「エアコンの送風機能の電気代・消費電力は?」「効果的な活用方法を知りたい」という疑問がある方もいるでしょう。エアコンの送風は風を送り出す機能であり、冷房や暖房のように冷たい・暖かい空気が出るわけではありません。
室内の空気を循環させる役割があり、エアコンの冷房・暖房運転やサーキュレーターと比べて消費電力が少ないのが特徴です。送風機能を有効活用すれば、節電効果を得ることができるでしょう。
本記事では、エアコンの送風の仕組み、消費電力と電気代、効果的な活用方法について解説します。送風機能を使って電気代を抑えたい方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
エアコンの送風とは?
エアコンの送風とは、言葉通り風を送り出す機能のことです。冷房や暖房のように、冷たい・暖かい空気がエアコンから出るわけではなく、取り込んだ室内の空気をそのまま放出します。
送風は室内機にあるファンのみを用いて部屋の空気を取り込み、温度を変えずに風を室内に送り出すという仕組みです。つまり、扇風機やサーキュレーターと同じく、送風は部屋の空気を循環させる役割を果たします。
ただし、すべてのエアコンに送風機能が搭載されているわけではなく、古い機種には送風機能が搭載されていません。仮に送風機能がなかったとしても、室温が30度以下の状況で冷房を31度に設定すれば、自動的に送風と同じ効果が得られます。
エアコンの送風の消費電力・電気代
SHARPの26畳用エアコン「AY-R80X2」を利用した場合、送風の消費電力は16.9Whとなります。
エアコンの電気代は「消費電力(kwh)×1kWhあたりの電気代」で計算可能であり、1kWhあたり31円の「電力料金目安単価」をもとに計算すると、1時間あたりの電気代は以下のように算出できます。
運転方法 | 消費電力 | 電気代 |
プラズマクラスター送風運転 | 16.9Wh(0.0169kWh) | 0.5239円 |
エアコンの送風を1時間利用しても、電気代はおよそ0.5円しかかかりません。なお、エアコンの送風を1日・1ヶ月・1年、それぞれ使い続けた場合の電気代は以下の通りです。
1日 | 1ヶ月 | 1年 |
約13円 | 約390円 | 約4,677円 |
1年間使い続けた場合でも約4,677円と、送風の電気代はかなり安いことがわかります。
冷房・暖房運転との電気代の違い
エアコンの送風と冷房・暖房では電気代が大きく異なります。SHARPの26畳用エアコン「AY-R80X2」を利用した場合、消費電力と電気代の差は以下のようになります。
運転方法 | 消費電力 | 1時間の電気代※ | 1ヶ月の電気代 |
送風 | 16.9Wh | 約0.5円 | 約390円 |
冷房 | 2,900Wh | 約90円 | 約66,960円 |
暖房 | 2,650Wh | 約82円 | 約61,008円 |
※ 1kWhあたり31円の「電力料金目安単価」をもとに「消費電力(kWh)×31円」で計算
冷房と送風の電気代を比較すると、1時間あたり約89.5円違います。1ヶ月の間つけっぱなしにした場合、66,570円もの差が生まれてしまいます。
扇風機やサーキュレーターとの電気代の違い
エアコンの送風と扇風機・サーキュレーターを比べた場合、送風のほうが電気代を安く抑えることができます。
例えば、IRIS OHYAMAの24畳用サーキュレーターでは、1時間あたり25Whと消費電力はエアコンの送風に比べて大きくなります。消費電力と電気代の比較は以下の通りです。
運転方法 | 消費電力 | 1時間の電気代※2 | 1ヶ月の電気代 |
エアコンの送風 | 16.9Wh | 約0.5円 | 約390円 |
サーキュレーター※1 | 25Wh | 約0.8円 | 約595円 |
※1 IRIS OHYAMAの24畳用サーキュレーター「サーキュレーターアイ DC JET ~24畳 インテリアモデル PCF-SDCC15T-W ホワイト」を使用した場合
※2 1kWhあたり31円の「電力料金目安単価」をもとに「消費電力(kWh)×31円」で計算
サーキュレーターと送風の電気代を比較すると、送風のほうが1ヶ月あたり約205円安くなります。そのため、現在サーキュレーターとエアコンを併用している方は、エアコンの送風と冷房を組み合わせたほうが、より効率的に節電対策を行える可能性があります。
