エアコンを一日中つけっぱなしにした場合、「電気料金が高くなりそう…」「電気が無駄になりそう」と、マイナスイメージを抱く方も少なくありません。
しかし、エアコンのオンオフをこまめに繰り返すより、つけっぱなしにした方が電気代を安くできるケースがあります。
また、エアコン使用時に効果を高めるテクニックを取り入れるだけで、節電対策を行いながら快適な室温を保つことも可能です。
この記事では、エアコンの仕組みと特徴、一日中つけっぱなしにしたときの電気代、節電効果を高めるテクニックについてわかりやすく解説します。
エアコンを効率的に使いたい人は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
エアコンの仕組みと特徴
日常生活では当たり前のように冷房、暖房を切り替えて使用していますが、エアコンがどういった原理で動作しているのか、知らない方も多いでしょう。エアコンの仕組みや特徴を正しく理解すれば、節電対策にも活かせます。
ここでは、エアコンの仕組みと特徴について詳しく解説します。
冷房と暖房の動作の仕組み
冷房は、室内の暖かい空気を集め熱交換器で冷媒させ、冷たい空気を室内に送り、暖かい空気を屋外に放出する動作をしています。
一方で暖房は、室内の冷たい空気が室外機へ送られ、室外機の熱交換器で外の空気を圧縮しながら温度を高めるのが動作の仕組みです。温められた空気は室内機に戻り、部屋の中に送ることで部屋全体が温まります。
そのため、エアコンは本体と室外機がセットで販売されています。
エアコンは扇風機を併用すると節電効果を高めるのに効果的です。扇風機の電気代に関して詳しく知りたい方は、次の記事を参考にしてください。
→扇風機の電気代は1ヶ月いくら?エアコンとの違いや効果的な節電方法を解説
冷房と暖房では消費電力が違う
冷房と暖房では、エアコン本体の定格消費電力が異なります。
エアコンは製品によって出力が定まっており、消費する基本電力量が異なるため、電気料金にも差が生まれます。
例えば、6畳用エアコンと20畳用エアコンではエアコン本体の出力が大幅に違うため、定格消費電力が大きくなれば使用する電気の量も増加するでしょう。
また、エアコンの起動直後は室内温度によっても出力が異なります。暑い部屋を一気に冷やしたり、寒い部屋を暖める場合は消費電力も増えるのが一般的です。
もし、同じエアコンを数年以上使用する場合には使用頻度によって経年劣化するため、最大出力や省エネ性能が低下する場合もあります。その場合には、エアコンの性能低下によって消費電力も増えてしまいます。
エアコンを一日中つけっぱなしにしたときの電気代
エアコンを必要とする季節では、一日中つけっぱなしにする場合がありますが、「電気代はいくらかかるのか」「設定温度で変わるのか」という疑問を抱く方もいるでしょう。
エアコンを一日中稼働させた平均の電気代は、冷房で約476.1円、暖房で約684.4円です。
しかし、エアコンの性能や設定条件によって平均金額は異なります。
ここでは、エアコンを一日中つけっぱなしにしたときの電気代について詳しく解説します。
電気料金を計算する方法
エアコンの消費電力を計算式は以下の通りです。
1時間当たりの消費電力(kWh)× 使用時間(時間)×料金単価(円/kWh)
エアコンの取扱説明書や製品仕様書に記載されている定格電力をもとに計算できます。
しかし、エアコンの消費電力計算はあくまで目安になるため、使用する環境や条件によって消費電力量も異なります。
冷房と暖房の消費電力
エアコンは、冷房と暖房によって消費電力が異なります。
冷暖房の平均消費電力は以下の通りです。
- 冷房(平均値):0.640(0.250~1.260)kWh
- 暖房(平均値):0.920(0.290~2.355)kWh
一般的な家庭用エアコンは、冷房よりも暖房を使用する方が消費電力が高くなります。
定格の最大パワーで1時間を稼働させた場合
エアコンを定格の最大パワーで、1時間を稼働させた場合の電気代は以下の通りです。
- 冷房は1時間あたり、1.260kW×31円/kWh=39.0円
- 暖房は1時間あたり、2.355kW×31円/kWh=73.0円
※上記の電気消費量で1時間を作動させた場合
電気料金を計算する際の電気料金単価は、益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会が定める31円と仮定しています。
ただし、電気料金単価は電力会社のプランによって異なるため、ご自宅の電気料金単価に合わせて計算してください。
冷房と暖房を長い時間で稼働させた場合
