キャンプで使っているテントは災害時に必要になるのか、気になる方は多いのではないでしょうか。野外に避難場所を作り出せるため、一見必要だと思われがちですが、断定できない複数の理由が存在します。用途によってはかえって危険に晒される恐れもあるでしょう。
そこで本記事では、災害時にテントは必要かについて解説します。テントが必要・不要とされる理由や、災害時に役立つ防災テントの選び方も掲載しているので、テントを防災グッズに組み入れようか迷われている方は、ぜひ最後までご覧ください。
災害時にテントは必要か?

雨や日光、人目を遮る幕として主にキャンプで活躍するテント。場所を選ばずに居住空間を作り出せるため、避難生活に役立ちそうなイメージを持たれている方も多いでしょう。
しかし、実際の災害時には、テントが必要になる場面は限られています。テントは重量がある上にかさばるため、用途を間違えると、逃げ遅れる事態にも発展しかねません。テントが災害時に必要かについて、両方の側面から詳しく見ていきましょう。
災害時にテントが必要とされる5つの理由

災害時の避難所生活は、必ずしも快適とは限りません。プライバシーや感染症の問題、ペットの受け入れ不可など、様々な課題を解決するためにテントが活躍する場合があります。災害時にテントが必要とされる理由は、以下のとおりです。
- 理由1|屋外でも避難生活を送れる
- 理由2|プライバシーを確保できる
- 理由3|感染症を予防できる
- 理由4|感染者を隔離する
- 理由5|ペットと同伴避難できる
それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
理由1|屋外でも避難生活を送れる
テントがあれば、自宅の庭や避難所の外、近所の公園など、屋外でも避難生活を送れるようになります。災害によって自宅が生活できない状態になれば、自宅以外の避難場所を探さなければなりません。
避難所に空きがない場合や、避難所までのアクセスが難しい場合などには、屋外での生活を余儀なくされます。そこで雨風をしのげる居住空間として、テントが役立つのです。
理由2|プライバシーを確保できる
テントは、避難所内でもプライバシーの確保に役立ちます。避難所では知らない人と共同生活を送ることになるので、心身の健康を守るためにプライバシーの確保は重要です。
毎日の着替えや洗濯物干し、授乳、おむつ交換、就寝など、人の目に晒されたくない場面は数多く存在します。テントの中に入れば、外から覗かれる心配はありません。
理由3|感染症を予防できる
大人数と生活を共にする避難所において、テントは感染症の予防に貢献します。避難所は、以下のような理由からインフルエンザや麻しんなどの感染症が発生しやすい環境です。
- 衛生環境が悪化している
- 被災者の免疫力が低下している
- 人が狭い空間に密集している
テントで他の被災者からの接触を防げれば、感染経路を遮断できます。
理由4|感染者を隔離する
テントは、感染症の予防だけでなく、感染者の隔離にも効果的です。避難所では多くの人が同じ空間で生活するため、感染症が発生すると一気に広がるリスクがあります。
特に、インフルエンザやノロウイルスなどは、飛沫感染や接触感染によって短期間で感染が拡大してしまいます。感染症の疑いがある被災者をテント内に隔離すれば、他の被災者との接触を減らし、感染の拡大を抑止できるでしょう。
理由5|ペットと同伴避難できる
避難所までペットと同行避難できたとしても、建物の中へは一緒に入れない可能性があります。そんな時にテントがあれば、ペットと一緒に屋外で同伴避難が可能です。
2011年に発生した東日本大震災では、大船渡市の避難所内にドーム型テントを設置し、ペットと人の生活空間を区分して同伴避難を可能にしました(※1)。
※1参考:環境省「災害発生時の動物救護対策」
災害時にテントが不要な3つの理由

