エアコンの理想的な温度は、多くの場面で20度だと言われています。20度に設定すると、エネルギー消費を抑えつつも快適な環境を維持できます。
しかし、20度に設定しても寒いと感じてしまうこともあるでしょう。寒いと感じる理由としては、室内の温度差が大きい、体感温度が低いなどが挙げられます。そんな場面では、快適に過ごすための工夫が必要です。
そこで今回は、エアコンの理想的な温度設定、20度に設定しても寒い理由、快適に過ごす方法について解説します。エアコンを効率的に活用し、快適な空間を維持したい方は最後までご覧ください。
エアコン(暖房)は20度が適切?理想的な温度設定
エアコンの暖房時の温度は、多くの場面で20度が適切だと言われています。この20度という温度設定は、エネルギーの消費を抑えつつも、快適な室内環境を維持できる1つの基準となっています。
環境省の「家庭のエネルギー事情を知る」では、「快適性を損なわない範囲で省エネルギーを目指すために、室温を夏季28℃、冬季20℃とすることを推奨しています(設定温度ではありません)。また、エアコン設定温度を1℃緩和した場合の消費電力量は、冷房時約13%、暖房時約10%削減されると見込まれています」と説明されています。
しかし、人によっては20度でも寒いと感じてしまう場合があるでしょう。体感温度は人それぞれで、実際の室温よりも寒く感じることもあるのが現状です。そんなときは、以下のような手順で温度の微調整を行いましょう。
【エアコン温度の調整方法】
- はじめに20度を基準に設定する
- 寒いと感じたら1〜2度ほど上げる
- 快適(少し暑い)と感じたら1〜2度ほど下げる
この手順を繰り返すことで、ご自身が快適と感じる適正温度を見つけられます。なお、室内の湿度も体感温度に影響を与えることを覚えておきましょう。
室内の湿度が高いと暖かく感じやすく、反対に湿度が低いと乾燥して寒さを感じやすくなります。これらのことから、快適な室内環境を維持するためには、エアコンの温度設定と一緒に室内の湿度を調整することが求められます。
エアコン(暖房)を20度に設定しても寒い理由
エアコンの暖房を20度に設定しても寒いと感じる場面が多々あります。この感覚にはいくつかの理由が存在します。
- 室内の温度差が大きい
- 体感温度が低い
- 断熱対策が不十分
エアコンを20度に設定しても寒いと感じる方は、以下の理由を確認してみてください。各理由の詳細を1つずつ解説していきます。
理由1.室内の温度差が大きい
室内に温度差があると寒さを感じやすくなります。特に部屋の角や窓際など、温度差が生じやすい場所では寒さをより感じてしまうでしょう。
例えば、エアコンの温度を20度に設定したとしても、部屋全体が20度に調整されず、室内で温度差が生じてしまう場合があります。この状態だと、場所次第で急に温度が下がってしまうことから、寒さを感じやすくなってしまうのです。
この問題を解決するには、部屋のなかを常に循環させる扇風機を使用したり、エアコンの風向きを調整したりすることが効果的です。
理由2.体感温度が低い
2つ目の理由は、体感温度が低いためです。体感温度とは人が実際に感じる温度のことで、外気温や湿度、衣服の厚みなど、さまざまな要因によって体感温度は変動します。
具体的には、湿度が低い日には実際の温度よりも寒く感じることが多く、一方で湿度が高くなると汗の蒸発が遅れ、体温が逃げにくくなります。このように温度が適切であっても、湿度や衣服など、ほかの要因によって寒いと感じてしまうことがあるのです。
体感温度を適切に保つためには、湿度を調整する加湿器の利用や、適切な衣服の使用が求められます。
理由3.断熱対策が不十分
部屋が寒く感じる主な理由として、断熱対策が不十分である点も挙げられます。断熱性が低いと室外の冷気が室内に伝わりやすく、エアコンを20度に設定しても寒さを感じてしまいます。
特に古い家やアパートでは窓の断熱性が低いことが多く、室外の冷気が直接部屋のなかに入り込むことがあります。また、隙間風も大きな原因となるでしょう。
【断熱対策が不十分である例】
- 建物が古く隙間がある
