EcoFlow DELTA 3 1500
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二方向避難の定義とは?消防法と建築基準法の規定や確保するための対策も解説

地震や火災などの災害が発生すると、建物から迅速に避難しなければならない場合があります。しかし、避難経路が一つしかなく、塞がれてしまった場合には避難できません。一方が塞がれた場合にもう一方からの避難を可能にする方法が、二方向避難です。

そこで本記事では、建築基準法で定められている二方向避難について解説します。二方向避難が必要な建造物や、災害時に二方向避難を確保するための対策も掲載しているので、災害時に逃げ道を確保して安全に避難したい方は、ぜひ最後までご覧ください。

建築基準法で定められる二方向避難とは

二方向避難とは

二方向避難とは、建物における災害時に避難階や地上に通ずる二つ以上の経路を確保する方法です。出火場所がどこであっても、必ず一つ以上の避難経路を利用できます。

ただし、2つ以上の非常階段に行くまでの経路がほとんど同じであれば、二方向避難とは言えません。建物は、建築基準法第121条によって二方向避難の設計が定められています。

建築基準法と消防法の規定内容

消防法に二方向避難に関する規定はありませんが、避難経路の機能や避難器具について定められています。また、建築基準法では「二方向避難」という言葉は使われていません。建築基準法と消防法における主な規定内容は、以下のとおりです。

<建築基準法>(※1)(1)特定の条件を満たす場合、建築物の避難階以外の階から避難階又は地上に通ずる二以上の直通階段を設けなければならない
(2)直通階段に至る通常の歩行経路に共通の重複区間がある場合、その重複区間の長さは、歩行距離の限度の1/2をこえてはならない
(3)居室の各部分から重複している歩行距離を経由しないで、避難上有効なバルコニー等で避難できる場合は(2)の限りではない
<消防法>(※2)(1)避難経路となる階段・出入口には、避難や防火戸の閉鎖の支障になる物件の放置、存置がないように管理する
(2)避難に際して容易に接近でき、階段、避難口等から適当な距離にあり、器具の使用に当たって安全な構造を有する開口部に避難器具を設置する

※1参考:e-Gov 法令検索「建築基準法」
※2参考:e-Gov 法令検索「消防法」

二方向避難に関する特定共同住宅の種類

二方向避難に関する特定共同住宅の種類

平成十七年総務省令第四十号では、特定共同住宅等における防火安全性能を有する設備について定められました。特定共同住宅等とは、特定の防火対象物であり、火災の発生及び延焼のリスクが少ないものを指します。

二方向避難に関する特定共同住宅等の種類は、以下のとおりです。

  • 二方向避難型特定共同住宅
  • 二方向避難・開放型特定共同住宅

それぞれの種類について、詳しく見ていきましょう。

二方向避難型特定共同住宅

火災時に、消防庁長官が定める構造によって避難階又は地上に通ずる2つ以上の異なった避難経路を確保している特定共同住宅等が「二方向避難型特定共同住宅」です。

二方向避難型特定共同住宅で火災が発生すると、すべての住戸、共用室及び管理人室から、少なくとも1つ以上の避難経路を利用して安全に避難できます。

二方向避難・開放型特定共同住宅

避難階又は地上に通ずる2つ以上の異なった避難経路を確保し、その主たる出入口が開放廊下又は開放型階段に面している特定共同住宅等が「二方向避難・開放型特定共同住宅」です。

火災時に発生する煙を有効に排出できる特定共同住宅等として、消防庁長官が定める構造を有しています。二方向避難型特定共同住宅と同様に、すべての住戸共用室及び管理人室から、少なくとも1つ以上の避難経路を利用して安全に避難できます。

【二方向避難】2つ以上の直通階段が必要な建造物

二方向避難

建築基準法によって全ての建物に二方向避難が義務付けられているわけではありません。2つ以上の直通階段は、以下の条件に合致する場合に設置する必要があります。

  • 条件1|建物の用途・床面積
  • 条件2|建物の階数・床面積

それぞれの条件について、詳しく見ていきましょう。

条件1|建物の用途・床面積

建物が以下の用途及び床面積に該当する場合は、2つ以上の直通階段が必要です。

用途床面積
劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場で客席、集会室等のある階指定なし
物品販売業を営む店舗1500㎡を超える
キャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、個室付浴場業、ヌードスタジオ、店舗型電話異性紹介営業などで客席、集会室等のある階100㎡を超える
病院、診療所、児童福祉施設等で病室、主たる用途の居室のある階50㎡を超える
ホテル、旅館、下宿、共同住宅で宿泊室、居室、寝室のある階100㎡を超える

