スマートフォンの充電時間を短縮できる急速充電。現代のIT社会においては大変便利な技術ですが、バッテリーを劣化させるリスクがあることをご存じでしょうか。急速充電によるバッテリーの劣化を防ぐためには、日頃からの対策が重要です。
そこで本記事では、急速充電によるバッテリーの劣化対策について解説します。バッテリーを保護しながら複数端末の急速充電を実現する製品も紹介しているので、急速充電を活用しつつ、端末の寿命も長持ちさせたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
スマホの急速充電とは
スマホにおける急速充電とは、通常よりも多くの電力を供給することで、充電時間を短縮する技術です。急速充電を実現するためには、スマホ・充電器・充電ケーブルの3者が急速充電に対応している必要があります。
急速充電に対応した充電器と充電ケーブルを持っていても、スマホの最大受電量が充電器の最大出力を下回っていれば、充電器に記載されている急速充電は実現しません。しかし、スマホにとっては、最大受電量の電力を受け取れていれば、急速充電と言えるでしょう。
充電速度に関わる「最大出力」
デバイスが発揮できる最大の充電速度は、最大出力で判断できます。最大出力とは、デバイスが瞬間的に供給できる最大の電力のことです。最大出力が高ければ、一度に大量の電気をスマホに送り込めるので、早く充電が完了します。
急速充電として代表的な規格別に、最大出力を見ていきましょう。
急速充電の規格 | 最大出力 | 概要 |
USB PD | 240W(5A/48V) | USB Type-C端子に対応した給電規格 |
Quick Charge | 100W(5A/20V) | スマートフォン・タブレットを高速で充電できる規格 |
Super VOOC | 50W(5A/10V) | OPPOが独自に開発する急速充電規格 |
スマホの急速充電でバッテリーが劣化する?
スマホを使いたい時に素早く充電できる急速充電ですが、デバイス・充電器の性能や使い方によっては、バッテリーが劣化するリスクをはらんでいます。急速充電によってバッテリーが劣化する主な原因は、以下の2つです。
- 高温状態で充電を継続する
- 充電量100%になった状態で充電を継続する
急速充電によってスマホに大量の電気が流れると、スマホ自体が発熱し、バッテリーを劣化させる恐れがあります。特に異常発熱を検知して充電をストップさせる機能が付いていないデバイスには、注意が必要です。
急速充電では通常よりも早く充電が完了するため、充電量100%になっているにも関わらず、充電ケーブルが挿しっぱなしの状態になりやすいと言えます。残量100%の状態での長期保存も、バッテリー劣化の一因です。
急速充電によってバッテリーの劣化が起きると、充電の減りが早くなったり、充電が100%まで溜まらなくなったりと弊害が生じます。
バッテリーの劣化以外にも!急速充電のリスク
バッテリーの劣化以外に考えられる急速充電によるリスクは、スマホの故障です。通常よりも多くの電力が一度に供給されるため、発熱して基盤が損傷を受けると、本体が故障する事態にもなりかねません。
急速充電による故障を防ぐために、安全機能が備わったスマホや充電器を使用しましょう。スマホに負担をかけない正しい方法で充電を行うことも重要です。
スマホの急速充電に必要な3つのアイテム
急速充電に対応した充電器を購入しても、スマホが充電器から流れてくる大量の電力を受け取れなければ、急速充電は実現しません。スマホの急速充電に必要なアイテムは、以下のとおりです。
- 急速充電に対応した充電器
- 急速充電に対応したスマホ
- 断線していない充電ケーブル
それぞれのアイテムについて、詳しく見ていきましょう。
急速充電に対応したスマホ
まずは、現在持っているスマホが、急速充電に対応しているかを確認してください。何Wの急速充電が可能かは、メーカー公式サイトの製品仕様ページで確認できます。
最大出力が高い充電器を奮発して購入したとしても、スマホが充電器の持つ最大出力を受け取れなければ、宝の持ち腐れです。スマホの性能を確認した上で、充電器を購入しましょう。
急速充電に対応した充電器
スマホに電力を供給する充電器も、急速充電に対応している必要があります。急速充電の規格「USB PD」「Quick Charge」の表示がある製品を選びましょう。
急速充電ができる充電器の中でも最大出力は異なるので、スマホの最大受電量を超えた出力を持つ製品が必要です。
断線していない充電ケーブル
