気温の暑い夏季になると急増する熱中症。症状が悪化すると、命に関わる事態にまで発展しかねません。熱中症は、老若男女問わず誰にでも起こりえる症状です。症状は3段階にレベル分けされており、軽症のレベルであっても早急に処置を行う必要があります。
そこで本記事では、熱中症の主な症状をレベル別に紹介します。初期症状がある場合の対処法や、熱中症対策に必要なグッズも掲載しているので、熱中症の重症化を防げるようになるでしょう。熱中症症状の理解を深めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
熱中症とは

熱中症とは、高温多湿な環境で水分・塩分量のバランスが崩れたり、体温調節機能・循環機能が破綻したりして発症する障害の総称です。熱中症になると、めまいや失神、意識障害が現れ、最悪の場合は死に至ります。
2024年5月から9月までに全国で熱中症によって救急搬送された人の数は、累計で97,578
人にのぼりました(※1)。2008年に調査が開始されて以降、最も多い人数です。地球温暖化の影響で気温は年々上昇しており、熱中症対策の重要性もますます高まっています。
※1参考:総務省「令和6年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況」
熱中症が起きるメカニズム
人間は通常、体温が上昇したとしても汗をかいたり(気化熱)、皮膚の表面から熱を逃がしたり(熱放散)して、体温を調節しています。しかし、高温多湿な環境に長時間いると、体内の熱を上手く外に逃がせません。
さらに、汗を大量にかくと体内の水分や塩分が減っていき、血流が悪くなります。次第に汗をかけなくなっていき、熱は溜まって体温が急上昇し、熱中症を引き起こすのです。
熱中症を引き起こす原因
熱中症は暑い真夏の時期だけでなく、湿度の高い梅雨の時期にも起こりやすくなります。熱中症を引き起こす原因は、環境・身体・行動の3つに分けられるのが特徴です。
環境要因 | ・気温が高い ・湿度が高い ・風が弱い ・日差しが強い |
身体要因 | ・高齢者、乳幼児、肥満体形の人 ・障害を持っている人 ・持病を抱えている人 ・低栄養状態 ・脱水状態 ・体調不良 |
行動要因 | ・激しい運動 ・慣れない運動 ・長時間の屋外作業 |
乳幼児は大人に比べて汗腺や体温調節機能が未熟なため、脱水状態に陥りやすく注意が必要です。高齢者も体温調節機能が衰えてきているので、暑さに弱くなっています。
【レベル別】熱中症の主な症状

熱中症の症状は、重症度に応じて以下の3段階に分類されています。たとえレベル1(軽症)であったとしても、放置しておくのは危険です。自己判断せずに、まずは医療機関を受診するよう心掛けてください。自力で水分補給が難しい場合は、救急車を呼ぶ必要があります。
- レベル1|めまい・筋肉痛
- レベル2|頭痛・嘔吐・倦怠感
- レベル3|意識障害・痙攣・高体温
それぞれの症状について、詳しく見ていきましょう。
レベル1|めまい・筋肉痛
体から水分が減少すると、筋肉や脳、肝臓、腎臓などに十分な血液が行きわたりません。その結果、立ちくらみやめまい、失神を引き起こします。
また、大量の汗によって体内の塩分が減少すると、筋肉のこむら返りや筋肉痛、筋肉の硬直につながります。発汗しているからといって水分ばかり摂取していると、塩分不足に陥りやすくなるので注意が必要です。
レベル2|頭痛・嘔吐・倦怠感
発汗と脱水で皮膚に血液を奪われる上に、体の運動によって筋肉に血液が集中すると、心臓に戻る血液が少なくなります。心拍出量が減少すると循環血液量も減少し、循環不全を引き起こします。その結果、頭痛や嘔吐、倦怠感などの全身症状へとつながるのです。
レベル3|意識障害・痙攣・高体温
脱水と循環不全がさらに悪化すると、発汗と皮膚血管拡張ができなくなり、体温は40℃以上にまで上昇します。重要臓器の機能に障害が起き始め、意識障害や痙攣を引き起こします。
昏睡状態に陥っていなかったとしても、応答が鈍くなっていたり、言動がおかしくなっていたりする場合は注意が必要です。一度レベル3に達してしまうと、迅速な救急救命措置でも救命は困難になる場合があります。
熱中症症状のセルフチェックリスト
熱中症の症状が見られた時は重症度を的確に判断し、迅速な応急処置が必要です。熱中症症状のセルフチェックリストを確認し、必要に応じて救急車を要請しましょう。
重症度 | 症状 | 対応 |
Ⅰ度:軽症 | ・めまい、立ちくらみがある ・手足がしびれる、足がつる ・筋肉が痙攣する | ・応急処置 ・医療機関に受診する |
Ⅱ度:中等症 | ・自分で水分が摂れない ・全身に倦怠感がある ・虚脱感や脱力感がある ・頭痛がある ・吐き気や嘔吐がある | ・応急処置 ・医療機関を受診する ・救急車を要請する |
Ⅲ度:重症 | ・意識がない ・意識がもうろうとする ・無意味な言葉を発する ・簡単な質問に応えられない ・全身が痙攣している ・立ち上がれない ・まっすぐ歩けない ・不自然な言動をとる ・体温が40℃以上ある | ・救急車を要請する ・救急車到着まで応急処置 |
症状によって分類される熱中症の種類4選

