家電に使われているインバーターとは何か、詳しく知らない方は多いのではないでしょうか。インバーターはモーターの速度調整を可能にするため、エアコンや洗濯機、冷蔵庫など、あらゆる家電に使用されています。
そこで本記事では、インバーターとは何か、その仕組みやコンバーターとの違いについて解説します。インバーターを利用するメリット・デメリットや主な用途も掲載しているので、インバーターの役割を理解して日常生活に取り入れたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
インバーターとは
インバーターとは、直流電流を交流電流に変換する装置です。インバーターは、エアコンや冷蔵庫などに搭載されており、内部でモーターの回転速度をコントロールしています。インバーターの仕組みやコンバーターとの違いについて、詳しく見ていきましょう。
インバーターの仕組み
インバーターを構成するのは、コンバーター回路、コンデンサ、インバーター回路です。まずは、電源から供給された交流電流を、コンバーター回路が直流電流に変換します。一旦直流電流に変換するのは、電圧や周波数を変換しやすくするためです。
次に、コンデンサが放電と充電を繰り返し、安定した直流電流に整えます。最後に、インバーター回路が、直流電流を希望の電圧や周波数の交流電流に変換するという仕組みです。
インバーターとコンバーターの違い
コンバーターとは、インバーター装置に設置されるコンバーター回路を指します。一方のインバーターは、インバーター装置とインバーター回路という二つの意味で使われるのが特徴です。
インバーター回路は、直流電流を交流電流に変換するのに対し、コンバーター回路は、交流電流を直流電流に変換します。インバーター回路もコンバーター回路もインバーター装置の中に含まれています。
インバーターの役割
交流を直流してから、再び直流を交流にするインバーター回路の仕組みだけ見ても、どんな役割を果たしているのかイメージが湧かないでしょう。普段使用している家電は、インバーターのおかげで細やかな調節が可能になっています。インバーターの主な役割は、以下のとおりです。
- 電圧や周波数を変える
- モーターのパワーを調節する
それぞれの役割について、詳しく見ていきましょう。
電圧や周波数を変える
電力会社から家庭のコンセントに供給されている交流電流は、電圧と周波数が一定です。インバーターは、一度直流電流に変換してから目的の交流電流を取り出す役割を担っています。家電が求める電圧・周波数に適合できれば、家電の自在な制御が可能です。
交流電流の電圧が家電に適合していないと使用できないケースもあります。コンセントから流れる交流電流の周波数は、日本の東西で異なるので、家電を安全に使用するためにもインバーターの役割は重要です。
モーターのパワーを調節する
インバーターは、モーターの回転速度を変更することで、モーターのパワーを調節しています。電力会社から供給される50Hzまたは60Hzの周波数から、インバーターで多様な周波数を作り出せれば、モーターの回転速度も自由自在です。
モーターの可変速装置としてインバーターが使われている例には、エアコンやエレベーターなどが挙げられます。モーター駆動では、電圧と周波数を変えていますが、蛍光灯や炊飯器などでは、周波数のみを変えているのが特徴です。
インバーターを利用する3つのメリット
インバーターには、経済面や利便性、安全性などのメリットがあります。そのため、インバーターを搭載している機器は、搭載していない機器に比べて高価です。インバーターの主なメリットを紹介します。
- メリット1|電力をコストダウンできる
- メリット2|モーターの速度を変更できる
- メリット3|部品の消耗を抑えられる
それぞれのメリットについて、詳しく見ていきましょう。
メリット1|電力をコストダウンできる
インバーターを搭載した家電は、省エネ効果が抜群です。インバーターによってモーターの回転数を必要な分だけに調節できると、余計な電力損失がなくなります。インバーターによる速度制御は、家電の消費電力に直結するのが特徴です。
モーターに流れる電流は変わらなくても、回転速度が落ちるとモーターを稼働させるのに必要な電圧も下がります。インバーターを搭載してる機器の消費電力は、搭載していない機器より約50%も削減できるケースがあるほどです。
メリット2|モーターの速度を変更できる
インバーターによってモーターの速度が自由自在に変更できるようになれば、機器の利便性も向上します。モーターの速度調節による恩恵を受けている機器の例は、以下のとおりです。
- エレベーターの上げ下ろしが可能になる
- 工場のコンペアが急停止・急加速しないよう制御する
