誰もが安全に楽しめる登山ですが、気象条件や体調、装備不備など、さまざまな要因により思わぬ事故やトラブルが発生することがあります。
特に初心者の場合、道迷いや転倒、疲労による遭難リスクが高まるため、事前の準備が非常に重要です。
この記事では、山岳遭難の現状や遭難が発生する主な原因、遭難を防ぐための事前準備や万が一の際の対策について詳しく紹介します。
山岳遭難の現状について

山岳遭難の現状を把握することで、登山の安全意識や事前準備の重要性が明確になります。
以下の表は、警視庁が発表した「令和5年における山岳遭難の概況等」に基づき、遭難者数や死亡者数をまとめたものです。
項目 | 令和5年夏期(7~8月)実績 |
発生件数 | 738件 |
遭難者数 | 809人 |
死者・行方不明者数 | 61人 |
前年対比 発生件数 | +70件 |
前年対比 遭難者数 | +23人 |
前年対比 死者・行方不明者数 | +16人 |
全項目が前年比で増加していることから、山岳遭難は依然として高い水準で発生し、増加傾向が続いていることがわかります。
目的別では登山が全体の約8割を占め、様態別では転倒(23.5%)、道迷い(22.2%)、病気(16.9%)が主な原因となっています。
年齢層では60歳代(22.4%)、70歳代(20.4%)、50歳代(18.8%)が多く、高齢者の割合が目立っています。
登山で遭難が発生する主な原因

登山における遭難は、誰にでも起こりうるリスクであり、その背景にはさまざまな要因が絡み合っています。ここでは、遭難が発生する主な原因について詳しく解説します。
道迷い
道迷いは、山岳遭難の中で最も多い原因の一つです。
登山道が整備されていても、倒木や草が伸びて道が見えにくくなったり、悪天候で視界が悪くなったりすると、自分の位置や進むべき方向が分からなくなることがあります。
また、山域によっては道標が少なかったりルートが複雑だったりするため、事前にコースや地形をしっかり確認しておくことが重要です。
スマートフォンの地図アプリやGPS機器が有効ですが、電波が届かない地域も多いため、紙の地図やコンパスも忘れずに携帯しましょう。
転倒や滑落による負傷
転倒や滑落による負傷も、登山遭難の大きな原因の一つです。
山道は平坦な場所ばかりではなく、岩場や木の根、ぬかるんだ斜面など、足元が不安定な場所が多くあります。
雨や雪、落ち葉で滑りやすくなっている場合も多く、ちょっとした油断や体力不足、筋力不足によって転倒や滑落が発生しやすいです。
転倒や滑落を防ぐためには、トレッキングポールや滑りにくい靴の着用、無理なスピードや難しいコースへの挑戦を避けるなどの対策が求められます。
また、体調不良や疲労が蓄積している場合は、無理をせず早めに下山する判断も必要です。安全登山のためには、自分の体力や技術に合ったコースを選びましょう。
体力不足による行動不能
登山は想像以上に体力を消耗するため、無理な計画や体調不良、トレーニング不足が重なると途中で歩けなくなることもあります。
体力不足による行動不能は、単独登山や高齢者の登山で特にリスクが高く、救助が必要になるケースも多いです。
山に登るだけの体力や筋力があるか、事前にしっかりと確認しましょう。また、十分な休憩や水分補給、行動食の携帯も重要です。
悪天候による視界不良
雨や霧、雷などによる視界不良は、道迷いや転倒、滑落のリスクを高めます。
悪天候時は低体温症や体調不良も起こりやすくなるため、早発ちや早着き、天候に合わせた装備の準備が欠かせません。
また、悪天候時には無理に行動せず、安全な場所で天候の回復を待つことも重要です。
事前に天候情報をこまめにチェックし、悪天候が予想される場合は登山計画の見直しや中止も検討してください。
準備不足
装備や食料の不足、地図やコンパスの不携帯、通信機器の電池切れなど、準備不足も遭難の大きな原因です。
自分は大丈夫と過信せず、万が一の事態に備えて、必要な装備や情報をしっかりと準備しておくことが安全な登山の基本です。
特に以下の持ち物は絶対に忘れてはいけません。
- 食料
- 水
- 防寒着
- レインウェア
- ヘッドライト
- 予備電池
- ファーストエイドキット
また、登山計画書を作成し家族や友人に提出しておくことで、万が一の際に救助活動が迅速に行われやすくなります。
準備不足による遭難を防ぐためには、事前の情報収集や装備の確認、計画の見直しを徹底することが大切です。
遭難を防ぐための事前準備

