企業にとって防災対策は、従業員の安全と事業継続を守るうえで欠かせません。しかし、具体的にどのような対策を講じるべきか悩む経営者は多いはずです。
日本は地震や台風など自然災害が多い国であり、近年では異常気象による被害も増加しています。そのため、従業員の安全確保と資産保護のために、適切な防災対策を講じる必要があります。
この記事では、企業防災とはなにか、企業の防災対策が必要な3つの理由、直面する可能性のある災害の種類とリスク、備えておくべき防災対策5選をわかりやすく解説します。
企業防災について知りたい方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
企業防災とは?

企業防災とは、企業が自然災害やその他の緊急事態に備えて行う対策の総称です。
従業員の安全確保や事業継続、資産保護を目的とし、災害発生時の被害を最小限に抑えるための取り組みを指します。
主な取り組みは、以下の通りです。
- 災害時の行動計画策定
- 防災設備の整備
- 従業員への教育訓練
企業防災は法令遵守にとどまらず、企業の社会的責任を果たすうえでも重要な役割を担っています。適切な防災対策を講じれば、従業員や取引先、地域社会からの信頼を高められます。
また、災害発生時に迅速かつ適切な対応をとると、企業の信頼性向上にもつながるでしょう。
さらに、企業防災は事業継続計画(BCP)と密接に関連しています。事業継続計画(BCP)を策定し、定期的に見直せば、災害発生時でも重要な業務を継続できる体制を整えられます。
企業の防災対策が必要な3つの理由

ここでは、企業の防災対策が必要な3つの理由を解説します。
日本は自然災害が多いため
自然災害の多い日本では、企業の防災対策が欠かせません。
日本は地理的・地質的な特性から、地震や台風、豪雨といった自然災害が頻繁に発生します。環太平洋造山帯に位置し、4つのプレートが交わる日本列島では、地震活動が活発です。
また、台風の通り道にあたるため、毎年のように強風や豪雨による被害に見舞われます。
近年では、地球温暖化の影響により異常気象が増加しており、これまで経験したことのない大規模な自然災害が発生するリスクが高まっています。2018年の西日本豪雨や、2019年の台風19号による被害は記憶に新しいところです。
このような状況下で、企業が防災対策を怠れば、従業員の安全や事業継続に深刻な影響を及ぼす可能性があります。そのため、防災対策は日本の企業にとって欠かせません。
従業員の安全を守るため
企業にとって、従業員の安全を守ることは欠かせない責務です。
労働契約法第5条では、使用者(企業)に対して労働者の安全確保のための必要な配慮を義務付けています。これは法的要求以上に、企業の社会的責任として重要な意味を持ちます。
災害が発生した時に、従業員の安全が確保されていないと、企業は社会的信用を失うだけでなく、法的責任を問われる可能性もあるでしょう。
また、従業員の安全が脅かされれば、モチベーションの低下や離職率の上昇につながり、長期的な企業の競争力低下を招く恐れがあります。特に、東京都では帰宅困難者対策条例が制定されており、企業は従業員の安全確保のための具体的な対策を講じなければいけません。
このような従業員の安全を最優先に考えた防災対策の実施が企業には求められています。
事業を継続させて資産を守るため
災害が発生した時に事業継続が困難になると、企業は深刻な経済的損失を被る可能性があります。
取引の中断や生産停止により、売上の減少や市場シェアの低下、取引先との関係悪化など、さまざまな悪影響が生じるかもしれません。
また、物理的な資産の損壊や重要性の高いデータの喪失といった、直接的な被害も想定されます。
このような事態を防ぐには、事業継続計画(BCP)の策定が欠かせません。
事業継続計画(BCP)は、災害発生時に重要業務を継続または早期に復旧させるための計画です。適切な策定と定期的な見直しを実施すれば、災害時の混乱を最小限に抑え、迅速な事業再開を実現できます。
さらに、防災対策の一環として、データのバックアップや分散保管、代替拠点の確保など、資産を守るための施策を講じなければいけません。
これらの対策をすれば、災害が発生した時でも資産を保護できるほか、事業の継続性を確保できます。
企業が直面する可能性のある災害の種類とリスク

ここでは、企業が直面する可能性のある主な災害の種類とリスクを詳しく解説します。
地震
日本は世界有数の地震大国であり、企業にとって地震は警戒すべき災害のひとつです。
建物の倒壊や設備の損壊、火災の発生など、さまざまな被害が想定されます。地震による被害は、従業員の安全を脅かすだけでなく、事業の継続に深刻な影響を与える可能性があります。
