地震の前兆と言われる地震雲。科学では証明できないとされつつも、巨大地震の前に目撃情報が相次いだ事例もありました。地震雲にはいくつかの種類がありますが、いずれも地震との関連性は未だ謎のままです。地震雲の存在によらず、地震への備えは欠かせません。
そこで本記事では、地震雲とはどんな雲かについて解説します。地震雲の種類・特徴や、家庭でできる地震対策も掲載しているので、地震雲をきっかけに防災意識を高められるでしょう。地震雲の正体を知り、地震への備えを万全にしたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
地震雲とはどんな雲?

地震雲とは、大地震の前にしばしば見られる特異な形状をした雲です。「地震雲」という言葉は、日本の政治家である鍵田忠三郎が考案し、日本社会に広めました。戦時中に雲と地震の関係に気付いた鎌田氏は、公衆の面前でも地震を予知して的中させています。
しかし、気象庁によると地震雲は科学的な証明がされておらず、大地の現象である「地震」と大気の現象である「雲」は全く別の現象です(※1)。地震は常にどこかで発生している現象なので、地震の前に偶然形の変わった雲が現れて、関連付けられた可能性もあります。
※1参考:気象庁「地震予知について」
地震雲とされる9つの種類・特徴

雲は、高さによって高層雲・中層雲・下層雲の3種類、形状によって10種類に分類されています(※2)。しかし、地震雲と呼ばれる雲は、正式に定義されていません。あくまで観測や主張に基づき、地震雲とされている雲の種類を紹介します。
- 種類1|帯状
- 種類2|断層型
- 種類3|竜巻型
- 種類4|放射状
- 種類5|肋骨状
- 種類6|弓状
- 種類7|波紋型
- 種類8|稲穂形
- 種類9|さや豆状
それぞれの種類について、詳しく見ていきましょう。
種類1|帯状
晴れた空に現れる一筋の太い帯状の雲は、地震雲全体の7〜8割を占めると言われています(※3)。雲の幅が太く色が濃いほど、発生する地震の揺れは大きくなるとされています。
一般的な雲の色は白ですが、まれに灰、赤、黒色をしているのが特徴です。飛行機雲や雨の前兆雲と似ているので、注意してください。
※3参考:震災文庫「わかりやすい地震雲の本 : これであなたも大地震を予知できる」
種類2|断層型
断層型の地震雲は、層状の雲と青空の境界が直線で分かれているのが特徴です。雲の部分と、青空の部分が明確に分割されている不気味な空なので、分かりやすいでしょう。
雲が現れてから、2〜3日以内に地震が発生すると言われています。低気圧が接近している際の雨雲や雨上がりの雲と間違えやすいので、注意してください。
種類3|竜巻型
竜巻型の地震雲は、竜巻状や垂直にたちのぼる煙のような形状をしているのが特徴です。雲が垂直であるほど震源地は近くにあり、規模も大きくなると言われています。
雲の出現から地震発生にいたるまでに要する期間は、8日以内です。飛行機雲と類似していますが、長時間雲が消えずに残っている場合は、竜巻型の地震雲と言えるでしょう。
種類4|放射状
放射状の地震雲は、震源地から数本の雲が放射状に伸びているのが特徴です。雲が長く太く、色が濃いほど、地震の規模も大きくなると言われています。
ごく稀にしか見られない珍しい地震雲です。雲の出現から数日以内に地震が発生するとされています。直線的な雲が複数交差している場合は、注意しましょう。
種類5|肋骨状
肋骨状の地震雲は、あばら骨のような形状をしていて、主に高層に表れるのが特徴です。雲が出現したら、2時間〜24時間以内に地震が起きると言われています。年に数回しか現れない珍しい雲です。水まさ雲やうろこ雲など、雨の前兆雲にも似ているので注意しましょう。
種類6|弓状
弓状の地震雲は、弓のようにカーブしているのが特徴です。中心点の延長線上に震源地があると言われています。地震発生までに要する期間は、2〜3日以内です。
雲が長いほど地震発生までの期間は短くなり、雲が大きいほど地震の規模は大きくなるとされています。弓状雲は、気象学的に分類されている雲の一種です。
種類7|波紋型
波紋型の地震雲は、水面に石を落とした時に広がる波紋のような形状をしているのが特徴です。地震雲全体の1割強を波紋型が占めています。震源地とされているのは、同心円の中心点です。雲が長く、色が濃いほど地震の規模も大きくなると言われています。
種類8|稲穂形
稲穂形の地震雲は、実った稲穂が風になびいているように先太りしているのが特徴です。風邪の向きとは関係なく、雲が震源地に向かって移動していく場合もあります。
雲の出現から地震が発生するまでに要する期間は、2日以内です。一般的には、風や大気中の湿度・温度差によって、雲が垂れ下がった形状になります。
種類9|さや豆状
さや豆状の地震雲は、さや豆やいんげん豆のように楕円形や丸みを帯びているのが特徴です。サイズが大きい雲ほど、地震の規模も大きくなると言われています。
雲の出現から数日以内に地震が発生するとされています。比較的低層に現れることが多く、「レンズ雲」や「層積雲」など雨の前兆雲と間違われやすいので注意しましょう。
過去に地震雲が生じたとされる地震3選

