「DER補助金って何?どんなメリット・デメリットがあるの?」と疑問に思う方もいるのではないでしょうか。DER補助金は、蓄電池を活用した新たな技術やサービスの開発・実証を支援する国の補助金制度です。
DER補助金を利用することで、太陽光発電や蓄電システムなどの導入コストを削減できます。その一方で、需給ひっ迫時の充放電制御や機器の制限、補助金の上限設定などのデメリットもあるため、導入前に十分な検討が必要です。
本記事では、DER補助金の概要や最新情報、メリット・デメリットについて解説します。蓄電池の導入を検討している方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
DER補助金とは?
DER補助金とは、蓄電池を活用した新たな技術やサービスの開発・実証を支援する補助金のことです。「世界的な温暖化対策・CO2削減に向けた取り組みを加速したい」という国の想いから提供されています。
提供する団体は「一般社団法人環境共創イニシアチブ(SII)」です。SIIが実施する実証実験に参加することで、DER補助金を取得することができます。
なお、DERは「Distributed Energy Resources」の略称で、分散型エネルギーリソースという意味を持ちます。
DER補助金の情報|金額とスケジュール
ここでは、現時点で判明しているDER補助金の金額とスケジュールについて解説します。DER補助金を受けたいと考えている方は、ぜひ以下の情報をご確認ください。
DER補助金の補助金額
2024年度におけるDER補助金の情報はまだ公表されていません。しかし、2023年度のDER補助金と同じ内容になる可能性があるため、2023年の補助金額や期限について以下に記載します。
【2023年度のDER補助金】
公募期間 | 2023年12月22日まで |
契約日 | 事前申請 |
着工日 | 契約締結以降 |
補助上限 | 60万円以内(補助率は1/3まで) |
対象の蓄電池 | 購入価格が「14.1万円/kWh」以下 |
なお、2022年度では蓄電池のDER補助金は初期実効容量が1kWhあたり3.7万円で、2021年度では1kWhあたり4万円でした。補助金額については年ごとに若干変動するため、DER補助金を検討している方はその都度確認するようにしましょう。
DER補助金のスケジュール
2024年度におけるDER補助金のスケジュールもまだ明らかになっていません。2023年度の公募期間は12月22日まで、2022年度は12月23日となっているため、2024年度も公募期間は年末になると予想できます。
公募開始日は毎年6月あたりが多いことから、2024年度もそのあたりを目処に計画を立てておきましょう。なお、実証事業や報告書提出期限、補助金支払い期限は翌年の2〜3月頃が多い傾向にあります。
DER補助金のメリット
DER補助金は、分散型エネルギー資源(DER)の導入を促進し、初期投資の負担を軽減するための制度です。太陽光発電や蓄電池などのDERシステムを導入する際に、一定の条件を満たすことで補助金を受けることができます。
ここでは、DER補助金の主要な3つのメリットについて解説します。DER補助金を活用することで、より多くの家庭や企業がクリーンエネルギーの利用を始めることができるでしょう。
- システム導入時のコストが下がる
- 設置したあとに面倒な作業がない
- V2Hやエネファームも対象
各メリットの詳細を1つずつ解説していきます。
メリット1.システム導入時のコストが下がる
DER補助金の最大のメリットは、太陽光発電や蓄電システムなどの導入コストを削減できる点です。これらの設備は初期投資が高額となるため、導入を躊躇する人も少なくありません。
しかし、補助金を活用することで、導入コストを大幅に抑えることが可能となります。補助金額は機器の種類や規模によって異なりますが、数十万円程度の補助を受けられる場合もあります。
メリット2.設置したあとに面倒な作業がない
DER補助金を受けるには、一定期間の実証実験への参加が条件となっています。これは、導入したシステムの性能や効果を検証するためのものです。
ただし、設置後の実証実験では、利用者が特別な作業を行う必要はほとんどありません。機器の運用データが自動的に収集されるため、日常生活を送るだけで実験に参加できるのです。
とはいえ、「需給ひっ迫警報・注意報」が発令された場合は、遠隔操作で蓄電システムが充放電されることがあります。この点については、事前に理解しておく必要があるでしょう。
メリット3.V2Hやエネファームも対象
DER補助金の対象は、太陽光発電システムだけではありません。V2H(Vehicle to Home)やエネファーム(家庭用燃料電池)といった、先進的なエネルギー技術も補助の対象となっています。
【V2Hとエネファーム】
- V2H:電気自動車(EV)のバッテリーを家庭の電力供給に活用する設備