急速充電を行うために、スマホと充電器を繋ぐ充電ケーブルが断線していないかも確認しましょう。充電ケーブルが断線した状態で充電を行うと、正常に電気が流れず、いつまで経っても充電が完了しません。また、充電ケーブルも急速充電に対応している必要があります。
急速充電によるバッテリーの劣化防止対策5選
バッテリーに負荷をかけずに急速充電を行うには、以下の対策が必要です。バッテリーの劣化を防止できれば、スマホの寿命が伸び、無駄な出費を抑えられます。
- 対策1|高温・低温の環境下で充電しない
- 対策2|バッテリーを完全に使い切らない
- 対策3|頻繁に充放電を繰り返さない
- 対策4|100%に達したら充電を続けない
- 対策5|充電しながら操作しない
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。
対策1|高温・低温の環境下で充電しない
高温・低温の環境下での急速充電は、控えてください。スマホの充電に適した温度は、約5〜45℃です。5℃を下回った環境で充電を行うと、バッテリーの減りが早くなったり、電源が強制的に落ちたりします。
ただでさえ急速充電は通常の充電よりも発熱しやすいため、直射日光があたる高温の場所で充電すれば、瞬く間にスマホは熱を帯びるでしょう。スマホのバッテリーは、熱によって急速に劣化します。
対策2|バッテリーを完全に使い切らない
スマホのバッテリー残量が0%になるまで使い切ると、過放電によりバッテリーの劣化が進みます。0%の状態で長らく放置すると、充電できなくなる事態にもなりかねません。バッテリーは完全に使い切らずに、バッテリー残量20%程度を目途に充電を始めましょう。
対策3|頻繁に充放電を繰り返さない
不必要な急速充電は、バッテリーの劣化を助長します。スマホのバッテリーは、充放電を繰り返すたびに劣化していくのが特徴です。バッテリーの寿命を表す充放電サイクルでは、電池切れから満充電して再度充電切れを起こすまでを1サイクルとしています。
スマホに採用されているリチウムイオン電池の充放電サイクルは、500サイクル程度です。500サイクルを超えて充電を行うとバッテリーの劣化は急速に進み、バッテリーの減りが早くなったり、突然電源が落ちたりする症状に見舞われます。
対策4|100%に達したら充電を続けない
近年のスマホは充電残量が100%になったら、過充電は行わずに充電を中断する仕様がほとんどです。しかし、充電器とスマホが繋がっている以上、スマホのバッテリー残量が減ると、再び急速充電が始まります。長時間満充電の状態が維持されると、バッテリーの劣化に繋がるため、100%に達したら充電ケーブルは抜くようにしてください。
対策5|充電しながら操作しない
スマホの急速充電をしながらの操作は、バッテリーの劣化を招くため、避けましょう。より多くの電気を供給する急速充電では、通常の充電よりも発熱しやすくなっています。
リチウムイオン電池は熱に弱いので、操作による熱も加わると、バッテリーの劣化は急速に進行するでしょう。特に、処理の負荷が高いアプリを充電と同時に操作するのは危険です。急速充電を行う際には、スマホが高温になりにくい環境作りを意識してみてください。
複数端末の急速充電が実現!ポータブル電源とは
外出先で急速充電する際に、モバイルバッテリーでは同時に充電できる数が少なく、給電できる機器にも制限があると不便さを感じている方は多いのではないでしょうか。モバイルバッテリーよりも高出力・大容量で高機能な電源として、ポータブル電源がおすすめです。
ポータブル電源は、内部に大量の電気を蓄え、コンセントが使えない状況でも電化製品に給電できる機器を指します。ポータブル電源があれば、多彩な出力ポートから複数の端末に対して急速充電が可能です。ポータブル電源が活躍する場面を紹介します。
- アウトドアで冷暖房機器を駆使して、快適な気温で過ごせる
- アウトドアで電気ケトルや電子レンジなどの調理家電を使い、簡単に調理できる
- ナビ代わりになるスマホを複数回、急速充電できる
- アウトドアで小型冷蔵庫に給電し、食材を長時間保存しておける
- LEDランタンに給電して、夜の暗闇を照らせる
- 出張先でノートPCやタブレットを常にフル充電にしておける
スマホやタブレットなどへの急速充電だけでなく、自宅にあるような大型家電への給電も行いたい方は、ぜひポータブル電源の導入を検討してください。
バッテリーの劣化防止に必要な性能|おすすめの製品
ポータブル電源のバッテリーを極力劣化させないためには、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーが搭載された機種を選びましょう。
