ペロブスカイト太陽電池は、独特の結晶構造を持つ物質であるペロブスカイトと太陽光をエネルギーに変換する装置である太陽電池を組み合わせたものです。
ペロブスカイト太陽電池を利用することで得られるものはいくつかあるため、今後さらに開発が進められていくことでしょう。
この記事では、ペロブスカイト太陽電池とは、メリット、デメリット、従来の太陽電池との違いをわかりやすく解説します。
ペロブスカイト太陽電池について知りたい方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
ペロブスカイト太陽電池について
ペロブスカイト太陽電池とは、ペロブスカイトと太陽電池を組み合わせたものです。ここでは、ペロブスカイト太陽電池とは何かについて詳しく解説します。
ペロブスカイト太陽電池とは
ペロブスカイト太陽電池とは、独特の結晶構造を持つ物質であるペロブスカイトと太陽光をエネルギーに変換する装置である太陽電池を組み合わせたものです。
主な特徴には、以下のようなものがあります。
- 軽量で柔軟性がある
- シリコン系太陽電池に匹敵する変換効率
- シートのように薄いタイプの太陽光パネルを製造できる
- スピンコート技術(高速回転で生じた遠心力で薄膜を作る)で容易に製造できる
- 塗布技術や印刷技術を活用した単純なパターン形成やプロセス成膜ができる
- 製造に利用する材料の量はシリコン系に比べて約20分の1
以上のようにペロブスカイト太陽電池は軽量かつ柔軟性があるのに加えて、変換効率に優れている点や製造が容易にできる点を持っています。
シリコン系太陽電池が設置困難なビルの壁面や荷重が限られる屋根にも設置できるため、太陽光発電の可能性を広げる電池として期待されています。
ペロブスカイトとは
ペロブスカイトは、独特の結晶構造を持つ物質のことです。
太陽光パネルに応用できる素材で、新たな太陽光発電の可能性につながるものとして開発が進められています。
太陽電池とは
太陽電池とは、太陽光をエネルギーに変換する装置のことです。
太陽の光を受け止めることでエネルギーを生み出す機械で、太陽光発電に欠かせない部品の一つとされています。
最近ではエコやSDGsへの関心が高まっていることから、太陽電池への注目も集まっており、今後さらなる開発が期待されています。
法人だけでなく個人の関心も低くなく、自宅に太陽光パネルを設置する人も珍しくありません。
個人宅では節電や売電に活用する他、緊急時の非常用電源として使用するなど幅広い目的・用途で取り入れている人がいます。
ポータブル電源など持ち運びできる蓄電池も開発されていることから、より防災グッズとしての注目度もアップしているといえるでしょう。
なお、他の記事では太陽電池とは、太陽電池モジュールとはについて解説しているため、あわせてお読みください。
→太陽電池とは?仕組みや発電の原理、構成要素、メリット・デメリットを解説
→太陽電池モジュールとは?種類・特性・用語をわかりやすく解説
ペロブスカイト太陽電池のメリット
ペロブスカイト太陽電池は、限られた光もエネルギーにできる点、コンパクトで柔軟性・汎用性がある点、必要な材料を国内で調達できる点、製造のコストを抑えられる点などがメリットです。
ここでは、ペロブスカイト太陽電池のメリットについて詳しく解説します。
限られた光もエネルギーにできる
ペロブスカイト太陽電池は、限られた光もエネルギーにできます。
本来、太陽光発電を行うためには十分な太陽の光が必要となるのですが、ペロブスカイト太陽電池であれば微弱な太陽の光でも発電が可能です。
太陽光発電の発電効率は20%前後が標準とされますが、ペロブスカイト太陽電池であればより発電効率に優れた太陽光パネルの製造も不可能ではありません。
より発電効率に優れた太陽光パネルが開発されれば、さらに太陽光発電の普及が進むなど日本全体にとってもメリットは計り知れないといえるでしょう。
コンパクトで柔軟性・汎用性がある
ペロブスカイト太陽電池は、コンパクトで柔軟性・汎用性があるのもメリットです。
太陽光発電設備は、設置するのに一定の場所が必要となるのですが、ペロブスカイト太陽電池であれば住宅の壁面や屋根にも設置できます。