- エネファーム:都市ガスなどから水素を取り出し、化学反応によって電気を生み出す設備
また、エネルギーを見える化できるHEMSもDER補助金の対象です。ただし、毎年これらの設備で補助金が適用できるとは限らないため、その都度利用条件を確認するようにしましょう。
→【2024年】V2H補助金とは?活用時の注意点と申請に必要な手続きを解説
DER補助金のデメリット
DER補助金を利用する際には、いくつかの制限や条件が存在します。これらの制限が、状況によってはデメリットとなる可能性があります。
ここでは、DER補助金の3つのデメリットについて見ていきましょう。補助金の活用を検討する際は、これらのデメリットを理解した上で、導入の是非を判断することが重要です。
- 「需給ひっ迫警報」の発令時に充放電される可能性がある
- 対象機種以外は補助金を受けられない
- 上限金額が決められている
それぞれのデメリットについて順番に解説します。
デメリット1.「需給ひっ迫警報」の発令時に充放電される可能性がある
DER補助金の条件の1つに、電力需給のひっ迫時にシステムの充放電を遠隔制御できることが挙げられます。これは、電力の安定供給を維持するための措置ですが、利用者にとっては予期せぬ動作となる可能性があります。
例えば、蓄電池に貯めた電力を夜間に使用したい場合でも、「需給ひっ迫警報」が発令されれば、蓄電池が放電されてしまうかもしれません。逆に、蓄電池に空きを残しておきたいタイミングで、強制的に充電が行われる可能性もあります。
このように、DERシステムの制御が利用者の意図と異なる場合、エネルギー管理の最適化が難しくなるというデメリットがあるのです。ただし、需給ひっ迫時の制御は、電力システム全体の安定性を確保するために不可欠な措置であることも理解しておく必要があります。
→節電要請とは?電力ひっ迫はなぜ起こる?国民や企業ができる具体的な節電方法7選
デメリット2.対象機種以外は補助金を受けられない
DER補助金の対象となる機器は、一定の基準を満たしたものに限定されています。補助金の交付を受けるためには、指定された機種を導入する必要があるのです。
この機種の限定が、デメリットとなる場合があります。例えば、すでに所有している機器が補助金の対象外であったり、希望するメーカーの製品が指定機種に含まれていなかったりする場合です。
DER補助金の利用を検討する場合は、事前に対象機種や条件を確認しておきましょう。
デメリット3.上限金額が決められている
DER補助金には、機器ごとに上限金額が設定されています。つまり、いくら高額な機器を導入しても、補助金の金額は一定の限度を超えないのです。
例えば、蓄電システムの場合は初期実効容量で「3.7万円/kWh」の補助金が出ますが、エネファームの場合は「4万円/台」が限度額となっています。補助率についても機器ごとに異なる場合があるため、事前に確認しておくことをおすすめします。
蓄電池導入時に検討すべきDER補助金以外の補助金制度
DER補助金以外にも検討すべき補助金制度は複数あります。ここでは、代表的な以下3つの補助金制度について解説します。
子育てエコホーム支援事業
子育てエコホーム支援事業とは、エネルギー価格の高騰を受けやすい若者夫婦や、子育て世代が省エネ住宅の取得を支援するために国が設けた補助金事業のことです。
国土交通省によると「エネルギー価格などの物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯・若者夫婦世帯による高い省エネ性能を有する新築住宅の取得や、住宅の省エネ改修等に対して支援することにより、子育て世帯・若者夫婦世帯等による省エネ投資の下支えを行い、2050年のカーボンニュートラルの実現を図る事業」と定義されています。
子育てエコホーム支援事業では、省エネ住宅の購入、断熱工事、蓄電池の設置など、さまざまなものが補助金の対象となります。
予算 | 令和5年度補正予算:2,100億円 令和6年度当初予算案:400億円 |
契約日の期間 | 問わない |
対象工事の着手期間 | 2023年11月2日以降 |
交付申請期間 | 2024年4月2日~予算上限に達するまで (遅くとも2024年12月31日まで) |
補助対象 | ・注文住宅の新築:建築主 ・新築分譲住宅の購入:購入者 ・リフォーム:工事発注者 |
補助額(補助上限) | 【注文住宅の新築 新築分譲住宅の購入】 ・長期優良住宅:1住戸につき100万円 ・ZEH水準住宅:1住戸につき80万円 【リフォーム】 ・子育て世帯と若者夫婦世帯:上限30万円/戸 ・その他の世帯: 上限20万円/戸※ 【長期優良リフォーム】 ・子育て世帯と若者夫婦世帯:上限45万円/戸 ・その他の世帯:上限30万円/戸 |
登録事業者 | ・建築事業者(工事請負業者):工事請負契約 ・販売事業者(販売代理を含む):不動産売買契約 ・工事施工業者:工事請負契約 |
