太陽光発電などの再生可能エネルギーを促進する動きが強まる日本で導入されているのが、FIT制度(固定価格買取制度)です。
FIT制度は再生可能エネルギーで生み出した電力を大手電力会社に買い取ってもらえる制度で、安定した売電収入の確保が可能となっています。
しかし、FIT制度の導入にあたって再エネ賦課金が年々増加するなど、ユーザーの負担となる場合もあるため注意が必要です。
この記事では、再エネ賦課金を左右するFIT制度の買取価格、2024年度の賦課金単価、再エネ賦課金を抑える方法をわかりやすく解説します。
再エネ賦課金について知りたい方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
再エネ賦課金を左右するFIT制度の買取価格
再エネ賦課金はFIT制度によって再生可能エネルギーが普及するほど増加するため、電力を使用するすべてのユーザーの負担となるのが一般的です。
FIT制度の買取価格が一定でも、再エネ賦課金が増加し続ければ最終的な利益はあまり期待できないかもしれません。
ここでは、再エネ賦課金を左右するFIT制度の買取価格について詳しく解説します。
再エネ賦課金は経済産業大臣が設定
再エネ賦課金は、経済産業大臣が設定するのが通例です。
再生可能エネルギーで生み出した電力を買い取る大手電力会社の負担を減らすために導入されたもので、電力を使用するすべてのユーザーが負担する費用です。
主に経済産業大臣が設定しており、毎年度の開始前までに再エネ電気の供給が効率的に実施されている場合に通常要する費用を基準として適正な利潤を勘定して設定します。
設定については、再エネ特措法の規定に基づいて調達価格等算定委員会の意見を尊重しており、毎年適切な金額に設定されます。
詳しくは経済産業省「再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2024年度以降の買取価格等と2024年度の賦課金単価を設定します」をご参照ください。
太陽光発電の買取価格
太陽光発電は、太陽光を利用した発電方法で、再エネ賦課金に影響を与えやすい再生可能エネルギーの一つです。ここでは、太陽光発電の買取価格について詳しく解説します。
①住宅用太陽光発電・事業用太陽光発電(入札対象外)
住宅用太陽光発電・事業用太陽光発電(入札対象外)の買取価格は、以下の通りです。
電源 | 規模 | 2023年度 上半期 | 2023年度 下半期 | 2024年度 | 2025年度 |
住宅用 | 10kW未満 | 16円 | 16円 | 15円 | |
事業用(地上設置) | 10kW以上 50kW未満 | 10円 | 10円 | 10円 | |
50kW以上 入札対象外 | 9.5円 | 9.2円 | 8.9円 | ||
事業用(屋根設置) | 10kW以上50kW未満 | 10円 | 12円 | 12円 | 11.5円 |
50kW以上 | 9.5円 |
②事業用太陽光発電(入札対象)
事業用太陽光発電(入札対象)の買取価格は、入札により決定します。
2024年度の入札対象は、FIP認定対象のうち250kW以上(屋根設置は入札免除)です。
2024年度の入札回数は4回で、上限価格はそれぞれ9.20円、9.13円、9.05円、8.98円と設定されているため、あらかじめ確認しておきましょう。
風力発電の買取価格
風力発電は、風力を利用した発電方法で、再エネ賦課金に影響を与えやすい再生可能エネルギーの一つです。ここでは、風力発電の買取価格について詳しく解説します。
①陸上風力発電(50kW未満)
陸上風力発電(50kW未満)の買取価格は、以下の通りです。
電源 | 規模 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 |
陸上風力発電 | 50kW未満 | 15円 | 14円 | 13円 | 12円 |
②陸上風力発電(50kW以上)
陸上風力発電(50kW以上)の買取価格は、入札により決定します。
2024年度の入札回数は1回で、上限価格は14円です。
ただし、入札容量が1.3GWを超えた場合は同年度内に追加入札を実施し、上限価格は同年度の入札の加重平均落札価格または13円のいずれか高い額となります。
入札容量によって金額が変わる点には注意が必要です。
③陸上風力発電(リプレース)
陸上風力発電(リプレース)の買取価格は、以下の通りです。
電源 | 規模 | 2023年度 | 2024年度 |
陸上風力発電(リプレース) | 全規模 | 13円 | 12円 |
④着床式洋上風力発電(再エネ海域利用法適用外)
着床式洋上風力発電(再エネ海域利用法適用外)の買取価格は、入札により決定します。
ただし、上限価格は事前非公表となっているため、注意が必要です。
⑤浮体式洋上風力発電(再エネ海域利用法適用外)
浮体式洋上風力発電(再エネ海域利用法適用外)の買取価格は、以下の通りです。
電源 | 規模 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 |
浮体式洋上風力発電 | 全規模 | 36円 |
水力発電の買取価格