災害時、テントは一時的な避難場所として役立ち、プライバシーの確保や感染症対策に貢献します。しかし、以下の理由から個人では用意する必要がない場合がほとんどです。
- 理由1|迅速な避難が妨げられる
- 理由2|避難所に持ち込めないケースがある
- 理由3|自治体から支給されるケースがある
それぞれの理由について、詳しく見ていきましょう。
理由1|迅速な避難が妨げられる
テントを持って避難するのは、現実的ではありません。一人用のテントであっても、4kgほどの重量がある上にかさばります(※2)。重い荷物を背負って避難すれば、予想以上に体力が奪われ、逃げ遅れるリスクは高まります。
特に地震や津波などの災害時には、迅速な避難が生死を分けると言っても過言ではありません。使えるかも分からないテントのせいで、迅速な避難は妨げられます。
※2参考:コールマン【公式】オンラインショップ「ツーリングドーム/ST」
理由2|避難所に持ち込めないケースがある
大規模な災害が発生し、避難所が混雑している状況では、避難所にテントを持ち込めないケースがあります。苦労して自宅から運んできても、使用できなければ意味がありません。
避難所内にテントを持ち込めるかは、全国の自治体によって異なります。東京都世田谷区が定める避難所での生活ルールによると、テントの使用は禁止です(※3)。
※3参考:世田谷区「避難所での避難生活のルール」
理由3|自治体から支給されるケースがある
テントを家庭で用意しなくても、自治体から支給されるケースがあります。2024年元旦に発生した能登半島地震では、自治体から避難所にテントが支給されました(※4)。無理に個人で用意するよりも、自治体の支援を活用した方が効率的で安全な避難が実現します。
※4参考:内閣府(防災担当)「令和6年能登半島地震における避難所運営の状況」
防災テントが役立つ2つの場面とは

逃げ遅れるリスクや、避難所で使用できないケースを考慮すると、災害時にテントは必要ないように思われます。しかし、避難所生活以外にも、テントは以下の場面で活躍します。
- 自宅の庭で避難生活を送る
- 避難生活を疑似体験する
それぞれの場面について、詳しく見ていきましょう。
自宅の庭で避難生活を送る
自宅の中が浸水や家具の転倒によって生活できない状況になっていれば、庭にテントを張って避難生活を送れます。避難所は収容人数が限られている上に、精神的なストレスや道中での二次被害も予想されるので、可能であれば在宅避難を優先するのが望ましいでしょう。
庭であれば、室内の被害状況に影響を受けず、外部からプライバシーを侵害される心配もありません。テントによって、雨・風・雪への対策も万全です。
避難生活を疑似体験する
災害に備えた防災キャンプでも、テントは大活躍します。防災キャンプとは、避難所での生活を疑似体験しながら、防災知識を学べる活動です。
電気やガス、水道が使えない環境にテントを張り、自力で衣食住を確保すれば、災害時に生き抜くための活きた術が身に付くでしょう。
災害時にテントよりも重要なポータブル電源

災害時にテントは限られた場面でしか使えないため、必ずしも必要ではありません。一方で、災害による停電は3日以上も続く恐れがあり、被災中も電気のある生活を継続するには、ポータブル電源が必要です。
ポータブル電源とは、内部のバッテリーに大量の電気を蓄え、コンセントが使えない状況でも電化製品に給電できる機器を指します。災害による停電時にポータブル電源が活躍する場面は、以下のとおりです。
- エアコンや扇風機などの冷暖房機器を使い、快適な室温を維持できる
- 電子レンジや電気ケトルを使い、簡単に非常食を温められる
- 冷蔵庫に給電し、食品が傷むのを防げる
- 夜間にLEDランタンを点灯し、暗闇でも安全を確保できる
- 防災ラジオを動かし、災害情報を迅速に収集できる
- 家族との連絡手段になるスマホを、常にフル充電にしておける
ポータブル電源は自由に持ち運べるので、庭や公園でテント生活を送る場合も家族の健康を守るために重要な役割を担います。ソーラーパネルと併用すれば、停電生活が長引いたとしても、途中で充電が切れる心配はありません。
災害時に必要な性能|おすすめの製品
災害時に使用するポータブル電源には、軽量コンパクトなタイプを選びましょう。在宅避難では、リビングや脱衣所、トイレ、寝室などあらゆる部屋で電化製品を動かす場面が想定されます。ポータブル電源が重たいと、その都度持ち運ぶのが不便です。
EcoFlowは、約12.5kgの軽量コンパクトなポータブル電源「DELTA 3 Plus」を販売しています。「DELTA 3 Plus」の主な特徴は、以下のとおりです。
- コンセントから最短56分、ソーラーパネルから70分で急速充電できる
- X-Boost機能により、最大2,000Wの家電まで稼働できる
- UPS機能を搭載し、停電時には10ms以内で電気供給源が切り替わる
- 12時間以内に悪天候が予想されると、自動で本体を充電する
- LFPバッテリーを搭載し、10年以上も自宅の停電対策で活躍する
- 高性能BMSを搭載し、バッテリーの異常を防ぐ
- 出力600W未満の動作時に稼働音を30dbに抑えられる
- 1,024Whの容量を5kWhまで拡張できる
ACやUSB、DC、シガーソケットなど、13個の多彩な出力ポートを搭載しているので、幅広い家電を同時に動かせます。災害時に家族の健康を守りたい方は、ぜひ製品情報をチェックしてください。

