巨大な竜巻といえば、アメリカをイメージする方も多いのではないでしょうか。しかし、日本でも年間で平均20個の竜巻が発生します。竜巻は、家屋の倒壊や車の横転などの被害をもたらすのが特徴です。飛来物が猛スピードで人に衝突すると、大怪我を負いかねません。
そこで本記事では、竜巻が起こる仕組みや特徴について解説します。竜巻災害によって起こる被害や、竜巻対策に必要なグッズも掲載しているので、恐ろしい竜巻の被害を最小限に抑えたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
竜巻の定義とは

竜巻とは、積雲や積乱雲の上昇流に伴う渦です。雲底から地面・海面までが、漏斗状や柱状の雲でつながっています。竜巻の中心付近は気圧が低いために風が強く、周囲の空気や物を巻き込みながら移動していきます。
特に通常の数倍から数十倍に発達した積乱雲「スーパーセル」に伴って発生する竜巻は、巨大化するのが特徴です。スーパーセルの内部では上昇流と下降流が隣接しているため、竜巻とダウンバーストを同時に発生させる場合があります。
竜巻の規模を表す指標
竜巻の規模を推定するため、世界的に使われている指標が「藤田スケール」です。1971年にシカゴ大学名誉教授の藤田哲也博士が、国立暴風雨予報センター局長のアレン・ピアソンと共に提唱しました。日本版藤田スケールの定義は、以下のとおりです。
階級 | 風速(3秒平均) | 想定被害 |
JEF0 | 25~38m/s | 木造住宅が目視でわかる程度の被害に見舞われる |
JEF1 | 39~52m/s | 木造住宅で広範囲の屋根ふき材が浮き上がる |
JEF2 | 53~66m/s | 木造住宅の壁が上部構造の変形で損傷する |
JEF3 | 67~80m/s | 木造住宅の上部構造が著しく変形し、倒壊する |
JEF4 | 81~94m/s | 工場や倉庫などで広範囲の屋根ふき材が脱落する |
JEF5 | 95m/s~ | 鉄骨造の住宅で上部構造が著しく変形し、倒壊する |
竜巻が起こる仕組み

竜巻は、地上付近で風が回転している場所に積乱雲の上昇気流が重なり、渦が上下に引き伸ばされることによって発生する仕組みです。風は回転しながら上昇していき、回転の半径が小さくなるのに伴って風速が上がり、竜巻へと変化します。
竜巻が起こる仕組みを深堀するため、以下の項目について見ていきましょう。
- 竜巻が発生しやすい気象状況
- 竜巻の発生前に起こる前兆現象
竜巻の仕組みを理解できれば、日常生活の中で竜巻の前触れに気づきやすくなります。
竜巻が発生しやすい気象状況
竜巻は、発達した積乱雲に伴って発生する自然現象です。そのため、積乱雲が発達しやすい台風や低気圧、前線などの気象状況で竜巻は発生しやすくなります。竜巻を起こす気象状況の割合としては、前線が約60%、低気圧が約14%、台風が約13%です(※1)。
寒冷前線によって上空と地上の気温差が大きくなればなるほど、積乱雲は発達しやすくなり、竜巻の発生につながります。大気が不安定な時は、竜巻に注意してください。
※1参考:共立出版「竜巻のふしぎ」
竜巻の発生前に起こる前兆現象
発達した積乱雲が近づいてくると、以下のような竜巻の前兆現象が発生します。前兆現象に気付いたら、ただちにその場から離れましょう。
- 空が急に暗くなる
- 雷鳴が聞こえたり、雷光が見えたりする
- 冷たい風を感じる
- 耳鳴りがする
- 大粒の雨やひょうが降り出す
- 湯気のような雲が見える
その他にも竜巻が近づいてくると、特別な雲「アーククラウド」「かなとこ雲」「乳房雲」がしばしば見られます。竜巻以外にダウンバーストやガストフロントと呼ばれる突風の前兆現象でもあるため、竜巻が見えなくても油断はできません。
日本で起こる竜巻の特徴