熱中症は、高温多湿な環境下で起こる全身障害の総称です。重症度による分類だけでなく、症状の重さに応じても、以下の4種類に分類されます。
- 種類1|熱痙攣
- 種類2|熱虚脱
- 種類3|熱疲労
- 種類4|熱射病
それぞれの種類について、詳しく見ていきましょう。
種類1|熱痙攣
大量の発汗によって体内の塩分(ナトリウム)が不足し、水だけを補給した場合に起こるのが「熱痙攣」です。四肢や腹部の筋肉に痛みが生じ、筋肉の痙攣を引き起こします。
手やふくらはぎ、足、太もも、腕などの筋肉が強い収縮を起こすと、筋肉が硬くなって緊張するため、痛みも伴うのです。軽度の熱痙攣は、涼しい場所での休憩や塩分の摂取によって回復します。痛みを和らげるには、痙攣している筋肉のストレッチが効果的です。
種類2|熱虚脱
心拍数の増加が一定限度を超えて、脳への血流が不足した場合に起こるのが「熱虚脱」です。人間は体温が上昇すると、熱を体外に逃がすために発汗や末梢血管の拡張を行います。
その結果、脳や内臓に送られる血液が不足するため、心拍数を増加させて補おうとするのです。熱虚脱では、全身倦怠や脱力感、めまいが発生します。症状が重くなると、意識障害に陥るケースもあるほどです。まずは、涼しい場所で休息と水分補給を行いましょう。
種類3|熱疲労
大量の発汗で極度の脱水が起き、重要な臓器への血流が減少するために起こるのが「熱疲労」です。めまいやふらつき、歩行困難、失神、頭痛、吐き気などの症状が見られます。
症状と共に大量の発汗や心拍数・呼吸数の上昇、血圧低下などが確認された場合は、熱疲労を疑いましょう。体温は平熱もしくは微熱ですが、40℃を超えることはありません。熱射病に移行しないよう、早急に水分・塩分補給が必要です。
種類4|熱射病
熱疲労が悪化し、体温調節機能の失調や中枢神経障害が原因で起こるのが「熱射病」です。熱中症の種類の中では最も致死率が高く、緊急の治療を要します。
熱は40℃を超える場合もあり、発病前にめまいや吐き気、嘔吐、頭痛などが見られ、突然意識障害に陥ります。過度な運動や体調、衣服、気温などの条件によっては、短時間で熱射病まで移行するケースもあるため注意が必要です。
熱中症の初期症状がある場合の対処法

