台風一過は、台風が過ぎ去って雨が止み、空が晴れることを指す言葉です。
大気の性質として、低気圧が過ぎ去った後は高気圧を引き寄せるため、台風が過ぎ去った後は天候が安定しやすいといえるでしょう。
一方、条件が重なると天候が荒れる恐れもあるため、しばらくは警戒を怠れません。
この記事では、台風一過の意味、由来、使い方と例文、実際の台風が過ぎ去るまでの心得、過ぎたかどうかを確認する方法、過ぎてからの注意点、よくある質問をわかりやすく解説します。
台風一過の意味

台風一過は、台風が過ぎ去って雨が止み、空が晴れることを指す言葉です。ここでは、台風一過の意味について詳しく解説します。
台風一過とはどのような状態?
台風一過とは、台風が過ぎ去った後に天候が回復し、青空が広がる状態を表す言葉です。
通常、台風は大雨や強風だけでなく高潮や暴風雨を伴う危険な災害ですが、同じ場所に留まることは珍しく、大抵は一定時間で通り過ぎます。
その台風が通り過ぎて天候が安定した状態を、台風一過というわけです。
なお、台風一過は台風一家と誤用されることがありますが、台風一家は間違った表現となるため、正しい表記を覚えておくと良いでしょう。
正しくは家族を意味する一家ではなく、通り過ぎることを指す一過を使用します。
台風一過と逆の意味を持つことわざは?
文章表現としての台風一過には、蟻の穴から堤も崩れるや覆水盆に返らずといった逆の意味を持つことわざがあります。
- 蟻の穴から堤も崩れる
⇒蟻の穴だと思って油断していると頑丈な堤防でも崩れることがあるという意味 - 覆水盆に返らず
⇒一度起きたことはもう元に戻すことはできないという意味
どちらの言葉も、事態が好転することを指す台風一過の反対の意味を持つ表現です。
蟻の穴から堤も崩れる、覆水盆に返らず、どちらも台風が過ぎ去って安定した状態になることを指す台風一過とは逆の意味合いを持つ言葉といえるでしょう。
台風一過と似た意味のことわざは?
文章表現としての台風一過には、雨降って地固まるや雨過天晴など似た意味のことわざがあります。
- 雨降って地固まる
⇒悪いことが起こった後はかえって良い状態となるという意味 - 雨過天晴
⇒悪かった状況が良い方向に転じるという意味
どちらの言葉も、事態の好転を指す台風一過と似た意味の表現です。
雨降って地固まる、雨過天晴、どちらも雨が降ってから晴れる(悪いことが起こってから良いことが起こる)ことを指す台風一過と意味合いが似ています。
必ずしも同じ意味とはいえませんが、上記のように使用しても問題はありません。
一方、文章表現としての台風一過には、騒々しい状態や賑やかな状態が落ち着いた様子も言い表すことができるため、使用する場面には注意が必要です。
台風一過が起こる理由
台風一過が起こる理由には、高気圧が関係しています。
本来、台風は巨大な低気圧の集合体であり、中心付近には上昇気流が起こりやすいのですが、逆にその周りでは下降気流が発生します。
台風が通過すると、この下降気流の働きによって高気圧に覆われることで雲が発生しにくい状態となり、よく晴れるわけです。
上昇気流と比べて雲の形成が抑えられる分、雨も降りにくいといえるでしょう。
なお、台風については以下の記事でも解説しているため、興味のある方は合わせてお読みいただけると幸いです。
⇒台風とは何かを簡単に説明!季節別の特徴や台風による停電対策も徹底解説
⇒【最新】台風のたまご情報|リアルタイムで確認する方法や被害と対策も解説
台風一過の由来

台風一過の由来については諸説ありますが、1935年頃に小説家の北条清一が著作『武州このごろ記』の中で使用したことから始まったという説があります。
本文中での用例は、以下の通りです。
- 血腥い(ちなまぐさい)台風一過、熊谷宿も明治五年には戸長制度に、(略)文明開化に向って進んで来たわけだ
以上の用例から、現在と同じ意味で使用されていることがわかります。
一方、具体的にどのような経緯で生まれたものなのかは不明です。
台風一過の使い方と例文