- エアコンは、室内が冷え過ぎないようにファンの強さを調節する
もしもエアコンにインバーターが搭載されていなければ、室内が冷え過ぎたら運転を停止し、暑くなってきたら再開するしか方法はありません。
メリット3|部品の消耗を抑えられる
インバーターによって不必要な運転を削減できれば、部品の消耗を最小限にできます。インバーターが搭載されておらず、モーターの起動と停止しかできなければ、急速で動き出して急停止する動作になるので、部品に負担をかけます。
インバーターが搭載されていると、徐々に速度を上げて行き、徐々に速度を下げて停止できるので、無理な動作が発生しません。製品の寿命にも関わってくるので、長持ちさせたい製品にはインバーターの搭載が必要不可欠です。
インバーターを利用する2つのデメリット
機器の自在な制御が実現し、部品の劣化も抑えられるインバーターは、太陽光発電システムやモーター制御システムなど、幅広い用途で使用されています。しかし、インバーターには、以下のようなデメリットも存在します。
- デメリット1|初期費用が高くなる
- デメリット2|定期的なメンテナンスが必要になる
それぞれのデメリットについて、詳しく見ていきましょう。
デメリット1|初期費用が高くなる
インバーターの最大のデメリットと言えるのが、初期費用の高さです。特に産業運営に用いられる大規模なインバーターは、高価な傾向にあります。インバーターの価格を左右する要素は、容量・変換効率・機能などです。
大容量かつ高機能なインバーターは、それだけ利便性が高くなるので、価格も上がります。初期費用の高さをランニングコストの低さで補い、経済的な恩恵を受けるためには、長い目で見なければなりません。
デメリット2|定期的なメンテナンスが必要になる
インバーターは比較的新しい技術で複雑なので、定期的なメンテナンスが必要になります。インバーターを安定的に動作させるためには、制御アルゴリズムや監査システムなどの関与が欠かせません。
設計・設置・保守に専門知識が必要なので、初心者には扱いが難しい可能性があります。インバーターを搭載した機器が故障した場合には、修理費用も高額です。
インバーターの主な用途3選
機器に搭載されるインバーターは、電圧・周波数を変えるタイプ、周波数を変えるタイプ、電圧・周波数を保つタイプの3種類です。インバーターが私たちの生活にどのような恩恵をもたらしているのか、以下の家電における用途を紹介します。
- エアコン
- 冷蔵庫
- 電気自動車
それぞれの用途について、詳しく見ていきましょう。
エアコン
インバーターを搭載したエアコンは、内部に搭載された圧縮機を的確にコントロールします。余計な動作がないため、インバーターが搭載されていないエアコンと比較した場合に、消費電力を半分以下まで低減することが可能です(※1)。冷暖房時には、室温に合わせて運転の強度を細かく調節するため、快適な室温を維持できます。
※1参考:DAIKIN「 ダイキンは空調専用のインバータを世界に先駆けて開発」
冷蔵庫
インバーターを搭載した冷蔵庫は、庫内の冷え具合に応じて、冷却力を自動で調節してくれます。無駄なエネルギー消費を抑えられるので、省エネや運転音の低減を実現しているのが特徴です。冷蔵庫が運転を開始して所定の温度に近づけば、冷却ユニットが自動で調節しながら運転を続けます。
電気自動車
インバーターは、環境負荷が少ない電気自動車の車輪を駆動させるためにも使用されています。乗り心地や車速を自在に制御し、効率の良い駆動が可能です。ただし、電気自動車に搭載されるインバーターには、以下の課題も存在します。
- スイッチング周波数が高く、高温になりやすい
- 電磁ノイズ、騒音、振動が発生しやすい
最悪の場合、車の故障にも繋がりかねません。車両事故は人命に関わるため、品質や性能を損なわないための製品開発が求められます。
インバーター搭載!家庭用蓄電池の魅力とは
家庭の停電対策や節電対策を万全にしたい方には、ポータブル電源の購入がおすすめです。ポータブル電源とは、内部に大量の電流を溜め込み、コンセントを使わずに電化製品に給電できる機器を指します。
ポータブル電源はインバーターを搭載しているので、バッテリーに溜めておいた直流電流を家電が使える交流電流に変換できます。災害によって大規模な停電が発生した際に、ポータブル電源が活躍する場面は、以下のとおりです。
- エアコンや電気ストーブに給電し、快適な気温で過ごせる
- 電子レンジや電気ケトルなどの調理家電を使い、簡単に加熱調理ができる
- LEDランタンを点灯させて、夜の安全を確保できる
- 冷蔵庫に給電し、食品の腐敗を防げる
- 災害情報を調べるためのスマホを常にフル充電にしておける
