台風や地震に伴って発生する高潮と津波。いずれも人的被害や建物被害をもたらす恐れのある自然災害ですが、両者の違いを正確に説明できる人は少ないのではないでしょうか。高潮・津波は、発生原因や波長、特徴などが大きく異なります。
そこで本記事では、高潮と津波の違いを詳しく解説します。高潮と津波がもたらす被害の違いや必要な対策も掲載しているので、いざという時に命を守れる術が身に付くでしょう。海岸沿いに住んでいる方や、訪れる予定のある方は、ぜひ最後までご覧ください。
高潮と津波の6つの違い

海岸沿いで発生する「高潮」と「津波」。高潮とは、海岸で海面が異常に高くなる現象です。一方の津波とは、海水が上下に変動することによって生じる大規模な波を指します。
いずれも海水が堤防を乗り越えて、市街地へと流入する恐れのある危険な災害です。日本は自然災害の多い国なので、命を守るためにはどちらの知識も併せ持っておく必要があります。高潮と津波の主な違いは、以下のとおりです。
- 1.原因|高潮「低気圧」津波「地形変化」
- 2.特徴|高潮「破壊力小」津波「破壊力大」
- 3.場所|高潮「湾」津波「プレート境界」
- 4.災害|高潮「台風」津波「地震」
- 5.保険|高潮「火災保険」津波「地震保険」
- 6.予測|高潮「予測可能」津波「予測不可能」
それぞれの違いについて、詳しく見ていきましょう。
1.原因|高潮「低気圧」津波「地形変化」
高潮と津波の違いとして、高潮は低気圧が原因であるのに対し、津波は海底の急激な地形変化が原因である点が挙げられます。低気圧の中心気圧は周囲よりも低いため、海面を吸い上げるように作用するのが特徴です。
また、低気圧から海岸に向かって強い風が吹くと、海水が吹き寄せられて、水位が上昇し高潮が発生します。一方、プレート同士がズレて海底が大きく隆起・沈降し、周辺の海水が上下に変動することによって発生するのが津波です。
2.特徴|高潮「破壊力小」津波「破壊力大」
高潮と津波は波長の違いから特徴も異なり、高潮より津波の方が凄まじい破壊力を持っています。高潮と津波の主な特徴の違いは、以下のとおりです。
高潮 | ・波長は数mから数百m程度 ・海水の表面だけが動く ・海面が徐々に高くなる ・破壊力は小さく、沿岸で砕け散る |
津波 | ・波長は数kmから数百km程度 ・海底から海面までの海水が一気に動く ・海岸付近で急激に波が高くなる ・急激な速さで海岸まで押し寄せてくる ・破壊力が大きく、陸地の奥深くまで浸水する |
3.場所|高潮「湾」津波「プレート境界」
高潮と津波が発生しやすい場所の違いとして、高潮は強い風が吹きこむ風上側に開けた湾であるのに対し、津波は海底の地形変化が起こるプレート境目の周辺エリアです。
高潮において、奥に行くほど狭くなっている湾では、持ち上げられた海水の逃げ場がなく、水位が一気に上昇します。一方、プレート境目の近辺にある海岸沿いでは、高さ30mを超える津波が押し寄せるケースもあります。
4.災害|高潮「台風」津波「地震」
高潮は猛烈に発達した低気圧や台風の影響で発生するのに対し、津波は海底のプレート境界で生じる地震によって発生します。2004年に西日本を縦断した台風16号では、瀬戸内海沿岸で高潮が発生し、香川県や岡山県、広島県で大規模な浸水被害が発生しました(※1)。
2011年に三陸沖を震源として発生した東日本大震災では、国内観測史上最大となる遡上高40.5mの巨大な津波が太平洋沿岸部を襲いました(※2)。
※1参考:気象庁「高潮による災害」
※2参考:内閣府「特集 東日本大震災」
5.保険|高潮「火災保険」津波「地震保険」
高潮と津波の違いとして、損害が発生した際に適用される保険の種類も挙げられます。高潮によって発生した保険対象の損害に対して適用されるのは、火災保険です。火災保険の水災補償に加入している場合は、台風・暴風雨などに起因する災害が補償対象に含まれます。
一方、津波によって住宅や家財が被害を受けた場合は、地震保険で補償されます。津波による火災・損壊・埋没・流失が地震保険の補償対象です。
6.予測|高潮「予測可能」津波「予測不可能」
高潮と津波の決定的な違いとして挙げられるのが、予測の可否です。低気圧や台風の影響で発生する高潮は、気象情報から事前に予測しやすいので、被害を抑えられます。
一方の津波は、事前に予測しづらい地震によって発生するため、海岸沿いでは逃げ遅れる人が続出します。高潮より津波の方が破壊力は絶大な上に、事前の予測が不可能なので、ひとたび津波が押し寄せると甚大な被害をもたらすのです。
高潮と津波がもたらす被害の違い