上記の条件でエアコンの冷房と暖房を使用した場合、時間別の電気料金は以下の通りです。
冷房の場合 | 暖房の場合 |
8時間:0.640kW×31円/kWh×8時間=158.7円12時間:0.640kW×31円/kWh×12時間=238.0円24時間:0.640kW×31円/kWh×24時間=476.1円 | 8時間:0.920kW×31円/kWh×8時間=228.1円12時間:0.920kW×31円/kWh×12時間=342.2円24時間:0.920kW×31円/kWh×24時間=684.4円 |
この金額は平均値になっているため、室温やエアコンの設定温度によって電気料金が異なります。また、エアコンの製造年式が新しい場合には省エネ設計されているため、電気料金の節約が可能です。
ただし、夏場の冷房は設定温度を極端に低くすると、エアコンが高い出力で稼働するため、電気料金が高くなるケースもあります。電気料金を抑えたい場合は、エアコンの設定温度は適度に調整しましょう。
エアコンは一日中つけっぱなしの方がお得になるのか
エアコンを多く利用する季節では電気代を節約するために、つけっぱなしにするか、こまめに消すか、という選択で悩む方がいます。
製品や環境によって異なりますが、エアコンは一日中つけっぱなしの方が電気代を抑えることが可能です。
ここでは、エアコンをつけっぱなしにした場合の電気料金、安くなる理由を詳しく解説します。
電力会社の検証ではつけっぱなしの方が電気代が下がる
電力会社が実施した冷房使用時の検証結果を参考に解説します。
エアコンの稼働方法の検証条件は以下の通りです。
- 部屋の広さは6畳
- 季節は夏、北側に窓あり
- エアコンの設定温度は26度、風量は自動
- 稼働時間は午前10時~午後19時
この検証では、30分おきに電源をオンオフするケースとつけっぱなしにするケースで行われ、結果は以下の通りとなりました。
- こまめに消した場合:消費電力量の合計は2,060whとなり、電気代は63.86円
- つけっぱなしにした場合:消費電力量の合計は2,025whとなり、電気代は62.77円
検証結果では、エアコンの冷房はつけっぱなしで利用する方が電気代が安くなっています。
エアコンをつけっぱなしの方が電気代が下がる理由
エアコンをつけっぱなしで電気代が下がる理由は、再稼働時の電力消費が大きいためです。
エアコンは安定稼働する前に予備動作を行い、部屋の温度を感知してから運転を始めるため、こまめに電源を切ると再稼働時の電力を多く消費します。
また、一度上昇した室温を下げるのに高出力で運転するため、電力消費が増えてしまう要因になります。
そのため、自宅に長時間いる場合には一定温度でつけっぱなしにするほうがお得です。
日当たりや部屋の広さなどの環境によって異なるケースもありますが、生活スタイルに応じて利用方法を変えることは節電につながります。
エアコンをつけっぱなしにするメリット
エアコンをつけっぱなしにするメリットは、節電対策以外にも数多くあります。
ここでは、エアコンをつけっぱなしにするメリットについて解説します。
温度差による不快感が少ない
エアコンをつけっぱなしにすると、室内の温度を一定に保てるため快適に生活できます。
真夏の暑い部屋では、快適に生活できる温度まで下げるのに30分〜1時間程度の時間が必要ですが、つけっぱなしにすれば時間を短縮できます。
また、夜間も一定の温度でエアコンをつけっぱなしにすれば、睡眠の質も向上し、夜中に起きてしまうストレスを軽減できるのがメリットです。
特に高齢者が住まれている家庭では、気が付かない間に起こる熱中症予防にもなるため、夏場の夜間はエアコンの温度を弱めに設定して、つけっぱなしにするとよいでしょう。
エアコンの消し忘れがなくなる
自宅を外出する場合には、エアコンの消し忘れを心配するケースがあります。
しかし、常にエアコンを運転していれば、消し忘れのストレスを減らすことが可能です。
また、少しの外出でもエアコンをこまめに消していた方は手間も解消され、帰宅時には快適な環境で疲れや不快感も和らぎます。
エアコンをつけっぱなしにするデメリット
エアコンはつけっぱなしにするメリットがある反面、デメリットも存在します。
ここでは、デメリットについて詳しく見ていきましょう。
エアコンの寿命が早まる
エアコンの稼働時間が長くなると、エアコンの寿命も短くなります。
エアコンは内部のモーターやファンが回転しているため、稼働時間に比例して内部の部品も消耗劣化していくのが一般的です。
また、エアコンが常時稼働している場合では、屋外に設置している室外機も動作しているため、夜間の騒音や機械音を感じるケースが多くなります。