日本では、平均して年に約20個ほどの竜巻が発生します(※2)。アメリカでは年に平均1300個もの竜巻が発生していますが、単位面積に換算すると日本での竜巻発生数も少ないとは言えません(※3)。竜巻が一度発生すると、甚大な被害をもたらす場合があります。
日本で起こる竜巻の特徴として、竜巻が多い時期や地域について詳しく見ていきましょう。
※2参考:気象庁「「竜巻」による災害」
竜巻が多くなる時期
日本で発生する竜巻は、大気の状態が不安定になりやすい7月〜11月に多くなっています。特に積乱雲が発達する台風シーズンの8月〜10月は、他の月と比べて群を抜いて数が増えています。1991〜2025年における竜巻の月別発生確認数は、以下のとおりです(※4)。
月 | 竜巻発生確認数 | 月 | 竜巻発生確認数 |
1月 | 17 | 7月 | 51 |
2月 | 18 | 8月 | 86 |
3月 | 20 | 9月 | 125 |
4月 | 18 | 10月 | 81 |
5月 | 25 | 11月 | 49 |
6月 | 37 | 12月 | 31 |
※4参考:気象庁「竜巻等の突風データベース|月別の発生確認数」
竜巻が多い地域
1991年から2025年までの期間において、竜巻の発生確認数は秋田県、高知県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県で多くなっています(※5)。ただし、竜巻は積乱雲が発達しやすい前線や低気圧、台風に伴って確認されるので、日本中どこで起きてもおかしくありません。
※5参考:気象庁「竜巻等の突風データベース|都道府県別の発生確認数」
竜巻災害によって起こる3つの被害

竜巻は短時間で狭い範囲に対して、甚大な被害をもたらします。自動車以上のスピードで数km〜数十kmを移動するため、走って逃げ切るのは到底不可能です。竜巻の恐ろしさは人や物が飛ばされるだけでなく、飛来物が猛スピードで衝突してくる点にもあります。
竜巻災害によって起こる主な被害は、以下のとおりです。
- 被害1|建造物の全半壊
- 被害2|交通機関の横転
- 被害3|人的被害
それぞれの被害について、詳しく見ていきましょう。
被害1|建造物の全半壊
竜巻が建造物を通過すると、外装材や屋根の骨組、上部構造などが被害を受けます。巨大な竜巻によって木造住宅の上部構造が倒壊・飛散した場合は、一部の土台しか残りません。鉄筋コンクリート造の建物においても、外装材の損壊や上部構造の変形などが見られます。
2006年に宮崎県延岡市で発生した竜巻では、507棟の家屋が全半壊しました(※6)。九州で発生した竜巻による被害としては、過去最大級と言われています。
被害2|交通機関の横転
JEF1以上のスケールになった竜巻は、交通機関を横転させるほどの威力を持ちます。道路から吹き飛ばされた車が人に当たると、ひとたまりもありません。JEF1では軽自動車や普通自動車、鉄道車両が、JEF2を超えると普通自動車や大型自動車が横転します。
2006年に宮崎県延岡市で発生した竜巻では、JR日豊線の特急列車が横転し、運転手と乗客が怪我を負いました。乗用車が吹き飛ばされて民家に突っ込む被害も発生しています。
被害3|人的被害
時に竜巻は、重傷者や死者を出すほどの人的被害を引き起こします。竜巻によって人的被害が発生する要因は、転倒した建物や飛散物、破壊された窓ガラスの破片など様々です。
室内で建物の下敷きになったり、屋外で飛来物が頭を直撃したりすると、命を落とす危険もあります。1999年に愛知県豊橋市で発生した竜巻では、重軽傷者が453人にものぼりました(※6)。
竜巻が起きた時の正しい行動