水力発電は、水力を利用した発電方法で、一般家庭での導入は難しいことから太陽光発電や風力発電と比べるとあまり庶民には影響のない発電方法です。
しかし、再エネ賦課金には影響するため、どれくらいの買取価格なのかはある程度把握しておくのが良いでしょう。
ここでは、水力発電の買取価格について詳しく紹介します。
電源 | 規模 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 |
水力発電 | 200kW未満 | 34円 | |||
200kW以上1,000kW未満 | 29円 | ||||
1,000kW以上5,000kW未満 | 27円 | 23円 | – | ||
5,000kW以上30,000kW未満 | 16円 | 16円 | – | ||
水力発電(既設導水路活用型) | 200kW未満 | 25円 | |||
200kW以上1,000kW未満 | 21円 | ||||
1,000kW以上5,000kW未満 | 15円 | 14円 | – | ||
5,000kW以上30,000kW未満 | 9円 | – |
地熱発電の買取価格
地熱発電は、地熱を利用した発電方法で、同じく一般家庭での導入は難しいことから太陽光発電や風力発電と比べるとあまり庶民には影響のない発電方法です。
しかし、再エネ賦課金には影響するため、どれくらいの買取価格なのかはある程度把握しておくのが良いでしょう。
ここでは、地熱発電の買取価格について詳しく紹介します。
電源 | 規模 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 | 2026年度 |
地熱発電 | 1,000k未満 | 40円 | |||
1,000kW以上15,000kW未満 | 40円 | 出力に応じて変化 | |||
15,000kW以上30,000kW未満 | 26円 | ||||
30,000kW以上 | 26円 | ||||
地熱発電(全設備更新型) | 1,000k未満 | 30円 | |||
1,000kW以上15,000kW未満 | 30円 | 出力に応じて変化 | |||
15,000kW以上30,000kW未満 | 20円 | ||||
30,000kW以上 | 20円 | ||||
地熱発電(地下設備流用型) | 1,000k未満 | 19円 | |||
1,000kW以上15,000kW未満 | 19円 | 出力に応じて変化 | |||
15,000kW以上30,000kW未満 | 12円 | ||||
30,000kW以上 | 12円 |
バイオマス発電の買取価格
バイオマス発電は、動植物などから生まれた生物資源バイオマスを利用した発電方法で、再エネ賦課金に影響を与える可能性のある再生可能エネルギーです。
ここからは、バイオマス発電の買取価格について詳しく解説します。
①バイオマス発電(入札対象外)
バイオマス発電(入札対象外)の買取価格は、以下の通りです。
電源 | 規模 | 2023年度 | 2024年度 | 2025年度 |
一般木材 | 10,000kW未満 | 24円 | ||
未利用材 | 2,000kW未満 | 40円 | ||
2,000kW以上 | 32円 | |||
建設資材廃棄物 | 全規模 | 13円 | ||
一般廃棄物 その他 | 全規模 | 17円 | ||
メタン発酵バイオガス | 全規模 | 35円 |
なお、一般家庭の消費電力やオール電化の電気代の平均については他の記事でも解説しているため、あわせてご確認ください。
→一般家庭の消費電力は平均どれくらい?1日の電気使用量と電気代の計算方法を解説
→オール電化の電気代は平均どれくらい?世帯人数別の料金と電気代が高い原因を解説
2024年度の賦課金単価
再エネ賦課金は再生可能エネルギーが普及する度に増加しており、今後も増加するとの見解が一般的です。では、2024年はどのような賦課金単価となっているのでしょうか。
ここからは、2024年度の賦課金単価について詳しく解説します。
2024年度の賦課金単価は1kWh当たり3.49円
2024年度の賦課金単価は、1kWh当たり3.49円です。
目安として1ヶ月の電力使用量が400kWh(一般的な世帯の1ヶ月の電力使用量)の負担額を見ると、月額1,396円、年額16,752円の負担となります。
一見すると再エネ賦課金は家計の負担にならなさそうに見えますが、月に約1,400円、年に約17,000円と考えると影響がまったくないとはいえません。
再生可能エネルギーの普及に比例してさらなる増加が懸念されるため、今後の動向には注意が必要となるでしょう。
2024年5月~2025年4月検針分の電気料金に適用
2024年度の再エネ賦課金は、2024年5月〜2025年4月検針分の電気料金に適用されます。
請求は電力使用量に応じて自動的に計算される仕組みとなっており、消費電力が多いほど再エネ賦課金も多くなります。
再エネ賦課金は再生可能エネルギーを導入している人だけでなく、電力を使用するすべての人が負担しなくてはならないため、注意が必要です。
