登山は美しい自然と爽快な達成感が味わえるアクティビティですが、標高の高い場所では紫外線量が大幅に増え、日焼けによるダメージリスクが高まります。
実際に、標高が1,000m上がるごとに紫外線は約10〜13%も強くなるため、街中に比べて肌への負担は格段に大きいです。
紫外線を過剰に浴びるとシミや皮膚の炎症、熱中症リスクや免疫力低下など、さまざまなリスクがあるため、登山では適切な日焼け止め対策が欠かせません。
この記事では、登山で日焼け止めが必要な理由や選び方、正しい塗り方や日焼け止め以外の紫外線対策方法を詳しく紹介します。
登山で日焼け止めが必要な理由

登山では美しい景色や澄んだ空気を満喫できますが、自然環境特有の紫外線リスクが常に伴います。ここでは、登山で日焼け止めが必要な理由について詳しく解説します。
標高が上がると紫外線量が増える
登山では、高所へ行くほど紫外線量が増えるというリスクを無視できません。
通常、紫外線は地表に到達するまでにある程度弱められますが、標高が高くなるにつれて分散や吸収が減り、地表より強い紫外線が届くようになります。
標高が1000m上昇するごとに紫外線量は約10〜12%多くなるとされており、3500m級の山の山頂では、平地より30%以上も強い紫外線が降り注ぎます。
また、晴天の日に限らず曇りや涼しい日でも注意が必要で、標高の高い山域では雲を通しても大量の紫外線が地表に到達しています。
平地と同じ感覚で紫外線対策を怠ると、すぐに多くのダメージを受けてしまうため、山ではしっかりと肌を守る意識を高めることが重要です。
日焼けによるリスクが多い
登山での日焼けは、単なるヒリヒリ感やシミの原因だけにとどまりません。急激に強い紫外線を浴びると、以下のリスクがあります。
- 肌の炎症や水ぶくれ(急性のやけど症状)
- シミやそばかすなどの肌老化の進行
- 慢性的な皮膚疾患(皮膚がんや白内障などのリスク)
- 体力の急激な消耗や免疫力の低下
- 熱中症リスクの上昇
- 疲労感の増加や回復力の低下
- 全身の広範囲でダメージを受けやすくなる
急激に浴びる強い紫外線は肌の細胞を傷つけ、これが繰り返されることで皮膚の老化が促進したり、慢性的な疾患につながるリスクが指摘されています。
また、肌への直接的なダメージだけでなく、日焼けによる体力低下や免疫力の減退も、登山者にとっては無視できない大きな問題です。
日焼けした肌は炎症反応を起こすため、登山中の疲労がいつもより早く感じられたり、休息の質が落ちてしまったりすることがあります。
山では日焼け止めを必ず使用し、肌を保護することが快適な登山の第一歩です。
登山に最適な日焼け止めを選ぶポイント

登山では紫外線が強いため、日焼け止め選びは慎重に行う必要があります。ここでは、特に押さえておきたい3つのポイントについて詳しく解説します。
SPF・PA値の目安
登山用の日焼け止めを選ぶ際、特に注目すべきポイントがSPFとPAの数値です。
SPF(Sun Protection Factor)は主にUVBという紫外線から肌を守る指標で、SPF1で約20分間の防御効果があるとされています。
PA(Protection Grade of UVA)はUVA(波長の長い紫外線)の防御力を示し、「+」の数が多いほど持続力が高くなります。
- SPF:最低でもSPF30以上、できればSPF50のアイテムがおすすめ
- PA:「PA+++」や「PA++++」のアイテムがおすすめ
上記の数値を基準に比較し、自分の活動内容や肌質に合った日焼け止めを用意することが、紫外線対策の第一歩となります。
なお、SPFやPAが高いものほど落ちにくいことも多いため、落とすときのケアや専用クレンジングの準備も忘れずに考えておきましょう。
ウォータープルーフ性能
登山では、汗や突然の雨で水にさらされる機会が多いため、塗り直しの手間や効果の持続性を考えると、ウォータープルーフ性能は欠かせません。
ウォータープルーフの日焼け止めは汗や水に強く、激しい運動時でも紫外線カット効果が持続するため、登山シーンでの使用に最適です。
特に「スーパーウォータープルーフ」といった表示があるアイテムは高い耐水性を持ち、塗り直し頻度も抑えられます。
行動中の塗り直しや携帯に便利な、スティックやジェルの商品を選ぶと安心です。
低刺激・敏感肌対応
紫外線カット力が高い日焼け止めは刺激も強くなりがちですが、敏感肌の人や長時間の活動が続く登山では、低刺激かどうかも大切なチェックポイントになります。
特に紫外線吸収剤不使用(ノンケミカル)や無香料、アルコールフリーの製品は、肌が赤くなりやすい方や、小さい子どもと一緒に登山する人にもおすすめです。
肌のタイプによっては、SPFやPAの数値、ウォータープルーフ性能とのバランスも考え、日常使いとは用途を分けて選びましょう。
日焼け止めの正しい塗り方