高潮と津波がもたらす被害の種類は、規模の違いはあっても基本的に共通しています。ただし、それぞれの原因となる災害の違いによって、避難の妨げとなる被害の内容は異なります。高潮と津波がもたらす被害は、以下のとおりです。
- 共通|浸水被害
- 共通|人的被害
- 共通|建物の破損・倒壊
- 高潮|暴風雨による避難困難
- 津波|道路閉塞による避難困難
それぞれの被害について、詳しく見ていきましょう。
共通|浸水被害
高潮と津波は、いずれも海水が防潮堤を超えて一気に街へと流れ込み、浸水させる被害をもたらします。特に浸水被害のリスクが高いのは、海岸付近の低地やゼロメートル地帯です。高潮や津波によって街が浸水すると、以下のような被害が発生します。
- 地下室や地下空間が浸水して、外に逃げられなくなる
- ライフラインが被害を受けて、長期間供給が停止する
- 車や木造家屋が流されたり、倒壊したりする
また、高潮に対して津波は陸地の奥深くまで浸水するという特徴があり、川の上流まで数kmにわたって逆流するケースもあるほどです。津波が引き返した場合は、引き波が長時間続くため、津波にさらわれると数kmも沖合いに流されてしまいます。
共通|人的被害
高潮と津波は、浸水による溺死や漂流物による負傷、異物の飲み込みによる病気などの人的被害をもたらします。2004年に発生した台風18号は、広島県に大規模な高潮を引き起こし、人的被害により147人が亡くなりました(※3)。
2011年の東日本大震災では、亡くなった方の90.6%にのぼる14,308人の死因が「津波による溺死」でした(※4)。人的被害の規模は、高潮よりも津波の方が大きくなります。
※3参考:高潮・津波災害ポータルひろしま「平成16年台風16号・18号による高潮被害」
※4参考:東日本大震災関連統計データベース「東日本大震災における死因」
共通|建物の破損・倒壊
高波と津波は、海水が防波堤を超えて街に流れ込むと、建物の破損や倒壊を招きます。特に津波は高波よりも破壊力があるため、建物被害は拡大しやすいのが特徴です。津波波高別に起こりえる建物被害を紹介します(※5)。
津波波高 | 建物被害 |
1m | 木造家屋が部分的に破壊される |
2m | ・木造家屋が全面破壊される ・2割以上の建物が流出する |
6m | 8割以上の建物が流出する |
8m | 石造家屋が全面的に破壊される |
20m | 鉄筋コンクリート造建物が全面破壊される |
※5参考:気象庁「津波の高さと被害との関係」
高潮|暴風雨による避難困難
高潮と津波は、それぞれ異なる要因によって避難を阻まれます。高潮は台風や猛烈な低気圧が原因で発生するため、暴風雨によって屋外への立ち退き避難が困難になるのです。
そのため、通常は避難が困難になる前に自治体から避難指示が出されます。気象庁が発表する高潮注意報や高潮警報も定期的に確認し、いざという時には迅速な避難が重要です。
津波|道路閉塞による避難困難
一方の津波は地震に伴って発生するので、建物の倒壊による道路閉塞が避難時の大きな障害になります。また、津波は高潮と違って事前の予測ができません。突然地震が発生して津波警報が発令されたとしても、道路が塞がっているために逃げ遅れる人が続出するのです。
地震発生時は、事前に確認していた避難経路が道路閉塞によって使用できない場合もあるでしょう。家の中で家具類が転倒している場合は、外に逃げ出すだけでも一苦労です。
津波と高潮から身を守るための対策5選

