筆者:内舘綾子
“キャンプのある暮らし”をコンセプトに活動するクリエイターズユニット、CAMMOC(キャンモック)メンバー。
ライター・キャンプコーディネーター・防災士として幅広い分野で活動する傍ら、二児の母としてファミリーキャンプの楽しさや過ごし方をインスタグラムにて発信中。
キャンプにポータブル電源は必要?
電源のないキャンプ場や停電時に役立つポータブル電源。近年のキャンプブームや頻発する自然災害の備えとして需要が高まり、「ポータブル電源戦国時代」と言われるほど様々なメーカーから登場しています。
CMやネット広告でも「キャンプにおすすめ」というキャッチフレーズを見かけますが、そもそもキャンプにポータブル電源を持っていくとどんなメリットがあるのでしょうか。実際に1泊2日のキャンプへ行き、ポータブル電源の活用法を模索してみました。
記事の後半ではポータブル電源を選ぶ際のポイントをまとめているので、ご検討中の方はぜひ参考にしてみてください。
RIVER Max Plusで検証開始!
検証時期は4月上旬。お天気に恵まれ絶好のキャンプ日和! 日中は半袖で過ごせるほど暖かい陽気ですが、夕方以降から翌朝にかけて気温は10度前後とグッと冷え込むため寒さ対策も必須です。
今回使用したポータブル電源はEcoFlow「RIVER Max Plus(リバー マックス プラス)」。どんなサイトにも馴染むホワイトカラーに、持ち運びやすいブラックのハンドルがついたモノトーンでスタイリッシュな1台です。
◆基本スペック
サイズ:横幅28.9x奥行18.4x高23.5cm
重量:8.0kg
容量:720Wh
出力:USB-A×2、USB-C×1、DC×2、AC×3、シガーソケット×1
最大10台のデバイスへ同時充電が可能。定格出力は600Wですが、X-Boostモードをオンにすると最大1,200Wまで電力を供給することができます。
最大の強みは、X-Streamテクノロジーによる急速充電。約1.6時間で満充電となるため、ついうっかり充電を忘れてしまっても、キャンプ当日の朝に充電すれば十分間に合います。
さらにポータブル電源の中でも画期的な機能である、モジュール設計を搭載。下部のバッテリーを着脱することで容量が720Whから360Whへと変更できます。例えば普段のキャンプは720Whで、日帰りのデイキャンプは360Whとシーンに合わせてカスタマイズすることができます。
(エクストラバッテリーを外した後の本体スペック)
サイズ:横幅28.9x奥行18.4x高18cm
重量:5.5kg
容量:360Wh
バッテリーの外し方は簡単。付属のドライバーで底面にある4箇所のネジを緩め、底蓋とバッテリーを外し、底蓋のみを取り付けて短いネジで締めます。この時、外したネジを失くさないようにしっかりと保管しておきましょう。
RIVER Max Plusの基本スペックが頭に入ったところで、本題のキャンプシーンにおけるポータブル電源の活用法について紹介します。
◆運転中に充電可能
いざキャンプ場に向けて出発! と思いきや、ポータブル電源の残量が100%になっていない……。そんな時は付属のシガーソケット充電ケーブルで、運転中に充電ができます。
この場合、ゼロから満タンまでは8時間程かかるため、できれば事前に自宅のコンセントから急速充電しておくと安心です。
◆LEDライトやスマートフォンなど機器の充電に
キャンプ場に到着し、テントを設営したところでひと休憩。この間に、夕方以降に必要となるLEDライトやプロジェクター、日中消耗してしまったスマートフォンやカメラのバッテリーなどをまとめて充電しておきます。一度に複数台充電できると、効率も良く大変便利です。
複数を同時に充電する際は、一本に異なるコネクターがついたマルチケーブルがあると、配線周りが多少スッキリするのでオススメです。
◆ケトルでお湯を沸かす
電源のないキャンプ場でお湯を沸かすとなると、火を起こしたり、ガスバーナーを用意したり、火加減を調整したりと初めてだと時間がかかってしまい慣れるまで一苦労……。
