二拠点生活は、デュアルライフとも呼ばれ、2つの地域に拠点を持って生活する暮らし方のことを指します。
2020年の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大をきっかけに、働き方が多様化。リモートワークやテレワークを導入する企業が増えたことで、場所を選ばずに自由な場所で働けるようになってきています。
このような背景もあり、二拠点生活を考える人が増えているのです。
この記事では、二拠点生活の費用や仕事、場所選びのポイントやおすすめの場所、二拠点生活の始め方などについて解説します。これから二拠点生活を始めたいと考えている方は、ぜひ記事を参考にしてみてください。
1.二拠点生活(デュアルライフ)とは
二拠点生活(デュアルライフ)とは、首都圏と地方都市など2つの拠点を行き来して生活することを指します。
人によって割合は異なりますが、たとえば「平日は東京で仕事をして、週末は自然豊かなエリアへ移動しのんびり休日を過ごす」などの暮らし方が二拠点生活です。
コロナ禍をきっかけにリモートワークやテレワークを導入する企業が増えたことで、今では二拠点生活が実現しやすくなっているといわれています。
二拠点生活の暮らしでは、主に以下のような方法があります。
● 土地や家を買う
● 賃貸物件やマンスリーマンションを借りる
● シェアハウスに入る
● ゲストハウスやホテルを利用する
それぞれの方法で暮らし方やかかる費用が変わってくるため、じっくり考えて自分に合うものを選びましょう。
1-1.二拠点生活の始め方の4ステップ
二拠点生活を始めたいと考えている場合、以下の4ステップで考えていくといいでしょう。
1. 二拠点生活の目的や滞在頻度
2. 家族の理解は得られるか、仕事はどうするか
3. 二拠点生活の場所選び
4. 初期費用やランニングコスト(交通費など)の計算
一つひとつしっかりクリアして、理想の二拠点生活を始めてみてください。
2.二拠点生活の仕事のスタイル
人によって二拠点生活の仕事スタイルはさまざまですが、以下のようなスタイルの生活をしている人が多いようです。
● 普段は首都圏で仕事をし、休日は自然の多い場所に移動し趣味に打ち込む
● 地方で暮らし・仕事があり、出張で首都圏に行く業種や職種はさまざまですが、仕事のスタイルとしては「フリーランス」「業務委託」「リモートワーク・テレワーク(会社員)」であれば二拠点生活を始めやすいでしょう。
どうしても人と対面でのコミュニケーションが必要になる業務もあるため、実際に仕事をしながら「この仕事はコミュニケーションが必要だから出社しよう」「個人で黙々とできる工程だからここは全てリモートワークでやろう」など、仕事を進めやすくなるでしょう。
3.二拠点生活でかかる費用
二拠点生活でかかる費用は大きく「初期費用」と「ランニングコスト」の2つに分けられます。
初期費用 | ランニングコスト |
---|---|
● 敷金 ● 礼金 ● 家具などの購入費用(物件を購入する場合は物件購入費用も) ● 引っ越し費用 | ● 家賃 ● 通信費 ● 水道光熱費 ● 交通費 ● 日用品代 ● 火災保険 ● 獣害対策 ● その他(農業や畑仕事をする場合、規模にもよるが重機の燃料代や手入れ代がかかる) |
物件を借りるのか、購入するのかによっても費用は変わってきます。意外と負担になることが多いのが、拠点間の移動にかかる「交通費」です。
考えられる移動手段や移動ルートをリストアップしてみて、どのくらい往復すればいくらくらいの交通費がかかるのか、具体的に計算して把握しておくといいでしょう。
4.二拠点生活のメリット・デメリット
二拠点生活には、メリットだけではなくデメリットもあります。
「前もってデメリットを知った上で二拠点生活を始める」のと「二拠点生活を始めてからデメリットに気づく」では、大きな違いがあります。デメリットがわかっていれば、事前に対策も打てるでしょう。
