「台風の大きさと強さって何が違うの?」という疑問を持つ方もいるのではないでしょうか。
台風の大きさは強風域の半径で決まり影響を受ける地域の範囲を示すのに対し、強さは最大風速で決まり風の威力を表します。
大きさと強さを正しく理解することで適切な避難判断や防災対策が可能となり、生命と財産を守ることにつながります。また、台風による複合災害への備えも重要な課題です。
本記事では、台風の大きさと強さの違いや風速別の影響、効果的な災害対策について解説します。
台風の基本知識

台風は、熱帯低気圧の中で風速17m(34ノット)を超えるものを指します。海水温度が高い地域で発生するのが特徴で、主な発生場所は熱帯地域です。
発生した台風は、少しずつ発達しながら上空の風によって北へと流れていきます。実際には1年を通して発生している台風ですが、そのすべてが日本まで来るわけではありません。
27個ほど発生する中で、日本の付近にまでやって来る台風の数は年間で7個ほどです。そのうち、平均して3個程度が日本に上陸します。
台風は太平洋高気圧の力が強いと上陸できないため、日本には太平洋高気圧が弱まってくる秋が影響を及ぼしやすくなります。
⇒台風とは何かを簡単に説明!季節別の特徴や台風による停電対策も徹底解説
台風における風速の単位
台風の気圧や風速を示す際には「ヘクトパスカル(hPa)」と「ノット(kt)」という国際的な単位が使用されています。ヘクトパスカルは気圧を表す単位で、1992年まで日本で使われていた「ミルバール(mb)」から変更されたものです。
数値的には1ヘクトパスカルが1ミルバールと同等であり、実質的な変更はありませんでした。
この単位は圧力を測定するもので、1ヘクトパスカルは1ニュートンの圧力に相当します。一方でノットは速度を表す単位として用いられ、1時間で1海里進む速度を意味しています。
海里は航海や航空分野で標準的に使用される距離の単位で、約1.852kmに相当するものです。
これらの国際単位を採用することで世界各国の気象機関との情報共有がスムーズになり、より正確な台風予測と警戒情報の提供が可能となっています。
台風の「大きさ」と「強さ」の基準

台風の大きさは強風域の半径によって「大型」「超大型」などに分類され、影響を受ける地域の範囲を示す重要な指標となっています。
大きさは影響範囲を示し、強さは風の威力を表すことから、両者はまったく異なる指標であることを理解しておきましょう。
【強さの階級分け】
階級 | 最大風速 |
強い | 33 m/s(64ノット)以上~44 m/s(85ノット)未満 |
非常に強い | 44 m/s(85ノット)以上~54 m/s(105ノット)未満 |
猛烈な | 54 m/s(105ノット)以上 |
【大きさの階級分け】
階級 | 風速 15 m/s以上の半径 |
大型(大きい) | 500 km以上~800 km未満 |
超大型(非常に大きい) | 800 km以上 |
台風情報では「大型で強い台風」のように大きさと強さを組み合わせて表現されますが、強風域の半径が500km未満の場合は大きさを、最大風速が33m未満の場合は強さを表現しません。
風速25m以上の範囲は暴風域と呼ばれ、特に警戒が必要な領域として区別されています。
予報円は「大きさ」と「強さ」の基準ではない
気象庁が発表する予報円は台風の中心位置の予測誤差範囲を示すもので、台風自体の勢力とはまったく関係がありません。
予報円は台風の中心が70%の確率で通過すると予想される範囲を表しており、予報の信頼度を視覚的に示す役割を担っています。予報円が小さければ進路予測の精度が高く、大きければ不確実性が高いことを意味するのです。
台風の規模や威力を知りたい場合は予報円ではなく、強風域や暴風域の表示を確認することが大切です。
風速から予想される台風の影響