災害時に役立つ防災テントの選び方4選

災害に備えてテントを用意する場合は、選び方に注意しなければなりません。災害用として不向きなテントを選んでしまうと、かえって身を危険に晒すリスクが高まります。災害時に役立つ防災テントの選び方は、以下のとおりです。
- ワンタッチで簡単に設営できる
- 軽量コンパクトで持ち運びやすい
- 通気性に優れている
- 外から透けない
それぞれの選び方について、詳しく見ていきましょう。
ワンタッチで簡単に設営できる
一刻を争う状況が多い災害時には、ワンタッチで簡単に設営できるテントが重宝します。テントに慣れていない人や子供でも、瞬時に避難場所を作り出せます。
避難場所で津波や火災、余震などのリスクが高まれば、素早くテントを撤収し、迅速な避難が可能です。災害時だけでなく、普段のアウトドアでも活躍すること間違いありません。
軽量コンパクトで持ち運びやすい
テントを避難所まで持ち出して使用する場合には、軽量コンパクトなテントを選びましょう。重たくてかさばるテントを選んでしまうと、避難所までの移動が大変です。
テントの持ち運びに手間取ったせいで、逃げ遅れる事態にもなりかねません。ただし、使用人数に合ったサイズのテントを選ばなければ、実用性がなくなるので注意してください。
通気性に優れている
テント内は熱がこもりやすいので、長時間の滞在が予想される避難生活では、通気性に優れたテントが活躍します。庭や公園、避難所の外など、屋外での避難生活を余儀なくされた場合でも、風の通り道を確保でき、突風で倒れる心配はほとんどありません。
真冬に災害が起きた際にも、テントの通気性が良いとテント内外での気温差が小さくなり、結露を防げます。空気の通り道は、最低でも2か所あるテントがおすすめです。
外から透けない
災害時にプライバシーを確保するためには、外から透けない仕様のテントを選ぶ必要があります。避難所では大人数と共同生活することになるため、着替えや睡眠時に、外から中が透けて見えるテントでは落ち着いて過ごせません。
外から透けないテントは、精神的なストレスを和らげる目的以外に、犯罪の防止にもつながります。PUコーティングが施されたテントであれば、外からシルエットが透けません。
災害時にテントは必要かに関するよくある質問

最後に、災害時にテントは必要かに関するよくある質問を紹介します。
- 災害時にテントを使用する際の注意点は?
- 在宅避難ではテントが必要か?
それぞれの回答について、詳しく見ていきましょう。
災害時にテントを使用する際の注意点は?
災害時に屋外でテントを使用する際には、設営場所の安全を確保しなければなりません。水はけの悪い場所を選ぶと、浸水のリスクが高まります。
周囲に高い建造物がある場所では、落下物で大怪我を負うリスクもあるでしょう。周囲の安全を十分に確保した上でテントを設営し、風で飛ばされぬよう固定する必要があります。
在宅避難ではテントが必要か?
自宅の中で問題なく在宅避難できるのであれば、テントは必要ありません。ただし、家具の転倒や浸水などによって安全面で室内に問題がある場合は、テントが必要です。
庭にテントを設営すれば、避難所に移動せずに在宅避難できます。ただし、3日〜1週間程度生活できるだけの食料や飲料水がない場合は、テントを置いて避難所に向かいましょう。
まとめ:災害時にはテントが必要になる場合がある

本記事では、災害時にテントは必要かについて解説してきました。
避難所でテントが使えれば、プライバシーの保護や感染症の予防、ペットとの同伴避難などに役立ちます。しかし、避難所でテントの受け入れを拒否される可能性や、逃げ遅れるリスクを考慮すると、個人で避難所での使用を目的に用意する必要はありません。
一方で、災害時には庭での避難生活にテントが役立つケースがあります。室内が災害による被害を受けていたとしても、庭にテントで居住空間を確保できれば、在宅避難が可能です。
EcoFlowでは、避難生活での電気供給源に最適なポータブル電源を販売しています。災害による停電対策を万全にしたい方は、ぜひ製品の購入を検討してください。