→扇風機の電気代は1ヶ月いくら?エアコンとの違いや効果的な節電方法を解説
エアコンの送風機能の活用方法
送風機能の便利な使い方として、以下3つの活用方法を紹介します。効果的な節電対策を行いたい方は、ぜひ以下の項目を参考にしてみてください。
- 冷房使用前の換気
- 扇風機やサーキュレーターの代わり
- シーズン後のお手入れ
各方法を順番に解説していきます。
活用方法1.冷房使用前の換気
エアコンの送風を冷房使用前の換気に使うと効果的です。冷房を使う前に窓を開け、送風機能で換気を行うことで、効率的に部屋を涼しくすることができます。
エアコンは通常、設定温度と室温の差が大きいと、温度差を縮めようと一時的に消費電力が大きくなります。温度差が大きいほど電力のロスが発生しやすくなるため、真夏日などにいきなり冷房機能を使うと、結果的に電気代がかさみやすくなるのです。
一方で、窓を開けて送風機能を使って温度差を小さくしておけば、エアコンの稼働時間を減らし、消費電力を抑えられます。節電を行いたいなら、「送風で換気をしたあとに冷房を使う」という流れでエアコンを使うようにしましょう。
活用方法2.扇風機やサーキュレーターの代わり
扇風機やサーキュレーターの代わりに送風機能を使うという方法もあります。前述したように、エアコンの送風機能はサーキュレーターに比べて消費電力が小さいため、効果的な節電対策につながります。
【エアコンの送風機能を活用する流れ】
- エアコンの冷房機能を一定時間使用する
- 送風機能に切り替える
- 涼しい空気を部屋中に循環させる
- 一定時間経過したら冷房機能に切り替える
- (2)から繰り返す
サーキュレーターとエアコンの送風機能はそれぞれの風力に大きな差はないため、送風機能を活用したほうが経済的です。なお、SHARPのプラズマクラスター送風のような機能であれば、空気清浄機の効果も同時に期待できます。
活用方法3.シーズン後のお手入れ
送風機能はシーズン後のお手入れにも役立ちます。なぜなら、エアコンの送風機能はカビの付着を予防できるためです。
冷房使用後、エアコンの内部は湿度が高くなり、カビが生えやすい状態になります。その状態でシーズンを超え、長期間放置してしまうと黒いカビが発生し、嫌な臭いが残ることもあります。
その点、シーズン終わりに送風を使うことで、エアコン内部を乾燥させ、カビの発生を防ぐことが可能です。特に夏の終わりや冬の終わりには送風機能でのお手入れが効果的で、シーズン終了後は1ヶ月に1回程度、2〜3時間の送風が推奨されます。
エアコンの送風機能を使う際の注意点
エアコンの送風機能を使う際には、以下3つの注意点があります。送風機能を使って快適に過ごしたい方は、事前に注意点を理解しておきましょう。
- 室温調整はできない
- 除湿・ドライ機能の役割はない
- 直当ては体調不良につながる
各注意点を1つずつ解説します。
注意点1.室温調整はできない
1つ目の注意点は、送風だけでは室温調整を行えない点です。送風は室内の空気を循環させるだけなので、暖房や冷房のような効果には期待できません。
真夏日などに送風だけを使った場合、温度も湿度も変わらず、体調不良を招く恐れがあります。熱中症のリスクを避けるためにも、送風機能を使用したあと、必要に応じて暖房や冷房を活用するようにしましょう。
注意点2.除湿・ドライ機能の役割はない
勘違いされることもありますが、送風には除湿・ドライ機能の役割はありません。湿度をコントロールできないので、洗濯の部屋干しなどには向いていないのです。
送風機能は室内の空気を循環させる機能であるのに対し、除湿・ドライ機能はエアコン内部に搭載する「熱交換器」という装置を用いて、室内の湿度を調整しています。
そのため、衣類の乾燥や快適な湿度を保つことが目的なら、除湿・ドライ機能の利用が適しています。送風機能と除湿・ドライ機能は、目的に応じて切り替えて使用しましょう。
注意点3.直当ては体調不良につながる
体調不良につながる恐れがあるため、送風の直当てには注意が必要です。送風の風をそのまま体に当てると、気化熱で体温が奪われてしまいます。特に寝るときに送風をつけ、体に当てると風邪をひく恐れがあるため、以下のような工夫が求められます。
- 送風の向きや風量を調節する
