台風やゲリラ豪雨によって排水機能が停止すると、住宅の通気口から水が侵入して床下浸水を引き起こす恐れがあります。ひとたび床下浸水の被害に遭うと、土砂や下水を含んだ汚泥の影響で家中に悪臭が漂い、雑菌が繁殖しやすくなるため、不衛生です。
そこで本記事では、床下浸水の原因や放置した場合に起こりうる被害について解説します。床下浸水が発生した際の対処法や対策も掲載しているので、床下浸水による被害を最小限に抑えたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
床下浸水とは

床下浸水とは、洪水や内水氾濫によって市街地が浸水し、建物の浸水深が50cm未満の場合です(※1)。浸水深が50cmを超えると、床上浸水と呼ばれます。
床下浸水では住宅の基礎の部分が浸水しているものの、床上には到達していません。浸水深50cmとは、大人の膝くらいまでの高さですが、女性では避難するのに困難を極めます。
※1参考:国土交通省 川の防災情報「浸水深と避難行動について」
床下浸水はどこから?原因とは

通常、日常で降る程度の雨水では、床下浸水は起こりません。冠水が起きていないにも関わらず、床下浸水が発生する場合は、住宅の経年劣化が影響している可能性があります。床下浸水が起きる主な原因は、以下のとおりです。
- 給湯管や排水管から水が漏れている
- 基礎や外壁にすき間が生じている
- 住宅の通気口から雨水が侵入している
自然災害が起きていないのに床下浸水が発生している場合は、配管の経年劣化によって水漏れが生じている可能性があります。また、建築時につなぎ目の固定が緩かった場合は、家の築年数に関わらず、床下浸水のリスクがあるでしょう。
日常生活で降る程度の雨水で床下浸水が起きるのは、基礎や外壁に生じたすき間から水が侵入しているためです。地面に近い場所に基礎の通気口が設置してある場合は、洪水や内水氾濫で排水機能が停止すると、通気口から水が侵入する恐れがあります。
床下浸水の確認方法
日常生活の中で、床下浸水はなかなか気付きづらいものです。発見が遅れるほど、住環境は悪化していきます。まずは、以下の状態が見られないかを確認してみてください。
- 床下から異臭がする
- 床がきしんだり、沈み込んだりする
- 壁や柱にシミや変色がある
一つでも該当する場合は、床下浸水が疑われます。床下の点検口から直接中を覗くか、床板を1枚めくって、浸水がないかを確認しましょう。点検口がない場合は、業者に点検を依頼するのもおすすめです。
床下浸水を放置するとどうなる?5つの被害とは

床下浸水した状態で長期間放置していると、住環境が悪化するだけでなく、多額の修繕費用がかかります。床下浸水を放置した場合に起きる主な被害は、以下のとおりです。
- 被害1|カビが発生する
- 被害2|害虫や微生物が繁殖する
- 被害3|異臭・悪臭が漂う
- 被害4|住宅の強度が低下する
- 被害5|床下配線がショートする
それぞれの被害について、詳しく見ていきましょう。
被害1|カビが発生する
床下浸水を放置すると湿度の高い状態が続くため、カビが繁殖します。建物内に侵入した水には多くの不純物が含まれているので、建物に付着するとカビの餌になるのです。カビが繁殖すると、住宅や人体に以下のような悪影響があります。
- 床下の材料が劣化し、腐食や腐朽が進む
- アレルギー症状が悪化する
- シックビル・シックハウス症候群を引き起こす
- 気管支肺アスペルギルス症を引き起こす
カビによって床下の柱や土台が腐食した場合は、建物の一部や全体が倒壊する恐れがあります。また、人がカビの胞子を吸い込むと、様々な疾患につながるため注意が必要です。
被害2|害虫や微生物が繁殖する
床下浸水が長期間放置されると、湿気を好む害虫や微生物が繁殖します。水には汚水や下水が含まれているため、雑菌の繁殖によって感染症や破傷風のリスクが高まります。また、害虫は洪水によって運ばれてきたり、悪臭や湿気に誘われて来たりと、侵入経路は様々です。
湿気によって腐朽菌が繁殖する際には、木材成分のセルロースが生成されます。セルロースを主食とするシロアリが引き寄せられ、床下に住みついてしまうのです。シロアリは家の木材を食い荒らし、次第に住宅の耐久性が失われていきます。
被害3|異臭・悪臭が漂う
水に含まれる下水や汚水と微生物や雑菌、カビが混ざり合うと、悪臭が発生します。生臭さや排泄物の臭いが家中に充満した場合、体調不良につながりかねません。
床下浸水を放置する時間が長くなればなるほど、雑菌の繁殖が進行するため、悪臭は酷くなるでしょう。一度染みついた臭いは、数か月から半年ほど残る場合もあります。
被害4|住宅の強度が低下する
床下浸水して湿気が溜まると、木材を腐食する木材腐朽菌が繁殖し、材料が腐っていきます。木材だけに留まらず、鉄筋は錆びてコンクリートも腐食していくでしょう。
次第に住宅の強度は低下していき、地震発生時の倒壊リスクが高まるのです。また、木材腐朽菌以外にカビやシロアリの被害によっても、住宅の強度は低下していきます。
被害5|床下配線がショートする
床下浸水により配線が湿気を含むと、ショートや漏電を引き起こして、火災につながる恐れがあります。通常は漏電ブレーカーが作動するため、火災までは発展しません。
しかし、水が引いていない状態でブレーカーを上げてしまうと、異常な電流が流れてしまいます。漏電した電流から感電につながると、命に関わる事故に発展する可能性があります。
床下浸水してしまった場合の対処法3選

