ポータブル電源を選ぶ際、気になるポイントのひとつが「寿命」です。そこで今回は、一般的なポータブル電源の寿命をご紹介するとともに、なぜ寿命があるのかなど、ポータブル電源の仕組みについても解説します。
これからポータブル電源の購入を考えている人は、ぜひ商品選びの参考にしてください。また、すでにポータブル電源を持っている人には、長く使用するための使い方、保管方法のコツをご紹介します。
目次
1.ポータブル電源に寿命はある?
ポータブル電源の寿命の決め手は、バッテリーの性能にあります。まずはポータブル電源に使われているリチウムイオン電池について調べてみましょう。
1.1 ポータブル電源に使用されている「リチウムイオン電池」の特徴
ポータブル電源には、電気を貯めておくための電池が内蔵されています。電池素材のなかでも主流なのが、リチウムイオン電池です。
リチウムイオン電池とは、プラス極にリチウム含有金属酸化物を、マイナス極にグラファイトなどの炭素を使用し、有機電解液を充填した仕組みの電池のことです。
リチウムイオン電池は、スマートフォンやモバイルバッテリー、ノートパソコンにも使用されている身近な電池です。製造コストが比較的安価で耐久性があり、他の電池と比べてエネルギー密度が高いため、軽量かつコンパクトであるという特徴があります。また、コンパクトながら電気を蓄えられる容量も大きいため、一旦充電すれば長時間持つ点もメリットです。さらに、繰り返しの充電・放電にも強い電池です。
ただし、リチウムイオン電池は使っていくうちに劣化するため、寿命があることも特徴のひとつです。電池の劣化を防ぎ、長く使用するための使い方と保管方法のコツについては、記事の後半でご紹介します。
1.2 リチウムイオン電池の種類
ポータブル電源によく使用されている電池の素材はリチウムイオン電池ですが、厳密には、次の3種類に分けることができます。
- リチウムイオン電池
- リチウムポリマー電池
- リン酸鉄リチウム電池
リチウムポリマー電池、リン酸鉄リチウム電池も、リチウムイオン電池の一種です。ただし、スペックや安全性を高めるために、リチウムイオン電池とは使っている素材や加工が一部異なります。
たとえば、リチウムポリマー電池は、電解質として燃えにくく安定性の高いゲル状の高分子ポリマー材料を使用し、保護剤で包む加工をしています。充填した電解質が漏れにくく、加えて高出力です。
リン酸鉄リチウム電池は、プラス極にリン酸を採用している電池です。一般的なリチウムイオン電池が使用しているリチウム含有金属酸化物と比べて熱暴走が起こりにくいため、安定性・安全性に優れていると言われています。
1.3 ポータブル電源の寿命(サイクル数)は500〜2500回
ポータブル電源の一般的な寿命は、サイクル数でおよそ500~2500回ほどです。
サイクル数とは、ポータブル電源の寿命の目安を示す際に使用される単位のことで、充電・放電1回を1サイクルと数えます。つまり、サイクル数800回が寿命のポータブル電源なら、0%から100%まで充電した電気を、0%まで放電して使い切ることを800回した頃が寿命の目安となります。
ポータブル電源の寿命がサイクル数で示されるのは、同じ機種でも使用状況や環境によって、寿命の目安が変化するためです。
たとえば、EcoFlowのポータブル電源「EFDELTA」の場合、寿命の目安となるサイクル数は「800回以上」です。
EFDELTAを週に1回キャンプで使用する場合、寿命の目安年数は約15年です。(800回÷年間使用回数52回=約15年)
一方、週5日お仕事で使用する場合、寿命の目安年数は約1.4年になります。(800回÷年間使用回数260回=約1.4年)
なお、寿命の目安年数はあくまで概算であり、使用環境などによって変動します。
1.4 ポータブル電源が劣化したらどうなるの?
