ここ数年、多くの人々がアウトドアライフを楽しむ姿が見られましたが、最近ではキャンプブームの終焉を示唆する声も聞かれるようになりました。
しかし、この変化は本当にキャンプの人気低下を意味するのか曖昧です。 むしろ、キャンプブームの終わりは、新たな可能性の始まりかもしれません。
ブームが落ち着けば、より本格的なキャンプの魅力が再認識される可能性があります。
この記事ではキャンプブームの背景、ブームが終わったと言われる理由、下火になるメリット・デメリットをわかりやすく解説します。
キャンプブームの現状について知りたい方は、ぜひ本記事を最後までご覧ください。
キャンプブームの背景
現代のキャンプブームは、第三次キャンプブームといわれています。
日本では過去にも2度のキャンプブームがありましたが、今回の第三次ブームには特徴的な要因がいくつか存在します。
まずは、SNSの普及が大きな影響を与えている点です。InstagramやX（旧Twitter）などでは、美しい自然の中でのキャンプ風景や、おしゃれなキャンプギアの写真が頻繁にシェアされるようになりました。キャンプの魅力が視覚的に広く伝わり、多くの人々の興味を引きつけた要因です。
また、YouTubeの影響も見逃せません。キャンプ系YouTuberの登場により、キャンプの楽しさや方法が動画でわかりやすく紹介されるようになりました。初心者でも気軽に始められるという印象が広まり、キャンプ人口の増加につながったといえるでしょう。
さらに、アニメの影響も大きいです。2018年に放送されたゆるキャン△は、若い女性を中心に大きな反響を呼び、キャンプの魅力が新たな層に伝わりました。
そして、2020年以降の新型コロナウイルスの流行も、皮肉にもキャンプブームを後押しする要因です。ソーシャルディスタンスの確保が求められるなか、密を避けられる屋外レジャーとしてキャンプが注目されました。
キャンプブームが終わったと言われる理由
ここでは、キャンプブームが終わったと言われる理由を解説します。
大手アウトドアメーカーのスノーピークは純利益が前期比99.9%減を発表
大手アウトドアメーカーのスノーピークが2024年2月に発表した決算報告は、キャンプ業界に衝撃を与えました。
同社の純利益が、前期比99.9％減の100万円にまで落ち込んだと発表されました。
この急激な業績悪化の要因は、キャンプ用品の売上低迷です。スノーピークは高品質なキャンプ用品で知られる企業ですが、主力製品の需要が大きく減少したことが明らかになりました。
この結果は、キャンプブームの終焉を示す象徴的な出来事として捉えられています。ブーム時には右肩上がりだった売上が急落したため、キャンプ市場全体の縮小が懸念されるようになりました。
しかし、業績悪化はキャンプ人気の消失を必ずしも意味するものではありません。むしろ、コロナ禍での一時的な特需の反動や、市場の成熟化による需要の変化を反映している可能性もあります。
それでも、業界をリードする企業の業績低迷は、キャンプブームの終わりを象徴する出来事として広く認識されるようになりました。この結果を受けて、キャンプ市場の今後の動向に注目が集まっています。
リサイクルショップにキャンプ用品の中古が出回っている
近年、リサイクルショップやオンラインの中古市場では、キャンプ用品の取り扱いが増加しました。
この現象は、キャンプブームの終焉を示すひとつの指標として捉えられています。
中古キャンプ用品の増加には、いくつかの要因が考えられます。
まずは、ブームに便乗してキャンプを始めた人々のなかに、興味が薄れて道具を手放す人が出てきたことです。初期投資としてキャンプ用品を購入したものの、実際にはあまり使用せずに売却するケースも少なくありません。
また、コロナ禍での特需期に購入した道具を、状況の変化に伴って売却する人も増えています。外出制限が緩和され、他のレジャーも楽しめるようになったため、キャンプ用品の需要が分散した可能性があります。
