大雪や除雪中の被害を指す雪害。降雪量が多い地域では雪害に見舞われるリスクが高く、事前の備えが欠かせません。雪害を直接受けなくても、交通機関の混乱や停電・断水などのインフラの停止に悩まされる場合もあるでしょう。
そこで今回は、、雪害の主な種類と日頃からできる対策について解説します。雪害によって起こる二次災害の対策も掲載しているので、降雪量の多い地域にお住まいで雪害対策が万全ではない方は、ぜひ最後までご覧ください。
雪害とは
雪害とは、雪によって生じる被害のことです。毎年、降雪量が多い日本海側の地域では、雪害によって多くの負傷者・死亡者を出しています。
消防庁が発表した資料によると、令和5年11月から令和6年3月までに雪害を受けた人数は402人に上りました(※1)。死亡した人のうち約9割は、屋根の雪下ろしや除雪作業中に被害を受けています。
※1参考:消防庁「今冬の雪による被害状況等(令和5年11月1日~令和6年3月31日)」
雪害が起こりやすい場所
全国で雪害を受けた人数が2桁を超えているのは、北海道、青森県、岩手県、秋田県、山形県、新潟県、石川県です。ただし、内陸や太平洋側の地域でも年によっては降雪量が多くなるため、油断はできません。雪害が起こりやすい場所の特徴を見ていきましょう。
- 30度以上の傾斜になっている
- 「落石注意」の標識が設置されている
- 低木林がまばらに植えられている
- 笹や草に覆われている
- 屋根に多くの雪が積もっている軒下
雪害は山間部や斜面地に建てられた建物だけでなく、平野部でも起こりえます。豪雪地域では、雪害の危険がある除雪作業が必要です。雪害に遭うリスクを想定して、万全の対策を行ってください。
雪害の5つの種類と原因
お住まいの地域によって、起こりえる雪害の種類は異なります。発生するリスクが高い雪害を把握できれば、ピンポイントで対策が可能です。雪害の5つの種類と原因を紹介します。
- 積雪害
- 雪圧害
- 雪崩害
- 着雪害
- 風雪害
それぞれの雪害の特長を把握し、自宅周辺で起こりえるかを判断してみてください。
積雪害
長く降り続いた雪によって、線路・道路が埋没する被害を「積雪害」と呼びます。積雪害が起きると交通網が機能しなくなるだけでなく、雪の表面が凍結して事故や怪我に繋がる恐れがあります。
滑りやすい路面の状態「アイスバーン」が起こりやすい条件は、以下のとおりです。
- 路面温度が氷点下になっている
- 雪が降り続いている
- 降雪の後に晴れて日が落ちた
- 気温が下がる夜間から朝方にかけての時間帯
- 太陽光が当たりづらい
車の速度を落とさずアイスバーンに突っ込んでしまうと、スリップして大事故に繋がりかねません。山間部だけでなく、平野部でも起こる可能性があります。
雪圧害
建物や木が積もった雪の重さに耐えきれず、損傷する被害を「雪圧害」と呼びます。積雪したばかりの雪は軽いですが、時間の経過とともに重みは増してくるのが特徴です。雪の分類別に特徴や重さを紹介します(※2)。
分類 | 特徴 | 重量(kg/㎥メートル) |
新雪 | 降雪から3~4日程度しか経過していない雪 | 30~150 |
しまり雪 | 降雪から数日が経ち、きめ細かく締まった雪 | 150~500 |
ざらめ雪 | 水を含んで肥大化し、粒子が1~3㎜もある雪 | 300~500 |
屋根雪が設計積雪量を超えると、建物の倒壊・破損リスクが高まります。時間の経過とともに雪下ろし作業の危険性は上がるため、注意してください。
雪崩害
雪崩によって人や建物、交通に及ぼす被害を「雪崩害」と呼びます。雪崩とは、山の斜面に積もった雪が重さに耐えきれずに崩れ落ちる自然現象です。
雪崩には、上層の雪が崩れる「表層雪崩」と積雪の底から全てが崩れる「全層雪崩」があります。甚大な被害をもたらす危険が高いのは、予測がつきづらい表層雪崩です。
着雪害
湿った雪が電線や電柱などの物体に付着して、損害や故障を引き起こす被害を「着雪害」と呼びます。主な被害は、電線の断線や電柱の傾き、支柱の折損などです。鉄道が着雪害を受けた場合は、車両の故障を防ぐために速度を落として運行するケースもあります。
風雪害
風雪害とは、吹雪によって視界が悪くなり、事故につながる被害のことです。視界全体が吹雪で白一色になる現象をホワイトアウトと呼びます。
雪山でホワイトアウトが起きると、方向感覚が分からなくなり、遭難の危険が高まります。運転中にホワイトアウトが起きると、他の車や障害物を視認できなくなり、命を落とす交通事故にも繋がりかねません。
過去に起きた3つの雪害事例