大容量のポータブル電源であれば1000W前後のケトルが使用できます。水を入れ、スイッチを入れ、あとは放っておくだけで簡単にお湯を沸かすことができます。今回はカップ焼きそばとチキンラーメンのお湯(600ml)を沸かすのに、約5分かかりました。バッテリー残量は98%→91%と減少。
今回使用したのはdretecのステンレス電子ケトル、900Wのものです。
◆ホットプレートで簡単美味しいキャンプ
普段食卓で活躍しているホットプレート(1200W)も、X-BoostモードをONにすればキャンプで楽しむことができます。この日は子供たちが大好きなチーズハンバーグ!自宅で仕込んできたハンバーグとカット野菜を焼いて、デミグラスソースをかけて煮込み、最後にチーズをのせて溶かせば完成です。
20分程使用した結果、バッテリー残量は90%→50%と大幅に減少しました。ポータブル電源でホットプレートを使用する際は、なるべく時間のかからない時短レシピが良さそうです。
キャンプでがっつり料理をしたい方へは、大容量のDELTAシリーズがおすすめです。
◆寒い季節はテント内で暖房器具を活用
夕飯を食べ、就寝準備のためテント内へ。肌寒さを感じセラミックヒーター(1200W)をつけたのですが、モニターに「37Mins」との表示が。これは「このまま使用すると残り37分使える」という意味で、逆を言えば『37分でバッテリーが切れる』ということ。明日もポータブル電源を使う予定があるため、今回は利用を断念しました。
モノにもよりますが筆者の使うセラミックヒーターは、使えるけれどポータブル電源のバッテリー消費が早く、キャンプでは現実的ではないと判断しました。
寒さをしのぐため、次に用意したのは電気毛布(50W)。モニターには「6Hours」と表示され6時間使えるようですが、弱モードであればもう少し長く使えて、2枚同時使用もできそうです。
マットを広げて電気毛布を敷き、その上に寝袋を置いて寝るとほんのり暖かく、快適に過ごせました。途中で暑くなりOFFにした時点でバッテリー残量は40%。明日も使えるという安心感もあり、ぐっすりと眠ることができました。
◆夏場は扇風機で快適に
暑い季節であれば扇風機を使うこともできます。写真の2台を同時に使用したところ、消費電力は2Wで92時間使えるとのこと。キャンプはもちろん、自宅でもコンセントが届かないような場所にポータブル電源を置けば長時間利用できそうです。
◆キャンプで味わう朝コーヒーは格別
翌朝、キャンプ場は清々しいお天気。コーヒーを淹れようと、普段ならば火を起こすかガスバーナーをセットするところから始まりますが、電子ケトルのスイッチを押すだけでお湯を沸かす光景に、まるでグランピング施設に来たような優雅な気持ちになりました。
2杯分のコーヒーを淹れるため、約400mlのお湯を沸かすのに約3分30秒。バッテリー残量は30%→26%に減少しました。
◆シャワー後のドライヤーやヘアセットも
シャワー室にドライヤーやコンセントがない限り、諦めざるを得なかったドライヤー。一般的なものは1200WなのでX-Boostモードを使用すれば利用可能です。
他にもヘアアイロンや髭剃りなど、普段使っている家電をキャンプでもそのまま使えるといつもの調子で過ごせて安心します。
◆日があるうちにソーラー充電を活用
太陽の光があるうちに別売りのEcoFlowソーラーパネルで本体を充電。2泊以上の連泊キャンプや災害時にあるととても心強いアイテムです。
ソーラーパネルをご検討の方はこちらをご覧ください。
ソーラーパネルは折りたたみ式で、持ち運びにも便利なハンドル付き。車の中に常備して置いても邪魔にならない薄さで、防水性や耐久性にも優れています。
◆キャンプだからこそ実感できた、ポータブル電源の威力
今回1泊2日のキャンプでポータブル電源をフル活用し、普段当たり前のように使っている電源の有り難さにあらためて気付くことができました。スマートフォンやLEDライトの充電が切れてしまっても「電源がある」という安心感は、きっと災害時も心強い味方となってくれるでしょう。
これまで“電源のないキャンプ場だから仕方ない”と諦めていたことも、ポータブル電源があれば叶えられ、さらに楽しく快適に過ごせる空間へと進化します。
