太陽光発電設備は、大きく分けると産業用と家庭用の2種類があります。産業用では発電した電力を全量売電するメガソーラー、家庭用では住宅の屋根に設置する太陽光発電システムが有名です。
必要になる設備は、太陽光パネルやパワーコンディショナー、架台などが挙げられます。ただし、導入するには専門知識をもった業者による工事が必要です。
また、平均価格や課題点の把握も、システム導入の重要なポイントになります。
この記事では、太陽光発電設備とは何か、太陽光発電で必要になる設備、平均価格や課題点をわかりやすく解説します。
太陽光発電設備について知りたい方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
太陽光発電設備とは
太陽光発電設備とは、太陽光を電気に変換するシステムです。
広大な土地に大規模な太陽光発電システムを設置する産業用メガソーラー、住宅の屋根に設置する、小規模な太陽光発電システムが家庭用として知られています。
ここでは、産業用メガソーラーと家庭用太陽光発電システムの特徴を解説します。
産業用メガソーラー
産業用メガソーラーは、利用されていない広大な土地で大規模な太陽光発電を行う施設です。一般的に太陽光発電システムの発電量が10kWh以上の設備が産業用に分類されます。
メガソーラーは1,000kW以上の発電量を持つため、産業用に該当します。
メガソーラーは2009年のFIT制度導入以降、売電目的で大手企業が建設を進めてきました。広大な土地に多くの太陽光パネルを設置し、発電した電力を電力会社に売電して利益を得ています。
家庭用太陽光発電システム
家庭用太陽光発電システムは、発電量が10kWh未満の小規模な設備です。
主に住宅の屋根に設置した太陽光パネルで電力を生み出し、パワーコンディショナーによって家庭で使用できる交流電力へと変換されます。
また、蓄電池を併設していれば発電した電力を蓄えることが可能です。蓄電池がない場合は、発電した電力をリアルタイムで自家消費するか、余剰分を電力会社に売電します。
家庭用太陽光発電システムは、都心部よりも日照条件の良い郊外や田舎の住宅に多く設置されています。
太陽光発電で必要になる設備
ここでは、太陽光発電で必要になる設備について解説します。
太陽光パネル
太陽光発電システムの中核となるのが、太陽光パネル(太陽光モジュール)です。太陽の光を受けて直流電力を生み出す設備で、複数のパネルを連結させて発電量を増やします。
パネルの枚数に比例して発電量も増えますが、設置スペースや予算との兼ね合いから最適な枚数を決定しなければなりません。また、パネルの種類や性能によっては、発電効率に差が生じます。
太陽光パネルは価格と性能のバランスを考慮することはもちろん、耐久性や保証内容などのチェックも大切です。
パワーコンディショナー
パワーコンディショナーは、太陽光発電システムで発電された直流電力を家庭で使用できる交流電力に変換する装置です。
性能は変換効率や出力安定性などで評価されますが、高性能な製品は電力ロスが少なく、安定した出力を得られます。
ただし、高性能な製品は価格が高くなる傾向があるため、予算に合ったものを選ぶ必要があります。また、容量は太陽光パネルの発電量に見合ったものを選ぶようにしましょう。
架台
架台は太陽光パネルを屋根や地面に固定し、太陽光を効率的に受けられる角度に調整するための設備です。太陽光パネルの重量を支え、風雨や積雪に耐えうる強度と耐久性が求められます。
一般的な素材は、軽量で錆びにくいアルミニウムや、強度と耐食性に優れたステンレスです。
架台の角度調整は、太陽光パネルの発電効率に直結します。季節や時間帯によって太陽の高度が変化するため、手動で角度を調整できるものや、太陽の動きに合わせて自動で角度を調整するものの中から最適なものを選ぶ必要があります。
売電メーター
売電メーターは、太陽光発電システムで発電した電力の余剰分を電力会社に売電するために必要な設備で電力会社に売電した電力量を計測します。
電力会社から購入する電力を計測するメーターとは異なり、売電専用です。
ただし、スマートメーターであれば双方向の計測が可能となっており、買電と売電の両方をひとつのメーターで計測できます。