ポータブル電源には、内蔵されているリチウムイオン電池の劣化による寿命がありますが、寿命が来てもすぐに全く使えなくなるわけではありません。
ただし、寿命目安のサイクル数に達した場合、蓄電できる容量が減ったり、充電に時間がかかるようになったりするなどの変化が起きます。
このため、寿命を迎えるとポータブル電源としての性能が落ち、「使いにくくなる」という不具合を感じるケースが多いです。
1.5 エクストラバッテリーやソーラーパネルを使うのも手
寿命を迎え、蓄電容量が減ってしまったポータブル電源を有効活用したいと考える人も多いでしょう。
手持ちのポータブル電源の蓄電容量が減ったと感じたら、エクストラバッテリーやソーラーパネルを使って必要な電力を確保するのもひとつの方法です。ただし、どちらの方法も、ポータブル電源側がエクストラバッテリーやソーラーパネルに対応している必要があります。
エクストラバッテリーとは、ポータブル電源に接続することでバッテリー容量を増やすことができるものです。ポータブル電源の蓄電容量が減った場合だけでなく、長期の旅行など、より多く電力が必要になるシーンでも便利です。
また、ソーラーパネルから充電できるポータブル電源なら、特にアウトドアシーンで活躍。ポータブル電源を使用しながら、蓄電容量の減少分を自然エネルギーで補えます。
1.6 リチウムイオン電池の危険性と安全に使えるポータブル電源の選び方
ポータブル電源に内蔵されているリチウムイオン電池は、過充電、過熱、過放電、異常動作、あるいは製造上や取り扱い上に問題があると、爆発を引き起こす可能性があります。
このため、ポータブル電源を選ぶ際は、安全に使えるかどうかを重視することが大切です。具体的には、さまざまな保護機能を搭載している商品を選ぶといいでしょう。
そのひとつが、BMS(バッテリーマネージメントシステム)です。BMSは、過電圧、過電流、過昇温などからバッテリーを保護するため、バッテリーセルを安全に監視・調整するよう設計されたシステムのことです。
その他の保護機能には、過電圧保護、過負荷保護、過熱保護、短絡保護、低温保護、低電圧保護、過電流保護などがあります。
2.ポータブル電源を長く使用するコツ
ポータブル電源には仕様上の寿命がありますが、実際には使用状況や環境によっても左右されるため、使い方と保管法を工夫することによって長持ちさせることができます。
ポータブル電源を長く使用するためのコツを5つご紹介します。
2.1 高温多湿な場所や気温が低すぎる場所に置かない
1つ目のコツは、高温多湿な場所、気温が低すぎる場所を避けて使用・保管することです。ポータブル電源に使用されているリチウムイオン電池には、暑さ、寒さの両方に弱いという特性があります。
特にリチウムイオン電池の電極は熱によって劣化が加速するため、直射日光が当たる環境下で使用・保管する、真夏の車内や暖房の前に放置することなどは避けましょう。また、湿気も水分による腐食や腐敗による不具合を引き起こす原因となります。結露した窓辺や湿気の高い物置などでの使用・保管には注意が必要です。さらに、気温が低すぎる場所ではリチウムイオン電池の内部抵抗、過電圧が共に増加するため、電池の使用時間が短くなるなど性能を低下させる原因になります。
ポータブル電源を長く使用するなら、高温多湿、低温の環境を避け、涼しく風通しの良い環境で使用しましょう。
2.2 「パススルー」をしない
パススルーとは、ポータブル電源を充電しながら、同時にポータブル電源から電気を取って電化製品を動かすことです。ポータブル電源を長持ちさせるためには、パススルーでの使用も避けましょう。
ポータブル電源に内蔵されたリチウムイオン電池は、電気の充電・放電を同時に行うこと自体は可能です。しかし、充電と放電を同時に行うことはリチウムイオン電池に負荷をかけることになり、電池の劣化を早めてしまう原因となります。また、パススルーをすると、本体が高温になるケースもあります。
ソーラーパネルを使用してポータブル電源を充電し、充電しながら他の電化製品を動かす場合にも、リチウムイオン電池には負荷となり、電池の劣化を加速させます。キャンプなどのアウトドアシーンや災害時、ソーラーパネルでの充電は便利ですが、日常的に充電しながら他の機器に給電すると、ポータブル電源の寿命が短くなることを覚えておきましょう。
2.3 バッテリーを60〜80%にしてから保管する
ポータブル電源を長く使用するには、保管の際のバッテリー残量もポイントになります。フル充電、またはバッテリーが0%の状態で保管することは、ポータブル電源の性能の低下やリチウムイオン電池の劣化を早める原因となるため避けましょう。特にバッテリーが0%の状態で長期間保管すると、再び充電ができなくなってしまうケースもあります。
一般的に、リチウムイオン電池の劣化を防ぐのに好ましいバッテリー残量は40%程度です。ただし、保管している間にも自然と電気が放出されるため、バッテリー残量40%での保管は、保管中にバッテリーが0%になってしまい、いざというときに使用できなくなるリスクがあります。
ポータブル電源の保管時に自然と放出される電気の量は、半年で約20%程度と言われています。したがって、長期保管する場合には、バッテリー残量を60〜80%にするのがおすすめです。
さらに、半年後バッテリー残量が40~60%になるタイミングで適切な残量となっているかチェックを行い、併せて動作確認もしておくと安心です。
※上記は、あくまで一般のポータブル電源に関するアドバイスとなっており、弊社製品の場合はバッテリー残量が30~60%前後の場合に最も最適な状態での長期保管が可能です。また、いざという時に使用できるように、3か月に一回の動作確認をお勧めしております。
2.4 風通しのいい涼しい場所で保管する
前述のとおり、高温多湿な場所や気温が低すぎる場所を避け、風通しのいい涼しい場所で保管することも大切です。ポータブル電源を保管するのに最適な温度は、25℃前後です。基本的には、購入後は箱から出した状態で保管しますが、一般的な機械と同様に、ホコリが多い場所での保管は製品の劣化を招くため注意しましょう。
条件に合う保管場所なら、リビングでも玄関でも、廊下でも問題ありません。ただし、季節によって気温や湿度が変化するケースもあるため、必要に応じて保管場所を変更するなど、臨機応変に対応しましょう。特に寒冷地の冬場は、低温環境での保管を避けるため、梱包材などに入れて保管するのもひとつの方法です。また、エコフローのポータブル電源をご利用の方には、保管の際には、正面にある主電源ボタンを長押しして、全体の電源をオフにしていただくことをお勧めしています。
2.5 継ぎ足し充電はポータブル電源の寿命を伸ばすのに関係ある?
