太陽光発電を導入する際、出力制御について知っておくことが重要です。
出力制御とは、一般配送電事業者の指示で発電事業者が太陽光発電の出力を抑制することを指し、電力の無駄を抑えたり需給バランスを整えたりする役割があります。
この記事では、太陽光発電の出力制御、範囲と頻度、個人でできることをわかりやすく解説します。
太陽光発電の出力制御について知りたい方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
太陽光発電の出力制御とは?
はじめに、太陽光発電の出力制御とは何かについて詳しく解説します。
出力制御の概念
出力制御とは、一般葬配電事業者の指示で発電事業者が太陽光発電の出力を抑制することを指します。
電力の需要と供給のバランスを調整するために、出力を一時的に抑制する状況を指す言葉です。
一般家庭で普通に電力を使用するだけなら、出力制御については深く考えない方がほとんどかもしれませんが、出力制御は日常生活にも影響します。
特に太陽光発電を導入して売電している方は影響を受けるため、出力制御がどのようなものなのかはあらかじめ把握しておくことが重要です。
出力制御の必要性
出力制御を行う理由は主に2つあります。
- 電力は蓄えられず余るとエネルギーが無駄になるため
- 電力の需給バランスを一致させないと電圧や周波数に影響が出るため
基本的に電力は蓄えられず発電したものをそのまま供給しているものの、電力の需要は常に変化するためエネルギーの無駄を引き起こす恐れがあります。
また、電力の需給バランスが崩れると電圧や周波数に影響が生じて電子機器の故障や送電線の切断が発生する恐れがあります。
これらの事態を防ぐために、出力制御が適宜行われているわけです。
なお、出力制御の際、電力会社は電力が余りそうになると発電事業者に対して「特定の時間帯は電力が余りそうだから電力の買い取りはできない」という通達を出します。
結果的に売電を行っている方は電力が思うように買い取ってもらえず、売電収入が打撃を受ける可能性があるわけです。
出力制御は電気系統の容量が上限を超えそうな場合なども実施されるため、太陽光発電を導入して売電を検討している方は影響について知っておくことが重要です。
出力制御の影響
出力の抑制が行われることで、発電事業者は売電によって得られたはずの利益を失います。
一般家庭に太陽光発電を取り入れて売電している人も影響を受ける可能性があるため、注意が必要です。
一般家庭の発電量は決して多くないため影響は少ないものの、本格的に売電を検討している場合は出力制御によって売電収入が得られない可能性があることを考慮しておきたいです。
なお、出力制御の対象となるのは太陽光発電だけでなく他の発電方法も含まれ、以下の優先順位に従って実施されます。
- 火力(ガス・石炭・石油)の出力制御及び揚水・蓄電池への活用
- 他地域への送電(連携線)
- バイオマスの出力制御
- 太陽光・風力の出力制御
- 長期固定電源(原子力・水力・地熱)の出力制御
以上の順に出力制御が実施されており、火力発電は数ある発電方法のなかで最も優先すべき出力制御対象とされます。対して、太陽光発電は優先度が低めに設定されています。
なお、FIT認定を受けている発電事業者は出力制御の実施への同意を行っているため、ルールには必ず対応しなければなりません。
出力制御の手続きに対応しなかった発電事業者には警告状・催促状が送られます。
電力会社によって対応は違いますが、必要な書類を提出しなかったり、当日対応しなかったりするとFIT認定が取り消しとなる場合もあるため注意が必要です。
2022年度からは10kW以上の発電所すべてが出力制御の対象となっているため、詳しい内容は事前に確認しておきましょう。
ただし、10kW以下の発電事業者は出力制御の対象とならないため、一般家庭で太陽光発電を取り入れているだけであればさほど影響はありません。
まずは設置している太陽光発電設備がどれくらいの出力・容量なのかを把握し、出力制御の対象となるかどうかをあらかじめ把握しておきましょう。
