するように動作します。その結果、過電流によるダメージから大切なデータや機器を守ることができるのです。
無停電電源装置(UPS)の選び方
無停電電源装置にはさまざまな種類があるため、製品を選ぶ際に迷ってしまう方もいるでしょう。そんな方は、以下6つのポイントを意識してみてください。
- バッテリー容量
- 給電方式
- 出力波形
- 本体のサイズ
- 電源環境
- バッテリー性能
これらのポイントを意識することで、より状況に合った製品を見つけやすくなります。各ポイントを1つずつ見ていきましょう。
ポイント1.容量
無停電電源装置に内蔵されているバッテリーの容量をチェックすることが大切です。なぜなら、すべての接続機器の消費電力を合わせた数値が、無停電電源装置の容量を超えると使用できないからです。
接続機器の最大消費電力は、取扱説明書や機器本体を見れば把握できます。電力表示が「VA」ならそのまま足して計算し、「A」と表記されていれば100倍した数値にしてから計算します。
まずは接続するすべての電気機器の最大消費電力を調べ、そのあとに無停電電源装置本体の出力コンセント数を確認しましょう。出力コンセント数は、同時に電源供給できる台数を表します。
出力容量を満たしていても、コンセントの数が足りていなければ、必要な電気機器をすべて接続できないため注意が必要です。
ポイント2.給電方式
2つ目のポイントは給電方式です。給電方式にはさまざまな種類があり、その種類に応じて使い方や適用する電気機器が異なります。前述した通り、給電方式には大きく以下の3種類があります。
- 常時商用給電方式
- ラインインタラクティブ給電方式
- 常時インバーター給電方式
最も信頼性の高い給電方式は「常時インバーター給電方式」です。とはいえ、使用目的や必要な電気機器に合わせて最適な給電方式が異なるため、状況に合わせて選択するようにしましょう。
ポイント3.出力波形
無停電電源装置から出力する電力の波形は2種類です。それぞれの出力波形には、以下のような特徴があります。
出力波形 | 特徴 |
正弦波 | 家庭用ACコンセントと同じ波形。基本的に、どんなサーバーやパソコンにも対応している。 |
短波形 | リーズナブルな無停電電源装置に使われている出力波形。精度が高い機器には対応できない。 |
一般家庭で無停電電源装置を用いる場合は、正弦波の製品を選んでおけば間違いありません。電気機器を利用できないリスクが軽減します。
ポイント4.本体のサイズ
無停電電源装置を選ぶ際は、本体のサイズにも注意する必要があります。無停電電源装置は接続する電気機器の近くに設置するのが基本ですが、本体のサイズが大きすぎると、スペースを圧迫してしまう場合があるのです。
必要な容量が増えれば増えるほど、無停電電源装置のサイズも大きくなり、広い設置スペースが必要となります。事前に無停電電源装置のサイズや形を確認し、必要な場所に設置できるか確認しておきましょう。
ポイント5.電源環境
5つ目のポイントは電源環境の確認です。無停電電源装置は、入力電力や入力周波数が設定した数値をオーバーすると、自動でバックアップ電源に切り替わります。
国内の商用電源は100Vもしくは200Vが一般的であり、この電圧をベースに入力可能な電圧を「許容電圧範囲」と呼びます。入力電圧が許容電圧範囲を超えたり下回ったりした場合、バックアップ運転に切り替わる無停電電源装置を選択しましょう。
なお、国内の商用の入力周波数は海外製品の入力周波数と異なります。海外製品のバックアップを目的に無停電電源装置を導入するのであれば、対応周波数にも注意して選ぶようにしましょう。
ポイント6.バッテリー性能
停電するとバッテリーから電力を供給するため、バッテリー性能もチェックする必要があります。主に、以下2つのポイントが重要となります。
- バッテリーの充電時間
- バッテリーの寿命
バッテリーの充電時間が短いと、連続した電力トラブルが起こったとしても、短い間隔での給電に対応できます。また、バッテリー寿命の長いものを選べば、1つの製品を長く利用することが可能です。
いざというときに「バッテリー切れで使えない」という事態を起こさないためにも、バッテリー性能を確認しておきましょう。
EcoFlow製品に採用されている「EPS機能」
EcoFlowのポータブル電源「DELTA」シリーズには、電力を自動で切り替えて供給する「EPS機能」が内蔵されています。オフィスに設置すれば、デスクトップパソコンやサーバーのバックアップ電源として大事な電気機器を、飲食店に設置すれば、防犯カメラや業務用冷蔵庫の補助電源として店舗の安全を確保します。
【EcoFlowのポータブル電源「DELTA」シリーズ】
- DELTA Pro
- DELTA 2 Max
- DELTA 2
例えば、EcoFlowのポータブル電源「DELTA 2」の場合、家庭用電力のブレーカーが落ちても電力供給元が30ms(ミリ秒)以内で「DELTA 2」のバッテリーに切り替わるため、電化製品をそのまま稼働し続けることが可能です。
これにより、デスクトップパソコンのデータ紛失やシステムの故障を防げるほか、照明器具や冷暖房器具の継続利用によって避難経路を安全に確保できます。
ただし、本機能は完全な「EPS機能」ではなく、0msでの切り替えには対応していないため、データサーバーやワークステーションのような完全な「EPS機能」を必要とするデバイスには使用できません。
「EPS機能」を使用する場合は十分なテストを行い、ご自身の責任において使用することが求められます。とはいえ、この「EPS機能」は非常に便利な機能であるため、「緊急時に安全を確保したい」「デバイスのデータ紛失を防ぎたい」という方にとっては重宝されるでしょう。
→「EPS機能」が内蔵されたEcoFlowの「DELTA」シリーズはこちら
まとめ
本記事では、無停電電源装置の仕組みや基礎概要、利用するメリット、選び方を詳しく解説しました。
無停電電源装置とは、停電時に一定時間電気を供給する装置のことです。装置を利用することで、停電の対策になる、過電流を防げるなどのメリットが見込めます。
ただし、無停電電源装置には複数の種類があり、選ぶ際は注意点がいくつも存在します。今後、無停電電源装置を導入する予定がある方は、ぜひ本記事で解説した内容を参考にしてみてください。
なお、EcoFlowが販売するポータブル電源「DELTA」シリーズには、電力を自動で切り替えて供給する「EPS機能」が内蔵されております。以下、大容量バッテリーを搭載した「DELTA」シリーズの導入をご検討ください。
DELTA Pro | DELTA 2 | DELTA 2 Max | |
容量 | 3,600Wh | 1,024Wh | 2,048Wh |
定格出力 | 3,000W | 1,500W | 2,400W |
AC充電入力 | 最大1,500W | 最大1,200W | 最大1,500W |
サイズ | 63.5×28.5×41.6cm | 40.0 x 21.1 x 28.1 cm | 49.7 × 24.2 × 30.5 cm |
重量 | 約45kg | 約12kg | 約23kg |
出力ポート | 合計:15AC×5USB×6DC×2シガーソケット×1アンダーソン×1 | 合計15ACx6USBx6DCx2シガーソケット x1 | 合計15 |
公式サイト | https://jp.ecoflow.com/products/delta-pro-portable-power-station | https://jp.ecoflow.com/products/delta-2-portable-power-station | https://jp.ecoflow.com/products/delta-2-max-portable-power-station |