登山で紫外線から肌を守るためには、塗り方のポイントを押さえることが重要です。ここでは、正しい塗り方のポイントを詳しく解説します。
塗るタイミングと量
日焼け止めは、家を出る30分前を目安に清潔で乾いた肌に塗るのが効果的です。
汗や皮脂が多い状態で塗ると、日焼け止めの定着力が落ちてしまうため、タオルで軽く拭き取ってから塗ることをおすすめします。
量は商品に記載された目安量を守ることが重要で、顔全体にはパール粒2個分程度、腕や脚など露出部分には適量を重ね塗りすることがポイントです。
一度に厚塗りするのではなく、2回に分けてムラなく塗ることで、より均一に紫外線を防ぐことができます。
塗り残しを防ぐコツ
日焼け止めは、特に以下の部位が塗り残しが起こりやすいため注意が必要です。
- 耳
- 首
- うなじ
- 額の生え際
- 鼻筋
- 頬骨
- 手の甲
- 足の甲
鏡を見ながら丁寧に塗り広げることが大切で、ジェルタイプやスティック型を活用すると、指先だけでは塗りにくい立体的なパーツにも均一に塗布できます。
また、衣服の隙間やサングラスの端なども見落としやすいため注意が必要です。細部までしっかり塗ることで、紫外線によるダメージリスクを大幅に減らせます。
塗り直しの頻度と方法
登山中は日焼け止めが落ちやすいため、2〜3時間ごとに塗り直すのがおすすめです。
特に大量の汗をかいたりタオルで汗を拭いた後は、すぐに塗り直しましょう。塗り直す際は、拭き取った後の乾いた肌に塗ることで効果を持続できます。
また、携帯に便利なスプレータイプやスティックタイプを使えば、休憩時にも手軽に重ね塗りが可能です。
顔や首には化粧の上から使える日焼け止めミストが便利で、こまめなケアが紫外線対策の効果を高めます。
落とし方とアフターケア
耐水性やウォータープルーフの日焼け止めは、通常の洗顔料やボディソープだけでは落ちにくいことがあります。
そのため、専用のクレンジング剤や洗浄力の高い石鹸を使い、やさしく丁寧に二度洗いすることが大切です。
強くこすらず、ぬるま湯でやさしく洗い流すことで肌への負担を減らせます。
洗顔後は十分な保湿を行い、アフターサンジェルや化粧水、乳液などで肌の乾燥や赤みをしっかりケアしましょう。
登山中に日焼け止め以外で紫外線対策できるアイテム