ポータブル電源があれば、自宅のコンセントから給電するのと同様に、停電時も全ての家電を動かせます。日常生活では、電気料金が低い時間帯に蓄電した電気を日中帯に使用すれば、大きな節電効果を得られるでしょう。
ソーラーパネルと組み合わせると、電気代がかからない電気の自給自足生活も実現できます。ポータブル電源は生活に欠かせない必需品になること間違いありません。
防災・節電対策に必要な性能|おすすめの製品
防災対策や節電対策を万全にするためには、高出力・大容量のポータブル電源が必要です。災害による停電は、復旧するまでに3日以上を要する可能性もあります。例えば、1日に以下の家電を使用すると仮定します。
- エアコン(450W):1時間
- 炊飯器(350W):1時間
- 電子レンジ(1,100W):30分
3日間ポータブル電源で生活するには、出力1,900Wと容量4,050Wh以上が必要です。容量は、直流電流から交流電流に変換する過程で生じる電力ロスも考慮しなけばなりません。
EcoFlowでは、3,600Wの高出力と4,096Whの大容量を兼ね備えたポータブル電源「DELTA Pro 3」を販売しています。
製品の特徴は、以下のとおりです。
- 容量を最大24kWhまで拡張できる
- 停電時には10ms以内で電気供給源が切り替わる
- LFPバッテリーを搭載し、10年以上も停電対策や節電対策で活躍する
- 家全体のエネルギーを専用アプリで管理できる
- 握りやすいハンドルを備えており、使いたい場所まで自由に持ち運べる
- ソーラーパネルを使うと、最短2時間10分で満充電できる
- 動作音はわずか30dbなので、就寝中も使用できる
「DELTA Pro 3」が1台あるだけでも約30%の電気代が節約できます。エクストラバッテリーと組み合わせれば、最大90%の節電も可能です。日常時も非常時も大活躍するポータブル電源が欲しい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。
インバーターに関するよくある質問
最後に、インバーターに関するよくある質問を紹介します。
- インバーターで発生するノイズへの対策は?
- インバーターを運転する際の注意点は?
- インバーターで高調波を発生させないためには?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
インバーターで発生するノイズへの対策は?
インバーターでは、電圧と周波数を調整するために半導体を高速でオンオフしているため、ノイズが発生します。インバーターで発生するノイズを低減するための方法は、以下のとおりです。
- ノイズ源と機器の距離を保つ
- ノイズ源の周りにシールドを作る
- 別電源に接続する
- ラジオノイズフィルタを設置する
ラジオノイズフィルタは、AMラジオと同等の周波数を抑え込めます。
インバーターを運転する際の注意点は?
インバーターを運転する際に注意しなければならないのが、待機電力です。待機電力とは、電気製品の接続有無に関わらず、インバーターの電源がオンになっている状態で発生する電力を指します。
バッテリーの容量によりますが、電気製品を接続していないインバーターの電源をオンにしておくと、4日ほどで電気を使い果たしてしまいます。電気製品を使用しない際には、インバーターの電源をオフにしておきましょう。
インバーターで高調波を発生させないためには?
インバーターを使用する際には、高調波にも注意が必要です。高調波とは、基本の周波数よりも2倍以上高いものを指します。 高調波が流れると機器が安定して運転できないだけでなく、故障にも繋がりかねません。
高調波を完全に発生させない対策は難しいですが、低減は可能です。電流の変化に抵抗する部品であるリアクトルを設置すれば、ある程度の効果は期待できます。
まとめ
本記事では、インバーターとは何かについて解説してきました。
インバーターとは、電力会社が供給する交流電流を直流電流に変換し、直流電流から所定の電圧・周波数に調整した交流電流に変換する装置です。インバーターがあれば、電気製品の自在な制御が実現します。
モーターの回転数を自由に調節できるので、無駄な動作がなくなり、省エネ効果も抜群です。起動と停止が緩やかになるため、部品の消耗も最小限に抑えられます。
EcoFlowでは、インバーターを搭載して自宅のコンセントと同じ交流電流の供給を可能にするポータブル電源を販売しています。災害時に家電を動かすための非常用電源や日々の節電対策として常備したい方は、ぜひ製品情報をチェックしてください。
→3,600Wの高出力と4,096Whの大容量を備える「DELTA Pro 3」