条件2|建物の階数・床面積

建物が以下の階数及び床面積に該当する場合は、2つ以上の直通階段が必要です。

用途床面積
六階以上で居室を有する階100㎡を超える
五階以下かつ避難階の直上階200㎡を超える
五階以下かつその他の階100㎡を超える

二方向避難の緩和条件がある2つの建造物

二方向避難の緩和条件がある2つの建造物

特定の用途・階数・床面積に該当する建物では、二方向避難できるよう2つ以上の直通階段を設置しなければなりません。しかし、下記条件を満たした場合は、規定が緩和されます。

  • 階数6以上に居室がある建造物
  • キャバレー・ナイトクラブ等の建造物

それぞれの緩和条件について、詳しく見ていきましょう。

階数6以上に居室がある建造物

六階以上で居室を有する階からは、2つ以上の直通階段を設置する必要があります。しかし、以下の全ての条件を満たす場合に限り、2つ以上の直通階段は設置が不要です。

  • 2つ以上の直通階段を設置する「条件1※」以外の用途である
  • 居室の床面積の合計が100㎡以下である
  • 避難上有効なバルコニー、屋外通路などを設置している
  • 屋外避難階段または特別避難階段を設置している

※共同住宅・ホテル・旅館は除く

キャバレー・ナイトクラブ等の建造物

キャバレーやナイトクラブ、個室付浴場業、ヌードスタジオ、専ら異性を同伴する客の休憩の用に供する施設などでは、2つ以上の直通階段を設置する必要があります。しかし、下記条件のいずれかを満たせば、直通階段は1ヶ所設置するだけで問題ありません。

条件①・5階以下の階である・居室の床面積の合計が100㎡以下である・避難上有効なバルコニー、屋外通路などを設置している・屋外避難階段、または特別避難階段を設置している
条件②・5階以下の階である・居室の床面積の合計が100㎡以下である・避難階の直上階、または直下階である

災害時に二方向避難を確保するための対策5選

二方向避難を確保するための対策

二方向避難の確保は、災害から命を守るために欠かせない備えです。1995年の阪神・淡路大震災では、家屋倒壊、火災、電柱の倒壊などによって道を塞がれる事態が多発しました(※3)。災害時に二方向避難を確保するための対策は、以下のとおりです。

  • 対策1|階段やバルコニーに物を置かない
  • 対策2|避難器具を設置する
  • 対策3|避難訓練に参加する
  • 対策4|門扉・蹴破り戸を設置する
  • 対策5|ブロック塀を撤去する

それぞれの対策について、詳しく見ていきましょう。

※3参考:公益社団法人 土木学会「阪神・淡路大震災における道路閉塞状況に関する研究」

対策1|階段やバルコニーに物を置かない

階段やバルコニーには、物を置かないようにしましょう。災害時の避難経路である階段に物が置かれていると、避難の妨げになる場合があります。

また、通常の避難経路が塞がっている場合に、二方向避難として隣の住戸のバルコニーとの間に設けられた蹴破り戸を壊して避難するケースもあります。階段やバルコニーには、重量のある物を置かないようにしてください。

対策2|避難器具を設置する

小規模なオフィスビルや共同住宅で二方向避難を実現するためには、避難器具を設置するのがおすすめです。避難器具を設置すれば、災害時のみ避難経路を作り出せます。災害時に活躍する避難器具の種類は、以下のとおりです。

避難器具内容
避難はしご吊り下げて使う金属や樹脂などでできたはしご
救助袋垂直又は斜めに展張し、内部を滑り降りる袋
避難ロープ上端部を固定して、降下するために吊り下げるロープ

対策3|避難訓練に参加する

避難経路を2つ以上確保していたとしても、実際に災害が起きるとパニックに陥り、迅速に避難できない恐れがあります。避難訓練を実施し、二方向避難のシミュレーションを行いましょう。

自宅だけでなく、普段よくいる学校やスーパー、会社などの避難経路を確認し、災害が起きた場所別に正しい避難方法を確認してください。避難器具は、事前に使い方を確認しておかないと、いざという時に上手く使えない恐れがあります。

対策4|門扉・蹴破り戸を設置する

戸建て住宅にお住まいの場合は、門扉や蹴破り戸を設置して二方向避難を確保しましょう。門扉とは、建物の出入り口として設けられた門の扉を指し、外への逃げ道になります。

蹴破り戸とは、災害時に隣の家へ避難できるように設けられた隔て板です。一方の避難経路が塞がれた場合は、蹴破り戸を破って隣戸へ避難できます。

対策5|ブロック塀を撤去する

ブロック塀を撤去すれば、自宅と道路を隔てる壁がなくなり、二方向避難が実現します。また、地域全体の安全性を高めるためにも、ブロック塀の撤去は有効です。

地震によってブロック塀が倒壊すると、がれきが道路を塞ぎ、通行人の逃げ道がなくなる恐れがあります。2018年に起きた大阪北部地震では、小学生が倒れたブロック塀の下敷きになって亡くなりました(※4)。