※ 子育て世帯・若者夫婦世帯が既存住宅購入を伴う場合は上限60万円/戸
DR補助金
DR補助金とは、電力需要のピーク抑制や、再生可能エネルギーの導入促進につながる蓄電池を対象とした補助金のことです。2024年度のDR補助金についてはすでに発表されています。
補助金の主な対象は、家庭用蓄電システムと産業用蓄電システムの2つです。対象となる蓄電池は、SIIに事前登録されたものでなければなりません。
予算総額 | 75億円(産業用は15億円) |
申請期間 | 2024年4月10日 ~ 2024年12月6日 |
実績報告期限 | 2025年1月15日 |
販売目標価格 | 蓄電池商品と工事代の合計が、蓄電容量1kWhあたり14.1万円以下 |
蓄電池の補助金額 | 金額が低いほうが適用される(上限60万円) ・蓄電池商品工事代の1/3 ・初期実効容量1kWhあたり3.7万円 |
スケジュール | 1.利用者からの申込 2.DR補助金の申請 3.現地調査 4.蓄電池購入の契約 5.電力会社へ電力申請 6.経産省へ設備認定変更申請 7.蓄電池の設置工事 8.電力会社への系統連系申請 9.DR補助金の実績報告 |
電力申請~系統連系の期間 | 2〜4ヶ月程度 |
DR補助金は地方自治体の補助金とも併用可能です。補助金を併せて利用することで、蓄電池導入の費用を抑えられます。
→【2024年】DR補助金とは?具体的な補助金額とスケジュールを解説
自治体の補助金
地方自治体の補助金であれば、DER補助金と併用して活用できます。自治体の補助金は地域によって内容や条件が大きく異なるため、住んでいる場所の補助金を事前に確認しておきましょう。
実際にスタートしている自治体の補助金として、東京都での蓄電池の高額補助金が挙げられます。確実に利用するため、それぞれの対象機種をチェックしておくことも重要です。
ローコストで導入したいなら蓄電池よりもポータブル電源
再生可能エネルギーの活用を検討する際、蓄電池システムの導入は大きな課題となることがあります。特に初期投資の高さが障壁となり、導入を断念するケースも少なくありません。
こうした状況において、より低コストで手軽に導入できる選択肢として注目されているのが、ポータブル電源です。ポータブル電源は、蓄電池と同様に電力を貯蔵し、必要に応じて供給することができます。
ポータブル電源の最大のメリットは、初期投資の低さです。蓄電池システムと比べて、機器の価格が安く、設置工事も不要であるため、導入コストを大幅に抑えられるのです。
また、ポータブル電源はコンパクトで持ち運びが容易であるため、設置場所を柔軟に選ぶことができます。屋外での使用やイベント時の臨時電源としても活用でき、用途の幅が広い点も魅力です。
加えて、購入後すぐに使用を開始できる点も大きなアドバンテージといえるでしょう。「ローコストで導入したい」「手軽に太陽光発電システムを構築したい」という方は、ポータブル電源の導入をご検討ください。
携帯性抜群のポータブル電源ならEcoFlow製品がおすすめ
携帯性が高いポータブル電源を探しているなら、EcoFlow製品を一度検討してみてください。EcoFlow製のポータブル電源は、高い携帯性と優れた機能性を兼ね備えており、幅広いシーンで活躍します。
EcoFlowの製品ラインナップのなかでも、特におすすめしたいのが「EcoFlow DELTA」シリーズです。このシリーズは、大容量のバッテリーを搭載しながら、コンパクトなサイズを実現しています。
例えば、フラッグシップモデルである「EcoFlow DELTA Pro」は、3.6kWhの大容量バッテリーを内蔵しながら、重量はわずか45kgです。これは、同クラスの蓄電池と比べて格段に軽量であり、持ち運びの容易さは抜群です。
また、DELTAシリーズは高い出力性能も備えているため、電気自動車の充電や大型家電の稼働にも対応しています。アウトドアでの使用はもちろん、非常用電源としても頼りになる性能を有しています。
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まとめ
本記事では、DER補助金の概要や最新情報、メリット・デメリットについて詳しく解説しました。
DER補助金は、蓄電池を活用した新たな技術やサービスの開発・実証を支援する国の補助金制度です。導入コストの削減やV2H・エネファームへの対応などのメリットがある一方、需給ひっ迫時の充放電制御や上限金額の設定などのデメリットもあります。
DER補助金以外にも、子育てエコホーム支援事業やDR補助金、自治体の補助金など、蓄電池導入時に検討すべき補助金制度は複数あります。それぞれの制度の特徴を理解し、自身の状況に合った補助金を選ぶことが重要です。
蓄電池の導入コストを減らしたい場合は、ポータブル電源の導入をご検討ください。EcoFlowでは、携帯性と機能性を両立した「EcoFlow DELTA」シリーズを販売しております。