日本各地ではこれまで、幾度となく大規模な雪害に見舞われてきました。雪害が起きると、家屋の損傷や人的被害だけでなく、停電・断水などのライフラインも打撃を受けるのが特徴です。ここでは、過去に起きた雪害の事例を3つ紹介します。
雪害の恐ろしさを知り、対策の必要性を再認識してください。
平成18年豪雪
平成17年12月から平成18年1月にかけて、日本海側で記録的な大雪となりました。東日本と西日本では、12月の平均気温が戦後最も低い値を観測しています。
雪崩や融雪による被害も続出したことから、気象庁は「平成18年豪雪」と命名しました。全国の死者数は152人に上り、約150万戸で停電被害に見舞われています。
平成23年の大雪
平成22年から平成23年にかけて、日本海側の地域では記録的な大雪となりました。合計971人の負傷者と81人の死亡者を出しています。
自衛隊も福島県 、鳥取県、島根県、福井県に派遣され、人名や車両の救助にあたりました。全国で約34万戸の停電が発生し、その他にも断水や通信障害などの被害に見舞われています。
令和3年の大雪
令和2年12月から令和3年1月にかけて、全国的に大雪に見舞われました。除雪作業中の事故やホワイトアウトによる事故などで110名の死者と1705名の負傷者を出しています。
新潟県や群馬県では、2,000台を超える大規模な立ち往生が発生し、通行止めが解除されるまでに2日以上を要する事態に発展しました。北日本から西日本の各地域では、停電や断水などのライフラインへの被害も発生しています。
雪害に備えて日頃からできる対策3選
雪害から命を守るためには、事前の備えが欠かせません。大雪が起きてから対処しようとしても、道路の凍結や交通機関の停止によって思うように動けない可能性があります。雪害に備えて日頃からできる対策は、以下のとおりです。
- 対策1|降雪情報をこまめにチェックする
- 対策2|除雪道具を準備しておく
- 対策3|スタッドレスタイヤを装着する
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。
対策1|降雪情報をこまめにチェックする
雪害への備えを万全にするために、まずは降雪情報の収集が重要です。降雪情報は数日前から発表されているため、降雪量が多くなる時期にはこまめにチェックしましょう。
気象庁は、テレビやラジオ、インターネットを通して雪に関する情報を発信しています。気象庁が公表する雪害に関する注意や警戒は、以下のとおりです。
注意・警戒の種類 | 発表される条件 |
大雪警報 | 大雪により重大な災害が発生する恐れがある |
大雪注意報 | 大雪により災害が発生する恐れがある |
暴風雪警報 | 雪を伴う暴風により重大な災害が発生する恐れがある |
風雪注意報 | 雪を伴う強風により災害が発生する恐れがある |
着雪注意報 | 着雪により災害が発生する恐れがある |
なだれ注意報 | 雪崩による災害が発生する恐れがある |
融雪注意報 | 融雪により災害が発生する恐れがある |
対策2|除雪道具を準備しておく
積雪が予想される場合は、前もって除雪道具を準備しておきましょう。降雪してから除雪道具を揃えようとしても、路面の凍結や交通機関の停止によって多大な時間を要する恐れがあります。その間にも雪の重みは増していくため、除雪作業の危険性は高まります。除雪道具としては、融雪剤やスコップ、ヘルメットが必要です。
対策3|スタッドレスタイヤを装着する
雪道や凍結した路面を車で走行する場合に備えて、スタッドレスタイヤを装着しておきましょう。スタッドレスタイヤとは、通常のタイヤよりも溝が太く深く設計されているタイヤです。
路面との密着度を高め、滑らずに走行できます。ただし、タイヤはゴムでできているため、直射日光が当たる場所での保管は避けてください。
大雪の影響で停電が起きるリスク
雪害によって起こりえる代表的なライフラインへの被害として、停電が挙げられます。雪害で停電が起きる主な原因は、ギャロッピング現象や雪の重みによる樹木・電柱の転倒です。
ギャロッピング現象とは、着雪害によって電線が縦に大きく揺れる現象を指します。ギャロッピング現象が発生すると、複数の電線が接触し、ショートが起きることで停電に繋がります。
雪害による停電時に役立つポータブル電源の魅力
雪害による停電は、最大9日間も続くのが特徴です。長引く停電生活を乗り越えるには、ポータブル電源の備えが欠かせません。ポータブル電源とは、内部に大量の電気を溜め込み、コンセントが使えない状況でも電化製品を動かせる機器を指します。
停電生活にポータブル電源があるメリットは、以下のとおりです。
