日常生活で使用している電気には、AC(交流)とDC(直流)の2種類があります。家庭のコンセントから供給される電力はAC、スマートフォンやノートパソコンで使われる電力はDCです。電気の種類を変換するには、対応するアダプターを用意しなければなりません。
そこで本記事では、ACとDCの違いについて解説します。アダプターやモーターにおけるACとDCの違いや、AC・DCの両方が使えるアイテムも掲載しているので、日常生活でACとDCを使いこなしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
ACとDCの違いとは
日本の家庭用コンセントから供給される電流は、全てAC(Alternating Current:交流)です。一方のDC(Direct Current:直流)は、電池やバッテリーなどから供給されます。ACとDCの主な違いは、電流の流れ方にあります。
- AC(交流)|周期的に流れ方が変わる電流
- DC(直流)|一方向にしか流れない電流
それぞれの違いについて、詳しく見ていきましょう。
AC(交流)|周期的に流れ方が変わる電流
AC(交流)は、電圧と電流の向きが周期的に入れ替わっています。入れ替わる周期(周波数)は、1秒間に50回(50Hz)または60回(60Hz)です。
東日本は50Hz、西日本は60Hzと地域によって周波数が異なります。近年は「50/60Hz」の表記がある電化製品も多く販売されており、対応する周波数の違いで動作不良を起こす心配はほとんどありません。
DC(直流)|一方向にしか流れない電流
DC(直流)は、電圧と電流の向きが常に一定です。発電所で作られたACは、そのまま家庭へと送られますが、ほとんどの電化製品はDCで動作します。そのため、電化製品を動かすためには、一定の電力ロスと引き換えにACからDCへと変換しなければなりません。
発電所から家庭に直接DCを送電していれば、変換時の電力ロスをなくせるのではと思われる方も多いでしょう。しかし、ACはDCに比べて高電圧の変圧処理が容易に行えるため、現在はAC送電が主流です。
ACアダプターとDCアダプターの違いとは
コンセントから供給されるAC(交流)を、電化製品が使用できるDC(直流)に変換する装置が、ACアダプターです。AC/DCアダプターと呼ばれる場合もあります。ACアダプターは、スマホやノートパソコンの充電器として主に使用されています。
一方のDCアダプターとは、DCを別の電圧に変換する装置です。さらに、DCに含まれるノイズを低減し、過剰な電流を制限する役割も担います。それぞれ数多くの呼び名があるため、目当ての製品かどうかは、入力する電流と出力する電流の種類で判断しましょう。
ACモーターとDCモーターの違いとは
電気エネルギーを機械エネルギーに変換するモーターにも、ACモーターとDCモーターがあります。ACモーターとDCモーターとでは、電流の流れ方が異なるので、制御の粒度や運転音、電気代などに違いが現れます。それぞれの主な違いは、以下のとおりです。
ACモーター | DCモーター | |
電流の種類 | AC(交流) | DC(直流) |
電気代 | 高い | 安い |
本体価格 | 安い | 高い |
機能 | 少ない | 多い |
運転音 | 大きい | 小さい |
ACモーターが持つ2つの魅力
ACモーターは、単純な動きで長時間の使用が求められる場面で主に使用されます。コンセントから供給されるACをそのまま使用するため、変換のコストがかかりません。ACモーターの魅力は、以下のとおりです。
- 魅力1|初期費用を抑えられる
- 魅力2|耐久性が高い
それぞれの魅力について、詳しく見ていきましょう。
魅力1|初期費用を抑えられる
ACモーターは複雑な機能を持ち合わせていないため、初期費用を抑えられる点が大きな魅力です。モーターを回転させるには回転磁界を発生させる必要がありますが、ACモーターでは、ACの性質により電流の向きが変わるため、そのまま回転磁界を作り出せます。
電流の向きをコントロールする機能が不要であるため、ACモーターは比較的単純な構造をしており、低コストでの製作が可能になるのです。
魅力2|耐久性が高い
複雑な部品が少ないACモーターは、耐久性に優れています。ACモーターを搭載した機器には最小限のボタンしか付いていないため、物理的な消耗は少なくなるでしょう。