※4参考:内閣府「令和元年版 防災白書」

災害時の在宅避難に必須「ポータブル電源」

在宅避難に必須「ポータブル電源」

災害による停電は、3日〜1週間以上も続く恐れがあります。二方向避難によって迅速に避難できたとしても、コンセントが使えなければ、健康被害を受ける恐れもあるでしょう。

停電中も快適な避難生活を送るには、ポータブル電源が欠かせません。ポータブル電源とは、内部のバッテリーに大量の電気を蓄え、停電中も電化製品に給電できる機器を指します。災害による停電生活でポータブル電源が活躍する場面は、以下のとおりです。

  • エアコンや扇風機を稼働し、快適な気温を維持できる
  • 電子レンジや電気ケトルを使い、非常食を簡単に温められる
  • 冷蔵庫に給電し、食品が傷むのを防げる
  • LEDライトを点灯させて、夜の暗闇を照らせる
  • 家族との連絡手段になるスマホを、常にフル充電にしておける

ソーラーパネルと併用すれば、停電中にポータブル電源の充電が切れる心配はありません。

災害対策に必要な性能|おすすめの製品

災害対策として揃えるポータブル電源は、軽量コンパクトなタイプを選びましょう。二方向避難によって避難経路を確保できたとしても、荷物が重たければ、逃げ遅れるリスクは高まります。在宅避難でも、部屋間を持ち運びやすいポータブル電源が必要です。

EcoFlowは、約12.5kgの軽量・小型設計を誇るポータブル電源「DELTA 3 Plus」を販売しています。「DELTA 3 Plus」の特徴は、以下のとおりです。

  • X-Boost機能で2000Wの家電まで稼働できる
  • コンセントから56分、ソーラーパネルから70分で急速充電できる
  • UPS機能を搭載し、停電時は10ms以内に電気供給源を切り替える
  • 12時間以内に悪天候が予想されると、自動で本体への充電が開始される
  • LFPバッテリーを搭載し、10年以上も災害対策として活躍する
  • 高性能BMSを搭載し、火災や爆発からの安全を確保する
  • 出力600W未満の動作時に稼働音を30dbに抑えられる
  • 容量1,024Whを5kWhまで自由に拡張できる

ACやUSB、シガーソケットなど多彩な出力ポートを13個備えているので、複数の家電を同時に動かして、普段通りの生活を維持できます。災害時の停電対策を万全にしたい方は、ぜひ製品情報をチェックしてください。

EcoFlow DELTA 3 Plus
DELTA 3 Plusは、1024Whの大容量に加えて、EcoFlowのX-Stream充電テクノロジーと1,500WのAC入力を使用すると、40分で80%、56分で100%充電できます。業界トップクラスのポータブル電源で、あらゆるシーンで最速の充電速度を実現させます。

二方向避難に関するよくある質問

二方向避難に関するよくある質問

最後に、二方向避難に関するよくある質問を紹介します。

  • 二方向避難が重要になる災害の種類は?
  • 二方向避難の確保に補助金・助成金はある?

それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。

二方向避難が重要になる災害の種類は?

二方向避難が重要になる災害は、地震や台風、土砂災害、火災などです。地震では建物の損壊、火災では煙や炎によって一つの出口が塞がれる恐れがあります。

台風で家屋の1階が浸水した場合も、2階から二方向避難できるかが重要です。土砂災害では、流れ込んできた土砂や石によって一つの出口が完全に塞がれる場合があります。

二方向避難の確保に補助金・助成金はある?

自治体によっては、二方向避難の確保に助成金が出る場合があります。助成金支給の対象となるのは、以下のような非常用通路の整備に係る費用です。

  • 工作物の撤去に係る費用
  • 門扉・階段・梯子に係る費用
  • 新設する工作物に係る費用
  • 埋設物の移設に係る費用

練馬区を例に挙げると、非常用通路の整備に最大30万円の助成金が支給されます(※5)。

※5参考:練馬区「行き止まりを解消して災害時の2方向避難を確保!」

まとめ

二方向避難

本記事では、建築基準法で定められている二方向避難について解説してきました。

二方向避難では、災害時に備えて避難階や地上に通ずる二つ以上の経路を確保します。建築基準法で2つ以上の直通階段の設置が義務付けられているのは、劇場や映画館、演芸場、キャバレー、病院などです。建物の階数や床面積も設置条件に含まれます。

災害時に二方向避難を確保するために、階段やバルコニーには物を置かないようにしましょう。避難器具を設置しておけば、災害時のみ避難経路を作り出せます。

EcoFlowでは、災害による停電時に電気供給を継続できるポータブル電源を販売しています。災害時も快適な避難生活を送りたい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。

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