太陽光発電の実際の収支はシミュレーション通りにならない可能性があります。導入前は初期費用の回収や電気代削減効果を事前にシミュレーションしますが、実際の収支は計画と異なるケースがほとんどです。
要因はさまざまですが、天候不順による発電量の低下や予想外のメンテナンス費用の発生、売電価格の変動などが挙げられます。そのため、シミュレーション結果を鵜呑みにせず、想定外の事態も考慮したプランを立てましょう。
この記事では、太陽光発電の実際の収支がシミュレーション通りにならない理由、実際の収支をシミュレーションに近づけるポイントをわかりやすく解説します。
太陽光発電の実際の収支について知りたい方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
太陽光発電の実際の収支はシミュレーション通りにならないケースが多い
太陽光発電システムは発電した電力を自家消費、または売電して利益を得る仕組みです。そのため、導入を検討する人の多くは初期費用や想定発電量、売電収入などから収支をシミュレーションします。
しかし、実際の収支はシミュレーション通りにいかないケースがほとんどです。理由としては、想定以上の初期費用やメンテナンス費用の発生、天候の影響で発電量が低下して売電収入が減少することが挙げられます。
また、全日フル発電できるわけではないため、より現実的なプランを立てなければいけません。
また、巷には太陽光発電システムの設置を勧める業者が溢れていますが、シミュレーションの方法によって達成の可能性は大きく異なります。実際の収支がシミュレーション以下になるリスクを理解したうえで、慎重に導入を検討しましょう。
太陽光発電の実際の収支がシミュレーション通りにいかない理由
太陽光発電の実際の収支がシミュレーション通りにいかない理由は以下の3つです。
- 設置した太陽光発電システムの性能が低い可能性
- 天候の悪い日が多く発電量がシミュレーションを下回っている
- 設備の修理や交換などのメンテナンス費用が想定以上にかかっている
ここでは、太陽光発電の実際の収支がシミュレーション通りにいかない理由について詳しく解説します。
設置した太陽光発電システムの性能が低い可能性がある
太陽光発電システムの性能はメーカーや製品によって大きく異なります。ハイスペックな製品を選択しても、設置環境や施工品質によっては期待通りの発電量が得られない可能性があるため注意が必要です。
とくに年間予測発電力が足りない場合、シミュレーション通りの収支を達成するのは困難です。太陽電池モジュールの変換効率やパワーコンディショナーの性能、配線のロスなど、さまざまな要因が発電量に影響を与えます。
また、パネルの設置角度や方位、周辺の日陰の状況なども重要です。これらの条件が最適でない場合、実際の発電量はシミュレーションを下回るケースがあります。
さらに経年劣化による性能低下も考慮しなければなりません。一般的に太陽光パネルの出力は年間0.5%程度低下するといわれていますが、環境条件によっては大きな低下が生じる可能性もあります。
シミュレーション通りの発電を実現したい場合は、できるだけ高品質な設備を選択し、適切な設置・施工を行う意識が重要です。また、定期的な点検やメンテナンスを実施し、システムの性能維持もポイントになります。
天候の悪い日が多く発電量がシミュレーションを下回っている
太陽光発電システムの発電量は天候の影響を受けやすいです。晴れた日は高い発電量を期待できますが、曇りや雨の日は発電量が大幅に低下します。
シミュレーションでは過去の気象データに基づいて平均的な日射量を想定していますが、実際の天候は年によって変動するのが一般的です。とくに梅雨が長引いたり、台風の影響で長期間天候が不安定になったりすると、年間の発電量が予想を大きく下回る可能性があります。
また、冬季は日照時間が短くなるため、季節による発電量の変動も考慮しなければなりません。近年では地球温暖化の影響で気候パターンが変化し、従来の気象データが現実と乖離する可能性も指摘されています。
このように天候はきわめて不安定なため、シミュレーションでの完全予測は困難です。そのため、悪天候のリスクを考慮し、やや保守的な発電量予測を行いましょう。
加えて、実際の運用においては天候の変動に対応できるよう、蓄電池の導入や電力の効率的な利用が重要です。長期的な視点で収支を考える際は、年ごとの変動を平均化して評価しましょう。
設備の修理や交換などのメンテナンス費用が想定以上にかかっている
太陽光発電システムは設置後も定期的なメンテナンスが必要です。しかし、シミュレーションの多くはメンテナンスにかかる費用が十分に考慮されていません。