また、地震による間接的な被害も無視できません。交通網の寸断によるサプライチェーンの混乱、電力・通信インフラの停止による業務の中断、取引先の被災による経済的損失など、さまざまな二次的影響が考えられるでしょう。
さらに、長期的な視点では、風評被害や顧客離れといった問題も発生する可能性があります。
今後30年以内に70%の確率で起きると言われる首都直下型地震で懸念される被害や対策については、以下の記事をご覧ください。
→首都直下地震はいつ起きる?最新の発生確率・被害想定や必要な対策も解説
豪雨・台風
近年は気候変動の影響により、これまでにない規模の豪雨や台風が頻発しています。
浸水被害や土砂災害、強風による建物損壊など、被害を広範囲にわたってもたらす可能性が高いです。
豪雨や台風による被害は、事業所や工場の操業停止、物流網の寸断、従業員の出勤困難など、さまざまな形で企業活動に影響を及ぼします。また、浸水による重要機器やデータの損失、長期的な復旧作業による生産性低下なども懸念されます。
さらに、気象情報の見誤りによる対応の遅れが、被害を拡大させるリスクもあるため注意が必要です。
特に河川近くや低地に立地する企業は、水害のリスクが高いため、対策を慎重に立てなければいけません。
台風とハリケーンの違いについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
→台風とハリケーンの違いは?風害に関する言葉や備え方を詳しく解説!
津波
沿岸部に立地する企業からすると、津波は甚大な被害をもたらす可能性のある災害です。
地震に伴って発生するケースが多く、短時間で広範囲に被害が及ぶ特徴があります。津波による被害は、建物の流失や設備の損壊、従業員の人的被害などです。
また、津波は海水を運ぶため、塩害による機器の故障や土壌汚染といった二次的な被害も発生します。
これらの被害は、長期的な事業中断や多額の復旧費用を必要とする可能性があります。さらに、津波警報発令時の避難行動の遅れや判断ミスが、人的被害を拡大させるリスクも懸念されます。
火災
火災は、自然災害だけでなく人為的要因によっても発生する可能性があるため、企業は常に警戒が必要な災害です。
火災が発生すると、建物や設備の焼失、重要書類やデータの消失、従業員の負傷など、直接的な被害が想定されます。特に、化学物質を扱う工場や多くの電子機器を使用するオフィスでは、火災のリスクが高くなるでしょう。
火災による間接的な被害にも、注意しなければいけません。煙害による健康被害、消火活動に伴う水損、近隣への延焼による賠償責任など、さまざまな二次的影響が考えられます。
また、火災後の事業再開には多大な時間と費用がかかる可能性があるため、長期的な経営への影響も懸念されます。
大雪
大雪は建物の倒壊や設備の損壊、交通網の麻痺などの被害が想定されます。
従業員の出勤困難や物流の停滞を引き起こし、事業活動に大きな支障をきたす可能性があるため対策が欠かせません。
また、大雪が降ったあとの急激な気温上昇による雪解け水が引き起こす浸水被害や、路面凍結による事故のリスクも考慮する必要があります。
さらに、除雪作業中の事故や、屋根からの落雪による人的被害も懸念されます。
大雪対策を怠ると、長期的な事業中断や従業員の安全確保に問題が生じるため、注意が必要です。
サイバー攻撃
デジタル化が進む現代社会において、サイバー攻撃は企業にとって脅威です。
主に以下のような被害が挙げられます。
- 重要データの漏洩や改ざん
- システムの停止
- 金銭的損失
特に、顧客情報や機密情報が流出した場合、企業の信用失墜につながる可能性があります。
また、ランサムウェア攻撃によるデータの暗号化や、DDoS攻撃によるサービス停止など、事業継続に直接的な影響を与える攻撃も増加しています。
さらに、サプライチェーン攻撃により、取引先を経由して被害が拡大するリスクもあるでしょう。
サイバーセキュリティ対策の不備は、法的責任を問われる可能性があるため十分な対策が必要です。
企業が備えておくべき防災対策5選

企業が効果的な防災対策を講じるには、多様な取り組みが必要です。
ここでは、企業が備えておくべき防災対策5選を詳しく解説します。
事業継続計画(BCP)の策定
事業継続計画(BCP)は、災害が発生した時に企業が業務を継続、または早期に復旧させるための計画です。
策定には自社の重要業務を特定し、潜在的なリスクを分析することから始めます。
次に、災害発生時の具体的な対応手順や、必要なリソースの確保方法を定めます。なお、以下の要素を盛り込まなければいけません。