なお、計量法に基づく有効期間の影響から、10年に1度の交換が義務付けられています。
接続箱
接続箱は太陽光パネルで発電された直流電力を、パワーコンディショナーに送るための設備です。複数の太陽光パネルからの配線を集約し、パワーコンディショナーにつなぐ役割を担います。
設置場所は屋外が一般的なため、防水性や耐候性の高さが重要です。また、安全性の観点から、内部の配線は適切な太さのケーブルを使用し、確実に接続する必要があります。
また、近年ではパワーコンディショナーと一体型になった接続箱も登場しています。一体型は配線の手間が省けるほか、設置スペースの節約が可能です。
蓄電池
蓄電池は、太陽光発電システムで発電した電力を蓄えられる装置です。電力を蓄えておけば、必要な時に使用できます。
太陽光発電システムとセットで導入するケースが多く、昼間に発電した電力を夜間に使用したり、天候に左右されず安定的に電力を利用できます。また、災害などで電力供給が停止した場合の非常用電源としても役立つでしょう。
ただし、蓄電池の容量は製品によって異なります。一般的な家庭用蓄電池の容量は5〜10kWhほどとなっており、容量が大きいほど長時間の電力供給が可能ですが、価格は高くなります。
太陽光発電設備の平均価格
ここでは、太陽光発電設備の平均価格について解説します。
太陽光発電システム全体の費用
2023年における住宅用太陽光発電システムの設置費用は1kWhあたり平均28.8万円です(新築)。
そのため、3〜5kWhの場合、システム全体の費用は86.4万〜144万円ほどとなります。
ただし、平均値であるため、規模や太陽光パネルの量、使用する機器の種類、設置場所の条件などによって大きく異なります。
太陽光パネルの相場価格
2023年太陽光パネルの相場価格は1kWhあたり14.7万円です。
2020年の平均価格は1kWhあたり17.4万円、2021年は17.1万円と年を追うごとに下がってきており、以前に比べて買い求めやすくなりました。
ただし、太陽光パネルの価格は、メーカーや種類、発電効率などによって異なります。
パワーコンディショナーの相場価格
パワーコンディショナーの相場価格は、1kWhあたり4.7万円です。
3~5kWh程度のシステムであれば14.1万~23.5万円が目安となります。
パワーコンディショナーは、太陽光発電システムの心臓部ともいえる重要な装置です。性能がシステム全体の発電効率に大きく影響するため、可能な限り性能がよいものを選びましょう。
また、パワーコンディショナーは20年に一度の交換が必要です。導入時の費用だけでなく、将来的な交換費用も考慮する必要があります。
架台の相場価格
架台の相場価格は材質や強度、設置面積などによって異なりますが、2023年時点で1kWhあたり3万円です。太陽光発電システムの容量が3〜5kWhの場合、価格は9万~15万円が目安になります。
ただし、実際の費用は屋根の形状や材質、勾配など設置場所の条件によって異なるため、注意してください。
また、積雪が多い地域や海沿いなどでは、強度が強い素材が求められるため、価格が高くなります。
蓄電池の相場価格
2022年における蓄電池の相場価格は、本体が1kWhあたり11.7万円、工事費が1kWhあたり2.2万円です。
3kWhの家庭用蓄電池であれば、工事費込みで41.1万円、5kWhであれば工事費込みで69.5万円が目安です。
2015年の平均総額は1kWhあたり22.1万円、2019年の平均総額は1kWhあたり18.7万円と蓄電池の相場は年々低下していますが、その他の設備と比べると高額です。
また、導入にあたっては初期費用だけでなく、メンテナンス費用や将来的に必要な費用なども考慮する必要があります。
蓄電池の寿命は一般的に7〜10年ほどです。定期的な交換が必要になる装置のため、できるだけ性能が高く耐久性が高い製品を選びましょう。
出典:MRI三菱総合研究所 定置用蓄電システムの普及拡大策の検討に向けた調査
メガソーラーの課題
産業用のメガソーラーには、さまざまな課題があります。環境問題やメガソーラーが原因の火災、近隣住民とのトラブルなどが課題です。
ここでは、メガソーラーの課題点について詳しく解説します。