登山では、遭難リスクを最小限に抑えるための事前準備が不可欠です。ここでは、安心して登山を楽しむための事前準備について詳しく解説します。
登山計画書の提出
登山計画書は、万が一の際に救助活動を迅速に行うために非常に重要な役割を果たします。
家族や登山口の管理者、地元の警察などに計画書を提出しておくことで、登山者の行動予定やルート、宿泊場所、連絡先などの情報を共有できます。
これにより、行方不明や事故が発生した場合でも、捜索範囲を絞りやすくなり、救助のタイムロスを減らせます。
また、計画書の作成自体が、自分の登山スケジュールや装備、体力の見直しにもつながり、無理のない行程や安全な行動を意識するきっかけになります。
登山計画書は、登山の安全を守るための基本的な準備のため、必ず提出する習慣を身につけましょう。
最新の天気予報を確認
山の天気は急変しやすいため、出発前はもちろん、登山中もこまめに天気予報や警報情報をチェックすることが大切です。
特に夏山や冬山では、雷や大雨、大雪、強風などが発生しやすいため、最新の情報を常に把握しておきましょう。
悪天候が予想される場合は、計画の変更や中止も検討し、無理をせず安全を最優先に行動することが重要です。
体力と技術の向上
体力と技術の向上は、遭難防止に直結する重要な要素です。
十分な体力があれば、長時間の歩行や急な登り下りにも耐えられ、疲労による判断力の低下や行動不能を防ぐことができます。
また、登山技術が高ければ、危険な地形や悪天候時の対応が的確になり、転倒や滑落のリスクも減らせます。
定期的なトレーニングや経験を積むことで、自分の限界や対応力を知り、無理のない計画を立てられるでしょう。
適切な装備を準備する
適切な装備の準備は、遭難を防ぐための基本です。
登山靴やザック、防寒着やレインウェア、ヘッドライト、地図、十分な食料と水など、必要な装備を揃えることで、さまざまな状況に対応できます。
装備が不十分だと、体温低下や怪我の悪化、道迷いのリスクが高まるため、事前の装備確認は不可欠です。
また、登山中はスマートフォンやヘッドライトなど電子機器の使用頻度が高く、バッテリー切れは安全上の大きなリスクとなります。
そのため、登山では必ずモバイルバッテリーやソーラーパネルを携帯し、電源対策を万全にしておくことが重要です。
EcoFlowの『RAPID Magnetic Power Bank(10,000mAh)』は、5,000mAhの容量でQi2対応のワイヤレス充電や30Wの急速充電が可能なモバイルバッテリーです。

温度センサーによる発熱対策や、スタイリッシュなデザイン、携帯性の高さも特徴で、登山中の予備電源として安心して利用できます。
さらに、高効率な発電性能によりスマートフォンやモバイルバッテリーを充電できる『45Wソーラーパネル』を組み合わせることで、準備は万全です。
登山の安全と快適さを守るためにも、ぜひモバイルバッテリーやソーラーパネルを活用しましょう。