しかし、この状況は必ずしもネガティブなものばかりではありません。中古品の増加は、キャンプを始めたい初心者にとっては、低コストで質の良い道具を入手できるチャンスです。
事実、中古市場でのキャンプ用品の取引は活発化しており、新たなキャンパーの参入を促す要因にもなっています。
このように、リサイクルショップでのキャンプ用品の増加は、ブームの終焉を示す一方で、キャンプ文化の新たな広がりを生み出す可能性も秘めています。市場の変化は、ネガティブな面だけでなく、キャンプの楽しみ方の多様化としても見られるでしょう。
雑貨店や100円均一などでキャンプ用品の特設コーナーを見かけなくなった
キャンプブームが最盛期だったころ、多くの雑貨店や100円均一ショップでは、キャンプ用品の特設コーナーを目にしました。
しかし、最近では特設コーナーを見かける機会が減少しています。この変化も、キャンプブームの終焉を示すひとつの指標として捉えられています。
ブーム時には、アウトドア専門店以外の一般的な小売店でもキャンプ関連の商品が豊富に並んでいました。これは、キャンプに対する一般消費者の関心の高さの現れだったといえるでしょう。
100円均一ショップでさえ、キャンプ用の簡易調理器具やLEDライトなどを特設コーナーで展開していました。
ただし、この変化は必ずしもキャンプ人気そのものの低下を意味するわけではありません。むしろ、キャンプ市場が成熟し、専門性の高い商品への需要にシフトしている可能性があります。
一時的なブームから、より本格的なアウトドア愛好家向けの市場へと移行しているとも考えられるでしょう。
このように、雑貨店や100円均一ショップでのキャンプ用品特設コーナーの減少は、キャンプ市場の質的な変化を示唆している可能性があります。ブームの終焉というよりも、キャンプ文化の新たなステップへの移行とも捉えられるでしょう。
キャンプブームが下火になるメリット
ここでは、キャンプブームが下火になるメリットを解説します。
人気のキャンプ場でも予約が取りやすい
キャンプブームが下火になると、これまで予約が困難だった人気キャンプ場でも空きが出やすくなります。
ブーム時は、週末や連休になると有名キャンプ場の予約はほぼ不可能でした。多くのキャンパーが、予約開始と同時にWebサイトにアクセスするため、運良く予約できた人だけが利用できる状況でした。
しかし、ブームが落ち着いたことで、こうした状況が改善されつつあります。人気のキャンプ場でも、容易に予約が取れるようになってきました。これは、長年キャンプを楽しんできたベテランキャンパーにとっては朗報といえるでしょう。
また、予約の取りやすさは、キャンプ初心者にとってもメリットがあります。人気の高いキャンプ場は設備が整っていたり、景色が美しかったりと、初心者でも楽しみやすい環境が整っているケースが多いためです。
さらに、予約の取りやすさは柔軟なキャンプ計画を立てられます。突然の休暇や天候の変化にも対応しやすくなり、キャンプをより身近なレジャーとして楽しめるようになるでしょう。
このように、キャンプ場の予約が取りやすくなることは、キャンプ愛好家にとって大きなメリットです。ブームの終焉は、むしろキャンプ本来の魅力を再発見する機会になるかもしれません。
落ち着いた環境でキャンプを楽しめる
キャンプブームが下火になれば、キャンプ場の混雑が緩和され、落ち着いた環境でキャンプを楽しめるようになります。
ブーム時には、人気のキャンプ場はどこも満員状態で、静かな自然を楽しむどころではありませんでした。 しかし、キャンパーの数が減少すれば、サイト間の距離が広がり、プライバシーが確保しやすくなります。
これにより、自然の中での静寂や、夜空の星を心ゆくまで楽しめるようになるでしょう。
また、混雑の緩和は、キャンプ場の設備利用にも好影響を与えます。炊事場やシャワー、トイレなどの共用施設を待ち時間なく使用できる可能性が高いです。これは、特に家族連れのキャンパーにとって大きなメリットといえます。
さらに、落ち着いた環境は、キャンプの本質的な魅力を再発見する機会にもなります。自然との一体感や、日常から離れてリラックスする時間の大切さを、より深く感じられるようになるかもしれません。