森林伐採によって土地を確保する環境問題
メガソーラーの建設には、広大な土地の確保が必要です。森林を伐採するケースもあり、深刻な環境問題のリスクが高まります。
森林はCO2の吸収源として、地球温暖化の防止に重要です。他にも生物多様性の保全や水源の涵養など、さまざまな生態系に影響しています。
大規模な森林伐採は、自然がもつ機能を大きく損なう可能性が高いだけでなく、土壌の流出や斜面の不安定化など、二次的な環境問題を引き起こすリスクも懸念されます。
メガソーラーを建設する場合は、伐採する範囲を最小限に抑えるだけでなく、伐採後の適切な植林や保全策を講じなければなりません。さらに地域住民の理解を深めながら、計画を立てていく必要があります。
メガソーラーの火災が増加している
メガソーラーの火災は近年、増加傾向にあります。主に太陽光パネルの配線部分でのショートが原因です。
また、メガソーラーが原因の火災は、一般的な火災と比べて消火活動が非常に困難です。太陽光パネルは火災時であっても発電を続けるため、消火活動中に感電や爆発のリスクがあります。
さらに、山間部や郊外などに設備がある場合は、消防車両のアクセスが難しい場合も多く、迅速な消火活動が困難になるケースも珍しくありません。
メガソーラーの火災リスクを低減するためには、設備の定期的な点検とともに、火災検知システムや、自動消火設備の導入なども取り入れ、消防機関との連携を強化していくことが重要になるでしょう。
近隣住民とのトラブルが起こる
太陽光発電(メガソーラー)の建設は、近隣住民とのトラブルに発展するリスクがあります。
建設に伴い、景観に大きな変化が生じると、住民の反発を招いてしまうかもしれません。
太陽光パネルの反射光が周辺の住宅に差し込み、日常生活に支障をきたすケースもあります。さらには建設中の重機の騒音や、工事車両の往来など、さまざまな形で住民の生活に影響を与える可能性が考えられるでしょう。
完成後もパワーコンディショナーなどの設備から発生する騒音が、問題に発展するケースも少なくありません。
また、景観への配慮や感電防止、防音対策など、住民の生活環境を保全するための措置を講じ、近隣住民とのトラブルを未然に防ぐことが大切になるでしょう。
自然災害の発生時による被害
メガソーラーは自然災害に対して脆弱な面があります。土砂災害や強風、洪水などの自然災害は、設備に深刻な影響を与える可能性があるほか、周辺地域の被害が拡大するリスクが懸念されます。
特に土砂災害は設備の立地によっては、大きな脅威となります。山間部や傾斜地に建設されたメガソーラーは、豪雨などによる土砂崩れによってすべての装置が破壊される可能性があるでしょう。
また、強風も太陽光パネルを吹き飛ぶ原因です。台風に備えて万全の対策を立てる必要があります。
さらに、メガソーラー周辺の環境管理も重要です。例えば、雑草の手入れをしないと火災リスクが高まるだけでなく、害獣や害虫を呼び寄せる原因にもなるため、定期的な草刈りや、害獣対策は必須です。
自然災害のリスクは完全に排除できませんが、適切なリスク管理と万全の準備が必要になるでしょう。
まとめ
太陽光発電設備とは何か、太陽光発電で必要になる設備、平均価格やメガソーラーの課題点を解説しました。
太陽光発電設備には、産業用のメガソーラーと家庭用の太陽光発電システムがあり、それぞれ必要な設備の規模が異なります。家庭用太陽光発電システムを導入する場合、必要な設備の導入には工事費を含めて平均28.8万円がかかります。
もし3.3kWhの太陽光発電システムを導入する場合は、単純に95.04万円の費用がかかるでしょう。
太陽光発電に必要な設備投資のコストを下げたいのであれば、EcoFlowのポータブル電源と専用ソーラーパネルのセットがおすすめです。
3.6kWh容量のポータブル電源DELTA Proは44万円、さらに専用の400Wソーラーパネルは12.65万円となっており、合計56.65万円で導入できるため、家庭用太陽光発電システムよりも安価な価格で太陽光発電を取り入れた生活を実現できます。
また、備え付けの家庭用蓄電池とは異なり、持ち運びが自由自在なため、利便性に優れているのも魅力です。
製品に関する詳しい内容は、以下のページをご覧ください。