台風一過は、まれに誤用することがあるため、使い方と例文を知っておくと安心です。
ここでは、台風一過の使い方と例文について詳しく解説します。
台風一過の使い方
台風一過の使い方は二通りあります。一つが、実際の台風が過ぎ去った場面、もう一つが、ある出来事が落ち着いて一息ついた場面です。
言葉の対象が本物の台風なのか、比喩表現なのかにより使い方が変わるといえるでしょう。
台風一過の例文
台風一過の例文には、以下のようなものがあります。
実際の台風が過ぎ去った場面 | ある出来事が落ち着いて一息ついた場面 |
・台風一過だからか、清々しい気分だ ・台風一過の影響で、透き通るような青空が広がっている ・台風一過のおかげで雨が止み、晴れ間が見えている | ・お祭りの後は、いつも台風一過のような気分になるものだ ・昨日の雨天とは打って変わり、今日は台風一過のおかげか晴天だった ・決算期を終え、社内は台風一過のように平穏を取り戻した |
以上のように、台風一過は二通りの例文を覚えておくと安心です。
会話で使用することはあまりありませんが、もし使用するなら、言葉の対象が本物の台風なのか、比喩表現なのかを考えるとわかりやすいでしょう。
実際の台風が過ぎ去るまでの心得

災害級の台風が上陸している状況では、完全に過ぎ去るまで十分な警戒が必要です。
ここでは、実際の台風が過ぎ去るまでの心得について詳しく解説します。
SNSの投稿を鵜呑みにしない
SNSの投稿は、鵜呑みにしないのが良いでしょう。
最近では、災害情報をSNSから得ている人もいますが、SNSには誤った情報が散見されます。なかには、面白半分で誤った情報を流すアカウントもあるため、安易にSNSの情報を信じるのは危険です。
不特定多数の人が投稿できる掲示板なども偽情報が出回っていることがあるため、必ず公的機関や地方自治体の情報を参考にしましょう。
必要に応じて避難する
必要に応じて、避難することを検討しなければなりません。
台風が過ぎ去るまで自宅で待機する人もいますが、スーパー台風のように猛烈な勢力を伴う台風では、大雨や強風だけでなく高潮や暴風雨も発生します。
河川付近にお住まいの人は洪水に巻き込まれることもあるため、早めの避難が重要です。
逃げ遅れると命に関わることもあるだけに、常に油断しないようにしましょう。
なお、普段からハザードマップや避難ルートを確認しておくことも重要です。
山間にお住まいの人は、土砂崩れにも注意が求められます。
不要不急の外出を控える
台風が上陸している間は、不要不急の外出を控えましょう。
買い出しなどで出かける人もいますが、台風が直撃している間は交通が停止したり、道路が冠水したり、物流が麻痺したりと非常に危険です。
コンビニやスーパーに買い物に行くだけでも怪我をすることがあるため、外出は控えることが求められます。
学校にいるお子さんを迎えに行く、会社にいるパートナーを迎えに行く、施設にいるお年寄りを迎えに行くなど、やむを得ない事情がある場合は一度関係者に連絡し、様子を伺うと良いでしょう。
なお、災害の被害状況を見に行くのも控えましょう。
ポータブル電源で停電に備える

台風では停電が発生することがあるため、ポータブル電源で備えておくのが望ましいです。
ポータブル電源は持ち運びできる蓄電池で、EcoflowといったメーカーからEcoFlow DELTA 3 Plusなどの高性能モデルが販売されています。
ポータブル電源があれば、スマホ・タブレット・ノートパソコンの充電はもちろん、他の電気製品への給電も可能で、非常用電源として役立ちます。
日本の停電は一般的に1〜2日で回復することがほとんどとされていますが、大規模な災害では送電線が切れたり、発電所が止まったりすることで復旧に数日〜1週間ほどを要することもあるでしょう。
その間、電気がまったく使用できないというのは不便なため、ポータブル電源を備えておくことを推奨します。ポータブル電源によっては、ソーラーパネルとの互換性があり、太陽光発電も可能です。
まだお持ちでない人は、購入をご検討いただけると幸いです。

