節電に役立つ家庭用ソーラーパネルに興味を持っている方にとって、発電の仕組みや設置費用などが気になるポイントなのではないでしょうか。
ソーラーパネルは、太陽光エネルギーを一般家庭で消費できる電気エネルギーに変換し、CO2を排出しないエコな太陽光発電を実現します。
さらに蓄電池とセットで導入することで、夜間でも照明や家電などを稼働させることが可能です。
この記事では、家庭用ソーラーパネルの発電の仕組みや購入価格、節電に向けて知っておきたい知識などを紹介していきます。
家庭用ソーラーパネルと蓄電池が生活を変える
屋根に設置するタイプの家庭用ソーラーパネルは、パネルに照射した太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換し、家電などに給電できる設備です。
昨今における日本では、電気代無料化を目指す機器として「蓄電池」も注目されています。蓄電池とは、日中に発電した電気を蓄えておくことで、必要な時に電気を使える機器のことです。かつては、100万円以上の設置費用がかかったソーラーパネルですが、発電システムが普及したことで低価格化し、小さな屋根の一般家庭でも設置しやすくなりました。
災害大国とも呼ばれる日本において、停電時にも電気を使えるソーラーパネルと蓄電池は、暮らしに安心をもたらす設備として注目されています。
家庭用ソーラーパネルの仕組み
ソーラーパネルに照射して生み出された太陽光エネルギーは直流のため、一般家庭で消費するためには交流に変換しなければなりません。
そこで、さまざまな家電で電気を消費できるように、直流から交流へ変換させる装置である「パワーコンディショナー」もセットで導入することが必要です。
また、各部屋へ電気の供給を行う「分電盤」や、電力消費量をモニターで視覚的に確認できる「HEMS」なども、一般家庭で太陽光発電システムを構築するために用いられます。
それぞれの機器の特徴や役割についてさらに詳しく説明していきます。
ソーラーパネルの役割
ソーラーパネルは、セル(太陽電池の最小単位)の集合体で構築されています。
太陽電池の集まったパネルに太陽光が照射すると、内部光電効果と光起電力効果が起こり、太陽電池内の電子の量が増加することで電気が生み出される仕組みです。
ソーラーパネルによる太陽光発電は、日射量によって発電効率が変わります。常に100%の電力を変換することはできず、如何に効率よく発電できるかは「変換率」という指標で表されています。
パワーコンディショナーの役割
「パワーコンディショナー」は、PCS(Power Conditioning System)と呼ばれる機器で、太陽光エネルギーから電気エネルギーに変換する重要な役割を担ってます。
ソーラーパネルで発電した直流電力はパワーコンディショナーに送られ、交流電力に変換された後は分電盤へと送られる流れです。パワーコンディショナーにおける変換率は、一般的に95%前後といわれています。
変換効率はパワーコンディショナーの性能を判断する数字にもなり、変換効率が高いほど価格も高くなる傾向にあります。
パワーコンディショナーは他にも、日照時間や天候によって変動する発電量を最大化する機能や、停電時にも電気を使用できるようにする自立運転機能などが備わっています。
分電盤の役割
変換された交流電力を受け取る「分電盤」は、複数の回路に分けて各部屋やフロアに電気を供給する役割があります。
他には、漏電などの事故防止機能や、電気の使いすぎを抑制する機能などが備わっています。
ソーラーパネルで発電した電気は、電力会社などに買い取ってもらうことも可能です。その際、分電盤は余剰電力を電線に逆流させる大事な役割も担います。
HEMSの役割
「HEMS」とは、Home Energy Management System(ホームエネルギーマネジメントシステム)を略したもので、電力消費量を見える化する機器のことです。
太陽光発電による電力消費量は、時間単位でHEMSに記録され、どの時間帯にどのくらいの電力を消費しているか確認可能です。
製品によっては、接続した電気製品ごとの消費電力が確認できるため、節電に大きく貢献します。
効率よく売電したい場合、オンラインで電力会社に消費電力を報告できる高機能電力メーター「スマートメーター」も併せて導入したいところです。
蓄電池の役割
「蓄電池」は、太陽光で発電した電気を本体に充電し、必要な時に給電可能なバッテリーのことです。
ソーラーパネル単体では太陽光が射していない夜には発電できませんが、蓄電池があれば日中に充電した電気を夜間や停電時に使用できます。
万が一被災した場合にも非常用電源として大活躍する装置で、持ち運び可能にした「ポータブル電源」も最近では注目されています。
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家庭用ソーラーパネルの発電量
家庭用ソーラーパネルは、製品によってどのくらいの発電量に期待できるかが異なります。
発電量の指標として、「kW(キロワット)」や「kWh(キロワットアワー)」が使われていますが、一般的な使われ方とは異なります。
ここでは、太陽光発電における「kW」や「kWh」の意味、発電量に関する基礎知識を解説していきます。
kWとkWhの違いとは
太陽光発電において「kW」は、ソーラーパネルの発電能力である「システム容量」を表す時に使われます。家電を稼働させる場合に、どのくらいの電力が必要になるのかがkWから判断可能です。