登山中の紫外線対策は日焼け止めだけでなく、さまざまなアイテムを活用することが重要です。ここでは、紫外線から肌を守るために役立つ代表的なアイテムを解説します。
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UVカットウェア
UVカットウェアは、特殊な繊維や加工により紫外線を遮断し、肌へのダメージを大幅に軽減するアイテムです。
長袖シャツやパンツ、ジャケットなど、露出部分をカバーできるデザインが多く、通気性や速乾性にも優れているため快適に着用できます。
また、軽量で動きやすい素材が多く、登山中もストレスを感じにくいのも特徴です。
洗濯を繰り返しても効果が持続する製品が多くコスパも優れているため、日焼け止めと併用することで、より強力な紫外線対策が可能となります。
UVカット帽子
UVカット帽子は、登山中の頭部や顔、首元を紫外線から守るための重要なアイテムです。
広いつばがあるデザインは直射日光を遮り、通気性の良い素材を使用した帽子は汗をかいても蒸れにくく、快適な着用感を実感できます。
さらに、軽量で折りたたみ可能なタイプも多く携帯性に優れているため、荷物が多くなりがちな登山でも負担になりません。
UVカット加工が施された帽子は、紫外線を約90%以上カットするものもあり、日焼け止めだけではカバーしきれない部分を補完できます。
アームカバー・手袋
アームカバーや手袋は、登山中の腕や手を紫外線から守るために効果的なアイテムです。
アームカバーは薄手で通気性が良く、伸縮性に優れているため動きを妨げません。手袋もUVカット機能を備えたものがあり、指先までしっかりカバーできます。
さらに、速乾性や抗菌防臭機能が付いた製品もあり、長時間の使用でも快適さを保てます。
サングラス・ゴーグル
サングラスやゴーグルは、登山中の目を紫外線から守るために欠かせないアイテムです。
紫外線は目にもダメージを与え、白内障や翼状片などの眼疾患のリスクを高めます。登山用サングラスはUVカット機能が高いため、しっかりと保護できます。
さらに、偏光レンズを採用したモデルは雪面や水面の反射光を軽減し、視界のクリアさを保つため安全な歩行をサポートします。
ゴーグルタイプは風や埃、虫などから目を守る役割も果たし、特に風の強い高山や砂埃の多い環境で高い効果を発揮できます。
軽量でフィット感の良いデザインが多いため、目の健康を守りながら快適な登山を楽しみたい方は購入しておきましょう。
登山にはワイヤレス充電があると安心!

登山中の快適さや安全性を保つためには、日焼け止めだけでなく便利アイテムを上手に取り入れることも重要です。
近年はスマートフォンやカメラといった電子デバイスが欠かせない存在となり、バッテリー切れは遭難時や急な天候変化への対応において大きなリスクになります。
そんなシーンで役立つのが、ワイヤレス充電やソーラーパネルといったアイテムです。
例えば、EcoFlow 45Wソーラーパネルは、登山中でも太陽光を活用してスマホやバッテリーを直接充電できるため、長期山行や電源確保が難しい状況でも安心です。
EcoFlow RAPID Magnetic Power Bank(10,000mAh)は、Qi2対応の急速ワイヤレス充電や最大65WのUSB-C急速充電に対応しています。
高い安全性やコンパクトな設計に加えて、磁石で簡単に着脱ができるため登山中でもスムーズな充電操作が可能です。
登山の楽しみや安心をさらに高めるためにも、ワイヤレス充電対応のバッテリーや折りたたみソーラーパネルを加えてみましょう。


登山の日焼け止めに関するよくある質問

最後に、登山の日焼け止めに関するよくある質問を詳しく紹介します。
日常用の日焼け止めでも大丈夫?
日常用の日焼け止めでも登山に使うことは可能です。
ただし、登山は標高が高く紫外線が非常に強いため、都市部で使う日常用ではSPFやPA値が不足する場合があります。
日常用を使う場合は、こまめな塗り直しや重ね塗りを心がけましょう。
子ども用と大人用は違う?
子ども用と大人用の日焼け止めは、主に成分が異なります。
子ども用は肌への刺激が少ない成分を使用し、低刺激・無香料・無着色など敏感肌に配慮したタイプが多いのが特徴です。
大人用は防御力が高い分、肌が弱い場合は刺激を感じることがあります。
敏感肌の方や小さなお子さんと一緒に使う場合は、子ども用や敏感肌用の低刺激タイプを選ぶと安心です。
塗り直しが面倒だけど本当に必要ある?
一度塗れば安心と思いがちですが、汗や摩擦、雨などで効果が落ちるため、小まめな塗り直しが不可欠とされています。
日焼け止めを塗り直さずにいると、紫外線ダメージを十分に防げず、肌トラブルや日焼けのリスクが高まります。
2〜3時間ごと、あるいは汗や水に濡れたりタオルで拭いた後は必ず塗り直しましょう。
まとめ
登山では、日焼け止めをはじめとした紫外線対策が欠かせません。
標高の高さによる強い紫外線や、長時間屋外で活動する状況では、肌や目、体へのダメージが想像以上に蓄積されるため注意が必要です。
日焼け止めはSPFやPA値の高いもの、ウォータープルーフタイプを選び、こまめに塗り直して紫外線から肌を守りましょう。
より安心かつ安全に登山を楽しむためには、日焼け止めだけでなくソーラーパネルやワイヤレス充電器を持参すると安心です。