太陽光発電については他の記事でも解説しているため、あわせてご覧ください。
→太陽光発電とは?発電の仕組みやメリット・デメリットを詳しく解説
→太陽光発電とは?仕組みや発電量、簡単に導入する方法を詳しく解説
太陽光発電の出力制御の範囲と頻度
ここからは、太陽光発電の出力制御の範囲と頻度について詳しく解説します。
2022年までは九州電力のみの実施にとどまっていた
出力制御は、2022年まで九州電力でしか実施されていませんでした。
しかし、2022年に入って新たな電力会社でも実施されるようになり、その影響は今後さらに広がると予想されています。
実際に、2022年を機に出力制御の範囲は全国的に広まっているため、太陽光発電を導入している方は注意が必要です。
2022年からは北海道電力・東北電力・四国電力・中国電力に広まった
出力制御は、2022年から北海道電力・東北電力・四国電力・中国電力の4つの地域でも実施されるようになりました。
太陽光発電設備の導入は、直近10年程度で約11倍にも膨れ上がっており、出力制御の必要性が年々増加しています。
太陽光発電は火力発電のように細かく発電量を調節できないことから、出力を抑制する必要がより一層高まっているわけです。
今後は、太陽光発電の導入がさらに進められる可能性があるため、出力制御の範囲や頻度もさらに拡大されるでしょう。
かつて出力制御の実施は大型連休や長期休暇に限定されていた
出力制御は、かつて大型連休や長期休暇に限定されて実施されており、電力需要が少ない時期にしか行われないのが一般的でした。
しかし、最近では再生可能エネルギーの普及を目指して、日本全国で太陽光発電の設置が促進されてきたことから、出力制御が全国的に発生している状況です。
将来的には電力供給が多い時期などに関係なく、発電量が過剰になる度に行われるようになる可能性があるため、常に出力制御の影響を加味しなければなりません。
実施のスケジュールは「固定」「更新」の2つがある
出力制御を実施するスケジュールは「固定」と「更新」の2つがあります。
- 固定スケジュール:あらかじめ電力会社が決めた出力制御の日程で行う
- 更新スケジュール:出力制御の日時が変更された際に電力会社が発表した日程で行う
出力制御は、電力の需給バランスを見て電力会社が実施するため、必ずしも決められた期間に出力制御が行われるとは限りません。
通常は、固定スケジュールであらかじめ電力会社が決めた出力制御の日程で行われます。
しかし、更新スケジュールのように出力制御の日程が変更された際に電力会社が発表した日程で行われる場合があるため、注意が必要です。
どちらのスケジュールによって出力制御が実施されるのかはその時々で変わるため、状況に合わせて柔軟に対応できるよう準備しておきましょう。
なお、出力制御に備える場合はポータブル電源があると便利です。ポータブル電源があれば、発電した電力を蓄電しておけるため、電力のロスを防げます。
出力制御が発生しても一定期間・一定量の電力を貯めておけるポータブル電源があれば、ある程度は自家消費する分や蓄電する分をコントロールできるでしょう。
ただし、ポータブル電源には注意点もあるため、以下の記事もあわせてご覧ください。
→ポータブル電源における7つのデメリット・注意点!解決策も併せて解説
→ポータブル電源を買ってはいけない5つの理由|安全性が低い製品の特徴
出力制限に対して個人でできること
ここからは、出力制限に対して個人でできることについて詳しく解説します。
余剰電力は自家消費に回す
余剰電力は電力会社に売電する形で収入を得られるものの、出力制御期間中は電力を買い取ってもらえないため、余った電力は自家消費に回すのが望ましいです。
自家消費に回せば、電気代を一定まで抑えられます。
個人で太陽光発電を取り入れている場合は売電収入を増やすよりも、消費電力を減らして電気代を節約した方が経済的効果も期待できるでしょう。