一般的なメンテナンス作業としては、パネルの清掃をはじめ、パワーコンディショナーの点検、配線の確認などがあります。これらの費用はシステムの規模や設置環境によって大きく異なりますが、年間で数万円から数十万円ほどかかってしまうでしょう。
また、経年劣化による部品の交換も必要になります。とくにパワーコンディショナーは10年から15年程度で交換が必要とされているため、将来的には数十万円の出費は必須です。
さらに予期せぬトラブルや故障による修理費用も考慮しなければなりません。雷や台風などの自然災害による破損は、保険でカバーされないと大きな出費になります。
太陽光発電を安心して運用するためには、これらのメンテナンス費用を適切に見積もり、シミュレーションに組み込むプランが重要です。定期的なメンテナンスを行い、システムの効率を維持し、長期的な収支を得られるよう努めましょう。
卒FITとなり売電価格が低下している
FIT（固定価格買取制度）は、再生可能エネルギーの普及を促進するために導入された制度です。太陽光発電システムの導入初期には高い固定価格での売電が可能でした。
しかし、制度開始から10年が経過した現状では、多くのシステムが卒FIT（固定価格買取期間の終了）を迎えています。卒FIT後は電力会社が定めた価格での売電となり、価格はFIT制度の固定価格よりも大幅に低くなるため注意が必要です。
たとえば、FIT制度下では1kWhあたり42円で売電できていたものが、卒FIT後は10円程度まで下がるケースもあります。この売電価格の低下はシステムの収支に大きな影響を与える要因です。
とくにFIT認定期間中に初期費用の回収を完了できなかった場合、卒FIT後の収支悪化は深刻な問題になります。そのため、太陽光発電システムの導入を検討する際は、FIT期間中だけでなく、卒FIT後の売電価格も考えたシミュレーションが必要です。
また、卒FIT後の対策として自家消費率を高めるための蓄電池の導入や、電力会社の切り替えによる売電単価の改善なども検討しましょう。
長期的な視点で収支を考え、卒FIT後も持続可能なシステム運用を目指してください。
FIT制度について詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
災害によって設備が破損して発電できない日が増えている
太陽光発電システムは屋外に設置されるため、自然災害のリスクが常にあります。地震や台風、豪雨、雷などの災害によって設備が破損すると、発電できない期間が生じるほか、収支に大きな影響を与えるでしょう。
とくに近年は気候変動の影響で災害の頻度や規模が増大しており、リスクはより顕著になっています。たとえば、台風による強風でパネルが飛散したり、大雨で浸水被害を受けたりするケースは多数報告されている状況です。
また、地震による建物の損傷に伴って設備も破損するリスクもあります。これらの災害による被害は修理や交換にかかる費用だけでなく、修理期間中の発電損失も考慮しなければなりません。
全日発電を前提としたシミュレーションでは、予期せぬ停止期間を考慮していないため、実際の収支との乖離が大きくなる可能性があります。そのため、シミュレーションを行う際は、ある程度の災害リスクを織り込んでおきましょう。
また、災害に強い設置方法の選択や適切な保険への加入なども検討すべきです。バックアップ電源の確保など、災害時の対策を講じておくことも長期的な運用を考えるうえでの重要なポイントになるでしょう。
太陽光発電の実際の収支をシミュレーションに近づけるためのポイント
太陽光発電の実際の収支をシミュレーションに近づけるためには、さまざまな対策が必要です。
ここでは、太陽光発電の実際の収支をシミュレーションに近づけるための7つのポイントについて詳しく解説します。
設備導入時の初期費用を抑える
実際の収支をシミュレーションに近づけたい場合は、太陽光発電システムの初期費用を抑える必要があります。なぜなら初期費用が高ければ、それだけ回収期間が長くなり、収支計画に大きな影響を与えるためです。
初期費用を抑えるための方法として、国や地方自治体の補助金制度を活用したり、複数の業者から見積もりを取って比較検討してください。
また、自家消費率を考慮し、過剰な設備投資を避ける意識も持ちましょう。
ほかにも低金利の融資やリース契約の活用や、コストパフォーマンスの高い製品を選択すると費用削減が可能です。
定期的なメンテナンスなどによって発電効率の低下を防ぐ
太陽光発電システムの発電効率は時間の経過とともに低下していきます。この効率低下を最小限に抑え、シミュレーションに近い発電量を維持するためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。
