近い将来、茨城県から沖縄県にかけての広域で発生が予想されている南海トラフ地震。人命を奪う原因の大半は、津波によるものと想定されています。東日本大震災の悪夢を繰り返さないためにも、南海トラフ地震に向けた万全な対策が重要です。
そこで本記事では、南海トラフ地震で想定されている津波による被害について解説します。南海トラフ地震から家族を守るために必要な対策も掲載しているので、自宅の周辺で想定される津波の浸水高を把握し、適切な対策を講じたい方はぜひ最後までご覧ください。
南海トラフ地震とは

南海トラフ地震とは、フィリピン海プレートとユーラシアプレートの境目「南海トラフ」を震源地として発生する大規模な地震です。南海トラフ地震は、100年から150年の周期で繰り返し発生しており、前回の発生から約80年が経過しています。
そのため、今後30年以内には80%の確率で発生すると予想されています。南海トラフ地震の最大規模は、2011年の東日本大震災と同様のマグニチュード9クラスです。関東から九州にかけては巨大津波が押し寄せ、多くの犠牲者を出す恐れがあります。
南海トラフ地震の津波シミュレーション

南海トラフ地震が発生すると、海底の隆起・沈降によって海水が上下し、津波が最低5〜6時間にわたって複数回襲来します。内閣府は南海トラフ地震の津波シミュレーションとして、以下の計算結果を令和7年3月31日に公表しました(※1)。
- 津波の高さ
- 津波の到達時間
それぞれの計算結果について、詳しく見ていきましょう。
※1参考:内閣府「南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会」
津波の高さ
津波の高さは、福島県から沖縄県にかけての25都府県で3m以上に達します。その中でも、愛知県や三重県、和歌山県などでは最大20〜30mとなり、高知県と静岡県では30m以上にも及びます。東日本大震災で確認された津波痕跡は14.8mなので、南海トラフ地震の恐ろしさが分かるでしょう(※2)。
※2参考:内閣府「特集 東日本大震災」
津波の到達時間

南海トラフ地震の発生と同時に津波は襲来し始めます。5mを超える津波が海岸に到達するまでの時間は、震源地の周辺にある静岡県や高知県などでは、わずか5分程度です。
津波高20mの巨大な津波も、静岡県の伊豆諸島では10分以内に襲来します。津波断層域の各地で発生した津波は互いに重なり合い、海岸に何度も押し寄せてくるので、第一波を逃れたとしても安心できません。
南海トラフ地震の津波による被害想定5選

2011年に発生した東日本大震災を経験していない方は、巨大津波の恐ろしさを完全には理解できていないのではないでしょうか。南海トラフ地震の津波で起こりえる主な被害は、以下のとおりです。
- 被害1|建造物の損壊
- 被害2|人的被害
- 被害3|津波火災
- 被害4|交通施設の浸水
- 被害5|ライフラインの停止
それぞれの被害想定について、詳しく見ていきましょう(※3)。
※3参考:中央防災会議「南海トラフ巨大地震 最大クラス地震における被害想定について」
被害1|建造物の損壊
津波の浸水深がたった0.5mを超えただけでも、木造建物は半壊し始めます。木造建物の全壊リスクが高まるのは浸水深2m以上、鉄筋コンクリート建物では4m以上です。南海トラフ地震の津波による建造物の被害想定を紹介します。
大きく被災する地域 | 全壊の被害想定 |
東海地方 | 約193,000棟 |
近畿地方 | 約193,000棟 |
四国地方 | 約179,000棟 |
九州地方 | 約208,000棟 |
被害2|人的被害
津波の浸水深が1.0mを超えると、人は飲み込まれます。津波にひとたび飲み込まれると、助かる見込みはほとんどありません。南海トラフ地震で想定されている最大の死者数は約29万8,000人なのに対し、津波による死者数は全体の約7割に相当する約21万5,000人です。
2011年に発生した東日本大震災では、死者18,131人のうち、90.6%の死因を占めたのが津波による溺死でした(※4)。しかし、南海トラフ地震で想定されている津波による死者数と比較すると、わずか10%未満に留まります。
※4参考:総務省消防庁「東日本大震災記録集 第3章 災害の概要」
被害3|津波火災
津波は住宅や人を押し流すだけでなく、火災も発生させます。津波火災の原因となるのは、港にある貯油タンクの転倒や住宅のガスタンクから漏れたプロパンガスなどです。
津波火災によって燃えたがれきは津波に乗って広範囲へと漂流し、延焼します。南海トラフ地震で想定されている津波火災による建物被害は、以下のとおりです。
大きく被災する地域 | 全壊の被害想定 |
東海地方 | 約400件 |
近畿地方 | 約300件 |
四国地方 | 約300件 |
九州地方 | 約300件 |
被害4|交通施設の浸水
道路や鉄道、港湾、空港などの交通施設では、津波による浸水被害を受け、通行止めや運休が相次ぎます。九州地方が大きく被災したケースでは、道路の浸水被害が約4,500箇所にのぼります。
鉄道の浸水被害は、最大約670箇所です。最大震度7が想定される高知空港では、空港の大部分で浸水が発生し、空港内の最大浸水深は7.5m程度にまで達します。
被害5|ライフラインの停止
津波は、日常生活に欠かせないライフラインをも停止に追い込むのが特徴です。津波の浸水エリアでは、管路や浄水場、ポンプ場などが被害を受け、大規模な断水が発生します。上水道の断水は最大約3,690万人、下水道の断水は最大約3,570万人です。
津波の浸水によって電線や供給側設備が被害を受けると、最大約2,950万軒で停電も発生します。同様に電柱や通信設備に浸水被害が生じると、固定電話は最大約1,310万回線で通話ができません。さらに、最大約175万戸では、ガスの供給が停止する恐れもあります。
南海トラフ巨大地震の津波対策5選