キャンプ用品が安く買える
キャンプブームが下火になると、キャンプ用品の価格が下がる傾向にあります。
これは、キャンパーにとって大きなメリットです。ブーム時には高騰していた人気アイテムも、手頃な価格で入手できます。
新品のキャンプ用品に関しては、メーカーや小売店が在庫処分のためにセールを行う機会が増えています。特に、シーズンオフには大幅な値下げが期待できるため、高品質な道具を安価で購入できる可能性が高まります。
また、中古市場の活性化も見逃せません。ブーム時に購入したものの、あまり使用しなかった人々が道具を手放すケースが増えています。中古品の選択肢が広がり、初心者やコスト意識の高いキャンパーにとっては良い機会になるでしょう。
キャンプブームが下火になるデメリット
ここでは、キャンプブームが下火になるデメリットを解説します。
アウトドアブランドがなくなる可能性がある
キャンプブームの終焉に伴い、小規模なアウトドアブランドが市場から撤退する可能性が高まっています。
これらのブランドは、独自の製品や地域に根ざしたサービスを提供してきましたが、需要の減少により経営が困難になる可能性があります。ブランドの消失は、製品の多様性や選択肢の減少につながるため、キャンパーのニーズに応える製品が少なくなる恐れがあるでしょう。
また、地域経済や雇用にも影響を与える可能性があり、キャンプ業界全体の活力低下につながる懸念があります。
お店の品揃えが悪くなる
キャンプブームの衰退により、店舗でのキャンプ用品の取り扱いが減少する可能性があります。
ブーム時には、アウトドア専門店以外の雑貨店や100円ショップなどでもキャンプ用品の特設コーナーが見られましたが、需要の低下に伴いこれらのコーナーが縮小または撤去される傾向にあります。
消費者がキャンプ用品を実際に見て触れる機会が減少し、購入の際の選択肢が限られる可能性があるでしょう。
特に、地方や小規模な町では、キャンプ用品を扱う店舗自体が減少し、アクセスが困難になる恐れがあります。
キャンプ道具の売却が難しくなる
キャンプブームの終焉に伴い、使用しなくなったキャンプ道具の売却が困難になる可能性があります。
需要の低下により、中古市場での取引が減少し、売却価格も下落する傾向にあるためです。
これは、キャンプを始めたものの続けられなくなった人や、装備をアップグレードしたい人にとっては、投資回収が難しくなります。
また、リサイクルショップなどでも、キャンプ用品の買取基準が厳しくなり、在庫が滞留する可能性があるでしょう。この状況はキャンプ用品の循環利用を妨げ、結果として環境負荷の増加につながるリスクがあります。
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まとめ
キャンプブームの背景、ブームが終わったと言われる理由、下火になるメリット・デメリットを解説しました。
キャンプブームの終焉は、一見するとネガティブな現象に思えます。しかし、実はキャンプ文化の成熟と深化を示す兆候ともいえます。
ブームに便乗した一時的な参加者が減少する一方で、本当にキャンプを愛する人々が残り、より質の高いキャンプ体験を追求する傾向が強まっていくでしょう。
この変化は、キャンプ場や関連業界に新たな機会をもたらす可能性があります。例えば、より静かで落ち着いた環境を求めるキャンパーのニーズに応えた施設の整備や、長期滞在型のキャンプ場の開発などです。
また、環境に配慮したサステナブルなキャンプスタイルの提案も、今後重要になってくるでしょう。
キャンプ愛好家はこの変化を前向きに捉え、自分なりのキャンプスタイルを確立する良い機会です。混雑の少ない環境で深く自然とつながり、本質的なキャンプの魅力を再発見できるかもしれません。
キャンプは単なるレジャーでなく、自然との共生や環境保護の意識を高める活動でもあります。ブームの終焉を持続可能で意義深い文化の構築につなげていくことが、私たち一人ひとりに求められています。