太陽光パネルの清掃や調整、部品の修理や交換を行えれば発電効率の低下を防げます。安定した発電量を確保し、シミュレーション通りの収支を得たい場合は定期的なメンテナンスを徹底しましょう。
太陽光発電システムの点検義務については、以下の記事をご覧ください。
→太陽光発電システムに点検義務はあるの？点検の必要性や費用と頻度、点検内容を解説
太陽光パネルの角度調整・枚数増加によって発電量を増やす
太陽光パネルは角度によって発電効率が異なります。効率よく発電するためには、パネルそれぞれの角度調整が必要です。
また、パネルの枚数は発電量増加に直接関係しています。シミュレーション以上の収支を実現したい場合は、現状の収支バランスを考えて枚数を増やすのも効果的です。
蓄電池を併設して発電した電力を効率よく使う
太陽光発電をシミュレーション通りにしたい場合は、蓄電池の併設がおすすめです。発電した電力を蓄電池に蓄えれば、夜間や雨など発電できないタイミングでも利用できます。
結果、無駄のない発電と消費のサイクルを実現可能です。
蓄電池の価格は年々低下傾向にあり、費用対効果は今後さらに向上すると予想されます。ただし、導入にあたっては使用パターンや電力需要をこまかく分析し、最適な容量を選択しましょう。
適切に設計された蓄電システムを築ければ、太陽光発電の効率を最大化できます。シミュレーションに近い、あるいはそれ以上の収支を実現したい場合は蓄電池の導入を検討しましょう。
電力会社のプランを見直す
電力会社のプランは太陽光発電システムの収支に大きな影響を与えます。とくに売電価格は電力会社によって異なるため、適切なプランを選択すると収入を増やせるでしょう。
電力会社のプランを見直すには、現在契約している会社の他プランや、他の電力会社を比較検討します。なかには太陽光発電所有者向けの有利なプランを提供しているところがあるため、最適なものをピックアップしましょう。
電力市場の変化や新たなプランの登場に合わせて、常に最適なプランを比較検討するのがおすすめです。
売電よりも自家消費をメインの運用方法として考える
太陽光発電の収支をシミュレーション結果に近づけたい場合は、売電よりも自家消費をメインにした運用にシフトしましょう。
近年は電気代の高騰によって、売電するメリットが減りつつあります。買電価格よりも売電価格のほうが低いため、余剰電力を生まない工夫を行い、自家消費をメインとした運用を行ったほうがメリットを得られやすいでしょう。
とくにオール電化をはじめ、EV、蓄電池を導入すれば自家消費量を増やせます。さまざまな方法を組み合わせて、売電に依存しない安定した経済効果を得られる運用を目指しましょう。
節電対策を実施して無駄な消費電力を抑える
太陽光発電の収支をシミュレーション通りにしたい場合は、節電対策によって電気代自体を抑えるやり方が効果的です。消費電力を抑えられれば、シミュレーション結果にどこまでも近づけられるでしょう。
シミュレーション時の支出として電気代を加味しているのであれば、電気代を下げるのは効率的です。
家庭でできる簡単な節電対策としては、LED電球への交換がおすすめです。LEDは従来の蛍光灯に比べて消費電力が少なく、寿命も長いため、長期的なコスト削減につながります。
また、家電製品の使い方を見直すと消費電力をカットできます。たとえば、冷蔵庫の設定温度を適切に調整したり、テレビの輝度を下げたりすると、簡単に消費電力を削減可能です。
まとめ
この記事では、太陽光発電の実際の収支がシミュレーション通りにならない理由、実際の収支をシミュレーションに近づけるポイントを解説しました。
太陽光発電システムの実際の収支をシミュレーションに近づけるには、さまざまな要因を考慮したアプローチが必要です。初期費用の抑制、定期的なメンテナンス、パネルの最適化、蓄電池の併設、電力プランの見直し、自家消費率の向上、そして節電対策の実施など、多角的に取り組んでいきましょう。
しかし、これらの対策をそれぞれ実施するのは時間と労力が必要です。そこで、統合的なソリューションとしてEcoFlow DELTA Pro 3の導入をおすすめします。
EcoFlow DELTA Pro 3は太陽光発電との連携が可能な高性能な蓄電池です。大容量のバッテリーにより、昼間の余剰電力を効率的に蓄え、夜間や悪天候時に使用できます。
また、高出力な電力供給能力により、家庭のほぼすべての電化製品に対応可能です。スマートフォンアプリを通じて電力の使用状況をリアルタイムで監視し、最適な電力管理もできます。
EcoFlow DELTA Pro 3を導入すれば、太陽光発電システムの効率を最大化できるほか、電気代の削減と安定した電力供給を同時に実現可能です。システムの収支改善を希望する方は、ぜひ導入を検討してみてください。
DELTA Pro 3の詳しい製品情報については、以下のページをご覧ください。