「kWh」は、実際の発電量を表す単位です。太陽光発電においては、1kWあたり年間約1,000kWh程度の発電が可能となります。
ソーラーパネルの設置枚数で発電量が変わる
ソーラーパネルは、太陽光を照射するパネルの設置枚数が多いほど大きな発電量に期待できます。
例えば、1枚300Wの発電能力があるパネルを10枚設置した場合、300×10枚=3kWの発電が実現し、年間で約3,000kWhの発電量になると予測できます。
ソーラーパネルの性能は変換効率で決まる
できるだけ発電効率の良い高性能なソーラーパネルを設置したい人は、変換効率に注目してください。
変換効率は、「照射された太陽光エネルギーを何%電気エネルギーに変換できるか」を表す指標です。
2022年4月1日時点、ソーラーパネル製品における最大の変換効率は30%付近となっています。20%を超える変換効率であれば一般的にハイパフォーマンスであると定義づけられます。
日射量・天候・時間帯などで発電量が変わる
各都道府県ごとに天候や日射量が変わることから、家庭ごとに発電量に差が生まれます。
また、日が短い冬は1日における発電量が低下しますが、逆に夏場は発電量が増加するため年間を通して期待通りのパフォーマンスを発揮します。
年間の予想発電量を知る方法
ソーラーパネルのシステム容量について理解できた後は、以下の計算式で年間の発電量をシミュレーションできます。
<1年間の予想発電量の計算式>
年間予想発電量(Ep)= 平均日射量(H)× 損失係数(K)× システム容量(P)× 365日 ÷ 標準状態の日照強度(1)
各地域の日射量について知りたい人は、「NEDOの日射に関するデータベース」をチェックしてみてください。
家庭用ソーラーパネルの価格について
経済産業省の調達価格等算定委員会が取りまとめた「太陽光発電について|2021年12月」では、太陽光発電設置費用は「1kWあたり25.9万円」が目安とされています。
システム容量 | 設置費用の目安 |
---|---|
3kW | 77.7万円 |
5kW | 129.5万円 |
7kW | 181.3万円 |
10kW | 259万円 |
実際には、2022年における設置費用は「1kWあたり20万円〜29万円」が適正価格といわれています。また、システム容量が大きいほど割安になる傾向にあるため、設置枚数が多いほど費用もお得になります。
設置費用の内訳について
ソーラーパネル本体が20万円だった場合、その他の機器や工事費で以下のような費用が発生します。
内訳 | 導入コストの例 |
---|---|
ソーラーパネルの本体 | 20万円 |
パワーコンディショナー代 | 4.2万円 |
架台費 | 2.1万円 |
発電モニター | 2万円 |
各種ケーブル | 5,000円 |
接続箱 | 6,000円 |
設置工事費 | 5万円 |
各種手続きの手数料など | 3,000円 |
【関連記事】徹底解説!ソーラーパネルの仕組みと設置するメリット・デメリット
上記はあくまで目安の導入コストとなるため、製品や工事業者選びでさらに安くなるケースもあります。
家庭用ソーラーパネルと蓄電池で効率よく節電可能
FIT制度(固定価格買取制度)を活用すれば、太陽光発電した電気を10年間にわたって固定価格で売却可能です。
現時点では、2022年〜2023年までの売電価格が経済産業省によって発表されています。
設置容量 | 1kWあたりの売電価格 (2022年度) |
1kWあたりの売電価格 (2023年度) |
---|---|---|
10kW未満 (住宅用太陽光発電) |
17円/kWh | 16円/kWh |
10kW以上〜50kW未満 (事業用太陽光発電) |
11円/kWh | 10円/kWh |
50kW以上~250kW未満 (事業用太陽光発電) |
10円/kWh | 9.5円/kWh |
250kW以上〜1,000kW未満 | 入札制度 | 入札制度 |
「FIT制度が終了する10年後は節電できないのか?」と心配になっている人もいるでしょう。
FIT制度終了後は、蓄電池を活用し消費電力が大きくなる夜間に昼間に充電した電気を消費することで効率よく節電できます。なぜなら、電気会社から電気を購入するより、自家発電した電気を使用した方が、トータルで電気代がお得になるからです。
FITが適用されている10年間は売電によって節電し、FIT制度終了後はソーラーパネル+蓄電池による自家消費をすれば、電気代0円の実現も夢ではありません。
まとめ
家庭用ソーラーパネルの設置は、自家発電と売電による節電ができる他、非常時に停電した場合でも安全に電気を使うことが可能です。
ソーラーパネルを選ぶ際は、システム容量を表す「kW」や、発電効率を表す「変換効率」に注目することで、ハイパフォーマンスを期待できる製品かどうかを判断できます。
設置費用は過去と比べて安くなりましたが、それでも1kWあたり25.9万円と高額なのがネックとなるでしょう。
そんな時は、持ち運びが可能でいつでもどこでも太陽光発電ができる「折りたたみ式ソーラーパネル」と「ポータブル電源」を組み合わせた「太陽光発電セット」の導入がオススメです。
EcoFlowでは、停電時やアウトドアなど幅広いシーンで活用できる「防塵・防水仕様のソーラーパネル」や、X-Streamテクノロジーによる急速充電機能を搭載した「ポータブル電源」などを提供しています。
いつ起こってもおかしくない大震災に備え非常用電源を準備しておきたい方は、ぜひこの機会にEcoFlowのソーラーパネルとポータブル電源の導入をご検討ください。