過酷な環境にも強く、長時間の運転が必要な工業用途でも高いパフォーマンスを発揮するのが特徴です。メンテナンスの頻度が低く抑えられるため、長期的なコスト削減にもつながります。最低限の機能で長く使いたい方におすすめです。
DCモーターが持つ3つの魅力
DCモーターは、細かな速度制御が求められる場面で主に使用されます。乾電池からも起動できるため、携帯性が求められる場面にも最適です。DCモーターの魅力を紹介します。
- 魅力1|細かい速度調節ができる
- 魅力2|静音で運転できる
- 魅力3|電気代を節約できる
それぞれの魅力について、詳しく見ていきましょう。
魅力1|細かい速度調節ができる
DCモーターは、駆動電圧を変えることによって細かい速度調節ができます。ブレーキ機能やトルク制御、回転角度量指定など、ACモーターには実現できない機能を搭載し、電子機器の自由度を上げられるのが魅力です。
DCモーターで速度調節を行っている電子機器の例を紹介します。
- 扇風機で8段階の風量調節を行う
- 室外機のコンプレッサーやファンの速度を調節し、効率的な温度制御を実現する
- パソコンのCPUやGPUの温度に応じてファンの速度を調節し、効率的な冷却を行う
魅力2|静音で運転できる
DCモーターは回転速度を滑らかに調節できるので、静かな動作音で稼働できます。就寝中や仕事中など、大きな音が出せない状況に最適です。
Panasonicが販売するDCモーター扇風機を例にすると、最大風量で運転した場合も43dbと図書館と同程度の動作音に抑えられます(※1)。
※1参考:Panasonic「快適さと省エネを実現するDCモーター」
魅力3|電気代を節約できる
一般的にDCモーターはACモーターよりも消費電力が低いため、電気代を節約できます。例えば、下記の条件下でACモーター扇風機とDCモーター扇風機を1シーズン使った場合の電気代を見てみましょう(※1)。
- 電気料金の単価は1kWhあたり31円(税込)
- 1シーズンは120日
- 1日8時間使用する
ACモーター扇風機は1シーズンで約625円かかるのに対して、DCモーター扇風機では約45円しかかかりませんでした。初期費用だけをみるとACモーター扇風機の方が安いですが、電気代も加味すると、DCモーター扇風機の方が低コストと言えるでしょう。
AC・DCの両方が使えるポータブル電源とは
使用する電化製品によって、ACとDCのどちらが入力に適しているかは異なります。バッテリーに蓄電した電気を、ACまたはDCで出力できるアイテムがポータブル電源です。
ポータブル電源は、コンセントから供給されたACをDCに変換して蓄電しています。大規模な停電やアウトドアなどでポータブル電源が活躍する場面は、以下のとおりです。
- ポータブルエアコンや電気ストーブを使い、常に快適な気温で過ごせる
- 電子レンジや電気ケトルを動かし、温かい料理が簡単に作れる
- 冷蔵庫に給電し、食品や飲み物を長期保存できる
- LEDランタンを使い、夜の暗闇を照らせる
- スマートフォンやパソコンを常にフル充電にしておける
ソーラーパネルを使えば、太陽光発電した電気をDCで蓄電し、好きなタイミングで電化製品に給電できます。DCでそのまま出力すれば、電力ロスはほとんどありません。
幅広い家電への給電に必要な性能|おすすめの製品
ポータブル電源のAC・DC出力を駆使して、幅広い電化製品に給電するためには、高出力の製品を選ぶ必要があります。例えば、エアコン(1,000W)や電気ストーブ(550W)、炊飯器(350W)を同時に動かすには、1,900Wの出力が必要です。
EcoFlowは、最大2,000Wの出力を実現する高出力のポータブル電源「DELTA 3 Plus」を販売しています。「DELTA 3 Plus」の特徴は、以下のとおりです。
- AC入力から56分、ソーラーパネルから70分で満充電できる
- LFPバッテリーを採用しており、10年以上も活躍する
- 600W以下の動作では、30dbに抑えられる
- BMS管理システムを搭載し、爆発や火災から安全を確保する
- 重量12.5kg未満の軽量コンパクト設計を実現する
- 停電時は10ms以内で電気供給源が切り替わる
- 容量1,024Whをエクストラバッテリーで5kWhまで拡張できる