南海トラフ地震によって巨大津波が発生すると、時間的猶予はほとんどありません。揺れを感じても焦らず迅速に行動するためには、事前の備えが重要です。南海トラフ巨大地震の津波から命を守るための対策を紹介します。
- 対策1|南海トラフ地震発生時の行動を把握する
- 対策2|津波ハザードマップを確認する
- 対策3|避難訓練に参加する
- 対策4|家族と安否確認の方法を決める
- 対策5|非常用持ち出し袋を準備する
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。
対策1|南海トラフ地震発生時の行動を把握する
揺れを感じてからの正しい行動を事前に把握しておかなければ、いざという時に初動が遅れて、命を落とすリスクが高まります。南海トラフ地震では、発生からわずか5分以内に5mを超える津波が海岸に押し寄せるケースも想定されており、迷っている暇はありません。
南海トラフ地震発生時の正しい行動は、以下のとおりです。
- 安全な机の下で頭を隠して身を守る
- 揺れが収まったら、火を消してドアや窓を開ける
- 気象庁から発令される津波警報と避難指示を確認する
- ブレーカーを落とし、持ち出し品を手元に準備する
- 海や川から離れて、山側へと徒歩で避難する
津波は繰り返し発生するため、津波警報が解除されるまでは避難所に留まってください。
対策2|津波ハザードマップを確認する
自治体のホームページから津波ハザードマップを確認し、適切な避難経路と避難場所を確認しましょう。津波ハザードマップとは、津波による浸水被害区域や避難場所がマップ上に記されたものです。
避難指示を受けた直後に避難行動がとれたとしても、避難場所や経路が分からなければ、かえって危険なエリアに向かってしまう恐れがあります。
対策3|避難訓練に参加する
自治体が行っている避難訓練に参加して、津波発生時のシミュレーションを行えば、頭と体で適切な避難行動を習得できます。避難訓練の主な内容は、以下のとおりです(※5)。
- 地震発生や大津波警報のサイレンを聴く
- 津波避難マップを参考に、目標地点まで避難する
- 夜間避難に対応した持ち出し品を確認する
- 各家庭における家具の固定を確認する
※5参考:内閣府「ユニークで実践的な津波避難訓練で一人でも多くの市民を救う!」
対策4|家族と安否確認の方法を決める
万が一、南海トラフ地震が起きて家族と離れ離れになっても、お互いの安否確認ができるよう、連絡手段を決めておきましょう。南海トラフ地震による津波が襲来すると、通信設備が損傷して、インターネットに接続できなくなる恐れがあります。
南海トラフ地震の発生時に役立つ安否確認の方法は、以下のとおりです。
安否確認の方法 | 内容 |
災害用伝言ダイヤル(171) | 伝言を音声で録音し、再生できる |
災害用伝言板(web171) | 伝言をテキストで登録し、確認できる |
携帯電話各社の災害用伝言板 | 各社の電話番号を元に伝言を登録・確認できる |
対策5|非常用持ち出し袋を準備する
津波による避難指示が出されてから迅速に避難できるよう、非常用持ち出し袋を準備しておきましょう。非常用持ち出し袋の中身は、以下のとおりです。
- 飲料水
- 非常食
- 携帯ラジオ
- 衛生用品
- 救急用品
- 懐中電灯
- ポータブル電源
女性用には生理用品や化粧品、乳幼児用には粉ミルクや紙おむつなども忘れないようにしてください。荷物を詰め込み過ぎると避難の妨げになるため、注意が必要です。
南海トラフ地震対策の必需品!ポータブル電源とは