今まで架台が必要だった場面でも、ペロブスカイト太陽電池を取り入れた太陽光パネルならいつでもどこでも設置できるようになります。
もちろん、設置するためには相応の準備が必要ですが、従来の太陽光発電設備と比べると格段に設置しやすくなるはずです。
最近では車本体や車庫に設置するなど、幅広い場面への導入も試されているなど、さらに取り入れやすくなるのではないでしょうか。
必要な材料を国内で調達できる
必要な材料を国内で調達できるのも、ペロブスカイト太陽電池のメリットです。
海外から必要な材料を取り寄せる必要がなく、国内で製造できます。
現にペロブスカイト太陽電池は製造面に優れており、スピンコート技術(高速回転で生じた遠心力で薄膜を作る)で比較的容易に製造できます。
また、塗布技術や印刷技術を活用した単純なプロセスで成膜やパターン形成ができるため、容易に製造が行えるわけです。
そのため、ペロブスカイト太陽電池は製造的な面で優れているといえるでしょう。
製造のコストを抑えられる
製造のコストを抑えられるのも、ペロブスカイト太陽電池のメリットです。
ペロブスカイト太陽電池はスピンコート技術(高速回転で生じた遠心力で薄膜を作る)で比較的容易に製造できたり、塗布技術や印刷技術を活用した単純なプロセスで成膜やパターン形成ができたりするため、低コストで製造できます。
その他、製造に利用する材料の量はシリコン系太陽電池と比べて約20分の1となっており、材料にかかるコストも抑えられます。
ゆえに、ペロブスカイト太陽電池は経済的な面でも優れているといえるでしょう。
ペロブスカイト太陽電池のデメリット
ペロブスカイト太陽電池は、寿命が限られている点、周辺環境の影響を受けやすい点、大量生産する技術がまだない点、バッテリーが劣化しやすい点がデメリットです。
ここでは、ペロブスカイト太陽電池のデメリットについて詳しく解説します。
寿命が限られている
ペロブスカイト太陽電池の平均的な寿命は5年前後とされていて、寿命が限られています。
20年〜30年前後の寿命を持つとされるシリコン系太陽電池と比べると、寿命は約4分の1から6分の1となるわけです。
軽量かつ柔軟なペロブスカイト太陽電池は幅広い場面に取り入れられる一方、層と層の間が劣化しやすいため、層と層の境界を強化したり発電層の耐久性をアップさせたりすることが求められます。
発電層には日焼け止めなどに含まれる有機化合物のベンゾフェノンを加えることで、結晶が成長し、境界部分の面積が減って電子の流れが良くなるとされています。
発電層と正孔輸送層の境界を強化するには、有機化合物を材料に加えるのも効果的です。
シリコン系太陽電池で実績のある熱可塑性樹脂フィルム(アイオノマー系)とシリコーンポッティングなどを組み合わせた封止を行うのも有効です。
実際に上記のような施策が試されており、ペロブスカイト太陽電池は現在進行形でより改良されているといえるでしょう。
周辺環境の影響を受けやすい
ペロブスカイト太陽電池は、周辺環境の影響を受けやすいのもデメリットです。
効率よく製造できるのがペロブスカイト太陽電池の魅力ですが、シリコン系太陽電池と比べると外的要因の影響を受けやすいとされています。
結果的に発電効率が下がったり寿命が短くなったりするため、まだまだ幅広い場面に実装できていないのが現状といえるでしょう。
ただし、発電効率を上げる方法や寿命を長くする方法については模索が進められており、今後はより性能がアップしたものが開発されるかもしれません。
そういった意味では、まだまだ可能性のある太陽電池といえるのではないでしょうか。
大量生産する技術がまだない
大量生産する技術がまだないのも、ペロブスカイト太陽電池のデメリットです。
スピンコート技術(高速回転で生じた遠心力で薄膜を作る)で比較的容易に製造できたり、塗布技術や印刷技術を活用した単純なプロセスで成膜やパターン形成ができたりはするものの、大量生産するにはまだ時間がかかります。
今後はより効率的に生産できるようになるかもしれませんが、現時点ではまだまだです。
それでも、現在の技術を考えると大量生産は不可能ではないため、研究が進めば一気に普及する可能性が十分にあります。
バッテリーが劣化しやすい
バッテリーが劣化しやすく、他の太陽電池と比べて長期運用に適さないのもペロブスカイト太陽電池の課題といえるでしょう。