リモートワークで対応する
仕事に関しては、リモートワークでの対応を検討しましょう。
無理に出勤すると交通事故に遭ったり、身動きが取れなくなったりとトラブルに巻き込まれる可能性があるため、職場に事情を連絡しておくのが望ましいです。
当面出勤できそうにない場合は、上司と部下の両方に連絡しておくことを推奨します。
実際の台風が過ぎたかどうかを確認する方法

実際の台風が過ぎたかどうかを確認する方法には、以下のようなものがあります。
- 気象庁のサイトで情報を確認する
- テレビやラジオの天気予報を確認する
- 自治体の防災情報を確認する
国土交通省が管轄している気象庁のサイトでは、台風などの災害情報を発信しているため、インターネット環境さえあればいつでもどこでも状況を確認可能です。
また、テレビやラジオの天気予報も参考にすると良いでしょう。
地域によっては自治体の防災ホームページから現在の台風の状況を確認できるようになっているため、それぞれの地方ごとに避難情報が出ていないかを確認しましょう。
実際の台風が過ぎてからの注意点

台風は過ぎて終わりというわけではないため、注意点を知っておきたいところです。
実際の台風が過ぎてからの注意点には、以下のようなものがあります。
- 大雨や強風が続くことがある
- 河川が増水している恐れがある
- 土砂災害に発展する恐れがある
台風一過とはいっても、完全に低気圧が消滅するまでは大雨や強風が続くことがあります。また、河川が増水している恐れ、土砂災害に発展する恐れもあるため、注意が必要です。
家屋が浸水していたり、地盤が沈下していたりすることもあるため、台風が過ぎ去った後も警戒は怠れません。
台風一過のよくある質問

台風一過については、よくある質問を把握しておくとより理解を深めることが可能です。
ここでは、台風一過のよくある質問について詳しく解説します。
台風一過はなぜ晴れるの?
台風一過は、気流の関係で晴れます。
台風で発生する上昇気流は上に進むため、雨雲が一緒に連れていかれる一方、下降気流は下に進むため、雨雲が滅多に発生しません。
雨雲がなければ、雨も降らないわけです。
台風一過に関する挨拶文の例は?
台風一過は、挨拶文でも使用されます。
代表的なのが、台風一過の候です。台風一過の候は、暦の上の秋の初めの時候の挨拶で、実際に台風が上陸したことに対する挨拶とされています。
用例は、以下の通りです。
- 台風一過の候、青く澄んだ空が気持ちまで晴れやかにしてくれるようでございます。ご無沙汰しておりますが、○○さまにはますますご盛栄のことと拝察いたしております。
以上に加えて「暑さ去りやらぬ昨今ですが、貴社におかれましてはいよいよご隆盛の段お喜び申し上げます。」といった文言を加えるのが一般的といえるでしょう。
まとめ
台風一過の意味、由来、使い方と例文、実際の台風が過ぎ去るまでの心得、過ぎたかどうかを確認する方法、過ぎてからの注意点、よくある質問を解説しました。
台風一過は、台風が過ぎ去って雨が止み、空が晴れることを意味する言葉です。
比喩表現として、騒々しい状態や賑やかな状態が落ち着いた様子を指すこともあります。実際、台風一過は穏やかな天候となることから、状況が好転する表現として使用されます。
一方、実際の台風では停電などの二次災害により被害が拡大することもあるため、ポータブル電源を備えておくのが理想といえるでしょう。
防災用のポータブル電源としては、Ecoflowが販売しているEcoFlow DELTA 3 Plusがあると比較的安心でしょう。
当製品があれば、停電しても数日〜10日は難なく電気を使用できるため、まだお持ちでない人は購入を検討いただけると幸いです。