- 指揮命令系統の明確化
- 従業員の安否確認方法
- 代替拠点の設定
- 重要データのバックアップ体制
また、策定した計画は定期的に見直し、訓練を通じて実効性を検証する必要があります。
事業継続計画(BCP)を適切に運用すれば、災害時の混乱を最小限に抑え、迅速な事業再開を実現できるでしょう。
防災グッズの準備・管理
防災グッズの準備は、従業員の安全確保と初期対応のために欠かせません。
オフィスや事業所には、以下の防災グッズを用意しておきましょう。
- 最低3日分の食料や飲料水
- 携帯ラジオ
- 懐中電灯
- 救急用品
また、従業員数に応じた数量を確保し、定期的に内容物の点検と更新を行う必要があります。 特に、備蓄品の保管場所と管理方法には注意しなければいけません。
地震や水害時にも安全にアクセスできる場所を選び、誰もが迅速に取り出せるよう、保管場所を全従業員に周知しておいてください。
また、アレルギー対応食品や女性用品など、多様なニーズに対応した備蓄品を用意する配慮も欠かせません。モバイルバッテリーや簡易トイレなど、近年の災害経験を踏まえた新たな防災グッズの導入も検討しましょう。
その他、必要性の高い防災グッズについては、以下の記事をご覧ください。
→【2025年】防災グッズで本当に必要なものランキング15位!グッズの選び方も紹介
防災マニュアルの作成および周知
防災マニュアルは、災害発生時に従業員が取るべき行動を明確に示す文書です。
マニュアルには、以下の具体的な対応方法を記載します。
- 避難経路や集合場所
- 初期消火の方法
- 負傷者の救護手順
- 各従業員の役割分担
- 緊急連絡網の使用方法
作成した防災マニュアルは、全従業員に配布し、定期的な研修を通じて内容の周知徹底を図ります。特に、新入社員や転入者に対しては、入社時や異動時に説明を行うようにしましょう。
防災マニュアルは定期的に見直し、最新の防災知識や社内状況を反映させると、実効性を維持できます。
防災訓練の実施
防災訓練は、従業員の防災意識を高め、実際の災害時に適切な行動をとるための取り組みです。
主な訓練内容は、3つあります。
- 避難訓練
- 消火訓練
- 救急救命訓練
これらを定期的に実施すると、従業員の対応力を向上できます。
また、訓練を通じて、防災設備の使用方法や避難経路の確認も行いましょう。
さまざまなシナリオを想定して実施すると効果的です。例えば、勤務時間内の地震発生、夜間の火災発生、豪雨による浸水など、異なる状況下での訓練を行えば、より実践的な対応力を養えます。
訓練後は課題や改善点を洗い出し、次回の訓練や防災計画に反映させる意識が大切です。
テレワーク・リモートワークの導入
テレワークやリモートワークの導入は、災害時の事業継続性を高めるために有効な手段です。
従業員が自宅やサテライトオフィスから業務を行える体制を整えれば、オフィスが被災した場合でも事業を継続できる可能性が高まります。
また、感染症の流行時にも有効な対策になるでしょう。
ただし、テレワーク導入には、セキュリティ対策や業務効率化のためのツール導入、労務管理の見直しなどが必要です。クラウドサービスの活用やVPNの整備により、社外からでも安全に社内システムにアクセスできる環境を構築すべきです。
また、Web会議システムやチャットツールを導入すれば、円滑なコミュニケーションを確保できます。
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また、太陽光パネルと併用すると、長期的な電力供給が可能になり、災害時の事業継続に大きく貢献してくれるでしょう。
さらに、急速充電機能により56分でフル充電できるため、緊急時の対応力も高いです。
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まとめ
企業防災とはなにか、企業の防災対策が必要な3つの理由、直面する可能性のある災害の種類とリスク、備えておくべき防災対策5選を解説しました。
企業防災は、従業員の安全確保と事業継続の両面から見て欠かせません。特に、事業継続計画(BCP)の策定と定期的な見直し、防災訓練の実施、テレワーク体制の整備は、現代の企業にとって不可欠な取り組みといえるでしょう。
また、EcoFlow DELTA 3 Plusのような高性能ポータブル電源の導入は、停電時の事業継続性を高める有効な手段です。状況や予算に応じて、適切な防災対策を選択し実施していきましょう。
ただし、防災対策は、一度実施すれば終わりではありません。定期的な見直しと改善を行い、常に最新の状況に対応できる体制を整えることが大切です。