ペロブスカイト太陽電池は寿命が約5年とされており、現状他の太陽電池の方が長期運用に向いています。
部分的に導入する分には優れているペロブスカイト太陽電池ですが、大規模な太陽光発電設備として運用するならシリコン系太陽電池の方が適している状態です。
ただ、今後バッテリーが強化されたペロブスカイト太陽電池が開発されれば、急激にシリコン系太陽電池を凌駕する可能性もゼロではないでしょう。
従来の太陽電池との違い
ペロブスカイト太陽電池は従来の太陽電池との違いがいくつかあるため、それぞれの違いについて知っておきたいです。
ここでは、従来の太陽電池との違いについて詳しく解説します。
安全性・耐久性の違い
ペロブスカイト太陽電池と従来の太陽電池は、安全性・耐久性が違います。
ペロブスカイト太陽電池は安全性こそ高いものの、耐久性は低いです。
従来の太陽電池は安全性・耐久性どちらも優れているため、長期運用なら従来の太陽電池、短期運用ならペロブスカイト太陽電池と使い分けるのが良いでしょう。
最近は両者ともに性能が改善されているため、今後は活躍できる場面がそれぞれ確立されてくるかもしれません。
なお、他の記事では太陽光発電事業に将来性はあるのかについて解説しています。
→太陽光発電事業に将来性はある?一般家庭が抱える課題・現状・活用方法を解説
柔軟性・汎用性の違い
ペロブスカイト太陽電池と従来の太陽電池は、柔軟性・汎用性も違います。
ペロブスカイト太陽電池はフレキシブル・ローラブル・シースルーで、柔軟性・汎用性があって折ったり曲げたりしても壊れないのが魅力です。
一方、従来の太陽電池は折り曲げできず、ものによっては用途が限られます。
幅広い分野に採用するならペロブスカイト太陽電池、大規模太陽光発電設備などに導入するなら従来の太陽電池と使い分けたいです。
初期費用の違い
両者は、初期費用の面でも違いがあるといえるでしょう。
ペロブスカイト太陽電池は従来の太陽電池と比べて初期費用がかかりやすいです。
最近では開発・研究が進んだことで初期費用が抑えられるようになっているものの、シリコン系太陽電池の方が初期費用を抑えられます。
しかし、いつどこにどのような規模で設置するかで必要な費用は変わってくるため、一概にどちらが費用面で優れているかは断言できません。
発電効率の違い
両者は、発電効率にも違いがあるといえるでしょう。
ペロブスカイト太陽電池は従来の太陽電池と比べて発電効率が若干悪いです。
ただし、最近では発電効率が良くなってきているため、今後の研究次第ではペロブスカイト太陽電池の発電効率がシリコン系太陽電池の発電効率と同レベルに達する日が来るかもしれません。
こればかりは今後の研究次第で変わってきます。
なお、ソーラー発電そのものについては他の記事でも解説しているため、知りたい人はあわせてご覧ください。
→ソーラー発電とは?ソーラーパネルを選ぶ際に押さえるべきポイント
まとめ
ペロブスカイト太陽電池とは、メリット、デメリット、従来の太陽電池との違いを解説しました。
ペロブスカイト太陽電池は比較的新しい太陽電池の一つで、従来の太陽電池と比べて発電効率は劣るものの、幅広い場面に採用できる太陽電池として知られています。
軽量かつ柔軟で壁面や屋根に設置できる他、車本体や車庫などにも設置できることから、新たな可能性を秘めた製品として注目されています。
ただ、まだ実用性の面で考えると完璧とはいえません。
従来の太陽電池にもまだまだ役割があり、今後もシリコン系太陽電池を導入した太陽光発電設備が求められるでしょう。
なお、EcoFlowでは太陽光を効率的に受け止めてエネルギーに変換できるソーラーパネルを取り扱っているため、自宅に取り入れたい人はぜひ一度ご検討ください。
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限られた環境でも太陽光発電ができるため、これから太陽光発電設備を生活に取り入れたい人に良いです。
当社では他にもソーラーパネルと互換性のあるポータブル電源をいくつか取り扱っているため、ぜひ一緒にご購入いただけると幸いです。
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