床下浸水の被害に遭ったら、基本的に業者へ依頼するのがおすすめです。しかし、急を要する事態に備えて、以下の対処法を覚えておきましょう。作業する際には、ゴム手袋・マスク・ゴーグルを着用する必要があります。
- 対処法1|排水する
- 対処法2|乾燥させる
- 対処法3|消毒する
それぞれの対処法について、詳しく見ていきましょう。
対処法1|排水する
床下浸水した際、最初に行うべきは排水です。浸水した状態で放置していると、カビ・細菌の繁殖や配管の損傷、異臭などの原因になります。排水の手順は、以下のとおりです。
- 床板や畳を外して、床下が見える状態にする
- バケツや排水ポンプを使って、汚水を排水する
- 残った土砂をほうき・ちりとり・スコップで取り除く
- 汚れを水道水で洗い流し、排水を繰り返す
- 雑巾やスポンジで水分を拭き取る
床下浸水している水量が多い場合は、工事用排水ポンプを使いましょう。
対処法2|乾燥させる
排水と汚れの除去が完了したら、床下を乾燥させます。この段階でしっかりと乾燥させておかなければ、悪臭やカビを発生させる事態になりかねません。
床下には日光が届かないので、送風機や扇風機で風を送って乾かしましょう。ただし、送風機の温風機能を使ってしまうと、建物の木材が歪んだり、配管の発熱で火災に発展したりする恐れがあります。
対処法3|消毒する
床下が完全に乾燥したら、衛生面を回復させるために消毒しましょう。床下に流れ込む水には汚水や下水が含まれているので、消毒しなければカビや雑菌が繁殖してしまいます。
自力で消毒する際には、消毒液に消石灰(水酸化カルシウム)を使用します。消石灰が目に入ると失明のリスクもあるので、散布後は必ず手洗いやうがいをしてください。
床下浸水を未然に防ぐための対策3選

床下浸水は生活に支障をきたすだけでなく、家の資産価値にも影響します。台風や大雨が多い日本に住んでいる以上、床下浸水への対策は欠かせません。床下浸水を未然に防ぐための対策は、以下のとおりです。
- 対策1|ハザードマップを確認する
- 対策2|止水板を設置する
- 対策3|側溝や雨水ますを掃除する
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。
対策1|ハザードマップを確認する
自宅周辺における床下浸水のリスクを評価するために、ハザードマップを確認しましょう。ハザードマップとは、災害による被害想定区域と避難所を示した地図です。
内水ハザードマップを見れば、浸水する可能性の高いエリアと浸水深を特定できます。ハザードマップは自治体のホームページから入手できるので、チェックしてみてください。
対策2|止水板を設置する
水の侵入経路に止水板を設置すれば、床下浸水を防げます。止水板とは、建物の中へ水が侵入するのを防ぐためのパネルです。ハザードマップで床下浸水が想定されるエリアにお住まいの場合は、業者に依頼して止水板を設置しましょう。
自前で止水板を設置する場合は、基礎部分に設けられている通気口を完全に塞がないようにしてください。通気口は、床下の湿気を逃がすために重要な役割を担います。
対策3|側溝や雨水ますを掃除する
側溝や雨水ますを掃除すれば、排水能力が向上して床下浸水のリスクを軽減できます。側溝や雨水ますにゴミや枯れ葉が詰まってしまうと、雨水の流れが悪くなり、道路が冠水してしまうのです。道路上に溢れた水は、やがて住宅へと押し寄せてきます。
基本的には自治体によって清掃が行われていますが、全ての箇所をこまめに清掃できるわけではありません。軍手やゴム手袋を着用し、スコップで汚れを取り除いてください。
床下浸水による停電対策!ポータブル電源とは

