災害時に水道が止まると、生命の危機に晒されます。水は生命維持に欠かせない資源ですが、多くの人が水の備蓄の重要性を見過ごしています。
適切な水の備蓄は、災害時の生存率を大きく左右します。
厚生労働省の調査によると、災害時に必要な水の量は1人1日3リットルが目安です。ただし、どのように水を備蓄すればよいのか分からないという方もいるでしょう。
この記事では、水の備蓄が必要な理由、一人当たりの目安量、備蓄する水の選び方や備蓄する際の注意点、水以外にあると安心できる防災グッズをわかりやすく解説します。
一人当たりの水の備蓄量について知りたい方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
水の備蓄はなぜ必要？
水の備蓄は、災害時に健康被害のリスクを下げ、生活の質を維持するために欠かせません。例えば、大規模な地震や台風などの自然災害が発生した場合は、水道が止まる可能性が高くなります。
断水が長期化すると、飲料水の確保が困難になるだけでなく衛生状態の悪化も懸念されます。
水不足は脱水症状や感染症のリスクを高め、健康被害をもたらすでしょう。また、調理や洗濯、トイレの使用など、日常生活の質も大きく低下してしまいます。
水の備蓄は、生活の質を維持するために欠かせません。飲料水を確保すると、脱水症状を防げるだけでなく、手洗いや食器類の洗浄などの衛生面を維持できます。
さらに、応急処置や火災時の初期消火にも役立ちます。自分と家族の健康と安全を守るためにも、適切な水の備蓄を心がけましょう。
水の備蓄は一人当たり1日3リットルが目安
水の備蓄量の一般的な目安は、一人あたり1日3リットルです。
飲料水としての最低限の量であり、最低でも3日分、可能であれば7日分の備蓄が推奨されています。例えば、1週間分を用意する場合、3リットル×7日間で21リットルが必要です。
この量を基準に、家族構成に合わせて準備してください。4人家族の場合は、21リットル×4人で84リットルが必要です。
ただし、備蓄量はあくまでも飲料水の目安です。調理や洗濯、トイレの洗浄などの生活用水も考慮に入れると、さらに多くの水が必要になります。
可能な範囲で、余裕を持った備蓄を心がけましょう。
また、季節や個人の体格、活動量によっても必要な水分量は変わってきます。これらの要素も考慮に入れ、備蓄量を調整してください。
備蓄する水の選び方
備蓄する水を選ぶ際は、容器、保存期間、飲みやすさを考慮する必要があります。ここでは、備蓄する水の選び方を詳しく解説します。
容器
備蓄する水は、容器から選びましょう。
主にペットボトル、ウォータータンク、ウォーターサーバーなどがありますが、それぞれメリット・デメリットがあるため、事前に比較する必要があります。
| 容器の種類 | メリット | デメリット |
| ペットボトル | 持ち運びやすい、小分けに便利 | 大量備蓄には場所を取る |
| ウォータータンク | 大容量の備蓄が可能 | 持ち運びが困難 |
| ウォーターサーバー | 使い勝手が良い、冷水・温水が利用可能 | 初期コストが高い |
ペットボトルは持ち運びしやすく小分けに便利ですが、大量備蓄には場所を取ります。ウォータータンクは大容量の備蓄が可能ですが、持ち運びが困難です。
ウォーターサーバーは使い勝手が良く、電気がある場合は冷水や温水も利用できますが、初期コストが高くなります。
災害時の生活用水は、お風呂の浴槽に水を貯めておくのがおすすめです。約200リットルの水を確保できるため、洗濯や掃除、トイレの排水などに活用できます。
備蓄する水は各家庭の状況に応じて、適切な容器を選んでください。
保存期間
備蓄する水を選ぶ際は、保存期間を重視する必要があります。
備蓄用の保存水として販売されているものには、保存期間が設定されています。多くの保存水は5〜10年ほどで、一般的なミネラルウォーターよりも長期保存が可能です。
一般的なミネラルウォーターを備蓄すると、通常1〜2年程度で定期的な入れ替えをしなければいけません。しかし、保存期間の長い保存水であれば、その手間を減らせます。
また、保存期間が長いからといって、無期限に使用できるわけではありません。製品に記載された期限を守り適切な管理が求められるため、開封後は速やかに使用しましょう。
飲みやすさ
備蓄する飲料水は、飲みやすさも考慮しましょう。
特に、水の硬度は好みに左右される部分のため、いくつかの製品を飲み比べることをおすすめします。
硬度は、水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル量を示す指標です。