津波と高潮には、原因や特徴、場所などの違いがある一方で、人的被害や建物被害をもたらす点が共通しています。津波と高潮から身を守るための対策は、以下のとおりです。
- 対策1|津波・高潮ハザードマップを確認する
- 対策2|避難訓練に参加する
- 対策3|警報・注意報をこまめに確認する
- 対策4|水のう・土のうを設置する
- 対策5|非常用持ち出し袋を準備する
それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。
対策1|津波・高潮ハザードマップを確認する
津波と高潮が地域にもたらす影響を調べるために、津波・高潮ハザードマップを活用しましょう。津波・高潮ハザードマップとは、津波・高潮による被害が想定される区域や避難場所を地図上に表したものです。
津波・高潮ハザードマップでは、エリア別に浸水深の目安が色分けされています。家族で津波・高潮ハザードマップを見ながら、安全な避難経路を計画しておきましょう。
対策2|避難訓練に参加する
これまでに高潮や津波の被害に遭った経験がない場合、いざという時にどう動けばよいかイメージが湧かない方も多いでしょう。自治体が実施する避難訓練に参加すれば、災害発生から避難までに行う一連の行動をシミュレーションできます。
高潮・津波の恐ろしさや想定される被害、防災グッズなどの防災知識も習得できるので、被災した際の被害を最小限に留められるでしょう。
対策3|警報・注意報をこまめに確認する
高潮や津波から迅速に逃げるためには、気象庁が発表する警報・注意報のこまめなチェックが欠かせません。避難指示に気付くのが遅れると、道路閉塞や暴風雨によって避難が困難になっている場合もあります。
特に大津波警報(特別警報)や津波警報が発表された場合は、揺れを感じていなくても迅速に避難してください。津波注意報が発表されると、海岸から離れる必要があります。
対策4|水のう・土のうを設置する
高潮や津波による住宅への浸水被害を防ぐために、水のう・土のうを設置しましょう。水のうは水、土のうは土砂を充填した袋です。それぞれのメリット・デメリットを紹介します。
土のう | 水のう | |
メリット | ・水に浮きづらい特性がある ・効率的に設置できる | ・素早く簡単に準備できる ・後片付けの手間がかからない |
デメリット | ・都市部で土砂が確保できない ・準備するのに人手がいる | ・穴から漏れ出すリスクがある ・土のうよりも強度が低い |
対策5|非常用持ち出し袋を準備する
海岸沿いにお住まいの方は、高潮や津波から避難する事態に備えて、非常用持ち出し袋を準備しておきましょう。非常用持ち出し袋の中身は、以下のとおりです。
- 飲料水
- 非常食
- 懐中電灯
- 衛生用品
- 携帯ラジオ
- 救急用品
- ポータブル電源
飲料水は、かさばらない500mlペットボトルがおすすめです。地震や台風による避難生活は長引く恐れもあるので、栄養バランスに優れた非常食を選んでください。
津波・高潮による停電対策!ポータブル電源とは