遭難時の正しい対応

万が一山で遭難した場合は、冷静な判断と適切な行動が自分自身の命を守る鍵となります。ここでは、遭難時に取るべき適切な対応について詳しく解説します。
無理に動かずその場で待機
遭難した場合は、無理に動かずその場で待機することが大切です。
例えば、山で道に迷ってしまった場合、焦ってあちこち歩き回ると、標高を下げてしまったり危険な地形に足を踏み入れてしまうことがあります。
救助隊が捜索する際も動き回っていると発見が難しくなるため、まずは安全な場所を確保し、深呼吸をして落ち着きながら状況を整理することが重要です。
体力を温存し、救助が来るのを待つ姿勢をとることで、二次災害を防ぎ救助の可能性を高めることができます。
目立つ場所で救助要請する
救助を待つ際は、できるだけ目立つ場所で待機し、救助隊に発見されやすいよう工夫することが重要です。
- 開けた尾根や稜線
- 森林限界より上の草原や岩場
- 沢沿いの開けた河原
- 山頂や展望の良いピーク
- 登山道や林道の分岐点
- 大きな岩や倒木の上
- ヘリコプターが着陸できる広場や平坦地
- 明るい色のシートや服をアピールできる場所
山中では視界が悪い場所や茂みの中では発見が難しく、捜索活動が遅れることがあるため、開けた場所や沢沿いなど、上空や遠くから見えやすい場所を選びましょう。
また、携帯電話が通じる場合は、すぐに110番や119番、家族や警察へ連絡し、現在地や状況を正確に伝えることが大切です。
体温の維持と防寒対策
山中での遭難時は、体温の維持と防寒対策が不可欠です。
山の気温は日没後や悪天候時に急激に下がり、濡れた衣服や風、地面からの冷気が体を冷やしやすくなります。
そのため、雨や風を防げる場所に移動し、レインウェアや防寒着、エマージェンシーシートなどを活用して体温を保ちましょう。
また、濡れた衣類はできるだけすぐに脱ぎ、乾いた服やタオルで体を包むことで、熱の放散を防ぐことができます。
無駄な体力消耗を避けることで、低体温症のリスクを最小限に抑えることが可能です。
水分とエネルギーの確保
遭難時は、水分とエネルギーの補給が生存率を高める鍵となります。
持参している水や行動食、チョコレートやナッツ類などは、焦って一度に消費せず、少しずつこまめに摂取するのがポイントです。
水分が不足している場合は、沢や雪、朝露など自然の水源を活用する方法もありますが、できれば煮沸や浄水器を使って安全性を確保しましょう。
空腹や脱水状態は判断力の低下や体力の著しい消耗につながるため、定期的な水分補給とエネルギー摂取を心がけてください。
登山の遭難に関するよくある質問

最後に、登山の遭難に関するよくある質問を詳しく解説します。
登山中に道に迷ったら何をすればいい?
道に迷った場合は、まずその場で立ち止まり、焦らず落ち着くことが大切です。
次に、地図やコンパス、GPSアプリを使って現在地の特定を試みます。周囲の地形や目印、赤いテープやペンキのマーキングなどもよく観察してください。
それでも正しいルートが分からない場合は、最後に現在地を確認した場所まで慎重に引き返すのが基本です。
圏外でも使える救助用アプリは?
圏外でも使える『YAMAP』や『ヤマレコ』などの登山地図アプリは、家族や友人に位置情報を共有できる「みまもり機能」が搭載されています。
GPSを利用して現在地や行動履歴を記録しており、他のユーザーとすれ違うことで情報が交換される仕組みもあります。
これらのアプリを活用することで、万が一の遭難時にも迅速な救助につながります。
登山遭難保険は必要?
登山遭難保険は、万が一の事故や遭難時に非常に重要な備えとなります。
山岳での救助活動は、ヘリコプター出動や専門業者の捜索など高額な費用が発生し、場合によっては数十万円~百万円を超えることもあります。
登山保険に加入していれば、こうした救助費用や医療費、入院・通院費用、他人に怪我をさせてしまった場合の賠償責任補償など、幅広いリスクに対応できます。
登山を安全に楽しむためにも、登山保険への加入は必須といえるでしょう。
まとめ
登山における遭難は誰にでも起こりうるリスクです。
道迷いや転倒、体力不足、悪天候、装備不足など、遭難の原因は多岐にわたりますが、登山計画書の提出や適切な装備の準備などの対策でリスクを減らすことができます。
山での遭難を防ぎ、安全に登山を楽しむためには、日頃からの準備と知識の習得、そして冷静な行動が何よりも大切です。
なお、遭難への備えとしては、モバイルバッテリーやソーラーパネルもおすすめです。自然を尊重し、自分自身の安全と周囲への配慮を心がけて、登山を楽しみましょう。
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