ポータブル電源の容量が大きくなる程使えるモノの幅が増え、キャンプの楽しみ方がさらに広がります。EcoFlow製品の中でも大容量かつ軽量で持ち運びやすいDELTA miniや、後から容量を拡張できるDELTA Maxなどもオススメです。
【DELTA Maxはどんな家電製品とどれくらいの時間使える?くわしくはこちら】
ポータブル電源×キャンプの活用法や可能性はまだまだたくさんあるはず! そこで次は「ポータブル電源の選び方」について紹介します。
ポータブル電源の選び方〜キャンプ編〜
ポータブル電源は高価なアイテムだけに、後悔しないよう購入は慎重に行いたいところ。EcoFlowブログでは「ポータブル電源の失敗しない選び方」について前編・後編と掲載しています。
ポータブル電源の失敗しない選び方 前編
ポータブル電源の失敗しない選び方 後編
こちらも参考にしつつ、今回は“キャンプで使うことを想定した選び方”についてポイントを解説していきます。
◆キャンプで使いたい電化製品をリストアップ
キャンプで電源が必要となるシーンを想定しながら、何に使いたいかを明確にしましょう。例えば下記が挙げられます。
●スマートフォン、タブレット、LEDライト、カメラのバッテリー、充電式電池、ゲーム機などの充電
●ノートパソコン、プロジェクター、ハンディ掃除機、ドライヤー、電動エアーポンプ、サーキュレーター、電子ケトル、ホットプレートなど
●(夏)小型扇風機、ポータブル冷蔵庫
●(冬)電気毛布、加湿器
スマートフォンであれば夫婦+子供の3台、LEDライトは4台など、台数も同時に把握しておくとより具体的に選びやすくなります。
◆必要となる「Wh(消費電力)」を計算し確認する
ポータブル電源を比較検討する際に重要となる「Wh(電気容量)」。簡単に説明すると、電化製品の消費電力(W)とそれを使いたい時間(h)をかけ算した単位で、1時間(h)に使える電力(W)の容量(Wh)を指します。
例えば、電気毛布を弱モード(5W)で一晩(8h)使いたい場合に必要な電力量は《5W×8h=40Wh》となります。ドライヤー(1200W)を30分(0.5h)使いたい場合は《600Wh》必要となります。
キャンプで使いたいとリストアップした電化製品のW数を調べ、それを何時間使いたいか計算することで、自身のキャンプスタイルに合わせたWhを算出。それを満たすポータブル電源を選ぶことで「購入したけど使えなかった」「何十万もしたのに使いこなせない」という失敗を回避できます。
◆持ち運びやすいかどうか
キャンプへ持っていくとなると、持ち運びやすさも重要なポイント。あまりに重すぎると積み荷が大変だったり、タイヤ付きだとキャンプ場で汚れて家の中で使いにくくなってしまうことも。
サイズが大きすぎると肝心のキャンプ道具が積載できなかったり、収納時も場所をとってしまいます。ある程度サイズや重量にも注目し、可能であれば店頭で触れてから検討することをオススメします。
◆こんな所にも注目!
数多くのメーカーから発売されているだけに、デザイン・カラー・スペックもよりどりみどり。キャンプはもちろん自宅のインテリアにもマッチするような気に入ったデザインとカラーを選ぶと、家の中でもしまい込んだりせず目の届く場所に置いておきたくなります。そうすることで残量確認もしやすく、いざという時にもすぐに対応できます。
キャンプで使うならば防水や防塵スペックのあるポータブル電源も魅力的ですが、車内やテント内で使うようにすればそれほど重要でもなく。それよりは、EcoFlowの一部商品にもある「容量が拡張できる」というスペックは、重宝すること間違いなし。これからのポータブル電源は、必要に応じてカスタマイズできるタイプに注目していきましょう。
ポータブル電源×キャンプの楽しみ方は無限大
最後まで読んでいただきましてありがとうございます。今やキャンプに限らず、防災やテレワークなど様々な観点から必要とされているポータブル電源。もしもの備えとして置いておくだけではなく、ぜひ日常的に使って楽しんでみてください。こんな使い方もできるんだと新たな発見を見つけてください。ポータブル電源のある暮らしやキャンプは、きっと、想像以上に楽しいもの。購入を検討されている方は、ぜひ選び方のポイントを参考にしてみてください。