ここからは、二拠点生活のメリット・デメリットについて解説します。
メリット
まずは、二拠点生活のメリットです。
● オンオフの切り替えができる
● 非日常を感じられる
● 自然豊かな環境の中で子育てができる
● 新しい人間関係が作れる
二拠点生活は、環境の違う二拠点で生活を送ることで、オンオフの切り替えがしやすいことがメリットです。「都心で仕事をこなしたら、田舎に移動してからはもう仕事をしない」などと決めておくことで、自然と切り替えができます。
また、都会暮らしが長かった人は、緑豊かな環境で非日常的な暮らしを楽しめることもメリット。子どもがいる方や、これから子どもを持とうと考えている方は、豊かな自然の中でのびのびと子育てができます。
生活の拠点が増えることで自然に交友が生まれれば、新しい人間関係も築いていけるでしょう。
デメリット
一方で、二拠点生活には以下のようなデメリットもあります。
● 二拠点生活の居住費用がかかる
● 行き来する際の交通費や時間がかかる
二拠点生活では家賃や家具などが二拠点分必要になるため、その分のコストが発生します。また、拠点間を行き来する際の交通費、時間がかかる点も事前にしっかり考えておきたい部分です。
エリアによっては物価が安いところもあるので、実際に足を運んだ際、物価もチェックしておくと暮らしに活かせるでしょう。
また、移住支援制度を用意している地域もあります。自治体によっても制度内容は異なるため、気になる地域の移住支援制度をチェックして比較してみてもいいかもしれません。
5.二拠点生活をする場所の選び方のポイント
都市部で物件探しをする場合は、「駅チカ物件や駅徒歩圏内の物件」「繁華街やスーパーが近く利便性の高い物件」など利便性を重視しますが、二拠点生活の場合は以下のような条件のスポットが人気です。
● 自宅から車・電車で片道90分~2時間ほど
● 山や海、川など自然環境が近いエリア
また、人それぞれ、目的や好みによっても二拠点生活に適した場所は変わってきます。
● 趣味がある……アウトドアが好きなら山の近く、サーフィンが好きなら海の近くなど
● 家庭菜園や畑仕事がしたい……畑をする土地や日当たりがある
● 好きな風景やコミュニティがある……好きな風景の多い地域、友人や知人などコミュニティに近い地域
二拠点生活を考えている場合、まずは住もうと考えているエリアに足を運んで、地元を歩き回ったり、イベントに参加してみて、その土地で暮らすイメージを膨らませておくといいでしょう。
6.二拠点生活におすすめの場所11選
ここからは、二拠点生活におすすめの場所をいくつかご紹介します。二拠点生活の場所選びで悩んでいる人は、ぜひ参考にしてみてください。
6-1.鎌倉・三浦エリア(神奈川県)
神奈川県の鎌倉・三浦エリアは東京から近く、多くの人が一度は観光で足を運んだことがあるため、生活が想像しやすいエリアです。海や山があり、美しい景色が広がっています。
栄えているエリアであるため暮らしやすく、それでいて自然環境も楽しめることが魅力です。
6-2.湘南エリア(神奈川県)
神奈川県の湘南エリアも、関東に住んでいる人にとっては親しみやすい場所でしょう。明確には決められていないものの、一般的に平塚市、鎌倉市、茅ヶ崎市、藤沢市、伊豆市を含むエリアを湘南エリアと呼ぶことが多いようです。
自然豊かで、サーフィンや釣りなど海のレジャーを楽しみたい人に人気のスポットとして知られています。また、山もあるため山好きにもおすすめです。
6-3.箱根・足柄エリア(神奈川県)
緑にあふれた温泉の町として知られる箱根・足柄エリアも、二拠点生活の場所として人気のスポット。豊かな緑の中で、箱根の山々が四季折々で表情を変えていくのを楽しみながら、のびのびと生活できます。