- 壁が薄く外の冷気を感じやすい
- 遮光カーテンを使っていない
断熱対策を強化することで部屋の温度を均一に保ちやすく、エアコンの消費電力の削減にもつながります。
エアコン(暖房)20度でも快適に過ごす7つの方法
エアコンの暖房を20度に設定することで、電気代の節約や環境への配慮に効果的です。しかし、温度設定が20度だと寒く感じる場合もあるでしょう。そんなときに役立つ、快適に過ごすための方法を7つ紹介します。
- サーキュレーターを使って空気を循環させる
- 加湿器で湿度を上昇させる
- フィルターと室外機を掃除して効率を高める
- 断熱対策を徹底する
- 厚着をして体を温める
- 温かい食べ物や飲み物で内側から温める
- 新しいエアコンに買い換える
冬場の電気代を節約しつつ暖かく快適に過ごしたい方は、以下の方法を検討してください。
方法1.サーキュレーターを使って空気を循環させる
1つ目は、サーキュレーターを使って空気を循環させる方法です。サーキュレーターを使用すると、エアコンの暖かい空気が部屋全体に循環し、暖房効果を高めることができます。
エアコンだけを使用する場合、温かい空気は上昇してしまいがちですが、サーキュレーターを使うことで温かい空気が部屋全体に行き渡ります。これにより、エアコンの温度を変えずに快適な環境を維持することが可能です。
例として、エアコンをつけてから5分後にサーキュレーターを起動すると、部屋の隅々まで暖かい空気が行き渡りやすくなります。
→扇風機の電気代は1ヶ月いくら?エアコンとの違いや効果的な節電方法を解説
方法2.加湿器で湿度を上昇させる
加湿器で湿度を上昇させることで体感温度が高まり、20度の温度設定でも快適に感じやすくなります。具体的には、冬場の乾燥した部屋に加湿器を設置し、湿度を40〜60%の間に調整するようにしましょう。
さらに、加湿器は肌の乾燥予防にも役立ちます。加湿器がない場合でも、以下の方法で湿度を調整できます。
- 洗濯物を部屋に干す
- ポットの蓋を開けてお湯を沸かす
- お風呂の戸を開けておく
加湿器が用意できない場合は、これらの方法で湿度を調整すると良いでしょう。湿度の調整により、20度の温度設定でも快適に感じられるはずです。
方法3.フィルターと室外機を掃除して効率を高める
エアコンの効率を高めることで、暖房20度でも部屋をしっかりと暖めることができます。そのためには、フィルターや室外機の掃除が必要です。
長い間掃除をしていないエアコンは、ホコリや汚れが溜まり、暖房性能が低下してしまいます。一方で、定期的にフィルターや室外機の掃除を行えば、エアコンの効率が向上し、電気代の節約にもつながります。
具体的には、フィルターは2週間に1度、室外機は年に1度の掃除が推奨されています。環境省によれば2週間に1度のフィルター掃除で、冷房使用時で4%、暖房使用時で約6%の節電効果があるとのことです。
方法4.断熱対策を徹底する
暖房を20度に設定しても寒さを感じる場合、断熱対策が不足している可能性があります。室内の暖かさを保つためには、冷気の侵入を防ぐことが重要です。主な対策方法は以下の通りです。
- 遮光カーテンを取り付ける
- 遮熱シートをを窓に貼り付ける
- 日よけのシェードを設置する
- 雨戸やシャッターを閉める
- ソーラーパネルを屋根に設置する
例えば、窓に断熱フィルムを貼る、ドア下の隙間に寒さ対策用のストッパーを設置するなど、いくつかの方法が考えられます。また、冬場の利用に適した厚手のカーテンを選ぶことで、窓からの冷気の侵入を減らすことが可能です。
方法5.厚着をして体を温める
暖房20度でも快適に過ごす方法として、厚着をして体を温めることをおすすめします。単純な方法ですが、厚着をして体を温めれば、エアコンの温度設定を変えずに暖を取ることが可能です。
特に綿やウールの素材は保温性が高く、冷気から体を守ってくれます。また、足元を温めることで全身が暖かく感じるので、靴下を2枚履きするなどの工夫も効果的です。
方法6.温かい食べ物や飲み物で内側から温める