こまめに掃除が必要になる
エアコンの稼働時間が長くなると、内部フィルターに汚れが溜まりやすくなります。
そのため、長時間稼働にはこまめな清掃が必要不可欠です。
エアコンは、室内の空気を吸い込む際にホコリなどを本体に送り込まないようにフィルターが備わっていますが、フィルターが詰まるとホコリが蓄積して故障の原因になります。
空気の循環がうまくできないと消費電力が多くなるケースもあるため、エアコンを長期間使うためには定期的なメンテナンスが大切です。エアコンを常時稼働させている場合には、エアコンの自動掃除機能が動作しない可能性もあるため、運転を停止させて定期的に掃除をしましょう。
エアコンの効率を高めながら電気代を下げるテクニック
エアコンを使用する際は、冷暖房の効果を高めるテクニックが大切です。効果を高めるテクニックを活用すれば、快適な室温で電気代も下げられます。
ここでは、エアコンの効率を高めながら電気代を下げるテクニックを解説します。
暖房器具などの電気代について詳しく知りたい方は、次の記事も参考にしてください。
→暖房器具の電気代を比較|各製品の特徴と節電方法を詳しく解説
(冷房)遮光カーテンを併用する
冷房を使用する場合は、外部の日差しを遮る遮光カーテンの併用がおすすめです。
真夏では窓から差し込む直射日光の熱が冷房の効きを悪くするため、遮光カーテンで日差しを遮って、日陰を作ると冷房の効果が高まります。
また、屋外に設置してある室外機には反射シートを貼り、直射日光で本体内部の熱が高まらないようにする対策が効果的です。
近年では夏場の平均気温が上昇しているため、小さな対策が節電につながります。
(冷房)設定温度を28度にする
冷房の設定温度を28度に設定すると節電対策に効果的です。
設定温度を高めに設定するとエアコンの出力を抑えられるため、消費電力も少なくなります。
冷房の28度設定は高いように感じますが、冷たい風が出ていることもあり、設定温度よりか体感は涼しく感じます。
そのため、室内で屋外のような暑さは感じるこはないでしょう。また、睡眠中は体温が低下するため28度でも快適に過ごせます。暑さを感じる方は、設定温度を26度ほどから徐々に上げていき、徐々に体を慣らしていきましょう。
(冷房・暖房)サーキュレーターなどで風を回す
エアコンで冷房や暖房を使用するときは、サーキュレーターや扇風機を活用すると、エアコンの効率を高められます。
暖かい空気は高い場所に滞留し、冷たい空気は低い場所に集まります。そのため、サーキュレーターで空気を循環させ、部屋全体の温度を均一にしましょう。
空気が循環して、部屋全体の温度が均一になると、体感温度も快適に感じるため、エアコンを強めないで節電対策が可能です。
(暖房)窓に断熱材を貼る
暖房を使用する際は、窓から冷気が入らないように断熱材を貼るのも効果的です。
エアコンで暖かい空気を送っても、外の冷気によって冷やされた窓が暖房の熱を奪ってしまいます。
そのため、窓用の断熱材を貼って熱を逃さないようにする対策が大切です。もし、窓用の断熱材がない場合は梱包用のプチプチでも代用できます。
寒いからといって暖房の温度をすぐに強めるのではなく、自宅の環境を変えていきましょう。
(暖房)カーテンを厚手のものに変える
冬場は自宅のカーテンを厚手のものに変更する対策も効果的です。
カーテンが夏用で薄い生地の場合には外の冷気が室内まで伝わってしまうため、少しでも厚い生地で冷気を遮断するようにしましょう。
また、カーテンを窓サッシや出窓部分にマジックテープで固定する対策もおすすめです。
窓とカーテンの隙間を少なくすることで、冷気の侵入を防いで部屋全体の温度を一定に保てます。
まとめ
この記事では、エアコンの仕組みと特徴、一日中つけっぱなしにしたときの電気代、節電効果を高めるテクニックについて解説しました。
エアコンはこまめに消さずに、つけっぱなしにする方が電気代を下げられるケースがあります。部屋の広さや設定温度によって異なりますが、エアコンが再稼働するときの消費電力を少なくすれば、節電効果が高まります。
また、エアコンを多く使用する季節にはポータブル電源とソーラーパネルをセットで併用すれば、電気代を下げることも可能です。
太陽光を利用するソーラーパネルで電力を発電、ポータブル電源に蓄えれば、家庭内で電力消費するサイクルができて自給自足ができます。
EcoFlowのポータブル電源は、エアコンを動かせるほどの大容量ポータブル電源もラインナップしているため、好きな場所で高出力の電化製品が使用可能です。
家庭にポータブル電源とソーラーパネルの導入を検討中の方は、下記リンクをご覧ください。