- インバーターとはどんな装置?
- 具体的な仕組みやメリット・デメリットを知りたい
- インバーターが使用されている電気機器を教えてほしい
このような疑問や悩みがある方もいるでしょう。インバーターとは、可変電圧・可変周波数の交流電流に変換する装置のことです。
インバーターはまず交流を直流の電流に変換し、充電と放電を繰り返して安定した直流に整え、その後再び交流に戻すという一連の変換作業を行っています。これにより、精巧な動作を実現できる、消費電力を抑えて省エネで運用できるなどのメリットが見込めます。
しかし、複数の利点を持つインバーターにも一部難点があるため注意が必要です。そこで今回は、インバーターの仕組みやメリット・デメリット、身近な使用例を解説します。
インバーターとは?
インバーターとは、可変電圧・可変周波数の交流電流に変換する装置のことです。電圧や周波数を変える装置の主役は「インバーター回路」であり、「インバーター」という言葉はこの回路からきています。
しかし、インバーターは単体の回路で構成されているわけではありません。主な構成要素は以下の通りです。
- コンバーター回路
- コンデンサ
- インバーター回路
つまり、インバーターとは、コンバーター回路、コンデンサ、インバーター回路の3つの要素を含んだ装置全体のことを意味します。このインバーターはエアコンや洗濯機、エレベーターなど、さまざまな電気機器に利用されています。
インバーターの役割
インバーターを利用すると、モーターの回転数を変化させ、目的の電気機器を正確に制御することが可能になります。例えば、エアコンにインバーターを搭載した場合、以下のような違いが生まれます。
インバーターが搭載されていないエアコン | インバーターが搭載されているエアコン |
・運転の再開と停止しか基本行えない
・室内の温度が安定しない ・無駄な電力を消費する |
・温度調整機能を使える
・微量なファンの回転数で温度を調整できる ・無駄な動きが省かれ電力を節約できる |
このように、モーターの回転速度や回転数を柔軟に変えることができれば、より複雑な操作が可能になります。あらゆる電気機器にとって、複雑な操作を可能にするインバーターは、なくてはならない存在だと言えます。
インバーターの仕組み
インバーターはまず交流を直流に変換し、充電と放電を繰り返して安定した直流に整え、その後再び交流に戻すという一連の変換作業を行っています。一度交流を直流に変換するのは、電圧や周波数が希望のものと異なるためです。
そもそも交流と直流には以下のような違いがあります。まずは各電流の特徴を理解しましょう。
電流の種類 | 特徴 |
交流 | 電圧の上げ下げがしやすく、高圧送電による電力損失が少ない。発電所から各家庭に電気を送るのに向いている。 |
直流 | 回路に進みや遅れがなく、安定した電力を供給できる。電気機器での利用に向いている。 |
電力会社から供給される交流は電圧や周波数が一定なので、そのままの状態では電圧や周波数を変えることができず、電気機器を柔軟に制御することができません。
そこでインバーターを用いて交流から直流に変換し、任意の電圧や周波数に変換して出力することで、電気機器での複雑な操作を可能にします。
インバーターの構造
前述した通り、インバーターは以下3つの要素で構成されています。それぞれの回路で異なる役割を持ちます。
要素 | 役割 |
コンバーター回路 | 交流を直流に変換する |
コンデンサ | 充電と放電を繰り返して安定した直流に整える |
インバーター回路 | 直流を任意の電圧や周波数で交流に変換する |
モーターを動かす場合、周波数のみを変更すると過剰な電流が流れる可能性があるため、電圧も適切なものに変換する必要があります。
また、近年では複数のスイッチを組み合わせた「スイッチング技術」が活用されており、インバーターの小型化や効率化を実現しています。
コンバーター回路とインバーター回路の違い
コンバーター回路とインバーター回路は名前が似ており、どちらも電流を変換する回路であるため混同されるかもしれません。しかし、実際には以下のように、それぞれの回路が担っている役割は正反対です。
回路の種類 | 特徴 |
コンバーター回路 | 交流を直流に変換する |
インバーター回路 | 直流を交流に変換する |
コンバーター回路は電源から流れてきた交流を加工しやすい直流に変換し、インバーター回路ではその直流を加工して交流に変換します。このように名前が少し似ているだけで、双方はまったく異なる役割を持っているのです。
インバーターのメリット・デメリット
インバーターは、現代生活において欠かすことのできない装置です。しかし、それにはメリットとデメリットの両方が存在します。インバーターの良い点と悪い点について、それぞれを詳しく見ていきましょう。
インバーターのメリット
多くの電気機器にとって、インバーターは必須の存在と言えます。特に注目すべきメリットは以下の通りです。
- 複雑かつ高機能な回路の構築により精巧な動作を実現できる
- 部品の劣化を軽減して省エネで運用できる
- スイッチング技術により軽量化・小型化が進められる
まずはインバーターの各メリットを解説します。
メリット1.複雑かつ高機能な回路の構築により精巧な動作を実現できる
インバーターを用いることで、電圧や周波数の微細な調整が可能となります。これにより、エアコンにおける温度や風量の細かい調整、エレベーターの初速を緩やかにするなど、繊細な操作を実現します。
メリット2.部品の劣化を軽減して省エネで運用できる
繊細な動作が可能になり、無駄な動きが省かれるため、部品の摩耗や損耗を抑えることが可能です。また、同じ理由で消費電力を抑制し、省エネ運用を可能にするという利点も持っています。
メリット3.スイッチング技術により軽量化・小型化が進められる
近年の技術開発の一環として、スイッチング技術が登場しました。この技術は、スイッチ回路を複数回通過させることでプラスとマイナスの電圧を出力し、交流電流を生成するというものです。