ポータブル電源を長く使うために、継ぎ足し充電は好ましくないのではないかと考える人もいるでしょう。
しかし、実際には、継ぎ足し充電がバッテリーの寿命を縮めるという事実はありません。充電の仕方に気を取られることなく、充電できるタイミング、必要なタイミングで充電し、快適に使うのがおすすめです。
3.長く使えるエコフローのおすすめポータブル電源
ここからは、EcoFlowのさまざまなニーズに合わせたポータブル電源の中から、長く使えるおすすめの製品を紹介します。これからポータブル電源の購入を考えている人は、ぜひ参考にしてください。
3.1 DELTA 2
EcoFlowのDELTA 2は、LFPバッテリー搭載により、充放電可能の長寿命を実現します。毎日使っても、約10年使えます。
DELTA 2は、バッテリー容量1,024Whのパワフルなポータブル電源です。AC6口を含む合計15ポートが備わっており、1,500Wの高出力に対応。DELTA2のすごいところは、一般的な家電製品の90%以上を動かすことが可能なこと。これだけの容量と出力があれば、どんなシーンでも電化製品を稼働させ続けることができます。
DELTA 2は、防災製品等推奨品認証が取得しており、災害時はもちろん、キャンプなどのアウトドアシーンでも活躍する1台です。
3.2 EcoFlow RIVER 2 Pro
EcoFlow RIVER 2 Proは、リン酸鉄リチウムイオン電池を採用し、バッテリーの充放電を繰り返し行える回数が、業界平均より6倍長い3000+回と長寿命を実現します。毎日使用しても約10年間使用することが可能です。また、高温下でも安全に稼働します。さらに、RIVER 2 Proは業界トップクラスの5年間保証付きます。
RIVER 2 Proは僅か7.8kgで、従来モデルより軽量化を実現し、これまで以上に携帯性や利便性が向上しました。
EcoFlowのRIVER 2シリーズは、高い安全基準をクリアし、TÜV Rheinland(テュフ・ラインランド)からポータブル電源業界では初となる安全認証を取得しました。
EcoFlow RIVER 2 Proの詳細はこちらhttps://www.youtube.com/watch?v=GOCw2PxN1vc&t
3.3 EcoFlow RIVER 2 Max
EcoFlow RIVER 2 Maxは、ACコンセントからわずか60分で満充電可能なポータブル電源です。これは業界平均より5倍速くなりました。急に思い立った旅行でも、RIVER2ならパッキングしている間にフル充電することができ、すぐに出かけることができます。
バッテリーにはBMS(バッテリーマネージメントシステム)を搭載し、寿命のサイクル数は約3000回以上です。
X-Boostモードをオンにすることで最大1,000Wの電力供給が可能。さまざまな機器に対応できる点も、魅力のひとつです。
まとめ ー ポータブル電源の寿命は約6年〜11年。使用方法・保管方法によっては寿命が延びることも
ポータブル電源に内蔵されているリチウムイオン電池は、使っていくうちに劣化するため寿命があります。ポータブル電源の寿命となるサイクル数は製品によって異なりますが、一般的に500~2500回程度、年数にして約6年~11年です。ただし、使用方法や保管場所に気を配ることによって、寿命よりも長い期間、快適に使用できる場合もあります。長く使えるポータブル電源の購入を検討しているなら、ぜひEcoFlowの豊富なポータブル電源のラインナップをチェックしてみてください。