2024年度分は2024年の5月〜2025年の4月まで電気料金に適用されるため、どれくらいかかっているのか普段からチェックしておくのが良いでしょう。
再エネ賦課金は必ず支払わなければならない
再エネ賦課金は、必ず支払わなければなりません。
もともと、再エネ賦課金は日本が脱炭素社会を目指して導入を推奨している再生可能エネルギーを普及させるためのものです。
実際にFIT制度の導入によって太陽光発電を導入する人が増え、今ではスタンダードな再生可能エネルギーとなっています。
しかし、FIT制度の導入によって大手電力会社の負担が生じているため、その負担を少しでも軽減するために創設されたのが再エネ賦課金です。
つまり、再エネ賦課金は日本全体で再生可能エネルギー事業を守っていくためのものとなるため、全員が払うものと認識しなければなりません。
なお、電気料金の明細書を確認する方法や電気代はなぜ値上げされるのかについては他の記事でも解説しているため、あわせてご覧ください。
→電気料金の明細書を確認する方法!明細書の内訳や計算方法、節約のコツを解説
→電気代はなぜ値上げされるのか?考えられる6つの理由と効果的な節電対策
再エネ賦課金を抑える方法
最後に、再エネ賦課金を抑える方法について詳しく解説します。再エネ賦課金は消費電力を抑えることで節約できるため、普段の生活から見直すのが望ましいです。
電力プランを見直して全体的な電気料金を削減する
電力プランを見直して全体的な電気料金を削減することで、再エネ賦課金を抑えられます。
再エネ賦課金は電気料金に合わせて計算されて一緒に請求される仕組みのため、電気料金そのものを削減すれば再エネ賦課金も削減可能です。
現代は、電力自由化によって選択肢が増え、大手電力会社だけが選択肢ではありません。新電力会社も含めて検討することで、より経済的な電力会社が選べる環境といえるでしょう。
そのため、まずは電力プランを見直して全体的な電気料金を削減しましょう。
自宅の電力消費量を意識的に減らすようにする
自宅の電力消費量を意識的に減らすようにすることで、再エネ賦課金を抑えられます。
例えば、消費電力の激しい家電は電源を切ったり、待機電力がある家電はコンセントから抜いたり、意識して節約するだけで電気代の削減が可能です。
電気代が削減できれば、再エネ賦課金も削減できるでしょう。
古くなった家電を新しい家電に買い換えることで消費電力が抑えられる場合もあるため、家電の新調もご検討ください。
太陽光発電を導入して自家消費に切り替える
太陽光発電を導入して自家消費に切り替えることで、再エネ賦課金を抑えられます。
太陽光発電は法人だけでなく個人でも導入できる再生可能エネルギーで、ソーラーパネルとパワーコンディショナーを設置すれば自家消費する分の電力を補填可能です。
一緒に蓄電池(ポータブル電源)を導入すると生み出した電力を貯めておけるため、一定期間・一定量の電力を備蓄しておきたい場合にも良いでしょう。
なかでも、ポータブル電源は持ち運びできる蓄電池となっており、製品によっては1時間の充電で1日分のエネルギーを貯めておけます。
高出力・大容量のモデルなら10日分の電力を貯められるため、災害に備えて普段から充電しておくのも効果的です。
EcoFlowでは、電気代の節約になるEcoFlow DELTA Pro 3など高性能なポータブル電源を幅広く取り扱っており、防災グッズにも最適な商品を揃えています。
EcoFlow DELTA Pro 3は毎月約30%の電気代を削減できるため、電気代を抑えたい人に最適といえるでしょう。
電源のないところでも電気が使用できるため、普段使いの蓄電池としてはもちろんアウトドアやリモートワークで使用したい人も検討してみてはいかがでしょうか。
詳しくは当社の公式ホームページをご覧いただけますと幸いです。
まとめ
再エネ賦課金を左右するFIT制度の買取価格、2024年度の賦課金単価、再エネ賦課金を抑える方法を解説しました。
再エネ賦課金を左右するFIT制度の買取価格は、各発電方法によって異なります。
太陽光発電・風力発電・水力発電・地熱発電・バイオマス発電、それぞれの発電方法ごとに売電単価が違うため、注意が必要です。
再エネ賦課金自体、再生可能エネルギーの普及に伴って増加しており、今後さらに増加する可能性があるため、普段から節電を心がけましょう。
なお、節電するなら持ち運びできる蓄電池(ポータブル電源)が有効です。
ポータブル電源は自宅に据え置く蓄電池の他、外に持ち出して使用する電源としても使用できるため、1台あるだけで利便性が向上します。
EcoFlowでは、EcoFlow DELTA Pro 3など高出力・大容量で幅広いシーンに対応できる製品を取り揃えているため、ぜひ一度公式ホームページをご確認ください。
EcoFlow DELTA Pro 3はほぼすべての家電製品に対応できる他、安全性や耐久性に優れているため、太陽光発電と一緒に導入するのに最適です。
工事を必要とせず簡単に導入できて毎月約30%の電気代を節約できるため、節約目的で蓄電池を備え付けたい人に最適といえるでしょう。
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