台風の情報を数値で聞いても、実際にはどういった影響が出やすいのか判断に迷う人は多いのではないでしょうか。そこで、風速ごとに予想される影響を紹介します。
風速20m
成人でも体を支えることが困難になり、小さな子どもは吹き飛ばされる危険性があります。
屋外での活動は極めて困難で、歩行時には常に転倒のリスクを伴うレベルです。看板や軽量な屋外設置物が飛散し始める段階でもあります。
風速25m
樹木の枝が折れ始め、煙突や老朽化した構造物の倒壊リスクが高まります。
屋根瓦の飛散が本格化し、周辺への二次被害も懸念される状況です。この段階で屋外への外出は非常に危険となり、屋内での待機が推奨されます。
風速30m
建物の雨戸や屋根材が剥がれ飛ぶようになり、電柱の倒壊により大規模停電が発生する可能性が高まります。住宅の構造によっては建物自体の倒壊も起こりうる段階で、避難所への移動も困難になるレベルです。
風速35m
自動車が横転し、電車の運行も完全に停止する威力となります。
この段階では交通機関による避難は不可能です。事前の避難完了が生命を守る重要な要素となります。
風速40m
小石や瓦礫が弾丸のように飛散するレベルで、屋外に出ることは生命に関わる危険を伴います。人間は体を大きく傾けなければ立っていることができず、短時間の外出でも重大な怪我のリスクが伴います。
風速50m
木造建物の大部分が倒壊し、大木も根こそぎ倒れる破壊的な威力となります。頑丈な建物内での避難以外に安全を確保する方法はなく、救助活動も一時的に停止される状況です。
風速60m
鉄塔や送電線などの重厚な構造物も変形や倒壊の危険があり、都市機能が完全に麻痺する状態です。災害レベルとしては最高レベルの警戒が必要となります。
台風で起こりやすい災害とその被害

台風は複数の災害を同時に引き起こす複合災害の特徴を持ち、広範囲にわたって深刻な被害をもたらします。ここでは、台風で起こりやすい災害の種類を5つ紹介します。
⇒災害の種類一覧|被害の特徴と安全性を確保する備え・対策とは?
風害
強風による建物の屋根や外壁の破損は台風被害の代表例です。飛散した建材が周辺に二次被害をもたらす危険性があります。
特に高層建築物では風圧が増大し、窓ガラスの破損や外装材の剥離が頻発します。住宅密集地では隣家への飛散物による連鎖的な被害が拡大しやすく、地域全体の復旧が困難になる場合もあるでしょう。
水害
河川の氾濫や都市部での内水氾濫は住宅地や商業施設に深刻な浸水被害をもたらし、経済活動の長期停止を引き起こします。
地下空間では排水機能が麻痺しやすく、避難が遅れると生命に関わるリスクがあります。さらに汚水との混合により衛生環境が悪化し、感染症の拡大リスクも懸念されるため注意が必要です。
地下駐車場や地下街では水圧により扉が開かなくなり、避難経路が遮断される事例も報告されています。
土砂災害
大量の降雨により地盤が緩んで土石流や地すべりが発生し、瞬時に家屋を押し流す破壊的な災害となります。山間部や急斜面の住宅地では避難のタイミングが生死を分ける重要な判断となり、気象情報への注意が欠かせません。
土砂災害は前兆現象が分かりにくく、発生すると逃げる時間的余裕がほとんどないのが特徴です。道路の寸断により孤立状態になりやすく、救助活動も困難を極める場合が多いでしょう。
高潮害
海面が異常に上昇して沿岸部の防波堤を越え、市街地に海水が流入する現象です。塩害により農作物や電気設備に長期的な影響を与え、復旧作業が極めて困難になる特徴があります。
沿岸部の工場や港湾施設では設備の腐食が進行し、操業再開までに大規模な修繕が必要となるケースもあります。台風が接近してからでは避難が困難になるため、早めに安全な行動を行うことが大切です。
波浪害
波浪害は高波によって港湾施設や海岸構造物が破壊され、船舶の座礁や転覆事故が多発する海洋災害です。沿岸道路の通行止めは物流を停止させ、生活必需品の供給に深刻な支障をきたすことになります。
漁業関係者にとっては船舶や漁具の損失が生計に直結する問題となります。観光地では復旧に多額の費用と時間を要し、観光業への打撃も深刻化することが予想されるでしょう。
大雨・台風が起きたときの好ましい行動