めまいや立ちくらみ、筋肉の痙攣がある場合は、その場で応急処置を行いましょう。重症化している場合も、救急車が来るまでの間は現場で体を冷やし始める必要があります。熱中症の初期症状がある場合の対処法は、以下のとおりです(※2)。
対処法 | ポイント |
①涼しい場所に避難する | 風邪通りの良い日陰やクーラーの効いている部屋に避難する |
②脱衣して体を冷やす | ・上着を脱がせて放熱を助ける ・下着を緩めて風通しを良くする ・皮膚に濡らしたタオルを当てる ・うちわや扇風機で冷風を当てる ・冷えた飲み物を前頸部、脇の下、股関節部に当てる ・体温の冷却は早ければ早いほど効果がある |
③水分・塩分を補給する | ・冷たい飲み物を持たせて、飲んでもらう ・大量の発汗がある場合は、塩分も補給する ・意識が明瞭なら、冷やした水分を口からどんどん与える ・応答がおかしかったり、吐き気があったりする場合は、口から水分を与えない(早急に点滴が必要) |
④医療機関に受診する | ・自力で水分を摂取できない場合は、救急車を要請する ・発症までの経過や症状を医療機関側に伝える |
※2参考:熱中症予防情報サイト「熱中症はどのようにして起こるのか」
屋内外の熱中症対策に必要なグッズ5選

熱中症といえば炎天下の屋外で発症するイメージがありますが、高温多湿な屋内でも十分に発症する可能性があります。熱中症の予防には、体に熱を溜め込まない工夫が欠かせません。屋内外の熱中症対策に必要なグッズは、以下のとおりです。
- ポータブルクーラー
- 冷却ベスト
- ネッククーラー
- 冷感タオル
- 冷感敷きパッド
それぞれのグッズについて、詳しく見ていきましょう。
ポータブルクーラー
屋内外問わず、素早く空間を冷却できるアイテムが、ポータブルクーラーです。エアコンのように室外機は必要なく、自宅に届いてすぐに使用できます。バッテリーを搭載しているタイプであれば、コンセントも必要ありません。
EcoFlowは、空間温度をわずか15分で約8℃下げる、1.8kWの冷却性能を備えたポータブルクーラー「WAVE 3」を販売しています。「WAVE 3」の特徴は、以下のとおりです。
- バッテリーパックで最大8時間連続稼働する
- 高品質のLFPバッテリーを採用し、10年間も熱中症対策として活躍する
- AC充電とソーラー充電を組み合わせて、最短75分で満充電できる
- スマートフォンで使用状況のモニタリングやモード切替などができる
- 別売りの窓シートを使えば、排気ダクトが簡単に取り付けられる
冷房だけでなく、暖房や除湿、送風機能も搭載しているので、一年中活躍すること間違いありません。アウトドアや車中泊、スポーツ観戦など、炎天下の屋外で活動する際には、欠かせないアイテムと言えるでしょう。
暑い季節の熱中症対策を万全にしたい方は、ぜひ製品情報をチェックしてください。

冷却ベスト
炎天下の中に長時間滞在する場合は、冷却ベストがあると安心です。冷却ベストとは、保冷剤や気化熱を利用して冷却効果を発揮するベストを指します。
冷却ベストは太い静脈が通る脇の下も冷却してくれるので、冷やされた血液が体内に循環し、効率的に体全体を冷やせるのです。夏場は蒸れにくいメッシュタイプを選びましょう。
ネッククーラー
首に掛けるネッククーラーは、首元を直接冷やせる熱中症対策グッズです。首には太い血管が通っているため、首回りを冷やすと効率的に体温を下げられます。
キャンプやフェスなど、長時間屋外で活動する際には、充電式の電動ネッククーラーがおすすめです。一方、短時間の使用には、凍らせて使うクールネックリングが向いています。
冷感タオル
体に当てて冷感効果が得られる冷感タオルも、夏にぴったりな熱中症対策グッズです。濡らして絞って振るだけで、気化冷却によって冷却効果が発揮されます。
冷却力は何度でも復活するので、長時間の屋外作業には必須アイテムと言えるでしょう。顔や首まわりに巻いておけば、日焼け対策にも役立ちます。
冷感敷きパッド
冷感敷きパッドは、夏の寝苦しい夜でも冷たさを感じながら眠れる熱中症対策グッズです。接触冷感素材を採用しているので、体にこもった熱が逃げて、ひんやり感を得られます。
触った瞬間にひんやり感を得たい方は、接触冷感の高さを表す「Q-max値」が0.15W/cm2以上あるタイプを選びましょう。中綿が薄めなら、熱がこもりにくく快適に眠れます。
熱中症の予防に欠かせない対策3選