津波や高潮に伴う浸水・建造物の転倒によって送電設備が損傷すると、大規模な停電が発生します。停電時も電化製品に電気を供給し続けるには、ポータブル電源が必要です。ポータブル電源とは、内部に溜めた大量の電気から、停電時も家電に給電できる機器を指します。
津波・高潮による停電時にポータブル電源が活躍する場面は、以下のとおりです。
- エアコンや扇風機などの冷暖房機器を稼働して、快適な気温を維持できる
- 電子レンジや電気ケトルを稼働して、簡単に非常食を温められる
- 冷蔵庫に給電して、食品が傷むのを防ぐ
- LEDライトを点灯させて、夜でも安全に避難できる
- 災害警報を確認するための携帯ラジオを常にフル充電にしておける
- スマホを使って、家族と安否確認が行える
ポータブル電源は持ち運びできるので、使用する場所を選びません。ソーラーパネルと併用すれば、停電生活が長引いても家電への電気供給を継続できます。
大規模な停電対策に必要な性能|おすすめの製品
高潮や津波に備えたポータブル電源は、海岸から自宅までの距離に応じて選びましょう。津波や高潮による浸水被害のリスクが高いエリアにお住まいの場合は、軽量コンパクトなタイプが必要です。一方、海岸から離れている場合は、高出力・大容量のタイプが重宝します。
EcoFlowは、用途に応じて以下のポータブル電源を販売しています。
- 移動避難「RIVER 3 Plus」
- 在宅避難「DELTA 3 Plus」
それぞれの機種について、詳しく見ていきましょう。
移動避難「RIVER 3 Plus」
定格出力600W、容量286Whのポータブル電源。約4.7kgの軽量コンパクト設計なので、津波や高潮の被害想定区域内でも、迅速な避難が実現します。
X-Boostで最大900Wの出力を誇り、避難所では自宅にある90%の家電が使用可能です。LEDライトを搭載しているので、夜に停電が起きても素早く避難できるでしょう。防水、耐火、耐衝撃設計に優れているため、地震や台風の厳しい環境下でも安全に使用できます。

在宅避難「DELTA 3 Plus」
定格出力1500W、容量1024Whのポータブル電源。最大2000Wの高出力を誇り、容量を最大5kWhまで拡張できるので、停電生活が長引いたとしても安心です。
重量12.5kgの小型設計なため、家中どこでも気軽に移動させて家電を動かせます。高波の原因となる台風や低気圧による悪天候が予想された場合は、ユーザーに通知して優先的に充電されます。停電中に電力が不足しても、ソーラーパネルから最短70分で満充電が可能です。

高潮と津波の違いに関するよくある質問

最後に、高潮と津波の違いに関するよくある質問を紹介します。
- 高潮と津波が発生した際の行動に違いはある?
- 高潮と高波・津波・波浪の違いは?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
高潮と津波が発生した際の行動に違いはある?
高潮の場合、自治体から避難指示を受けたら、飛来物に気を付けながら速やかに避難する必要があります。事前に気象情報を確認し、準備を整えておきましょう。
一方の津波は、避難指示が出ていなかったとしても、強い揺れや長時間の揺れを感じた場合に迅速な避難が必要です。津波は繰り返し来襲するので、海岸に戻ってはいけません。
高潮と高波・津波・波浪の違いは?
高潮・高波・津波・波浪の違いは、以下のとおりです。
用語 | 意味 |
高潮 | 台風や低気圧が通過する際に潮位が上昇する現象 |
高波 | 強風によって発生する高い波 |
津波 | 海底の地形が動いて発生する大規模な波 |
波浪 | 海面で風によって発生する波 |
まとめ

本記事では、高潮と津波の違いについて解説してきました。
高潮は、台風や低気圧によって海面が吸い上げられて潮位が上昇する現象です。一方の津波とは、地震に伴う海底の地形変化によって発生する大規模な波を指します。
高潮と津波は、いずれも人的被害や建物被害をもたらす点が共通しています。浸水による被害を防ぐには、ハザードマップの確認や防災グッズの備蓄が欠かせません。
EcoFlowは、高潮と津波による停電時に活躍する高出力・大容量のポータブル電源を販売しています。停電時も家電をフル稼働したい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。