このスイッチング技術の登場により、回路部分の小型化や軽量化が進められ、より効率的な運用が可能になっています。
インバーターのデメリット
続いて、インバーターのデメリットについて解説します。主に以下3つのデメリットが挙げられます。
- 高額なコストが発生する
- 使い続けるとノイズが発生する
- 仕組みを十分に理解していないと活用できない
各ポイントを1つずつ見ていきましょう。
デメリット1.高額なコストが発生する
インバーターを導入する際には数万円のコストがかかります。また、複雑な回路を構築する場合、専門的な電気工事が必要となり、コストはさらに高額になります。
このような高額なコストが発生する以上、インバーターを利用する際には、費用に見合ったメリットが得られるかどうかの確認が必要です。
デメリット2.使い続けるとノイズが発生する
インバーターを使い続けると、ノイズが発生する可能性があります。これは、装置内部のコンデンサの寿命が関係しています。
ほかの電気機器に影響を与える可能性もあるため注意が必要です。安全に長く使い続けるためには、定期的なメンテナンスと部品の交換がポイントとなります。
デメリット3.仕組みを十分に理解していないと活用できない
インバーターの使用には定期的なメンテナンスが必要であり、仮にノイズが発生した場合には、その改善と予防が必要になります。トラブルに対して適切に対応するためには、インバーターの仕組みを十分に理解し、対応するだけのスキルが求められるのです。
身近なインバーターの使用例
「電気回路」や「電流の変換」のような専門的な言葉を耳にすると、複雑で難しいように感じるかもしれません。実際のところ、インバーターは我々の身の回りに存在し、普段の生活を支えてくれています。
【身近なインバーターの使用例】
- 電気自動車
- コンピュータの電源装置
- エアコン
- 蛍光灯
- 電磁調理器(IH)
- エレベーター
- 冷蔵庫
例えば、エアコンや電磁調理器(IH)の場合、インバーターは温度を調節する役割を果たしています。この温度調整機能により、電気の使用が効率化されているのです。
また、エレベーターのような大きな機械にもインバーターは使用されています。エレベーターが動き始めたり、停止する前に少しゆっくりになったりするその動きは、インバーターの仕組みによって実現したものです。
このように、インバーターは我々の身近で大きな役割を果たし、社会全体を支えています。なくてはならない存在だということを覚えておきましょう。
太陽光発電システムにもインバーターが必要
近年、再生可能エネルギーとして注目されている太陽光発電システムにも、部品の1つとしてインバーターが採用されています。そもそも太陽光発電とは、太陽の光エネルギーを太陽電池を介し、電力に変換する発電方法のことです。
太陽電池は光エネルギーを材料として直流電流を生成しますが、実際に電気機器で利用する場合、交流電流に変換する必要があります。その変換を行うための装置として、インバーターが用いられているのです。
太陽光発電システムを構築する利点
太陽光発電システムを構築する際には、初期コストが発生します。その初期コストがある程度かかったとしても、太陽光発電システムを構築することで大きなメリットが見込めます。
【太陽光発電システムの主な利点】
- 太陽光さえあれば確実に電力を作り出せる
- アウトドア活動中や緊急時でも発電できる
- エネルギー不足に陥る心配がない
- 排気ガスや二酸化炭素を発生させない
- オフグリッドの実現を目指せる
太陽光発電は、システムを構築すれば個人でも発電できます。また、太陽光のある場所であればどこでも発電できるため、アウトドア活動中や災害時など、さまざまな場面での発電を可能にします。
また、排気ガスや二酸化炭素を発生させないという環境面での利点、さらにはオフグリッドの実現に一歩近づけるなど、複数のメリットを享受することができるのです。「新しい技術に積極的に関わりたい」「災害時の備えをしたい」という方は、ぜひ太陽光発電システムの構築を検討してみてください。
ポータブル電源で太陽光発電システムを構築
太陽光発電システムを構築する場合、インバーターを使ってエネルギー変換を行うなど、一般的には専門的な手順が必要になります。また、一般家庭に導入する場合でも、まとまった初期コストがかかってきます。
その点、ポータブル電源とソーラーパネルを使って太陽光発電を行えば、蓄電池を設置する場合に比べて、スムーズかつ低コストで太陽光発電システムを導入することが可能です。ポータブル電源で太陽光発電システムを構築する主なメリットは以下の通りです。
- 専門知識がいらない
- 初期コストを抑えられる
- 導入までのハードルが低い
- 設置工事が必要ない
- 軽量でコンパクトなので持ち運んで使える
なかでも、EcoFlowのポータブル電源「DELTA」シリーズとソーラーパネルを組み合わせれば、より手軽に太陽光発電システムを構築できます。もちろん設置工事は必要なく、容易にセットアップ可能です。
また、軽量で携帯性に長けているため、車中泊やキャンプなどのアウトドア活動中、地震や台風などの災害時にも活用できます。初めて太陽光発電システムを構築する方でも、安心して導入作業を進められるでしょう。
→ポータブル電源「DELTA」シリーズとソーラーパネルのセット商品はこちら
まとめ
本記事では、インバーターの仕組みやメリット・デメリット、太陽光発電システムの構築方法について解説しました。
インバーターは、エアコンや洗濯機、冷蔵庫など、さまざまな電気機器に使用されている重要な装置です。インバーターを採用することで、モーターの回転数を調整し、複雑で便利な機能を実現できます。
太陽光発電システムにもインバーターが使用されており、ポータブル電源とソーラーパネルを活用すれば、スムーズかつ低コストで導入可能です。「家庭に太陽光発電システムを構築したい」という方は、以下のポータブル電源「DELTA」シリーズとソーラーパネルのセット商品を検討してみてください。