床下浸水して電気配線が水に浸かると、漏電によって停電が発生する恐れがあります。漏電箇所の修理が長引けば、特定の場所で電気の使えない生活を送らなければなりません。床下浸水による停電対策には、ポータブル電源がおすすめです。
ポータブル電源とは、内部に大量の電気を溜め込み、停電時でも電化製品に給電できる機器を指します。停電時にポータブル電源が活躍する場面は、以下のとおりです。
- エアコンや扇風機などの冷暖房機器を稼働して、快適な気温を維持できる
- 電子レンジや電気ケトルを使い、簡単に加熱調理できる
- 冷蔵庫に給電して、食品が腐敗するのを防げる
- 懐中電灯を点灯し、夜の暗闇を照らせる
- 災害情報を調べるためのスマホを常にフル充電にしておける
- 除湿器で床下の湿気を取り除き、乾燥の効率を上げられる
- 送風機で床下に風を送り、乾燥の効率を上げられる
ポータブル電源は、床下浸水だけでなく地震や豪雨、豪雪、落雷などの災害で発生する停電時に大活躍するため、一家に一台備えておきたいアイテムと言えるでしょう。
床下浸水対策に必要な性能|おすすめの製品
床下浸水による停電対策には、急速充電が可能なポータブル電源を選びましょう。高性能なポータブル電源を用意したとしても、停電発生時に充電がなければ十分に使用できません。
急速充電が可能なタイプであれば、大雨・洪水警報を確認してから充電を始めたとしても、停電発生時には満充電の電力を電化製品に供給できます。
本サイトを運営するEcoFlowは、最短56分で満充電できるポータブル電源「DELTA 3 Plus」を販売しています。「DELTA 3 Plus」の特徴は、以下のとおりです。
- コンセントから56分、ソーラーパネルから70分で満充電できる
- 容量1024Whを最大5kWhまで拡張できる
- 約12.5kgの小型設計で、使いたい場所まで自由に持ち運べる
- LFPバッテリーを搭載し、10年以上も停電対策で活躍する
- 出力600W未満の動作時に30dbの動作音に抑えられる
- 高性能なBMSが過電流や発火、爆発を防ぐ
- 12時間以内に大雨が予想されると、ユーザーに通知し充電が優先される
- 電源自動切り替え機能を搭載し、停電時に10ms以内で電気供給源を切り替える
- 計13個の多彩な出力ポートを搭載している
バッテリーパックはIP65防水・防塵規格に準拠しているため、洪水発生時の過酷な環境下でも安全に使用できます。床下浸水による停電対策を万全にしたい方は、ぜひ製品情報をチェックしてください。

床下浸水に関するよくある質問

最後に、床下浸水に関するよくある質問を紹介します。
- 床下浸水はマンションでも発生する?
- 床下浸水は保険や補助金の対象になる?
- 床下浸水の乾燥にかかる時間はどれくらい?
- 床下浸水の乾燥作業は業者に依頼できる?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
床下浸水はマンションでも発生する?
一戸建てで基礎部分が浸水するケースが多い床下浸水ですが、マンションにおいても低層階で発生する可能性があります。床下浸水とは、建物の浸水深が50cm未満の場合です。
マンションで床下浸水が生じると、地下の駐車場が浸水して車が壊れたり、配電設備や給水設備が浸水して停電・断水したりと甚大な被害に見舞われます。
床下浸水は保険や補助金の対象になる?
床下浸水は、保険や補助金の対象になる場合があります。自治体の補助金制度が適用されるのは、規定の被害規模に達した場合です。加入している火災保険を使用するためには、以下条件のいずれかに該当する必要があります。
- 建物や家財の損害割合が30%を超えた
- 地盤面から45cmを超える浸水で被害を受けた
- 床下浸水の特定設備水害補償特約がある
適用条件は保険の内容によって異なる場合があるので、注意してください。
床下浸水の乾燥にかかる時間はどれくらい?
床下浸水の乾燥には、1週間以上かかる場合があります。特に梅雨や夏などの湿気が多い時期は、完全に乾くまでに時間がかかるでしょう。
扇風機や送風機を使えば、効率よく乾燥させられます。ただし、乾燥機の温風機能を使うと、木材の歪みや配管の発熱による火災の原因になるため、注意が必要です。
床下浸水の乾燥作業は業者に依頼できる?
床下浸水の乾燥作業は業者に依頼できます。強力な送風機や除湿機を使用して湿気を取り除きながら乾燥させるため、自力で作業するよりも大幅な時間短縮につながるでしょう。
業者に依頼すると、床下浸水の処理に必要な汚水処理、清掃、乾燥、消毒、脱臭を全て代行してもらえるので、徹底的に対処したい方や時間がない方におすすめです。
まとめ

本記事では、床下浸水とは何かについて解説してきました。
床下浸水とは、建物の浸水深が50cm未満に達した場合の浸水です。床下浸水は、配管からの水漏れや基礎・外壁のひび割れ、通気口からの侵入などによって起こります。
床下浸水を放置した場合、カビの繁殖や木材の腐敗によって建物の耐久性は大きく低下します。また、強烈な悪臭や雑菌の繁殖によって人の健康状態も脅かされるでしょう。床下浸水を未然に防ぐためには、止水版の設置や側溝・雨水ますの掃除が必要です。
本サイトを運営するEcoFlowでは、床下浸水による停電に備えた高出力のポータブル電源「DELTA 3 Plus」を販売しています。大規模な停電が発生した際でも、自宅にある電化製品をフル稼働させたい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。
→床下浸水による停電時に最大2000Wの家電に給電できる「DELTA 3 Plus」