日本人の多くは軟水を好む傾向にあるため、普段から軟水を飲んでいる方は、硬水が飲みにくいと感じるかもしれません。
災害時のストレスフルな状況下では、普段から飲み慣れている味の方が安心して飲むことができるため、硬度を基準に選ぶようにしましょう。
また、味や香りにクセのない中性的な水を選べば、長期保存中の品質変化にも対応しやすくなります。飲みやすい水を選び、災害時でも無理なく摂取できるよう努めましょう。
水を備蓄する際の注意点
ここでは、水を備蓄する際の注意点を詳しく解説します。
直射日光が当たる場所や高温多湿の場所での保管を避ける
水の備蓄において、保管場所の選択はきわめて重要です。直射日光が当たる場所や、高温多湿の場所での保管は避けなければいけません。
特にペットボトルは温度変化の影響を受けやすく、高温下では容器の変形や破損のリスクが高まります。また、温度変化によって水質が劣化する可能性もあります。
理想的な保管場所は、温度変化の少ない涼しく乾燥した場所です。室内の押し入れや床下収納、地下室などが適しています。
屋外に保管する場合は、日よけや断熱材を使用するなどの工夫が必要です。適切な環境で保管すれば、水の品質を長期間維持し、いざという時に安心して使用できます。
保管場所を分散させる
水を備蓄する際は、1か所に集中して保管するのではなく、複数の場所に分散させて保管しましょう。
災害時は建物の一部が損壊したり、避難時に特定の場所にアクセスできなくなったりする可能性があります。
そのため、1か所にすべての水を保管していると、仮にそこにアクセスできなくなったときに水を使用できません。
一方、分散して保管しておけば、1か所の水が使えない状態になっても、他の場所に保管した水を使用できます。
キッチン、寝室、玄関近くなど、家の中の複数箇所に分けて保管するとよいでしょう。自宅だけでなく、職場や車内にも少量の水を備蓄しておくと安心です。
保存期間を守り定期的に入れ替える
水の備蓄は、保存期間を守り定期的に入れ替えるようにしましょう。
特に飲料水は、長期保存によって品質が劣化する可能性があるため、製品ごとに設定された保存期間を厳守する必要があります。
保存水の場合は5〜10年程度、一般的なミネラルウォーターの場合は1〜2年程度が目安ですが、製品によって異なるため、購入時にしっかりと確認しておいてください。
定期的な入れ替えを確実に行うためには、ローリングストック法の活用がおすすめです。
備蓄している水を日常的に使用し、使用した分を新しく購入して補充するローリングストック法を採用すれば、新鮮な水を常に備蓄でき、期限切れの心配も減らせます。
また、定期的に備蓄量をチェックし、必要に応じて追加購入も忘れずに行いましょう。
ペット用の水も用意しておく
ペットを飼っている家庭では、人間用の水だけでなく、ペット用の水も備蓄しておかなければいけません。
ペットに必要な水の量は体重や種類によって異なりますが、一般的な目安はペットの体重1kgあたり1日40〜60ミリリットルが必要とされています。
例えば、体重5kgの犬や猫の場合、1日あたり200〜300ミリリットルの水が必要です。人間と同様に、最低でも3日分、可能であれば7日分を用意しておくとよいでしょう。
ペット用の水は人間用とは別に管理して、清潔な容器に入れて保管しましょう。
また、ペットフードを水で戻して与える必要がある場合は、その分の水も考慮に入れて備蓄量を決めなければいけません。
水以外にあると安心できる防災グッズ
しっかりとした防災対策には、水以外にもさまざまな防災グッズが必要です。ここでは、水以外にあると安心できる防災グッズを詳しく解説します。
食料品
災害時には、水と同様に食料の確保も欠かせません。非常食に適しているのは、長期保存が可能で調理不要な食品です。
例えば、乾パンやレトルト食品、缶詰、栄養補助食品などが挙げられます。これらの食品は、水と同様に最低3日分、できれば7日分を用意しておくとよいでしょう。
また、普段から食べ慣れている食品を選べば、ストレスの多い災害時でも食事を摂りやすくなります。アレルギーがある方は、アレルギー対応食品も忘れずに準備してください。
さらに、調理器具や食器、カセットコンロなども併せて用意しておくと、幅広い食事の選択肢を確保できます。
定期的に消費期限をチェックし、ローリングストック法を活用して常に新鮮な状態を保ちましょう。非常食の購入でお悩みの方は、以下の記事を参考にしてください。
→非常食になるもの一覧10選！選び方やローリングストック法・熱源も解説
懐中電灯やLEDランタン
災害時は停電が発生する可能性があるため、懐中電灯やLEDランタンは必須アイテムです。災害時の光源は、暗闇での移動や作業を安全に行うために欠かせません。