台風の特徴や起こりやすい災害などを踏まえ、実際に台風が起こったときにはどのような行動が好ましいのかを解説します。
最新の気象情報をチェックする
台風の進路と勢力変化を正確に把握することが安全な避難行動の基礎となります。テレビやラジオの気象情報に加えて、スマートフォンアプリやインターネットを活用し、より詳細で最新の予報データを入手しましょう。
特に夜間や早朝の情報更新には注意を払い、就寝前には必ず最新の進路予想を確認することが重要です。風速や雨量の変化傾向を把握すれば避難のタイミングを適切に判断できます。
河川など水辺に近づかない
台風のとき、大雨によって河川の水位が急激に上昇するのはよくあることです。河川の他にも水田や池なども、水が溢れてしまうこともあります。台風のときは、水辺には近づかないようにしましょう。
また、水辺から離れていても低い場所だと水が溜まりやすくなります。通勤などで慣れている道路でも、低い場所は迂回するほうが無難です。
外出中は安全な場所に避難する
外出中に暴風雨に遭遇したときは、適切な状況判断が求められます。早めに帰宅できるのは好ましいことですが、無理をすることはありません。
状況に応じて、安全な場所に身を寄せることも必要です。帰宅経路で災害が発生していないか確認し、安全第一で移動しましょう。
屋外の物を片付ける
台風のとき、強風でさまざまなものが飛ばされやすくなります。周囲に危険が及ばないよう、屋外にある飛びやすいものは片付けることです。
鉢植えなどは屋内に取り込むか風が当たりにくい場所に運び、移動が難しいものは飛ばないように紐で括るなどの対策を取りましょう。また、屋外で犬を飼っているときは屋内に退避させることも忘れてはいけません。
窓や雨戸を閉める
強風による窓ガラスの破損を防ぐため、雨戸やシャッターはしっかりと閉めて鍵を掛けておきましょう。飛散物の衝突に備えて窓ガラスに飛散防止フィルムを貼ることも、二次被害の防止に効果的な手段となります。
また、カーテンやブラインドも閉めることで、万が一ガラスが割れた際の飛散範囲を限定できます。窓の内側に板を当てるなどの保護措置も状況に応じて検討しましょう。
24時間換気システムの給気口を閉める
強風時には給気口から雨水が侵入する恐れがあるため、事前に閉鎖しておく必要があります。台風通過後は忘れずに給気口を開放し、室内の空気循環を正常に戻すことが健康維持にとって重要です。
現代住宅の多くに設置されている24時間換気システムは、通常時は室内の空気質を保つ重要な役割を担っています。しかし、台風などの悪天候時には逆に被害の原因となる可能性があるため、適切な操作方法を理解しておくことが大切です。
ハザードマップを確認する
自宅周辺の浸水想定区域や土砂災害警戒区域を事前に把握し、複数の避難経路を検討しておきましょう。市区町村が作成するハザードマップを活用すれば、地域固有の災害リスクを正確に理解できます。
インターネット上で公開されているハザードマップは定期的に更新されているため、年に1度は最新版を確認することをおすすめします。
必要と感じたら素早く安全に避難する
避難勧告が出ているのに、タイミングを逃してしまうというケースもあります。「自分だけは大丈夫」と考えず、必要だと感じたら迅速安全に避難することです。
そのためにも、貴重品や着替えなど必要最低限の荷物をまとめておくといいでしょう。
避難の前に火を始末する
ガスの元栓を閉めブレーカーを落とすことで、避難中の火災発生を防止できます。電気器具のコンセントを抜き、漏電による火災リスクを軽減することも重要な安全対策となります。
調理中や暖房使用中に急な避難が必要になった場合でも、冷静に火の始末を行うことが被害拡大を防ぐ鍵となります。普段から家族で火災予防の手順を確認しておきましょう。
大雨・台風が起きる前に備えておきたいこと