- エアコンや電気ストーブなどの暖房機器を使い、快適な気温を維持できる
- 家庭用融雪装置を稼働し、安全に除雪作業が行える
- 電子レンジやケトルを使って、簡単に温かい料理が作れる
- 降雪情報を調べるためのスマホを常に稼働できる
- 冷蔵庫に給電し、食品が傷むのを防げる
雪害による停電は山間部だけでなく、平野部でも起こりえるため、降雪量が多い地域にお住まいの方はポータブル電源を用意しておきましょう。
雪害対策に必要な性能|おすすめの製品
雪害対策としてのポータブル電源には、消費電力の高い暖房機器を長期間使用できるだけの定格出力と容量が必要です。定格出力(W)とは、装置が安定して出力できる最大の電力量を指します。容量(Wh)とは、1時間に使用できる電力の総量です。
例えば、450Wの電気ストーブを1日3時間で3日間使用する場合、定格出力450Wかつ容量4,050Wh(450W×3時間×3日間)のポータブル電源を用意する必要があります。
EcoFlowが販売する「DELTA 3 Plus」は、1,500Wの定格出力と拡張して最大5kWhになる容量を備えたポータブル電源です。製品の特長を詳しく紹介します。
- X-Boostテクノロジーにより、最大2,000Wの電化製品にも給電できる
- 1,024Whの容量を最大5kWhまで拡張できる
- わずか56分で100%にする業界最速充電を誇る
- UPS機能により、停電時には10ms以内に電気供給源が切り替わる
- Storm Guardを起動すると、警報発令の際にポータブル電源への充電が優先される
- LiFePO4バッテリーセル搭載により、10年以上も停電対策として活躍する
- 600W以下の動作で稼働音はわずか30dBに維持される
- IP65等級の防水、防塵、防油、防煙性能を誇る
- BMS管理システムにより、熱暴走を防ぎ、安全に使用できる
ソーラー充電にも対応しており、2つの500Wソーラーパネルを使えば、停電時もわずか70分で満充電が可能です。雪害による停電対策を万全にしたい方は、ぜひ製品の購入をご検討ください。
雪害に関するよくある質問
最後に、雪害に関するよくある質問を紹介します。
- 大雪に備えるために必要なアイテムは?
- 除雪中の事故を防ぐために気を付けることは?
- 雪崩には前兆になる現象が存在する?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
大雪に備えるために必要なアイテムは?
大雪が降っている状態で、不要不急の外出は望ましくありません。降雪量が多い地域にお住まいの方は、冬の時期になる前に以下のアイテムを揃えておきましょう。
- 飲料水
- 非常食
- 除雪道具(融雪剤、スコップ、ヘルメット等)
- 防寒具
- 長靴
- 手袋
- 携帯ラジオ
- 懐中電灯
- カセットコンロ
- ポータブル電源
雪道走行をする可能性がある方は、タイヤチェーンやスタッドレスタイヤも必要です。
除雪中の事故を防ぐために気を付けることは?
大前提として、除雪作業は2人以上で行いましょう。一人で作業していると、万が一事故に遭った際に発見が遅れる恐れがあります。屋根からアスファルトやコンクリートに転落すると大怪我を負う可能性があるため、落下した先に雪を残しておくことも重要です。
雪崩には前兆になる現象が存在する?
雪崩の前兆として、クラックや雪シワ、雪庇、スノーボールが挙げられます。
雪崩の前兆 | 特徴 |
クラック | 雪の裂け目が斜面に現れる現象 |
雪シワ | ふやけた指のシワのような模様が雪に現われる現象 |
雪庇 | 山の尾根から雪が張り出している現象 |
スノーボール | 雪のかたまりが落ちてくる現象 |
上記の前兆が見られた場合は、早急にその場を離れましょう。
まとめ
本記事では、雪害の種類や対策について解説してきました。
雪害の種類には、積雪害、雪圧害、雪崩害、着雪害、風雪害の5種類があります。山間部や斜面地に建てられた建物だけでなく、平野部でも起こりえるため、油断は禁物です。人や建物などの物理的な被害に加えて、電気や水道などのライフラインも打撃を受けます。
まずは、降雪情報をこまめに確認し、大雪に備えましょう。大雪の最中に外出するのは厳しいため、除雪道具は前もって準備しておく必要があります。
EcoFlowでは、雪害による停電対策に最適なポータブル電源を販売しています。最大9日間にも及ぶ停電生活で、電化製品を駆使して快適に過ごしたい方は、ぜひ製品情報をチェックしてみてください。
→IP65・BMS・温度管理により大雪の最中でも安全に使用できる「DELTA 3 Plus」