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ふだんも災害時も役立つレインウエア 徹底活用術

災害時、雨が降っている確率は高そう

みなさんは防災グッズとしてレインウエアを用意していますか?災害が起こった時のために、いつも使っているものとは別のレインウエアを、防災リュックに入れているかもしれません。

でも、考えてみたら毎年かなりの頻度で雨は降っています。日本は世界でも多雨地域でもあるモンスーンアジアの東端にあります。年平均の降水量は、世界平均の2倍です。そして、春雨から始まり梅雨、7月豪雨、台風、秋雨と春から秋にかけては、かなりの頻度で雨が降っています。さらに、最近は5年連続「7月豪雨」が起こっていて、7月だけかと思ったら今年は8月にも線状降水帯による洪水や土砂災害の被害をもたらしました。温暖化の影響もあって、各地で豪雨災害が常態化している昨今です。

これらからわかることは、地震も含めて、災害が起こった時に雨が降っている確率は、決して低くないということです。レインウエアは、災害時用と考えて、特別に備えておくよりも、もっと使用頻度の高い、ふだんからの雨対策グッズと考えて、常に備えておく方が現実的だと思うのですが、いかがでしょうか?

山でレインウエアの装備が必須の深いワケ

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ところで、登山の装備でレインウエアは必需品です。山ではいつ雨が降るかわからないので、レインウエアを備えることは、当たり前のように思われるかもしれません。でも、ここにはもっと深いワケがあるのです。

もしあなたの周りに登山が好きな方がいたら、「レインウエアの装備が重要なのはなぜ?」と質問してみてください。おそらく、「レインウエアだけで、そこまで!?」と思うくらい、熱く語ってくれるはずです!
なぜかというと、登山でレインウエアを備えることは、命を守ることに直結しているからです。日常生活で雨に濡れても、それで命を落とすというイメージではないですよね。でも、山では違うのです。昔の登山ドラマやマンガで、「寝るな!寝ると死ぬぞ!」と頬を叩くシーンがあったのはご存知ですか?だから、なんとなく、山で寒くなったらとにかく寝てはいけないと思っている人もいますが、それだと雪山でテントに泊まることもNGになってしまいます。寝ること自体が危険というよりも、そもそもなぜ、寒いと眠ってしまうのかという点に注目してください。体の深部体温が35度以下になってしまう低体温症になると、その結果として、意識を失うことがあるのです。これは、ただの眠気とは違います。体温が下がることで、脳に酸素が行き渡らなくなるため、山で低体温症になると意識喪失までが早いと言われています。

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そして、なぜ低体温症になってしまうのかといえば、最大の原因が、濡れることです。濡れると液体を気体に変える時に熱を奪う現象である気化熱によって体温が奪われ続けるからなのです。だから、山では、「寝るな!」という前に、「濡れるな!」を意識する必要があり、それゆえにレインウエアは、命を守るための必須アイテムなのです。

近年の低体温症の有名な遭難事例は、2009年7月に北海道の大雪山系トムラウシ山で起きた8名の死亡事故です。夏山ですが、暴風雨によって体温が奪われたことが検証報告されています。その後も、2012年5月長野県白馬岳の6名の遭難事故、2018年には新潟県五頭連峰の標高1,000m以下の山で親子が命を落としています。夏でも標高が低くても低体温症になっています。

山で濡れる原因は主に2つです。雨や雪など天候や環境によるものと、汗をかくことです。まず雨や雪の対策としては、防水のレインウエアを備えることが重要になります。ここで大切な数値は耐水圧です。暴風雨になると水圧がかかります。イメージとして、耐水圧が1万mm以上あるものは、大人が水たまりの上に体重をかけて座っても滲みてこない性能です。傘の耐水圧よりも山用のレインウエアの方が、耐水圧が高いことになります。 ただ、昔は、防水性(耐水圧)を高めると、その分、服の中がムレムレになって内部が濡れていました。「濡れない」と「蒸れない」は、両立させることが難しかったのです。