箱根は都市部へのアクセスがいいこともメリット。車があれば小田原市の市街地や御殿場のアウトレットまでも便利に移動できます。
6-4.外房エリア(千葉県)
千葉県の外房エリアは一般的にいすみ市、一宮市、大網白里市、御宿町、勝浦市、鴨川市、九十九里町、白子町、長生町、長南町、東金市、茂原市を含むエリアを指します。
外房エリアには日本を代表するサーフポイントが点在しており、サーフィンが趣味の人に人気のエリアです。
6-5.奥多摩・八王子エリア(東京都)
都内とは思えないほど豊かな自然があり、開放感のある奥多摩・八王子エリアも人気です。
都心暮らしより通勤時間はかかるものの、通勤圏の範囲であり、暮らしもイメージしやすいことから人気を集めているようです。
6-6.伊豆エリア(静岡県)
観光スポットとして人気の伊豆エリアも、二拠点生活におすすめの場所です。
伊豆半島の東側「東伊豆」は観光地が多いリゾートのような雰囲気。西側の「西伊豆」は東伊豆のような華やかさは少ないものの、ダイビングなどのマリンスポーツが盛んなエリアです。
6-7.離島・諸島エリア(沖縄県)
とにかく海が美しい、沖縄の離島・諸島エリアも二拠点生活に人気です。離島は島ごとに異なる魅力があるため、自分にぴったりの場所を探すのも楽しめるでしょう。
6-8.那覇エリア(沖縄県)
沖縄では、那覇エリアも人気です。県庁所在地があり、沖縄の中心地である那覇は商業施設も多く、連日観光客で賑わっているため、静かすぎる場所は苦手という人にもおすすめです。
6-9.東信エリア(長野県)
東信エリアは、田舎暮らしを楽しみながら東京・埼玉など首都圏に通勤している人も多いです。
リゾート地として知られる軽井沢があり、冬の寒さは厳しいものの、年間降水量が少なく晴れが多いため、過ごしやすいエリアといえるでしょう。
6-10.石狩エリア(北海道)
自然豊かな北海道の石狩エリアは、自然も街も楽しみたい人におすすめのエリアです。
札幌市に隣接し市街地に近いため高い利便性を誇り、それでいて石狩川や日本海など豊かな自然にもあふれています。食にも恵まれ、イベントも多いため充実した生活を送れるでしょう。
6-11.福岡エリア(福岡県)
福岡エリアも、二拠点生活の場所として人気です。福岡市は博多区、中央区、東区、西区、南区、城南区、早良区の7つの区で構成されており、商業施設が多いためビジネスはもちろん、観光や買い物も楽しめます。
それでいて海が近いため、海のレジャーや美しい海を眺めながらの散歩など、福岡ならではの自然環境を感じながら生活できるでしょう。
7.二拠点生活がおすすめな人
二拠点生活は、以下のような希望を持った人におすすめの暮らし方です。
● 都会の生活に疲れを感じている人
● 自然の中で暮らしたい人
● いずれ地方移住したいと考えている人
● 地域に貢献したい人
都会は利便性は高いものの、自然環境が少なく、人も多いため、喧騒に疲れてしまうことも。そんな都会暮らしに疲れてしまった人や、豊かな自然に囲まれて暮らしたいという人に、二拠点生活はおすすめです。
いずれ完全に地方に移住したいと考えている人は、まずは二拠点生活をしてみて、地方での暮らしを体感してみるといいでしょう。
また、現在は日本全国で地方創生の取り組みが進んでいます。地方に根ざして暮らし、地域に貢献していきたい人にもおすすめです。
まとめ
都心と地方など、2つの都市を行き来して生活する「二拠点生活」は、近年注目を集めている暮らし方です。最近ではリモートワークやテレワークを導入する企業も増えており、時間や場所を選ばない働き方をする人も増えています。
二拠点生活は、「慣れ親しんだ都会に暮らしながら、自然豊かな田舎でリフレッシュする」という、都会と田舎のいいとこ取りができることが魅力。
初期費用やランニングコストなど、デメリットと考えられる部分をしっかりクリアして、快適な二拠点生活を始めてみてはいかがでしょうか。