スマホに採用されているリチウムイオンバッテリーに比べて、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーは、高温や過充電時でも発火のリスクが低く、バッテリーの劣化を軽減できます。
本サイトを運営するEcoFlowは、リン酸鉄リチウムイオンバッテリーを搭載したポータブル電源「DELTA 3 Plus」を販売しています。「DELTA 3 Plus」の特徴を見ていきましょう。
- バッテリー寿命を損なわずに、わずか56分で100%まで急速充電できる
- ソーラーパネルを使うと、70分で100%まで充電できる
- 最大2,000Wの出力により、99%の電化製品に給電できる
- 容量1,024Whを備え、スマートフォンを約89回分フル充電できる
- BMS管理システムを搭載し、バッテリーの熱暴走を防ぐ
- 重量12.5kg未満で、場所を取らず、持ち運びやすい
DELTA 3 Plusには、140WのUSB-Cや36WのUSB-Aなど、計13個の多彩な出力ポートを搭載しているので、あらゆる電子機器を同時に動かせます。10年以上の長寿命を誇るポータブル電源で生活を豊かにしたい方は、ぜひ製品情報をチェックしてください。
急速充電によるバッテリーの劣化に関するよくある質問
最後に、急速充電によるバッテリーの劣化に関するよくある質問を紹介します。
- リチウムイオンバッテリーは急速充電で劣化する?
- 急速充電が可能な規格「USB PowerDelivery」とは?
- 電気自動車にEV急速充電器を使うとバッテリーが劣化する?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
リチウムイオンバッテリーは急速充電で劣化する?
スマートフォンや電気自動車などに採用されているリチウムイオンバッテリーは、熱に弱いのが特徴です。以下のような条件で急速充電を行うと、劣化するリスクが高まります。
- バッテリー残量が100%になっても充電を継続する
- 直射日光が当たる場所や車内など、高温の環境下で充電を行う
- 急速充電を行いながら、端末の操作を行う
- 頻繁に放電と急速充電を繰り返す
- バッテリー残量を完全に使い切ってから充電を行う
急速充電は満充電になる手前で中断し、充電ケーブルを抜くのがおすすめです。高温化での充電や、充電中の操作など、バッテリーが熱を帯びるような使い方は止めましょう。
急速充電が可能な規格「USB PowerDelivery」とは?
USB PD(USB PowerDelivery)とは、USBケーブルを通して最大出力240Wまでの急速充電を可能にするUSB規格です。USB PD対応の充電器は、USB Type-Cを使って給電されます。USB PDに対応した充電器の充電速度は、非対応の充電器の1/2以下です。
USB PDに対応している、急速充電が可能なデバイスと主な製品を紹介します。
デバイス | 製品 |
ノートPC | MacBook Air/Pro、ThinkPad、XP |
スマートフォン | iPhone8シリーズ以降、Google Pixcel |
タブレット端末 | iPad、Surface、Pixelbook |
電気自動車にEV急速充電器を使うとバッテリーが劣化する?
電気自動車(EV)の充電に用いられる急速充電器は、高出力で充電を行うため、バッテリーに負荷がかかります。バッテリーは高温に弱い性質を持っているので、高出力の電力供給によって発熱が起きると、バッテリーが劣化するリスクは高まるでしょう。
また、バッテリーには充放電サイクルが定められているので、頻繁に急速充電を行うと、早くバッテリーが劣化します。日常的な充電には普通充電器を使用し、長距離を移動する際には急速充電器を使用するのがおすすめです。
まとめ
本記事では、急速充電によってバッテリーが劣化する原因や対策について解説しました。
急速充電を実現するためには、デバイス・充電器・充電ケーブルの全てが急速充電に対応していなければなりません。バッテリーは高温に弱い性質を持っているので、100%に達している状態での充電や、高温環境での充電、充電中の操作は控えましょう。
バッテリーが劣化してしまうと、充電の減りが早くなったり、充電が100%まで溜まらなくなったりと、日常生活に支障をきたします。
本サイトを運営するEcoFlowでは、本体の寿命を損なわずに急速充電を実現するポータブル電源を販売しています。急速充電によるバッテリーの劣化を防ぎ、日常生活で長く非常用電源を活用したい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。
→わずか56分で100%までの急速充電が可能な「DELTA 3 Plus」