寒さ対策として、体の内側から温める方法も有効です。特に内側からの冷えを感じる場面では、温かい飲み物や食べ物を取ることが推奨されます。
【内側から温める食べ物や飲み物】
- カレーライス
- 豚汁
- 温かいスープ
- カモミールティー
- ホットワイン
しょうがや唐辛子など、体を温める効果がある食材を摂取するのも良いでしょう。これにより、エアコンの暖房だけでなく、体の内側からも暖かさを感じることができます。また、これらの食べ物や飲み物は冷え性の方にもおすすめです。
方法7.新しいエアコンに買い換える
7つ目は、新しいエアコンに買い換える方法です。エアコンの効率や性能は、製品によって大きく異なります。古いエアコンは新しいモデルに比べて、暖房効果が低い傾向にあります。古いエアコンと新しいエアコンの比較は以下の通りです。
年間の消費電力 | 年間の電気代 | |
2012年製のエアコン | 901kWh | 27,931円 |
2021年製のエアコン | 768kWh | 23,808円 |
引用:2023スマートライフおすすめBOOK|一般財団法人 家電製品協会 省エネ家電 de スマートライフ
最新のエアコンはエネルギー消費を抑えつつ、部屋を効率的に暖める技術が搭載されています。また、センサー技術の進化により、部屋の冷え込みを感知して自動的に温度を調整する機能も備わっています。
導入費用はある程度かかってしまいますが、新しいエアコンは省エネ性能も優れているため、長期的に見るとプラスに働く場合が多いと言えます。快適な室内環境を構築するためにも、新しいエアコンの買い替えを検討してみてください。
→エアコンの節電方法を徹底解説!省エネエアコンの魅力、製品の選び方
エアコン以外の暖房器具|上手な活用方法
エアコン以外の暖房器具を有効活用することで、部屋の暖房効果をさらに高めることができます。エアコン以外の暖房器具として、主に以下のような製品が挙げられます。
暖房器具 | 特徴 |
電気毛布 | 直接体に触れるため、急速に暖かさを感じることができる。寝る前や寝ている間に使用するのが一般的。 |
ホットカーペット | 足元を中心に暖めるので、デスクワークやリラックス時に冷えを和らげる作用がある。 |
電気ストーブ | 部屋全体を均一に暖めることができる。消費電力が比較的高い場合が多い。 |
セラミックヒーター | コンパクトなサイズが多いため、場所を取らずに設置できる。 |
これらの暖房器具を併用すれば、より効率的に快適な環境を構築できます。扇風機やサーキュレーター、こたつなどを活用する方法もおすすめです。
なお、各暖房器具の電気代を算出したい場合は、「消費電力(kW) × 1kWhあたりの電気料金単価」の計算式を活用しましょう。全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価は「31円/kWh(税込)」です。
また、経済産業省の資源エネルギー庁が公表している「省エネ性能カタログ2022年版」では、15〜23畳用のエアコンにおける暖房の消費電力は平均で1,748Wとされています。この数値を基に計算すると、エアコンの暖房にかかる1時間あたりの電気代は54.2円が目安となります。エアコン以外の暖房器具の電気代については、以下の記事をご確認ください。
→暖房器具の電気代を比較|各製品の特徴と節電方法を詳しく解説
まとめ
本記事では、エアコンの理想的な温度設定、20度に設定しても寒い理由、快適に過ごす方法について解説しました。
エアコンの暖房時の温度設定は、多くの場面で20度が適切だと言われています。この20度という設定はエネルギーの消費を抑えつつも、快適な室内環境を維持するための1つの基準です。
しかし、エアコンの温度を20度に設定しても寒いと感じてしまう方もいるでしょう。寒いと感じる主な理由として、室内の温度差が大きい、体感温度が低い、断熱対策が不十分などが挙げられます。
寒いと感じるときは本記事で紹介した7つの対処法を参考にし、20度でも快適に過ごせる環境を構築してください。
エアコンの使用方法については、以下の記事で詳しく解説しています。ぜひご確認ください。