南海トラフ地震では、最大約2,950万軒の停電が想定されています。津波による電柱被害が原因の停電では、復旧するまでに1〜2週間もかかります。停電中も電気のある生活を維持するためには、ポータブル電源が必要です。
ポータブル電源とは、内部のバッテリーに大量の電気を溜め込み、コンセントが使えない状況でも電化製品に給電できる機器を指します。南海トラフ地震による停電中にポータブル電源が活躍する場面は、以下のとおりです。
- エアコンや扇風機などの冷暖房機器を稼働して、快適な気温を維持できる
- 電子レンジや電気ケトルを稼働して、非常食を簡単に温められる
- 冷蔵庫に給電して、食品が傷むのを防ぐ
- LEDライトを点灯させて、夜でも安全に避難できる
- 情報収集や連絡手段に必要なスマホを常にフル充電にしておける
ソーラーパネルと併用すれば、停電が復旧するまでに1週間以上を要しても、太陽光からポータブル電源にいつでも充電できます。
巨大地震への備えに必要な性能|おすすめの製品
南海トラフ地震で揺れや津波による直接的な被害を受けなかったとしても、周辺地域での被害やライフラインの停止によって、自宅避難を余儀なくされる場合があります。高出力・大容量のポータブル電源を用意しておけば、停電生活が長引いても安心です。
海岸の近くにお住まいで避難所への避難を想定される場合は、軽量コンパクトなポータブル電源を選びましょう。重量のあるポータブル電源は、迅速な避難の妨げになります。
本サイトを運営するEcoFlowは、地震対策向けに以下のポータブル電源を販売しています。
- 避難所避難「RIVER 3 Plus」
- 在宅避難「DELTA 3 Plus」
それぞれの機種について、詳しく見ていきましょう。
避難所避難「RIVER 3 Plus」

定格出力600W、容量286Whのポータブル電源。約4.7kgの軽量コンパクト設計なので、南海トラフ地震で津波による避難指示が出された際には、移動の妨げになりません。通信機器の使用時間を最大2倍に延長しているので、避難所で大活躍します。
30dBの静音設計なので、他人と共同生活を送る避難所でも騒音トラブルの心配がありません。防水・耐火・耐衝撃設計が施され、厳しい環境下でも安全に使用できます。

在宅避難「DELTA 3 Plus」

定格出力1500W、容量1024Whのポータブル電源。最大2000Wの出力を発揮し、自宅にある99%の電化製品を動かせます。エクストラバッテリーを使えば、最大5kWhまで容量を拡張できるので、大家族の停電対策にもぴったりです。
高度なUPS機能を搭載しており、停電が起きると10ms未満で電気供給源がポータブル電源に切り替わります。ソーラーパネルを使えば、最短70分で満充電が可能です。

南海トラフ地震の津波に関するよくある質問

最後に、南海トラフ地震の津波に関するよくある質問を紹介します。
- 南海トラフ地震の津波はどこまで到達する?
- 南海トラフ地震の津波高は最大何メートル?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
南海トラフ地震の津波はどこまで到達する?

出典:内閣府「南海トラフ巨大地震モデル・被害想定手法検討会 津波の浸水分布」
津波高が30mを超えると予想されている高知県を例にとると、図のように浸水高10〜20mの領域が広範囲にまで到達しているのが分かります。
お住まいの地域で南海トラフ地震による津波がどこまで到達するのか知りたい方は、内閣府が計算した浸水図を参考にしてください。
南海トラフ地震の津波高は最大何メートル?
内閣府が令和7年3月31日に公表した資料によると、南海トラフ地震の津波高は高知県や静岡県で最大30m以上になります(※6)。
津波の高さは、わずか2mを超えるだけでも木造建物を倒壊させるほどの威力をもつため、30m以上にもなれば、人や建物はひとたまりもありません。
まとめ

本記事では、南海トラフ地震で想定される巨大津波の被害について解説してきました。
南海トラフ地震では、福島県から沖縄県にかけての25都府県で津波高3m以上の津波が襲来します。津波高の最大は、高知県と静岡県の30m以上です。5mを超える津波であれば、わずか5分以内に海岸へと到達するため、迅速な避難が欠かせません。
南海トラフ地震の津波による死者は約21万5,000人と想定されており、全体の約7割を占めます。人的被害だけでなく、建造物や交通機関、ライフラインにも甚大な被害が予想されています。電線や供給側設備の破損によって発生する停電は、最大約2,950万軒です。
本サイトを運営するEcoFlowでは、場所を選ばずに電化製品を動かせるポータブル電源を販売しています。快適な避難生活を送りたい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。