例えば、懐中電灯は、手持ちで使用できる機動性が魅力です。一方、LEDランタンは広範囲を照らせるため、両手を自由に使えるメリットがあります。
どちらも省電力で長時間使用できるLEDタイプを選ぶとよいでしょう。
また、電池式のものを選ぶ場合は、予備の電池も十分に用意しておくべきです。手回し充電や太陽光充電が可能なタイプを選べば、電池切れの心配も軽減できます。
懐中電灯やLEDランタンは家族の人数分を用意し、寝室や玄関など、すぐに手に取れる場所に配置しておきましょう。
衛生グッズ
災害時には衛生状態の悪化が懸念されるため、適切な衛生グッズを準備しなければいけません。
ウェットティッシュやアルコール消毒液は、手洗いが困難な状況でも衛生状態を保つのに役立ちます。
マスクは、避難所などで集団生活を送る際の感染症予防に効果的です。
また、歯ブラシや歯磨き粉、ドライシャンプーは、最低限の身だしなみを整えるのに役立ちます。女性は生理用品も忘れずに準備しましょう。
他にもトイレットペーパーや携帯トイレは、生活に欠かせないアイテムです。さらに、ゴミ袋や使い捨て手袋を用意しておくと、さまざまな場面で活用できるでしょう。
衛生グッズは、家族の人数や日数を考慮して適切な量を準備し、定期的に使用期限や状態をチェックしてください。衛生的な環境を維持すれば、二次被害を防げるはずです。
携帯浄水器
災害時に水道が使用できない状況が続く場合、携帯浄水器が重宝します。
携帯浄水器は、河川や池の水、雨水などを飲用可能な水に変えられる点がメリットです。フィルター式やろ過式、UV殺菌式など、さまざまなタイプがありますが、軽量でコンパクトなものを選ぶとよいでしょう。
使用方法は比較的簡単で、多くの場合は水をフィルターに通すだけで浄水できます。ただし、完全に安全な水質を保証するものではないため、可能なかぎりは備蓄水を優先して使用し、携帯浄水器は補助的な手段として考えるべきです。
また、使用前に説明書をよく読み、適切な使用方法や注意点を理解しておきましょう。
モバイルバッテリーやポータブル電源
災害時には電力供給が途絶える可能性が高いため、モバイルバッテリーやポータブル電源の必要性が高くなります。
特に、情報収集や通信手段の確保には欠かせません。
例えば、スマートフォンやタブレットの充電に使用できるモバイルバッテリーは、容量の大きいものを選ぶとよいでしょう。
一方、ポータブル電源は、大容量でさまざまな電化製品に対応できるメリットがあります。LEDランタンや小型の調理器具、医療機器なども使用可能です。
出力や対応機器、充電時間などを確認し、ニーズに合ったものを選びましょう。ソーラーパネルや手回し充電機能が付いたタイプを選べば、長期の停電時にも対応できます。
モバイルバッテリーとポータブル電源があれば、災害時でも最低限の電力を確保できるほか、安心感が高まります。
ポータブル電源の活用シーンについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
→ポータブル電源とは？活用シーンや初心者におすすめの選び方を紹介
EcoFlow DELTA 3 Plusでもしもの停電に備えよう！
EcoFlow DELTA 3 Plus（デルタ 3 プラス）は、災害時の電力確保に有効なポータブル電源です。1kWhの大容量バッテリーを搭載し、家庭用の電化製品を長時間稼働できます。
出力は1,500Wに及ぶため、冷蔵庫やオーブンなどの大型家電も使用可能です。さらに独自のX-Boost機能によって、最大2,000Wの家電も稼働させられるため、停電時の電源確保に役立ちます。
また、耐久性に優れており、4,000回以上の充放電サイクルに対応しているため、長期的な使用も可能です。
DELTA 3 Plusは災害時の備えに活用できる、多機能で信頼性の高いポータブル電源です。緊急時の電源確保を課題にしている方は、ぜひ検討してみてください。
まとめ
水の備蓄が必要な理由、一人当たりの目安量、備蓄する水の選び方や、備蓄する際の注意点、水以外にあると安心できる防災グッズを解説しました。
水の備蓄は、災害時の生存に直結します。一人あたり1日3リットルを目安に、最低3日分、できれば7日分の水を備蓄しましょう。
また、容器の選択や保管方法、定期的な入れ替えなど、適切な管理も忘れずに行ってください。
また、水以外にも、食料品や衛生用品、携帯浄水器、モバイルバッテリーなどの防災グッズを用意しておくと安心です。特に、EcoFlow DELTA 3 Plusのようなポータブル電源があれば、長期の停電時にも対応できます。
災害はいつ起こるかわかりません。今すぐに自分と家族の備えを見直し、必要な準備を整えましょう。