竜巻は時速約90kmに達する場合もあり、接近を確認してから時間的な猶予はほとんどありません。竜巻が起きた時の正しい行動は、以下のとおりです(※7)。
- 【屋外】頑丈な建物の中に入って体を小さくする
- 【屋外】シャッターを閉める
- 【屋内】窓のない1階の部屋に移動する
- 【屋内】窓やカーテンを閉める
- 【屋内】丈夫な机やテーブルの下に入って体を小さくする
屋外にいる場合、物置や車庫、プレハブは耐久性が低いため、避難場所に適していません。また、電柱や樹木は転倒の危険があるので、近づかないようにしましょう。
※7参考:気象庁「竜巻から身を守るには」
竜巻に備えて揃えておきたい6つのグッズ

竜巻の被害に遭うと、避難所生活や在宅避難を余儀なくされる恐れがあります。竜巻によって道路や線路などが被害を受けた場合、物流機能が停止して必要な物を調達できなくなるケースもあるでしょう。竜巻に備えて揃えておきたいグッズは、以下のとおりです。
- 食料・飲料水
- LEDライト・懐中電灯
- 携帯ラジオ
- 衛生用品
- 救急セット
- ポータブル電源
それぞれのグッズについて、詳しく見ていきましょう。
食料・飲料水
食料・飲料水は、災害時の生命維持に欠かせません。食料は主菜・副菜・主食のバランスを考慮して、家族の人数や好みに合った種類と量を選びましょう。
普段の食料を多めに買い置きしておき、消費した分を買い足していく「ローリングストック」を実践すれば、無理なく食料を備蓄できます。飲料水は、一人当たり1日3Lを3日分備蓄しておくと安心です。
LEDライト・懐中電灯
竜巻は日が昇っている昼間にやってくるとは限りません。LEDライトや懐中電灯があれば、夜に竜巻が発生した場合でも安全に適切な経路で避難できます。
また、竜巻が送電設備を破壊して大規模な停電が発生した場合、数日間の停電生活を余儀なくされますが、LEDライトや懐中電灯があると夜の明かりを確保できます。
携帯ラジオ
気象庁が発表する竜巻注意情報を迅速に収集するためには、携帯ラジオが必要です。軽量・コンパクトな携帯ラジオは、周波数を合わせるだけでどこでも災害情報を収集できます。
災害によって通信回線が混雑する影響は、一切受けません。手回し充電やソーラー充電ができたり、LEDライトが搭載しているタイプは、竜巻対策グッズにぴったりです。
衛生用品
避難した先で衛生状態を維持するためには、以下の衛生用品が必要です。災害時にはライフラインの停止や集団生活などが原因で、感染症のリスクが高まります。
- ウェットティッシュ
- 携帯トイレ
- 消毒液
- マスク
- 歯ブラシ
- マウスウォッシュ
女性は生理用品、赤ちゃん連れは清浄綿や哺乳瓶除菌液なども用意しておきましょう。
救急セット
竜巻によって怪我を負った際には、応急処置のために救急セットが必要です。災害時は精神的なストレスから体調を崩す恐れもあります。災害時は医療機関がストップしている可能性があり、すぐに診療を受けられるとは限りません。
竜巻対策として揃えておきたい救急セットの中身は、以下のとおりです。
- 絆創膏
- 消毒液
- はさみ
- ガーゼ
- ピンセット
- 包帯
- 軟膏
- 三角巾
- アイスパック
- 常備薬や市販薬(頭痛薬・胃腸薬・解熱鎮痛剤等)
ポータブル電源
竜巻によって送電設備が損傷すると、大規模な停電が発生します。停電中も電気の供給を継続するには、ポータブル電源が必要です。ポータブル電源とは、内部に大量の電気を溜め込み、コンセントが使えない状況でも電化製品に給電できる機器を指します。
帯薪による停電中にポータブル電源が活躍する場面は、以下のとおりです。
- エアコンや扇風機などの冷暖房機器を稼働して、快適な気温を維持できる
- 電子レンジや電気ケトルを使い、簡単に非常食を調理できる
- 冷蔵庫に給電して、食品が傷むのを防げる
- 懐中電灯を点灯し、夜の安全を確保できる
- 携帯ラジオを稼働して、竜巻注意情報を迅速に収集できる
- 家族と連絡するためのスマホを常にフル充電にしておける
ポータブル電源は、竜巻だけでなく地震や台風などの災害時にも活躍します。ソーラーパネルと併用すれば、停電中にポータブル電源が充電切れになる心配はありません。
竜巻対策に必要な性能|おすすめのポータブル電源