- タイマー機能を使って入眠後に運転を停止させる
送風の適切な使い方は、風を部屋全体に均等に行き渡らせることです。体調不良を招かないよう、工夫して送風機能を使用しましょう。
エアコンの送風機能以外で電気代を抑える4つの方法
エアコンの送風機能を活用する以外にも、以下のような節電対策が考えられます。「月々の電気代を抑えたい」という方は、節電対策を検討してみてください。
- ドアや窓に隙間を作らない
- フィルターや室外機を掃除する
- 省エネエアコンに買い換える
- 太陽光発電システムで自家発電する
それぞれの方法を順番に解説していきます。
方法1.ドアや窓に隙間を作らない
ドアや窓に隙間を作らず、空気を逃さない工夫が大切です。暖めた・冷やした空気を逃さないことで、エアコンを効率的に使用できます。
例えば、100円ショップなどで購入できる「すきまテープ」でドアや窓の隙間を埋めるだけで、電気代の節約効果が見込めます。そのほか、遮光カーテンや遮熱シートを窓に取り付け、遮光・遮熱を徹底するという対策も有効です。
方法2.フィルターや室外機を掃除する
定期的にフィルターや室外機を掃除することも重要です。掃除することで以下のような効果に期待できます。
- 冷暖房性能が低下し無駄な電力を消費することを防ぐ
- エアコンの故障を防いで長期間利用できる
環境省によると、2週間に1度のフィルター掃除が推奨されています。また、環境省の特設サイトでは、フィルターの掃除により「冷房時で約4%、暖房時で約6%の消費電力の削減になります」と記載されています。
方法3.省エネエアコンに買い換える
3つ目は、省エネエアコンに買い換える方法です。省エネエアコンとは、高効率の冷媒を使い、消費電力を抑えたエアコンのことです。
高効率のエアコンに買い替えることで、年間の消費電力が減少し、電気代の節約効果に期待できます。古いエアコンと新しいエアコンの比較は以下の通りです。
年間の消費電力 | 年間の電気代 | |
2012年製のエアコン | 901kWh | 27,931円 |
2021年製のエアコン | 768kWh | 23,808円 |
上記の場合、2012年製と2021年製のエアコンでは1年間で約4,120円の差が生まれています。エアコンの製品によって消費電力・電気代の差は異なりますが、多くの場合で節電対策につながります。
→エアコンの節電方法を徹底解説!省エネエアコンの魅力、製品の選び方
方法4.太陽光発電システムで自家発電する
太陽光発電システムを構築し、自家発電を行えば長期的な節電につながります。自家発電を行うことで、電力会社から購入する電力量が減るため、結果として月々の電気代が安くなります。
太陽光発電システムの設置費用を抑えたい場合は、ポータブル電源とソーラーパネルを用いた方法がおすすめです。一般的な蓄電池と比べると、以下のように設置費用を抑えられます。
一般的な蓄電池とソーラーパネル | ポータブル電源とソーラーパネル |
250万円程度 | 15万円〜90万円程度 |
工事費用が不要で、なおかつメンテナンス費用も安く済むため、全体のコスト削減に期待できます。さらに停電時に家電製品を避難所で利用したり、アウトドアで活用できたりなどのメリットがあります。
「太陽光発電システムを手軽に構築したい」「初期費用を抑えたい」という方は、ポータブル電源とソーラーパネルの組み合わせをぜひご検討ください。
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まとめ
本記事では、エアコンの送風の仕組み、消費電力と電気代、効果的な活用方法について解説しました。
エアコンの送風は風を送り出す機能であり、冷房や暖房のように冷たい・暖かい空気を放出しません。送風の電気代は1日で約13円、1ヶ月で約390円、1年で約4,677円と非常に安く、エアコンの冷暖房機能やサーキュレーターと比べて消費電力を抑えられます。
エアコンの送風機能以外で電気代を抑える方法として、ドアや窓に隙間を作らない、フィルターや室外機を掃除する、太陽光発電システムの導入などが挙げられます。
太陽光発電システムの導入を考えている方は、本サイトを運営するEcoFlowのセット商品を検討してみてください。「初期費用を抑えたい」「緊急時やアウトドア活動で使いたい」という方にもおすすめです。