科学的な根拠がない地震雲ですが、過去には地震の前に現れたという報告があるため、その存在を完全には否定できません。過去に地震雲が生じたとされる地震を紹介します。
- 【1948年6月28日】福井地震
- 【1995年1月17日】阪神淡路大震災
- 【2023年2月6日】トルコ・シリア大地震
それぞれの地震について、詳しく見ていきましょう。
【1948年6月28日】福井地震
地震雲という言葉を作った鍵田忠三郎は、1948年の福井地震が起きる2日前に地震雲を見て予知していました。福井地震は、福井平野を震源とするマグニチュード7.1の地震です(※4)。住家の全壊は34,000棟以上、死者数は3,769人にのぼります。
【1995年1月17日】阪神淡路大震災
淡路島北部を震源とするマグニチュード7.3の阪神・淡路大震災も、地震雲が目撃された事例の一つです。地震が起きる約1週間前の1995年1月9日夕方には、震源付近の明石海峡大橋の直上で竜巻状の地震雲が撮影されています(※5)。
他にも地震雲に関する証言はインターネット上に溢れかえりましたが、いずれも真偽は疑わしいものばかりです。証言の内訳として、地震雲が占める割合は4割強にのぼりました。
※5参考:NEWSポストセブン「阪神・淡路大震災でも目撃された「地震雲」」
【2023年2月6日】トルコ・シリア大地震
5万9000人以上の死者を出したトルコ・シリア大地震が起きる前にも、地震雲と見られる雲が目撃されていました(※6)。2023年1月19日、トルコ西部のブルサでは、何重にも重なった奇妙な雲が撮影されています。SNS上では、地震雲として拡散されました。
しかし、気象学の専門家は、メカニズムが解明された「つるし雲」であると公表しています。つるし雲は山を越える気流で発生する雲で、地震との関係性はありません。
※6参考:NHK「“地震雲”に“人工地震” 「いいえ、違います」」
地震雲以外にもある地震の前兆現象3選

地震の前兆と言われる現象の中には、地震雲と違い科学的に証明されたものもあります。数ある前兆現象から複合的に判断すれば、大地震を予測する精度も高まるでしょう。ただし、科学的な根拠がないものも含まれているため、過信しないよう注意が必要です。
地震雲以外にも地震の前兆と言われる現象を紹介します。
- 前兆1|異常に赤い朝焼け・夕焼け
- 前兆2|高層大気の電離層で電子数の増加
- 前兆3|巨大地震に先駆けて起きる前震
それぞれの前兆について、詳しく見ていきましょう。
前兆1|異常に赤い朝焼け・夕焼け
異常に赤く染まった朝焼けや夕焼けも、地震の前兆現象と言われています。2011年に起きた東日本大震災の前にも、宮城県で異常に赤く染まった朝焼けが目撃されました。
一般的に朝焼けや夕焼けが赤く見えるのは、太陽光に含まれる波長の短い青い光が大気中の塵によって散乱し、波長の長い赤い光のみが地上に達するためです。
前兆2|高層大気の電離層で電子数の増加
2024年に京都大学の研究グループは、大地震の発生直前に電離圏で起こる電子数の異常が、物理メカニズムで説明できると公表しました(※7)。
プレート境界面に存在する粘土質の中にある水は、地震発生前の高温高圧下で超臨界状態になり、電磁気学的異常を生成します。2016年の熊本地震では、大地震の発生直前に電離圏の上空で電子数の異常増加が観測されていました。
※7参考:京都大学「大地震発生直前に観察される電離層異常発生の物理メカニズムを発見」
前兆3|巨大地震に先駆けて起きる前震
本震が発生する数日~数カ月前に震源地の領域で発生する地震は、前震と呼ばれます。大規模な地震の前兆現象として知られていますが、大地震が来る前にそれを前震と判断するのは困難です。前震が起こらず、本震と余震のみが起きるケースもあります。
2016年に発生した熊本地震では、震度7の本震が起きる2日前に震度7の前震が起きました(※8)。本震と同レベルの前震が起きた、極めて珍しい事例です。
地震による停電時に活躍するポータブル電源