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でも、今では、防水でありながら透湿性もある、防水透湿素材(透湿防水素材ともいう)が開発されています。雨や雪よりも小さい微細な孔があいているので、雨や雪を内部に通しませんが、水蒸気は外に放出することが可能です。 このような、「濡れない」「蒸れない」技術の進歩によって、山で命を落とす人が減ってきたのです。

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さて、ここで災害時に話を戻します。災害時も登山の時と同様、自然の驚異とそのまま向き合わなければならない可能性があります。津波から避難する時は、多少の豪雨でも走って避難が必要になるかもしれません。津波の心配がなくても、降り続く雨の中、土砂災害を避けるため、急いで避難することもあるかもしれません。その時、濡れてしまえば、山岳遭難と同様、低体温症の危険が伴います。防水透湿素材のものであれば、「濡れない」「蒸れない」状態で避難できます。そして、それがいつも使っているレインウエアであれば、どこに置いてあるかもすぐわかるので、急ぎの避難でも着用しやすいです。いつも性能のよいものを使っていると、災害時だけでなく、いつもが快適です。

レインウエア 5つの徹底活用術

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写真 野外保育ゆたか

とはいえ、性能がよいレインウエアだとお値段もそれなりです。だから、提案したいのは、徹底活用することです。

1、雨や雪対策そして防寒にも 

まず、雨の時と雪の時に使うのが定番です。さらに風の日にもおすすめなのです。勘違いしている人もいるのですが、防水透湿素材は、透湿性があっても、風は通さない素材なのです。だから、風が吹いている時、防風の服として使います。低体温症の原因は濡れることといいましたが、その際、風が強く吹いていると、概ね、風速1mで体感温度は1度下がると言われています。だから、風を防ぐということも、寒さ対策としてとても重要なのです。

2、夏の虫除けに

防寒にも使えるレインウエアですが、夏に使えるかというと、使います!キャンプをしている時、蚊などが寄ってくるだけで嫌ですよね。そんな時、このレインウエアを着ると、蚊の針よりも孔が小さいので、物理的に刺されないのです。でも、夏はさすがに暑すぎて蒸れてくるので、夕方など少し涼しくなってから使う技でもあります。

3、1年中使う 何年も使う SDGSとしても

この様に、1年中活躍する場面が多いと、割高でも納得のいくものを持っておこうと思ってくれる人が増えたらいいなと思います。

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表示に従ってきちんとお手入れすれば、長くもちます。洗濯もしたほうがいいですし、天日干しではなく乾燥機や低温のアイロンをかけが推奨されている場合もあります。使用頻度や使用状況にもよるので、一概に何年もつとはいえませんが、リペアもしながら使うので、数年使えます。よいものを修理しながらより長く使うことは、ゴミも減らせるのでSDGSにつながります。

4、衣類を減らせる=転倒する家具を減らせる

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山用のレインウエアは、コンパクトに収納できるのです。そして、様々な場面に使うので、上着の量を減らせます。服の量が減らせると、転倒してくる家具も減らすことができます。防災といえども、モノを増やしすぎない、減らせる防災も目指せます。

5、お子さんのいるご家庭では、赤ちゃんからキッズになるまで1枚を6年間活用

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キッズの場合、成長によってあっという間にサイズアウトしてしまいます。防水透湿素材はもったいないので、諦めようかなと思った時、レインウエアを親子でジョイントさせて赤ちゃんコートにする技を思いつきました。ファスナーの規格(品番)が同じであれば、レインウエアのメーカーが違ってもコートのようにジョイントできます。山用のレインウエアは、低体温症防止のために、雨が降ったら間髪入れず着用できるように、ファスナーはどれも高品質であることが多いので、ジョイントさせやすいのです。赤ちゃんの時は、コートとして、成長すれば、まず上着だけを着せて、もっと成長すれば上下を着て、としていたら、うちの場合は、6年間使い続けることができました。

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参考写真 講演の時に撮影したもの

以上、レインウエアの重要性と徹底活用術、いかがでしたでしょうか?豪雨災害も頻発する昨今なので、レインウエアは、ふだんも災害時も、しっかり命を守るものを徹底活用してみていただければ嬉しいです。

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