竜巻対策に用意するポータブル電源は、充電速度の速いタイプを選びましょう。竜巻は自動車を超える時速90kmで移動してくるケースもあり、充電速度の遅いポータブル電源では、停電時に十分な電力を確保できていない可能性があります。
EcoFlowは、最短56分で満充電できるポータブル電源「DELTA 3 Plus」を販売しています。竜巻注意情報を見てから充電を始めても、停電時には十分な電力が蓄電されているでしょう。「DELTA 3 Plus」の主な特徴は、以下のとおりです。
- コンセントから56分、ソーラーパネルから70分で満充電できる
- 容量1024Whを最大5kWhまで拡張できる
- 約12.5kgの小型設計で、避難場所まで自由に持ち運べる
- LFPバッテリーを搭載し、10年以上も停電対策で活躍する
- 出力600W未満の動作時に動作音を30dbに抑えられる
- 高性能なBMSが過電流や発火、爆発を防ぐ
- 12時間以内に竜巻のリスクがあると、ユーザーに通知し充電が優先される
- UPS機能を搭載し、停電時に10ms以内で電気供給源を切り替える
ACやDC、USB、シガーソケットなど、計13個の出力ポートを搭載しているため、停電時も複数台の家電を同時に動かして快適な避難生活が実現します。竜巻による停電対策を万全にしたい方は、ぜひ製品情報をチェックしてください。

竜巻に関するよくある質問

最後に、竜巻に関するよくある質問を紹介します。
- 竜巻注意情報はいつから出される?
- 竜巻による被害を抑えるための対策は?
- 過去に日本で被害をもたらした竜巻災害は?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
竜巻注意情報はいつから出される?
竜巻注意情報は、突風発生危険度と全国のドップラーレーダーによって竜巻が発生しやすい気象状況と判断された場合に各地の気象台から発表されます。
竜巻注意情報の有効期間は、発表から1時間です。竜巻注意情報が発表された後は、気象庁が提供する竜巻発生確度ナウキャストをこまめに確認して、危険な場所を把握しましょう。
竜巻による被害を抑えるための対策は?
竜巻による被害を最小限に抑えるためには、以下の対策が重要です。
- 物置や車庫、プレハブ、電柱、樹木から離れる
- 窓やカーテン、シャッターを閉める
- 窓ガラスに近づかない
- 最新の気象情報やナウキャストをこまめに確認する
竜巻の前兆現象を把握しておき、いざというときには頑丈な建物に逃げ込みましょう。
過去に日本で被害をもたらした竜巻災害は?
過去に日本で被害をもたらした竜巻災害は、以下のとおりです(※6)。
発生年月月日 | 場所 | 被害の概要 |
2013年9月2日 | 埼玉県さいたま市から茨城県坂東市 | 負傷者76名、住家の全半壊247棟 |
2012年5月6日 | 茨城県筑西市、常総市等 | 死者1名、家屋の被害や電柱の倒壊など |
2006年9月17日 | 宮崎県延岡市 | 死者3名、家屋の全半壊507棟 |
まとめ

本記事では、竜巻の定義や特徴について解説してきました。
竜巻とは、積雲や積乱雲の上昇流に伴って発生する漏斗状や柱状の渦です。地上付近で回転している風に積乱雲の上昇気流が重なることで、渦が上下に引き伸ばされて発生します。
竜巻は、積乱雲が発達しやすい台風や低気圧、前線などの気象状況で発生しやすくなるのが特徴です。竜巻が住宅地を通過すると、甚大な建造物の被害や人的被害に見舞われる恐れがあります。竜巻の前兆現象に気付いたら、頑丈な建物に素早く逃げ込みましょう。
EcoFlowは、竜巻による大規模な停電時に活躍する高出力のポータブル電源を販売しています。停電時も家族の健康を守りたい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。
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