日頃からの備えが災害時の生存率を大きく左右するため、平時における準備活動の重要性は計り知れません。以下、災害が起きる前に備えておきたいことを5つ紹介します。
- 避難場所を家族で共有しておく
- 避難経路を実際に歩いて確かめておく
- 緊急時の連絡方法を確認しておく
- 非常用持ち出し品を準備しておく
- ポータブル電源を用意しておく
家族全員が参加する防災対策により、いざというときの安全を確保できるでしょう。
避難場所を家族で共有しておく
最寄りの避難所や親戚宅など複数の避難先を家族全員で事前に確認し、緊急時の混乱を防ぐことが重要です。避難所の収容人数や設備状況を把握すれば、適切な避難先選択に役立てることができます。
ペットを飼っている家庭では、動物同伴可能な施設の確認も欠かせない準備の1つです。避難所以外にも、遠方の親戚や友人宅を緊急時の避難先として事前に相談しておくことで、選択肢を広げることができるでしょう。
避難経路を実際に歩いて確かめておく
普段使用しない避難ルートを実際に歩いて、危険箇所や所要時間を確認しておくと安心です。道路の冠水しやすい場所や土砂崩れの危険がある箇所を事前に把握しておけば、災害時の安全な移動を実現できます。
車での避難と徒歩での避難、両方のパターンを想定した経路確認も重要です。地域の防災訓練に参加すれば、より実効性の高い避難計画を立てることができます。
緊急時の連絡方法を確認しておく
災害用伝言ダイヤルや安否確認サービスの使用方法を家族全員で確認しておきましょう。携帯電話の充電器や予備バッテリーを準備すれば、通信手段の確保に万全を期すことができます。
また、連絡が取れない場合の集合場所も複数決めておけば、家族の再会がスムーズに行えるでしょう。SNSやメッセージアプリなど、複数の連絡手段を準備しておくことも現代的な対策として有効です。
非常用持ち出し品を準備しておく
水や食料に加えて懐中電灯や救急用品など、最低3日分の必需品をまとめて準備することが基本的な備えです。避難時に素早く持ち出せるよう玄関付近に常備し、定期的に内容を点検して使用期限を管理しましょう。
飲料水は1人1日当たり2リットルを目安とします。食糧と合わせて最低でも3日分を用意しておくと安心です。
季節に応じた衣類や毛布、レインコートなどの防水用品も忘れずに含めることが重要です。処方薬やお薬手帳、貴重品のコピーなど、個人の状況に応じたアイテムも追加しておけば、避難生活での困窮を軽減できます。
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ポータブル電源を用意しておく

現代生活において電力は生命線ともいえる重要なインフラであり、災害時の電力確保は安全と快適性を両立させる鍵となります。ポータブル電源があれば電力の確保が実現し、電気機器を使って最低限の生活を送れます。
なかでも「EcoFlow DELTA 3 Plus」は業界トップクラスの急速充電機能を備え、緊急時の電力ニーズに迅速に対応できるポータブル電源です。1,500Wの高出力により、災害時でも日常に近い生活環境を維持できます。

「EcoFlow DELTA 3 1500」はコンパクトサイズながら大容量を実現しました。10年間の長寿命設計も特徴の1つで、防災用品として長期保管にも適しています。

台風の大きさ・強さに関するよくある質問

最後に、台風の大きさ・強さに関するよくある質問を3つ紹介します。
台風の大きさと被害の関係は?
大型の台風ほど影響範囲が広いため、多くの地域で同時に被害が発生し復旧作業が困難になる傾向があります。小さな台風でも中心付近の風速が強い場合は、局地的に甚大な被害をもたらす恐れがあるため油断は禁物です。
大型で強い台風は最も警戒すべき存在ですが、小型でも猛烈な台風の場合は通過地点では壊滅的な被害が生じることもあります。
台風の強さはどこで測定される?
台風の強さは、主に中心付近の最も風が強い部分と中心気圧で観測された値を基準とします。
中心から離れた場所では風速が弱くなることが多いため、台風の影響を予測する際は距離による減衰も考慮することが重要です。また、地上の風速は海上での観測値より弱くなることが一般的で、実際の体感と発表される数値に差が生じる場合があります。
日本に接近する台風の特徴は?
秋季の台風は移動速度が速く、短時間で大量の雨を降らせる特徴があるため注意が必要です。
偏西風の影響により、日本に接近する台風は進路が北東方向に変わることが多く、予想進路の急激な変化にも警戒が必要になります。
また、台風が温帯低気圧に変わっても、強風や大雨の影響は継続することがあるため、通過後も油断せずに気象情報を確認し続けることが重要です。
まとめ
本記事では、台風の大きさと強さの違いや風速別の影響、効果的な災害対策について解説しました。
台風の大きさは強風域の半径で決まる影響範囲を示し、強さは最大風速で決まる風の威力を表します。台風は風害だけでなく、水害や土砂災害など複合的な災害をもたらすため、事前の備えと早期避難が被害軽減の鍵となります。
現代では停電対策としての電力確保も重要な要素であり、災害時の安全性と快適性を両立させる備えが必要です。
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