地震雲や前震、電子数異常、真っ赤な朝焼けなど、前兆現象の数日〜数か月先に起こると言われる巨大地震。大規模な揺れによって送電設備が破損すると、3日以上にのぼる停電が発生します。停電中もこれまで通りの生活を続けるには、ポータブル電源が必要です。
ポータブル電源とは、内部のバッテリーに大量の電気を貯め込み、コンセントが使えない状況でも電化製品に給電できる機器を指します。地震による停電時にポータブル電源が活躍する場面は、以下のとおりです。
- エアコンや扇風機などの冷暖房機器を稼働して、快適な気温を維持できる
- 電子レンジや電気ケトルを稼働して、簡単に非常食を温められる
- 冷蔵庫に給電して、食品が傷むのを防げる
- LEDライトを点灯させて、夜の明かりを確保できる
- 災害警報を確認するための携帯ラジオを常にフル充電にしておける
- スマホを使って、家族と連絡を取り続けられる
ソーラーパネルと組み合わせれば、長引く停電生活でも充電切れになる心配がありません。コンセントと同様のAC出力ポートを搭載しているので、幅広い家電に給電できます。
巨大地震への備えに必要な性能|おすすめの製品
地震対策としてポータブル電源を備える場合、避難所への避難と在宅避難のどちらを想定するかによって選ぶ製品は異なります。例えば、津波の警戒区域内にお住まいの場合は、逃げ遅れないよう小型・軽量のタイプが必要です。
一方、頑丈なマンションにお住まいで在宅避難を想定する場合は、家族構成や家電の消費電力、使用時間に合った出力・容量のタイプを選びましょう。
EcoFlowは、用途に応じて以下のポータブル電源を販売しています。
- 移動避難「RIVER 3 Plus」
- 在宅避難「DELTA 3 Plus」
それぞれの機種について、詳しく見ていきましょう。
移動避難「RIVER 3 Plus」
定格出力600W、容量286Whのポータブル電源。約4.7kgの軽量コンパクト設計なので、地震による津波や土砂災害の危険が迫っていても、移動の妨げになりません。
X-Boostで最大900Wの出力を誇り、避難所では自宅にある90%の家電が使用可能です。LEDライトを搭載しているので、避難中や避難所生活でも夜間の安全を確保できます。30dB以下の静音設計により、周囲の被災者に気兼ねなく家電が使えるでしょう。

在宅避難「DELTA 3 Plus」
定格出力1500W、容量1024Whのポータブル電源。最大2000Wの高出力を誇り、容量を最大5kWhまで拡張できるので、停電生活が長引いても自宅の家電を使用し続けられます。
高度な電源自動切り替え機能を搭載しており、停電が起きると電気供給源がポータブル電源へと10ms未満で切り替わります。ソーラーパネルを使えば、停電中でもわずか70分で満充電が可能です。重量12.5kgの小型設計なので、家中どこでも気軽に持ち運べるでしょう。

地震雲の妄信は危険!家庭でできる対策3選

インターネット上で拡散されて噂になる地震雲ですが、過剰に信用するのは止めた方がよいでしょう。科学的な根拠がない上に、地震雲が出現していない時でも大地震は起こりえます。いつ起きるか分からない地震に備えて、日頃からできる対策は以下のとおりです。
- 対策1|住宅の耐震化を進める
- 対策2|家具類の転倒防止対策を講じる
- 対策3|防災グッズを常備する
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。
対策1|住宅の耐震化を進める
大地震による揺れの被害を最小限に抑えるには、住宅の耐震化が欠かせません。今30年以内に80%の確率で起こると予想されている南海トラフ地震では、耐震化を促進すると死者数が約77%も減少すると推計されます(※9)。
まずは、耐震診断を受けて、耐震性が不十分と判定された場合には、耐震改修や建替えを検討してください。補助金が支給される自治体もあるので、ホームページで確認しましょう。
※9参考:中央防災会議「南海トラフ巨大地震 最大クラス地震における被害想定について」
対策2|家具類の転倒防止対策を講じる
地震によって負傷する原因の30~50%は、家具類の転倒・ 落下によるものです(※10)。家具類の転倒防止対策は、以下の流れで進めていきましょう。
- 生活空間から家具類を減らす
- 家具の配置を負傷や避難障害が発生しにくいレイアウトに見直す
- 器具で家具類を固定する
※10参考:内閣府 防災情報のページ「地震発生! あなたの住まいは大丈夫?」
対策3|防災グッズを常備する
巨大地震が発生すると、ライフラインが停止して物資の調達も困難になります。避難所や在宅避難で健康的な生活が送れるよう、以下の防災グッズを準備しておきましょう。
- 飲料水
- 非常食
- 衛生用品
- 懐中電灯
- 携帯ラジオ
- 救急用品
- ポータブル電源
防災グッズは、在宅避難用と避難所への持ち出し用に分けておくのがおすすめです。
まとめ

本記事では、地震雲とはどんな雲かについて解説してきました。
地震雲とは、地震の前に発生すると言われる特異な形状をした雲です。実際に大地震の前には、地震雲と見られる雲が発生した事例もありました。しかし、気象庁は、雲と地震は全く異なる現象であり、地震雲に科学的な根拠はないと否定しています。
地震雲よりも信憑性の高い前兆としては、前震や電離層での電子数異常が挙げられます。地震はいつどこで起きるか分からないので、地震雲の発生有無によらず、日頃からの対策が欠かせません。住宅の耐震化や防災グッズの備蓄などから始めてみましょう。
EcoFlowは、地震による大規模な停電時に活躍するポータブル電源を販売しています。停電時も健康的な生活を維持したい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。