DC出力やAC出力以外に、USB-CやUSB-A、シガーソケットからも出力できるので、幅広い電化製品に対応しています。電源を持ち運んで、場所を選ばずに多彩な電化製品を動かしたい方は、ぜひ製品情報をチェックしてください。
ACからDCに変換する2つの方法
家庭用コンセントから供給されるACを、電化製品で使用できるDCに変換するための方法には、以下の2種類があります。近年は、小型・軽量のスイッチング方式が主流です。
- トランス方式
- スイッチング方式
それぞれの方法について、詳しく見ていきましょう。
トランス方式
比較的回路が簡単なトランス方式では、AC電圧をトランスで変圧した後に整流器で整流します。最後にはコンデンサで平滑し、リップルの少ないDC電圧を作り出すのが特徴です。ノイズが少ないので、オーディオ機器電源にも使用されています。
トランスの体積は電源の出力電力に比例するため、電流容量の大きなACアダプターは重量があり、サイズも大きくなります。変換効率はスイッチング方式に比べると落ちますが、その分安価で導入できる点も魅力です。
スイッチング方式
スイッチング方式では、AC電圧を降圧せずにそのまま整流します。そのため、ダイオードブリッジは、140Vほどの高電圧に耐えうるタイプが必要です。次にコンデンサで平滑してDC電圧を作り出し、再度高周波のAC電圧に変換後、目当てのDC電圧に変換しています。
トランス方式と比べて回路は複雑ですが、小型軽量化が可能です。必要な電力のみを効率よく取り出せるので、発熱も抑えられます。
ACとDCの違いに関するよくある質問
最後に、ACとDCの違いに関するよくある質問を紹介します。
- 扇風機に採用されるACとDCの違いは?
- DCからACに変換するインバーターとは
- ACからDCに変換するコンバーターとは
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
扇風機に採用されるACとDCの違いは?
扇風機に採用されるモーターには、ACモーターとDCモーターの2種類があります。AC(交流)は電流の流れが一定の周期で入れ変わるのに対して、DC(直流)は電流の流れが一方通行です。ACモーターと比較したDCモーターの特徴を紹介します。
- 風量の調節やタイマーなどの機能性に優れる
- 消費電力が低く、電気代が安い
- 本体の価格が高い
- 運転音が小さい
DCからACに変換するインバーターとは
インバーターとは、モーターの回転速度を制御するために必要な装置です。コンセントから供給されたACの電圧や周波数を変更するには、インバーター装置によって一旦ACをDCに変換した上で、再度ACに変換しなければなりません。
インバータ装置は、ACからDCに変換する「コンバーター回路」と、DCからACに変換する「インバーター回路」、両回路の間にあるコンデンサーで構成されます。インバーターは、装置と回路のどちらの意味でも使われます。
ACからDCに変換するコンバーターとは
コンバーターとは、コンセントから供給されるACを、電化製品が使えるDCに変換するための装置です。一般家庭でコンセントに挿して使用する電化製品のほとんどに、 AC/DCコンバーターが搭載されています。
AC/DCコンバーター以外にも、アナログ信号をデジタル信号に変換するADコンバーターや、デジタル信号をアナログ信号に変換するDAコンバーターなどの種類も存在します。
まとめ
本記事では、ACとDCの違いについて解説してきました。
AC(交流)は、電圧と電流の向きが、1秒間に50回または60回の周期で入れ替わっています。一方のDC(直流)は、電圧と電流の向きが常に一定です。家庭用コンセントからはACが供給されますが、電化製品を使用するにはDCに変換しなければなりません。
電気エネルギーを機械エネルギーに変換するモーターにも、ACモーターとDCモーターが存在します。ACモーターは初期費用が安く、耐久性に優れているのが特徴です。DCモーターは、細かい速度調節が可能であり、電気代を節約できます。
EcoFlowでは、AC・DCの両方が使える高出力のポータブル電源を販売しています。コンセントが使えない場所にも電気を持ち運びたい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。
→ACコンセントから56分で満充電できる「DELTA 3 Plus」