売電収入はFIT制度(固定価格買取制度)を利用すれば安定化を測れますが、一般家庭で生み出した電力を買い取ってもらうだけでは十分な収入にはなりません。
あくまでも副収入として考えなくてはならないため、売ることに固執するのではなく電気代を節約する方に考え方をシフトした方がランニングコストの削減につながります。
節約を重視するなら、状況に応じて自家消費に回すなど臨機応変な対応が必要です。
売電収入に頼らない
出力制御中は電力を買い取ってもらえないため、売電収入に頼らないのが良いでしょう。
本格的に設備を導入している場合は一定の売電収入が得られますが、一般家庭のシステムでは売電収入だけで生活費を賄うのは簡単ではありません。
売電収入は年間数万円が相場で、年々単価が低下しています。2024年の売電単価で計算すると年間約6万円の売電収入が得られるとされていますが、出力制御が発生すると売電自体が難しくなります。
そのため、売電収入に頼るのではなく、太陽光発電で得られる収入はあくまでも副収入として考えておくのが望ましいです。
太陽光発電は環境や天候によっても発電量が変化するため、家計を支えるためのものではなく電気代の節約や緊急時の非常用電源と考える方が健全です。
なお、太陽光発電の発電量に関しては他の記事でも詳しく解説しているため、あわせてご覧ください。
→太陽光発電の発電量は季節によって変化する?発電効率が高い季節や場所を解説
→太陽光の発電量の量を高めるには
太陽光発電を有効活用するならポータブル電源!
太陽光発電を有効活用するならポータブル電源の設置を推奨します。ポータブル電源とは、持ち運びできる蓄電池のことです。
太陽光発電はソーラーパネルやパワーコンディショナーがあれば行えますが、蓄電池がなければ生み出した電力を貯めておけません。
売電するにも蓄電池が欠かせないため、太陽光発電を行うなら蓄電池を同時に導入する必要があるでしょう。
ポータブル電源は蓄電池として家庭に据え置きするのはもちろん、外に持ち出して電源の取れない場所でアウトドアやリモートワークする際にも利用できます。
EcoFlowで取り扱っているDELTA Pro 3は、据え置きにも持ち運びにも最適で、高出力・大容量の蓄電池となっているため場所を選ばず使用可能です。
DELTA Pro 3は容量4kWh、出力3.6kW、100V/200V対応で、ほとんどの家庭用電化製品に電力を供給します。
X-Boost機能で最大7,000Wまで出力可能。X-Streamによる高速充電で、わずか65分で0から80%まで充電できます。
また、スタイリッシュかつモダンなデザインはどんな部屋の装飾にもマッチでき、アプリを使えば手元で使用エネルギーをコントール可能です。
太陽光発電を有効活用したいと考えている方は、ぜひ以下のリンクよりチェックしてください。
まとめ
太陽光発電の出力制御、範囲と頻度、個人でできることを解説しました。
日本では太陽光発電の普及に伴い、出力制御の範囲と頻度が拡大しています。特に太陽光発電は発電量が安定しないため、今後も出力制御が定期的に実施される予定です。
なかでも個人で太陽光発電を導入している方は、余剰電力を自家消費に回したり、売電収入に頼ることを避けたりと、生活のなかでの工夫が必要となるでしょう。
なお、太陽光発電を効率よく活用するためには、ポータブル電源があると便利です。
ポータブル電源があれば自宅に据え置きして蓄電池として活用するのはもちろん、外に持ち出せば電源のないところでも自由に電力を使用できます。
最近では、据え置きにも持ち運びにも適したポータブル電源が販売されており、EcoFlowをはじめ複数のメーカーで購入可能となっています。
EcoFlowで取り扱っているDELTA Pro 3は、太陽光発電エネルギーを充電しながら家庭内へ電力を供給でき、停電時は自動でバッテリー運転に切り替わります。
普段使いにも非常時にも使い勝手がよく、導入するだけで毎月およそ約30%の電気代を削減できるため、節約をしたい方にもおすすめです。
安全性や耐久性にも優れているため、蓄電池をお探しの方はぜひご検討ください。