熱中症の初期症状を見逃すと、重症化して命に関わります。特に寝不足が続いていたり、疲れが溜まっていたりする時は要注意です。熱中症の予防に欠かせない対策を紹介します。
- 対策1|こまめに水分補給を行う
- 対策2|外出時は日陰を歩く
- 対策3|吸水性・速乾性に優れた服装を着る
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。
対策1|こまめに水分補給を行う
高温多湿な環境では、気づかぬうちに汗をかき、体内の水分は奪われています。喉が渇いたと感じる前に、こまめな水分補給を心掛けましょう。
発汗すると塩分も同時に失われてしまうので、スポーツドリンクがおすすめです。反対に、カフェインが含まれた飲み物には利尿作用があるため、水分補給には適していません。
対策2|外出時は日陰を歩く
直射日光を浴びている時間が長くなればなるほど、熱中症のリスクは高まります。外出する際には、できるだけ日陰を歩いて直射日光を避けましょう。
どうしても日陰がない場所では、帽子や日傘が効果的です。室内にいる時は遮光カーテンやブラインドで日光を遮り、エアコンで室温・湿度を調整してください。
対策3|吸水性・速乾性に優れた服装を着る
着用している服装も、外からの熱の吸収を防ぎ、体内の熱を排出する重要な役割を担います。吸水性・速乾性に優れた綿や麻の服装を選べば、衣服の中に熱がこもりません。
色は、熱を吸収しにくい白や淡い色がおすすめです。特に黒い服は熱を吸収してしまうため、夏の服装には向いていません。肌着を着用すれば、汗の蒸発を助けてくれます。
熱中症の症状に関するよくある質問

最後に、熱中症の症状に関するよくある質問を紹介します。
- 子供・高齢者・犬別の熱中症症状は?
- 子供に熱中症症状があった翌日の過ごし方は?
- 熱中症は夜になってから症状が現れるケースもある?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
子供・高齢者・犬別の熱中症症状は?
子供・高齢者・犬別の熱中症症状は、以下のとおりです。
子供 | ・栄養バランスの良い食事や適度な運動を心掛ける ・普段から徐々に暑さに慣れさせる |
高齢者 | ・入浴前後や起床後にまずは水分補給する ・エアコンや扇風機を活用する |
犬 | ・お散歩は涼しい時間に行く ・首に濡らしたタオルを巻く |
子供に熱中症症状があった翌日の過ごし方は?
子供に熱中症の症状があった場合、翌日にふらつきや食欲低下、吐き気などの症状がなければ、学校に行っても問題ありません。熱中症は回復さえしていれば、普段通りに過ごせるのが特徴です。ただし、翌日も症状が続いている場合は、医療機関を受診しましょう。
熱中症は夜になってから症状が現れるケースもある?
熱中症は、夜になってから症状が現れるケースもあります。日中帯に失われた水分や塩分が補給されなければ、脱水状態が続き、熱中症を発症するのです。
特に高齢者や子供は回復に時間がかかるので、高温多湿な環境にいた翌日までは、熱中症の症状が現れるリスクを考慮しましょう。
まとめ

本記事では、熱中症の主な症状について解説してきました。
熱中症の初期症状には、めまいや立ちくらみ、筋肉の痙攣などが挙げられます。その後、虚脱感や頭痛、吐き気に襲われ、最終的には意識障害や全身の痙攣につながるのです。
熱中症の初期症状が現れた際には、涼しい場所に避難し、体を冷やしましょう。大量に発汗している場合は、水分・塩分を補給する必要があります。軽症であったとしても、応急処置が終われば医療機関を受診してください。
EcoFlowは、熱中症対策に役立つポータブルクーラーを販売しています。室内外問わず、空間を素早く冷却したい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。
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